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(回答先: Re: 何いってんだか。 投稿者 ジャン 日時 2006 年 1 月 05 日 21:19:25)
横レス失礼。
ちょっと気になったもので。
＞じゃあ、アメリカみたいに、戦争しつづけないと、技術の維持はできねぇってか？
「技術の維持」ではなく「技術の向上」の勘違いと思うが、技術の維持だけなら戦争をし続ける必要はたぶんないだろう。
しかし、技術の向上についてなら、戦争はなくてはならないものと考えた方が、技術の進展の背景を理解しやすくなるはずだ。
20世紀についてだけでも、ざっと思いつくところで、戦争とともに進展した技術には、鉄鋼の連続鍛造技術、化学工業、石油精製技術、掘削技術などは当然として、原子力、ノイマン型電子計算機、サイバネティクス、情報理論、OR、品質管理技術（NASAのスピンアウト技術はほかにもいろいろあるが、NASAや航空宇宙技術自体が軍事技術であり、軍事予算によって成立した組織だ）、高精度カメラ、ロボット、飛行シミュレーター、バイオテクノロジー、レーザー、メーザー、ジェット機、遺伝子工学、遺伝子操作、超電導、サーモグラフィ、マイクロ波、ミリ波、VR、CG、GISなどなど。当然ご存知と思うが、このインターネットも軍事転用技術である。
ことわるまでもないと思うが、軍事技術とは、戦争中の技術だけでなく、平和時でも冷戦時のような緊張状態、ベトナム戦争前後のようなつかの間の平和時、そしてブッシュの先制攻撃論のような、平和時であっても戦争状態に非常に近い状況、などの期間に、主に軍事予算によって開発される技術を指す。
そして、70年代までの日本の科学技術はほとんどがアメリカやヨーロッパをお手本にしたものだった（平たく言えば、パクリ）。
そして、そのお手本の中の多くの技術が、軍事技術から生まれた技術を転用・拡張したものだ。
＞企業間戦争やら景気変動による影響による対応らよって、戦後日本の技術は向上したんでねぇの。
「戦後日本」ということであれば、まったく誤り。
日本の技術発達史をきちんと勉強した方がいい。
戦後日本の技術を支えたのは、アメリカからの（軍事）技術供与か、陸海軍（および戦前戦中に軍に協力した国立研究機関、大学の研究所）の軍事研究、軍事技術の民間転用だ（いわゆる当時のハイテクにこの流れが多い）。
戦後日本で軍事技術の民間転用が進んだのは、下町中小企業のがんばりも大きいが、アメリカのような軍事国家にならず、かたちの上で軍隊を持たなかったからだ（軍事機密にならなかったし、激しい市場競争にさらされたことも大きい）。
企業間競争ということでいえば、戦後日本の技術向上の努力の多くは、オリジナルの技術を生み出すのではなく、コスト削減、品質向上、歩留まり向上、がほとんどであり、そうした技術が称揚された（コスト削減はともかく、品質向上、歩留まり向上は、軍事用に研究開発された品質管理技術の転用だ）。
小生は理工系大学出身だが、技術者はこうしたコスト削減、品質向上、歩留まり向上などの技術の向上を、大きな意味での「技術向上」に寄与したとはいわない。
いろいろな意味でアメリカをキャッチアップするのは70年代後半頃だが、しかしそれ以降で、「技術の向上」に寄与した日本オリジナルの、しかも軍事とは直接結びつきのない技術をいろいろ考えてみたのだが、思いつかなかった（とりあえず思いつくのは、光触媒くらいか）。
ジャンさんが、これがあるよというものがあれば、例示していただきたい。
＞戦争しなくたって、財閥を自ら解体して適正な競争環境を確保してたら、技術の発展はあったはず。
これは平和ボケの人の吐くセリフとしかいいようがない。
戦後日本は、おそらく一度として「適正な競争環境」というものを持ち得なかったはずだ。
70年代までは、民間技術も護送船団に守られたものがほとんどであり、たぶんその頃からアメリカに強要されていたのだろうが、国がアメリカの特許（もちろん軍事技術のスピンアウトがほとんどの）の購入を進めていた。
こんなところだが、ジャンさんがいう「企業間戦争やら景気変動による影響による対応らよって、戦後日本の技術は向上したんでねぇの」の後段で言う、戦後日本で軍事転用ではない技術で、技術が向上したものとはどのようなものか、具体的な事例を示してほしい。
最後に。
以上の一文は思いつくままに書いたので、抜けもあるし、間違いもあると思う。
その辺も指示いただければありがたい。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。