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米国通商法とその思想−−闘争と抑止のオブセッション    【本間忠良】
http://www.asyura2.com/0510/hasan43/msg/705.html
投稿者 hou 日時 2005 年 12 月 11 日 09:27:04: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: マスコミに出ない『年次改革要望書』関連リンク米国通商代表部【再掲】 投稿者 へなちょこ 日時 2005 年 12 月 11 日 08:05:27)

http://tadhomma.ld.infoseek.co.jp/USTrad.htm


米国通商法とその思想−−闘争と抑止のオブセッション
Working Paper 05-5-3(1)
本間忠良
目次
1. はじめに:
1.1. 米国包括通商法:
1.2. WTO-GATTとの関係:
2. 通商法301条とその変種:
2.1. レギュラー301条−−外国政府の不公正行為に対する措置:
2.2. スーパー301条−−指名手配と調査義務化:
2.3. スペシャル301条−−知的財産権と措置加速:
2.4. その他の301条系措置−−政府調達・テレコミほか:
3. 反ダンピング関税と相殺関税:
3.1. 反ダンピング関税:
    演習 AD計算:

3.2. 相殺関税:
4. 関税法337条:
    補論 税関規則133条    
5. 通商法201条:
6. 21世紀型通商問題にむけての試論:
6.1. 米国人の国際通商感覚:
6.2. さしあたっての争点予想:
6.3. もっと大きい波:
グラフ1 AD Inv. Initiated 1980-1988:
グラフ2 技術貿易収支
資料1 301条事件一覧:
資料2 日米半導体事件年表:
資料3 1995年以後の337条調査
注:  

1. はじめに(2):
1.1. 米国包括通商法:
 米国では、1929年の大不況以来、戦中を除いて数年おきに、「包括」(Comprehensive とかOmnibus)という形容詞を冠した通商関連法案が議会に上程され、そこで(大幅に)修正された末、なんとか成立するという現象がくりかえし観察される。代表としてつぎのものをあげてもいいだろう(3)。

 1930年関税法:スムート・ホーレイ法、保護主義立法の代表、米国の大不況を世界恐慌に拡大した。
 1934年互恵通商協定法:ニューディール通商法、大統領の通商リーダーシップを確立。
 1962年通商拡大法:GATTケネディ・ラウンドの授権法、自由貿易を推進。
 1974年通商法:商品貿易赤字基調転落を反映して「公正」貿易へ転換、STR設置、ファスト・トラックを成文化。
 1979年通商協定法:東京ラウンドの実施法、GATT反ダンピング・コードに準拠。
 1984年通商関税法:バリヤー・リポートを常設化、知的財産権の保護強化をふくむ「攻撃的」通商政策へ転換。
 1988年通商競争力法:ウルグアイ・ラウンドの授権法、「スーパー」(、「スペシャル」)301条登場。
 1994年ウルグアイ・ラウンド協定法:WTO設立協定を受容、マルチ・ルール重視へ転換。

 米国では、憲法上、通商権限が議会にある(4)のだが、現代では、それぞれローカルな利害を持つ上院議員100人、下院議員435人がぞろぞろ外国と通商交渉をして歩くわけにもいかないので、一定の時限と条件をつけて大統領(USTR)に通商交渉権限を委任し、交渉結果を無修正で可決または否決するという慣行ができている(5)。それがいわゆる「ファスト・トラック通商権限(fast-track trading authority)」である(6)。この授権が、通常、上の「包括」通商法と抱き合わされるのだが、その際、議会は大統領に通商交渉権限を与える代わりに、いろいろローカルな――たがいに矛盾する可能性のある――注文をつけようとする。これらを調整してナショナル・インタレストにまで高めるため、授権法はどうしても包括的なものになる。たとえば、1988年通商競争力法には、カリブ海盆開発法とアラスカ石油輸出制限法という東西岸の異質なイシューが抱きあわせではいっている。

1.2. WTO-GATTとの関係:
 ところで、GATT(関税と貿易に関する一般協定)の原則としてはつぎの4つがあげられる。

1条
最恵国待遇

2条
関税の一方的引上げ禁止

3条
内国民待遇

11条
非関税障壁禁止

 これに対しては例外がどっさりあるのだが、とくにあげるとすればつぎの4つだろう。米国にはそれぞれに対応する制度がある。 

GATTの4大例外
米国通商法令

23条2 対抗措置
通商法301条以下(対抗措置)

6条 相殺関税とダンピング 
関税法7編(相殺関税とダンピング)

20条(d) 知的財産権
関税法337条/税関規則133条(水際法)

19条 セーフガード
通商法201条(エスケープ・クローズ)

2. 米国1974年通商法301条とその変種:
2.1. レギュラー301条(7)−−外国政府の不公正行為に対する措置:
 米国1974年通商法301条は、外国政府の不公正行為に対抗して、米国政府が報復措置(8)をとる権限と手続きを規定する。

2.1.1. 不公正行為:
 不公正行為とは、1) 通商協定違反行為および不正 (unjustifiable) 行為、2) 差別 (discriminatory) 行為、または3) 不合理 (unreasonable) 行為をいう。

2.1.1.1. 不正行為とは国際義務(条約や協定はもちろん、国際慣習法もふくめて)違反行為である。

2.1.1.2. 差別行為は、合衆国産品またはサービスまたは投資に対する内国民待遇や最恵国待遇を拒否する行為をふくむ。

2.1.1.3. 不合理行為とは不公正かつ不公平 (unfair and inequitable) な行為をいい、1) 起業機会の拒否、2) 知的財産権の適正かつ有効な保護の拒否、3) 市場機会の拒否(合衆国製品のアクセスを制限する外国民間企業の組織的反競争活動に対する同政府の黙認をふくむ)、4) 輸出ターゲティング、5) 労働者の権利の常習的な拒否などをふくむ。

 いずれの場合も、それが米国商業に対する負担・制約になっていることが要件である。

2.1.2. 担当官庁: 
 調査者・措置の決定者は、大統領が上院の助言と承認を経て任命する合衆国通商代表(USTR)である(8.5)。

2.1.3. 措置の種類:
2.1.3.1. 不公正行為が協定違反または不正行為の場合、措置は義務的である(USTRは措置をとらなければならない)。ただし、1) 大統領が拒否権を発動した場合、2) 相手国政府が協定違反や不正行為をやめるか補償提供に同意した場合、または 3) WTOの否定的決定がある場合、措置を免除する。

2.1.3.2. 不公正行為が差別行為または不合理行為の場合、措置は裁量的(措置をとるかどうかUSTRが判断し決定する)である。

2.1.3.3. 措置の内容は大統領権限のすべてにおよぶが、対象外国産品に対する一定期間の報復関税(不公正行為による米国商業の被害と等価)の賦課がもっとも望ましいと規定されている。

2.1.4. たすきがけ報復と回転木馬(カルーセル)条項:
 不公正行為対象品目と報復措置対象品目はかならずしもおなじでなくてもいい。

 たすきがけ報復: たとえば1987年の日米半導体協定事件では、半導体と関係のない電動工具などが措置対象になったし、いま対ECホルモン牛肉事件では、特定のチーズ、ワイン、衣料品などが対象になっている。

 回転木馬(カルーセル)条項: 2000年5月改正法(306条(b)(2))では、措置対象品目を6か月ごとに入れかえることになった(2005年4月までのところ実施されていない)。報復圧力を強化するためというのが表向きの理由だが、じつは、関税アップによる国内流通業(および消費者)への被害(したがって反発)を分散しようというねらいであろう。

2.1.5. 調査手続き:
 提訴またはUSTRの職権。調査開始は裁量的である(ウルグアイ・ラウンド中、日本のコメに対する提訴が2回あったが、USTRはいずれもとりあげなかった)。調査および措置決定期限:一般の場合12か月以内、協定違反事件の場合18か月以内。措置の実施は最長180日延期可。措置は4年間のサンセット(自動終結)。

 1998年11月、EUは、上の措置決定期間が、WTOにおける紛争解決手続きと無関係に決まっていることをWTO協定違反としてWTOに提訴、2000年1月、DSB(WTO紛争解決機関)は、大統領拒否権やそれに関する大統領ステートメントなどをふくむ通商政策全体としてみた場合、かならずしもWTO違反とはいえないという内容のパネル報告書を採択した。

2.1.6. 事例(資料1):
 2001年3月までの調査開始134件のうち、1984年以前はすべて提訴、1985年以後は過半数が職権調査である。このことは、301条の性格が、1985年(レーガン政権第2期)を境に、被害業界の救済策という受身の立場から、米国通商政策の「攻撃的」(USTRが対議会説明で使った言葉)戦略兵器へと大きく変身したことを示している。

 措置発動ケース:1984年以前2件(EC柑橘、パスタ)、1985年以後9件(日本半導体、皮革、革靴、ブラジル知的財産権、情報政策、ECホルモン牛肉、ポルトガル拡大、EUバナナ、ウクライナ知的財産権)、計11件。措置発動件数は、調査開始件数の10分の1で、301条の真の目的が措置発動ではなく、威嚇であることを示している。301条は米国独特の抑止思想の産物である。

 国別開始件数(1999年8月9日まで):EC 34、中南米25、日本14、カナダ12、韓国10、インド5、台湾5、中国4、他10、計121(重複あり)と、件数だけみれば、米国の通商摩擦相手国は、欧州、中南米が主である。しかし、米国通商政策の戦略兵器として「攻撃的に」使われたという意味では、日本半導体産業没落の原因となった1987年日米半導体事件が歴史的事件であろう(資料2) 。

 最近の米国のおもな通商摩擦相手は日本ではなくてEUである。米国は、ホルモン牛肉とバナナ両事件の対抗措置として、WTO決定のもとに、1999年以来、年それぞれ約120百万ドルと190百万ドルの報復関税をEUからの輸入品にかけているが、こんどはEUが、いわゆる米国海外販社事件で、40億ドルの対抗措置をWTOから取りつけ、目下課徴方法を検討中である。

 1995年、WTOの発足は、301条の性格にふたたび決定的な変化をもたらした。1985年以来の米国通商戦略の究極兵器(一方的措置)の性格が失われて、WTO提訴のための国内手続きないしWTO/DSU決定の執行法というマルチ的性格にはっきり転換している。発動対象の不公正行為も、外国の知的財産保護制度の不十分というのが圧倒的で、後述のスペシャル301条の執行法という性格が強くなっている。とくに1998年以来は、年1-2件、それも半数が知的財産権という低調ぶりである(1997年は12件−−といっても半数が知的財産権)。通商問題の主役が知的財産権に移っている。

2.2. スーパー301条−−指名手配と調査義務化:
 1988年包括通商競争力法によって1974年通商法に追加された310条は、1) 一定の悪質国を指名し、2) これに対するレギュラー301条調査開始を義務化するものである。

 ここで、「バリヤー・リポート」(正式には国家通商見積(NTE)報告書)とは、毎年3月末、USTRが議会に対して、1) 米国産品、サービス、直接投資に対する外国の主要な障壁または通商歪曲行為を特定、2) 同行為が米国商業に与えるインパクトを見積って報告するものである<http://www.ustr.gov/reports/nte/2004/index.htm>。

 1988年法によれば、1989年と1990年の2回、バリヤー・リポート提出から30日以内に、USTRが、記載された外国通商障壁のうち特に悪質なもの(優先対策慣行)およびその国名(優先対策外国)を指名、報告後20日以内に、レギュラー301条の職権調査を開始するというものであった。レギュラー301条の調査開始はUSTRの裁量だが、スーパー(および次項のスペシャル)301条は調査開始が義務的である。議会が大統領府から通商イニシアティヴをとりかえそうとしているのである。


優先対策外国    
優先対策慣行

1989  
ブラジル
農産品・製造品の輸入許可制による輸入障壁

 
日本
衛星・スーパーコンピュータ政府調達差別。木材製品の技術規格障壁

 
   (日本とブラジルは、1年の期限ギリギリに米国と合意、調査中断)

 
インド
保険サービス障壁。投資障壁

1990
インド
再指名

 1991年失効。1994年ウルグアイ・ラウンド協定法で復活、1997年失効。1999年3月行政命令13116で復活(時限3年−−2002年3月で切れたが、2004年8月現在、更新されていない)、1999、2000、2001、2002年いずれも優先対策国の指名はないが、スーパー301条報告書には多数の通商紛争案件が列挙されており、すべてWTO/NAFTA手続きによる協議・提訴ルートで処理されている。

 対ECホルモン牛肉事件で措置を発動しているレギュラー301条(バナナ事件措置は2001年4月終結)とちがって、議会が主導権を握るスーパー301条は、時限法でこまぎれにされ、びくびく運用されていた(議会にふりまわされて世界恐慌をもたらした1930年スムート・ホーレイ法の悪夢が記憶されているのである)。一種の非常事態法だが、2004年現在ベンチ入りしている(2004年大統領選で民主党ケリー候補はこれの復活を公約している)。

2.3. スペシャル301条−−知的財産権と措置加速:
 1988年包括通商競争力法1303条は、1) 知的財産権保護が不十分な国に対するレギュラー301条調査開始を義務化し、2) 調査期間を短縮する(原則6か月、複雑案件で9か月)。あとはスーパー301条と同じだが、こちらは時限法ではなく、毎年、なにかしら動きがある。1994年ウルグアイ・ラウンド協定法では、「たとえ外国がウルグアイ・ラウンドTRIPS協定を満足していたとしても、スペシャル301条の適用ありうる」と改正、WTOの動きいかんにかかわらず、独自で一方的措置をとる可能性を温存している。ウルグアイ・ラウンドでは渋る途上国をTRIPS交渉に引き出したという歴史的役割を果たしたものの、ウルグアイ・ラウンド後は、むしろ多様な通商措置の一環(とくにWTO未加盟国に対する「しつけ」--discipline)という位置づ けに変わっている。とくにウクライナはデジタル著作権の保護不十分ということで報復措置を受けており、後述(6.3)する情報化時代における通商問題のテスト・ケースともいえる。 

Special 301 Priority Countries and Other IPR-related Actions

1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
----
----
India
India
India
(India)
----
 
----
Paraguay
----
----
Ukraine
Ukraine
Ukraine
Ukraine Ukraine
 
 
Thailand
Thailand
Thailand
(Argentina)
 
 
 
 
 
 
 

 
 
China
Taiwan
Brazil
China
 
China
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
306 Monitoring:
 
 
China
China
 
China
China
China

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Paraguay
Paraguay
 
Paraguay
Paraguay
Paraguay

 
 
 
 
 
WTO Complaints:
Sweden
Greece
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
Ireland
EC
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
Denmark
 
 
 
 

 
 
 
 
 
Regular 301:
India
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
Turkey
 
 
 
 

 
 
 
 
 
Out-of-cycle:
 
 
Malaysia
Italy
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Korea
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
Macau
 

2.4. その他の301条系措置−−政府調達・テレコミほか:

  301条系の報復制度としては、ほかに、1988年包括通商競争力法第7編が1996年時限失効したあと、1999年大統領布告で復活したいわゆる政府調達条項(外国政府による差別的調達慣行−−国際協定違反をふくむがそれには限られない−−を監視する)と、1988年包括通商競争力法1377条のるいわゆるテレコミ通商条項(外国と結んだ電気通信通商協定−−WTO基本電気通信協定をふくむがそれには限られない−−の遵守状況を監視する)とがある。いずれも、要件に該当する外国を特定して、301条報復を背景にして交渉する権限をUSTRに与えている。2001年USTR報告書は、政府調達について、日本をとりあげ、日本の公共事業が、広範な談合慣行、ジョイントベンチャー条件(3社ルールふくむ)、差別的な指名条件、WTOルールを迂回するための工事の小割りなどによって米国の設計施工業者を事実上締め出していると言っている(2001年で再失効、2003年現在更新されていない)。電気通信についても、日本の接続料金が、コスト基準の接続料金を定めたWTOルールに反しているなどと言っている。

 「301条系」という捉え方は狭きに失し、一方的措置が米国通商法の基本構造−−抑止の思想−−なのだと思わせる兆候がさまざまの独立法の中にも見られる。1920年商船法(ジョーンズ法)は米国通商当局も手を焼いている保護主義立法だが、なかでも、米国の海上輸送に不利益を及ぼす外国政府の差別的行為に対して、米国連邦海事委員会(FMC)に広範な報復権限を認めている。1997年9月、FMCは、日本の港湾における事前協議制について、米国に寄港する日本船社3社に対し1回寄港ごとに10万ドルの課徴金を賦課、結局1か月分150万ドルを徴収した。政府間協議の結果、1999年5月、同措置は撤回されたが、制度そのものは手付かずであり、米国は依然として日本の港湾サービスに不満を持っているので、今後再燃のおそれがある。

 

3. 反ダンピング関税と相殺関税(1930年関税法第7編):
 反ダンピング関税と相殺関税の徴収手続きはある程度までパラレルである。いずれも2つの官庁が関与する。1) 商務省は、反ダンピング関税では安い輸入品と高い本国品の間の価格差を、相殺関税では相殺対象の補助金額を、2) 国際貿易委員会(ITC)はそれによって米国産業が受けた被害の有無を、それぞれ調査・決定する。ITC調査は、被害がない場合、商務省の調査を中止させるネガティヴな役割りである。いずれの調査も、外国メーカー(相殺関税の場合は外国政府も)への質問書の回答および立入り監査(verification)によるが、協力が得られないときはfacts otherwise available で決定する。立証責任が転換されているため、米国側に行政コスト意識がない。調査対象期間(POI)は原則として提訴前1年間である。

 調査は提訴または職権で開始され、下表のスケジュールで関税徴収命令に至る。ここで認定された率で推定反ダンピング関税または推定相殺関税が徴収され、1年以後、輸入者の申立てで年次見直しをおこなう。「推定」というのは、過去の調査で将来の価格差または補助金額を推定しているからである。もし推定が過大であれば、差額を返金し、同時に翌年の推定反ダンピング関税または推定相殺関税率を決定する。ゼロが2年続けば、調査終結を申立てることができる。処分は5年間でサンセットする。

   反ダンピング関税      相殺関税     
(数字は日数)
  標準   最長      標準      最長 AD併合最長
提訴 0 0 0 0 0
調査開始・質問書 20 20 20 20 20
ITC被害仮決定 45 45 45 45 45
DOC関税率仮決定・清算停止・立入り監査・SA 160 210 85 150 150
DOC関税率最終決定 235 345 160 315 345
ITC被害最終決定 280 390 205 360 390
関税徴収命令 287 397 212 367 397

 1980年以来の発動件数を、グラフ1(相手国別−−比較のためEUも)、1.2(反ダンピング関税調査−−措置別詳細)、1.3(相殺関税調査−−開始件数のみ)に示す。

3.1. 反ダンピング関税:
 ダンピングは、「価格差別の一形態で、1) 2つの市場における需要の価格弾力性が異なり、2) 高価格市場(本国)で競争が制限されており、3) 本国に参入障壁がある場合、ダンピング行為者にとって利益を生じる。とくに、本国で独占または共謀が存在し、需要の弾力性(9)が低い場合、本国での利益極大化価格が限界生産費(10)よりかなり高いため、このマージンを利用したダンピングは必然のコースである」という(11)。

 国内の価格差別はクレイトン法2条ロビンソン・パットマン修正で違法だが、国家間の価格差別にはこれが使えないから、反ダンピング法が必要という論理である。

 価格差別はなぜ「悪い」かという根本的な質問に対しては、「売手が一定地域で安売りし、そこに閉じこめられている中小企業の全ビジネスを抹殺したうえ、値上げして消費者から収奪する。さらに、そこで得た超過利潤を利用して、他の地域で同様の行為−−市場略奪−−を続ける」から悪いのだという答えが一般的である(12)。

 米国には反ダンピング(AD)法が2つある。そのうち、民事救済の1916年AD法は、大要、「アメリカの産業を破壊・損傷し、またはその成立を妨害し、もしくは同物品のアメリカでの通商を制限・独占する意図をもって、外国産品を、本国又は第三輸出国での実勢市場価格より安い価格で、経常的かつ組織的に輸入または販売した者は、罰金または/および禁固刑に処するとともに、被害者に対して被害額の3倍の賠償金を支払わせる」と規定する。ただ、これは刑事法のため、法の正当手続き(due process of law)が働いて、なかなか原告が勝てず(提訴例は多い)、1930年関税法(行政法)が主として使われている。

 2000年9月、WTO・DSB(紛争解決機関)は、日本、EUの提訴にもとづき、1916年法をWTO違反とする上級委員会報告書を採択した。廃止期限は2001年末だったが、米国議会は3年粘ったあげく、EUの報復が秒読みに入ったのを見て、2004年11月両院可決、大統領が署名してやっと90年近い歴史を閉じた。遡及効はないので、係属中の対日2件(うち輪転機事件は地裁陪審クロ、控訴中)には影響しない。2004年末、日本はいわゆるblocking statute(対抗立法−−米国で判決が出ても日本では承認も執行しないし、とられた損害を原告から回収する権利を被告に与える)をはじめて制定した(イギリスが元祖)。ちなみに、WTO協定は米国では行政協定で、効力は法律より下位(日本では条約で、法律より上位)。

 以下1930年関税法について説明する。1994年ウルグアイ・ラウンド協定法で5年サンセットになったが、旧法にはサンセットがなかったので、たとえば日本製TV受像機事件などは30年以上もやっていた。その間、はじめは白黒TVだったのが、自動的にカラーTVを、そしてプロジェクションTVや液晶TVまで反ダンピング関税の対象にした。まことに愚法というほかない。

3.1.1. LTFV:
 LTFV=正常価額−輸出価格。価格はいずれも末端価格から販売経費を引いてネット工場渡し価格を推定する(WTO反ダンピング協定上、控除は米国・本国とも対称でなければならないが、米国では間接費の控除が非対称の可能性がある)。

3.1.2. 正常価額:
 正常価額=@本国価格/A(本国価格少量の時)第三国価格または構成価額

          本国価格 →  「生産原価」割れの時は  →   構成価額 

「本国価格原価割れ」(とくに半導体などハイテク製品で多用)を罰する経済的根拠が問題。

3.1.3. 構成価額:
 構成価額=材料費+加工費+一般管理費+利益

3.1.4. 迂回防止:
 米国や第三国に部品キットを輸入して組み立て、現地付加価値がすくない場合は、部品輸入に反ダンピング関税をかける。

3.1.5. 批判:
 近年の事案は鉄鋼などの斜陽産業に集中しており、その経済効果についても批判が強い(例:1995年6月ITC調査−−注18)。

3.1.6. バード修正法:
 2000年10月発効したバード修正法(2001年農業歳出法)は、反ダンピング関税(および相殺関税--近年日本にはほとんど適用されていないので省略)収入を提訴企業などに分配するというもので、前述した1916年法WTO協定違反のパネル報告に対する反発である。後述の337条と同じく、関税法系通商法の私益保護的性格がますますはっきりしてきた。2000年12月、日本、EUなどがこれをWTO反ダンピング協定違反(提訴企業への分配が違法な補助金にあたる)としてWTO提訴、2001年8月パネル設置。この間1年間で、2億ドル以上が提訴企業に分配された。2002年7月、パネルは、バード修正法をWTO協定違反と認定、廃止を勧告する(異例の)の中間報告をおこなった(9月最終報告もクロ)。2003年1月、上級委員会がパネル報告とほぼ同内容の報告をおこなった。USTRは、これを受けて、WTO勧告にしたがう法改正を議会に働きかける旨言明したが、2003年末の期限を過ぎても改正法は議会を通らず、日本やEUは対抗措置のためのDSB(紛争解決機関)承認を取り付け、EUは2005年5月から報復関税を発動、日本も史上はじめて9月から報復関税(ベアリング等に15%程度−−総額約85億円)発動のための最終手続き(特殊関税部会)にはいった。

3.1.7. 途上国:
 最近は途上国がさかんに反ダンピング措置を発動している。20世紀型通商摩擦のもっとも愚劣な側面である。

AD計算演習:
 次の問題文中の@A・・を置換するのに最も適切な数値を、各問題文の直下に列挙した数値の中から選び、下端の解答欄の@A・・の下に英記号AB・・で記入しなさい(繰り返し使用されたり、使用されない数値もあります)。 

 1995年1〜12月、日本メーカーA社は、米国内の販売子会社A-USA社に、カラーテレビX型10,000台を、米国港渡し1台 $500で販売した。A-USA社は、これを、仕入れ価格の 20%増しの1台$600で米国小売店に販売した。A社工場から米国港までにかかった経費は1台 $100だった。同時期、A社は、X型とほぼ同仕様のカラーテレビY型 100,000台を、日本国内の小売店に直接販売した。小売店への卸正価は$換算(以下同)1台 $650だが、期間中、各種リベートを1台あたり $100出した。A社工場から各小売店までにかかった経費は1台平均 $50だった。Y型の変動原価(材料費+加工費)は1台$500、一般管理費は変動原価の10%、利益は総原価の8%だった。日本製カラーテレビが米国で反ダンピング調査(同期間)を受け、クロ決定となった。今後すくなくとも1年間、カラーテレビの輸入に際して徴収される推定反ダンピング関税の率を計算する。

対米輸出価格=$600÷@−$100=$A

本国価格=$650−$B−$50=$C

これは総原価を下まわるから無視して、

構成価額= $Dx(1+0.10)x(1+E)=$F

1台あたりダンピング・マージン=$G−$H=$I

反ダンピング関税率=$J÷$500=K %

A100 B38.8 C500 D594 E0.08 F50 G400 H200 I20 J194 K1.2 L150 M0.8 N25.4 O118

解答欄 @ A B C D E F G H I J K

     _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ 

3.2. 相殺関税:
 相殺関税措置は、輸出国政府の補助金による安値輸入に対して、その補助金分を関税として徴収し、補助金効果を相殺しようという制度である。日本のハイテク関連では、1970年、米国ゼニス社が日本製テレビの物品税輸出免税が輸出補助金にあたるとして、相殺関税法にもとづく提訴をおこない、1976年財務省(いまは商務省)でシロ、関税裁判所(いまはCIT)で逆転クロ、関税特許控訴裁(いまはCAFC)で再逆転シロ、1983年最高裁がこれを支持して一件落着という事件があった。これを除くと、従来の措置対象は素材・鉄鋼のような成熟技術品分野が大部分であった。しかるに、2003年8月、商務省が、経営危機に際して政府保証の特恵融資を受けた韓国ハイニクス社製半導体メモリーに対して44.7%の相殺関税徴収命令を発し(12.3)(韓国要求でWTOパネル設置)、2004年、日本でも同様の提訴が行なわれたことで、ハイテク貿易の規制手法として、相殺関税の存在感が高まってきた。

3.2.1. 相殺対象補助金:
 調査対象の輸入品に関して、外国政府または公的機関から特定の企業や業界の利益のために与えられた補助金(直接間接の財政的寄与)。当該物品の原材料(インプット)に与えられたもの(上流補助金)を含むが、一定の農業・研究・地域救済・環境目的のものを除く。補助金はダンピングをともなうことが多いため、反ダンピング関税措置と併課されることがある。

3.2.2. 計算:
 商務省は、補助金のタイプごとに、調査対象期間(POI)に割り振られる補助金の額を決定(1回限りか継続的かによる)、それを輸入金額で除して補助金率を得る。

 

4. 米国1930年関税法337条:
 1930年関税法337条は、米国への物品輸入においてなされる不公正行為に対して、合衆国国際貿易委員会(ITC)が、輸入排除や販売停止などの救済措置をとる制度である。

4.1. 不公正行為:
 「不公正行為」の定義はないが、結果的には米国知的財産権侵害が圧倒的である。

4.2. ITC:
 ITCは独立委員会で、委員6名(大統領が任命−任期9年、同一政党からは3名以下)からなる(12.5)。経済局のダンピング被害認定(めったにシロにならなかったが、最近すこし変わってきている)と違って、行政法判事(ALJ)が第1審決(Initial Determination)をおこなう337条独特の準司法手続きはかなり信頼性がある。

4.3. 調査手続き:
 調査開始は提訴または職権による。調査期間は、旧法では最終救済措置まで12か月(複雑案件で18か月)という期限があったが、1988年のGATTアクゾ事件裁定(13)の結果、1994年ウルグアイ・ラウンド協定法で撤廃、「可能なかぎり迅速に」と変わった。暫定救済措置まで90日(複雑案件で150日)は旧法と変わっていない。ALJによる証拠調べは、民訴と同様、証言録取、書面審訊、文書提出・自白要求、召喚などがあり、提訴人と被提訴人との間の対質構造である(公益の代表者としてITC検察官も参加する)。

4.4. 救済措置:
4.4.1. 排除(exclusion)命令:

 対物(in rem)措置。旧法では一般排除命令(輸入者を問わず、一定の産品をすべて通関停止)が原則だったが、1994年ウルグアイ・ラウンド協定法で、限定排除命令(輸入者を特定)が原則になった。

4.4.2. 停止(cease and desist)命令:

 対人(in personam)措置。たとえば流通業者に対する物品移動停止命令。ただ、これは、いったん通関した物品に対しては効果が薄い。

4.4.3. 措置:

 調査中の暫定措置(ALJの心証で裁量的−−ボンド通関可)と、調査後の最終措置(優越証拠で義務的−−排除・停止命令)とがある。

4.5. 拒否権:
1) ITC(公共福利、競争状態、消費者に対する影響を考慮)によるものと、2)大統領(ITC決定60日以内に、政策的理由で)によるものとがあり、いままでで事例(十数件)を見ると適切に発動されているようである。

4.6. 控訴:
連邦巡回控訴裁判所(CAFC)。

4.7. 統計:
 資料3は、ウルグアイ・ラウンド協定法発効後現在まで(1995年-2005年5月)の事件を一覧表にしたものである。

 関税法337条調査の開始件数は1995年以前から年10数件ととあまり変わらなかったが、00年、01年、02年、03年は15-18件に漸増、04年に25件に急増、05年も半年で13件と、米国通商政策の知的財産権傾斜がはっきりしてきた。

 不公正行為としては、特許侵害が大部分だが、商標、不正競業もある。プログラム著作権はほとんどない(贋物や海賊版に対しては関税規則133条のほうが好んで使われている)。

 特許ケースの国別開始件数は、EU 34、台湾30、日本23、中国18、韓国10、他アジア20、他23(重複あり)と、とくに日本がターゲットになっているわけではない(対日は年2-3件)。EUが台湾と並んで多い。04年中国が急増。ハイテク、ローテク半々(分類には主観がはいる)。

 調査結果は、02年末までで、和解(同意命令ふくむ)55、クロ24、シロ32と、1995年以前よりシロの率が増え、和解が減っている。被提訴人側が戦いに慣れてきたのであろう(14)。

 また少数ながら、外国人(日、韓が大部分)が提訴人になったり、米国人が被提訴人になるケースがある。わずかな商標権事件では並行輸入ケースが目立つ(米国では1988年K-Mart事件最高判で真正品の並行輸入を商標権で阻止できる−−後述)。
 

補論 税関規則133条:
米国には、もうひとつの水際法がある。というより、こちらのほうが本来の水際法で、行政府の一部である税関の判断によって、知的財産権侵害(の疑いのある)製品を税関で止めてしまうのである。同様の制度は各国にもあり(日本では関税定率法21条)、その濫用が懸念される。

補1. 通則:
 米国連邦規則財務省税関編(「税関規則」)133条は、ひとことでいえば、米国の商標・商号権者や著作権者が、自分の商標・商号や著作権を税関に記録(recordation)しておくことによって、侵害品がはいってきたとき、それを留置(detention)・差押さえ(seizure) ・没収(forfeiture)してもらうという制度である。

 これの授権法は、商標と商号についてはランハム法42条、著作権については著作権法602/603条である。商標に関しては関税法526条にも特則がある。

 留置処分をうけた輸入業者としては、処分通知の発信から30日以内に関税庁長官に請願できるが、決定までは国際貿易裁判(CIT)への提訴ができないので、法律による救済をうけるまで、最低30日は通関できない。

 商標と著作権の場合は権利者、商号の場合は商号所有者(以上「権利者」と総称)が記録申請権者である。商標・商号の場合は、規則所定の申請様式から判断して、ライセンシーは不可。著作権の場合は、排他的ライセンシーまでは記録申請できる。

 記録申請には、商標と著作権は登録、商号は6か月以上使用が条件である。

 手数料は1件190ドルなので、1件百万ドル以上かかる関税法337条より、こちらのほうがはるかに簡便である。

 337条とちがって正確な統計はないが、現在、商標・著作権で7000〜8000件が記録されている。

 記録は首都関税局から7地区40税関へ配布される。記録は公開されている。処分のデータベースが不徹底なため、おなじ物品で何度もやられることがある。通過品も対象になる。輸入業者からいえば、留置された場合、できるだけ早く通知してもらわなければ困るのだが、これが、商標・商号では通知後に留置、著作権では留置後に通知されることになっている。いずれにおいても、「通知後30日以内」に輸入業者からなんらかのアクションが要求されている。この世界では、すばやく行動しないとすぐ敗者になる。

 商標・商号と著作権では授権法がちがうせいもあって、手続きも大きくちがう。おおざっぱにいって、著作権のほうが権利者側にボンドを積む義務があるだけ、輸入者にとってまだしもフェアといえようか。しかし、主としてブランドやキャラクター商品程度を対象とする商標・商号とちがって、著作権ではコンピューター・プログラムが対象になるので、情報化時代の国際通商という点から貿易歪曲効果が大きい。

補2. 商標権と商号:
 商標・商号を根拠とする留置対象物品は、1) 「贋物」および「記録と類似の商標・商号を付した物品(「類似商標品」)」と、(2)「記録と同一の商標・商号を付した物品」(「真正商標品」)である。2) の類似商標品は、贋物かどうか、類似かどうかという事実認定上の問題はあるとしても、まあ消費者保護のためにしかたのないところだろう。

問題は2) の真正商標品である。商標や商号はそれぞれの国によって独立だから、米国と同一の商標・商号が外国で真正に成立している可能性がある(事実どっちが先かわからない)。規則の文言だけからみると、これらの真正な商標・商号を持った輸入品が、すべて米国税関で留置されてしまいそうである。

 もちろん、次の例外がある。

 1.同一所有者:内外商標が同一(親子)会社によって所有されている場合。

 2.権利者輸入:記録者(または記録者の書面による同意が税関に通知されている輸入者)によって輸入される場合。

 しかし、この例外は狭すぎて、そのような真正外国商標・商号品の輸入が、米国権利者と親子関係でもなく、また米国権利者以外の独立の業者によって輸入される場合(いわゆる並行輸入−−米国では価値判断をこめて「グレイ・マーケット」と呼ぶ)をカバーしていない。

 実は、1988年までは、例外がもうひとつあった。「3.並行輸入:外国製品が、米国権利者の許可のもとに、同商標・商号を付している場合」というものである。これを拡大解釈すればかなりの並行輸入が可能だった。しかし、この例外は、Kマート事件最高裁判決によって関税法526条違反とされ、削除されたため、いまの米国では、独立の輸入者による真正外国商標・商号品の並行輸入が不可能である。

 Kマート事件(K Mart Corp. v. Cartier, Inc., 485 US 176 (1988)) :関税法526条は、大要、「米国人の所有する商標を付したすべての外国産品は、同米国人の許可がないかぎり、輸入を禁ずる」と規定する。上の例外3では、たとえば販売地域をフランスに限定して商標使用を許可した場合でも、そのような製品がフランスから米国へ流入することを止められなかった。関税法526条ならそれを止めることができる。1988年、米国連邦最高裁は、例外3を法律違反として無効宣言をお こなった。

補3. 著作権:
 留置対象物品は「税関が米国著作権侵害と信ずべき理由ある物品」である。処分はつぎのようなものである。

 1.留置後輸入者に通知。通知受領後30日以内に、輸入者が否認書を提出しないかぎり差押さえ・没収をうける。

 2.輸入者が否認書を提出すると、そのことが権利者に通知される。こんどは権利者の番で、権利者が、通知受領後30日以内に、排除要求書および税関所定のボンド(通常インボイス価格の1.2倍)を供託しないかぎり、留置が解除される。

 3.権利者が排除要求書を提出した場合、税関はそれを輸入者・権利者双方に通知する。30日以内に両者が証拠を補強すれば、事件は首都関税局へ送致される。

 4.首都関税局でクロとなれば、差押さえ・没収をうける。シロならば、留置が解除され、ボンドが輸入者に引渡される。

 結果的には、最短60日、長い場合は数か月留置できることになる。

 BIOS(「バイオス」)事件:BIOSとは、パソコンの基本ソフトのうち、入出力コントロール・プログラムだけをROM化したものである。1987年、松下製PCが シアトル港で留置された。IBMがBIOSの著作権を記録していたのである。税関の検査ではIBM PC/ATのBIOSと32%が類似している由である。松下は輸出を中止したらしい。新聞種にならないだけで、同様のケースで多数の日系輸入業者が被害をうけている。いずれの場合もコピー品とはちがい、すべて独自開発品である。記録されたプログラムとの類似度30%以下は通関、30-80%は 留置、80%以上は差押さえという噂がある。これがほんとうだとすると、この侵害認定は、著作権法の観点からはきわめて疑問である。たとえば、1Kステップ程度のモジュールでは、機能を同一にしたら類似度はほとんど30%以上になる。この事件の本質は、アジア製PCに対する国内産業保護だったのであろう(1986年 半導体協定違反理由のPC100%報復関税もおなじじ狙いだった)。

 著作権ベースの並行輸入制限については授権法の著作権法602条とその判例をみなければならない。米国著作権法第602条(a):「外国で取得された複製物を、著作権者の承諾なく輸入する行為は、第106条に定める複製物の譲渡権を侵害する」。第106条は第109条(a)にしたがう。第109条(a):「・・・本法のもとで適法に作成された(lawfully made under this title)複製物の所有者は、著作権者の承諾なしに、同複製物を売却およびその他処分することができる」。

 ランツァ事件(Quality King Distributors, Inc. v. L'Anza Research International, Inc., 118 S. Ct. 1125 (Mar. 9, 1998)): ランツァはカリフォルニア州のヘア・ケア製品メーカーで、米国内では、特定テリトリー内のランツァ・ショップにだけ卸す排他的特約店を使い、集中的な宣伝と販売員訓練によって高値を維持していた。外国ではそんな差別販売をしていないので、価格は米国より安い。製品ラベルはランツァの著作物とされている。ランツァの英国代理店がランツァ製品をマルタ経由クオリティ・キング(QK)に販売、QKはこれを米国内のランツァ・ショップ外で安値販売した。ランツァはQKを著作権法第602条等違反で提訴、地裁はQKのfirst sale(第109条(a))抗弁を却下して略式判決を言い渡し、巡回裁がこれを容認したが、スティーブンズ(Stevens)判事が起草した最高裁判決は、ここでいう「所有者」が外国人であってもかまわないから、第109条(a)は輸入された複製物にも適用があると判断して下級裁の判決を覆した。

 判決は妥当なものだが、判決とは論理的な関係のない傍論(dicta−−後審を拘束しない)は、「first sale doctrineの保護は「所有者」に与えられるものであって、受寄者、ライセンシー、受託者・・には及ばない」とか、「外国法のもとで適法に作成された複製物には及ばない」と言い(IV)、また、ギンズバーグ(Ginsburg)判事の賛成意見は、著作権法の領土的性格を理由に、「本法のもとで適法に作成された複製物」と「米国で作成された複製物」とを同義に解釈する学説を引用するなど、判決そのものの自由貿易志向を謙抑的に限界づけようとする努力の痕跡がみられ、並行輸入問題を取り巻くはげしい利害対立を前にした司法部の苦衷が推察される。

 ランツァ判決は日本にとっても他人事ではない。ランツァ判決は日本最高裁のBBS判決(14.3)のように「消尽」の擬制にとらわれていないのだ。「消尽」の擬制を突き詰めるなら、本件逆流品はマルタ原産品となにも変わらず、輸入時に米国著作権の洗礼を受けたはずだ。日本のBBS判決は、知的財産権が一度消尽しても、その品物が国境を越えれば、そこで「別個の」知的財産権が出迎えるとして、「消尽」という擬制を真に受けている(幼児的な比喩にとらわれている)。日本の消尽論は逆流ケースでもう一度試練を受けることになるだろう。

 

5.米国1974年通商法201条(セーフガード)(14.5):
 基本的性格:米国通商法中で唯一「不公正」の要素がない(生活保護的性格)。

 要件:ある産品が、米国の競合業界に重大な損害またはそのおそれの実質的な原因になるほどの量で輸入されていること。

 救済:積極的調整と輸入救済。緊急の場合は予備的救済あり。

 調査・勧告:ITCが職権または提訴で調査、120日(複雑案件では150日)以内に、調査結果と救済措置を大統領に勧告。大統領が決定。

 事例:GATTではセーフガード事件が150件弱あるが、ほとんどが衣料(1974年多角的繊維協定MFA以前)と農産品。米国201条事件もきわめてすくない(1年に2-3件。1974年から始まって最近の鉄鋼セーフガード事件が73件目)。

 1977年日本製カラーテレビ事件では、関税引き上げの勧告を大統領が拒否しつつ二国間交渉、OMA(「秩序あるマーケティング」協定)で総量制限となった(これによって日本TVメ ーカーの対米逃避に拍車がかかった)。

 1984年ハーレィ・ディビッドソン事件では、日本からの輸入関税アップ(欧州製は据置きだったのでGATT違反濃厚だったが日本は争わず)で、国内産業が2年で立ちなおり、成功例といわれる。

 今後MFA廃止、ダンピング衰退にともない、ふたたびクロースアップされている可能性がある。現に、1985-94の10年間にわたって0件だったセーフガードが、WTO後の1995-2000年の6年間では7件、件数的には半分以上が農業水産案件だが、金額的には、米国業界と労組の提訴にもとづく鉄鋼案件の突出が目立つ。

 1998年12月提訴の鉄鋼線材事件では、3対3の引分けにもかかわらず、大統領が3年間にわたる関税割当を決定。1999年6月提訴の溶接ラインパイプ事件では、5対1で損害(のおそれ)を認定、クリントン大統領が3年間にわたる関税割当を決定。いずれもパネル提訴されている。

 2001年6月、こんどはブッシュ大統領の鉄鋼イニシアティヴにもとづくUSTRの請求によって、ITCは、一定の鉄鋼平・長・管材に関する201条調査を開始、2001年12月、16品目、最大20%、4年間のセーフガードを勧告、これを受けて、2002年3月、ブッシュ大統領は、14品目、最大30%、3年間のセーフガードを発動を決定した(最長2005年までの時限措置)。日欧が報復通告(延期)しつつWTO提訴、米が国内政治情勢を片目でにらみながらすこしずつ適用品目緩和というきわどい駆け引きがおこなわれた(2002年は中間選挙、2004年は大統領選挙)。鉄鋼問題では、201条と同時に多品目にわたる反ダンピング調査が進行中だが、2002年8月日本製ステンレス製シームレス鋼管と冷延鋼板いずれもITCが被害なしの決定を出したことも、米国の鉄鋼問題が国内政治の微妙なバランス操作にかかっていることを示している。2003年7月、パネルはこの措置をWTO協定違反と決定、11月上級委員会がこれを支持したが、米国が措置を撤廃しないため、日欧がセーフガード協定8条にもとづくバランス措置を通告、12月、米国はついに措置を撤廃した。

 

6. 21世紀型通商問題にむけての試論:
6.1. 米国人の国際通商感覚(15):
6.1.1. 闘争と抑止の思想:

 以上米国の主要通商法規についてこまごまと分析してきた(15.5)が、その過程で執拗にくり返し出現してきた要素は、1) 国際通商に対する米国人の認識が「闘争」(conflict)であり、2) そこでの米国の基本戦略が「抑止」(deterrence)であることの2つである。米国人――とくに現在のビジネス・リーダーの世代――にとって、国際通商はwin-win(co-operation)ゲームではなくzero-sum(conflict)ゲームであり、ゲームの戦略は、利益誘導ではなく、脅し(deterrence)である。この感覚は、米国が40年にわたってソ連との間に続けてきた核抑止ゲームに勝ちぬいてきたことで、国民的な自信にまで高まっている(ヴェトナム無戦派の若者は別かもしれないな――後述)。日本がWTO協定上合法と考えている「ルール志向型」農業セーフガードに対して、中国が「力の論理」による通商報復で応えてきたことは、中国が冷戦の子であることと、日本が冷戦からなにも学ばなかったことを如実に示している。2005年春、首相靖国参拝問題での中国官民一体の威嚇とそれに対する日本官民の周章狼狽も好例である。

6.1.2. 覇権のあとに: 

 米国が60年代まで現実に持っていた国際通商覇権(hegemony)はすでに存在しない。米国が、ほんらい通商上の核兵器であった通商法301条を、一方的にではなく、いまやほとんどWTOの紛争解決機関を通して使っていることがそれを示している。国際通商はいやおうなく多極化への道を進んでおり、闘争は、バイラテラル(2国間)ではなく、マルチラテラル(多角的)な闘技場であるWTOにおいて戦われることになる。

6.1.3. 謀略とプロパガンダ:

 WTOでは、スーパー301条のような1発必殺の究極兵器はもう使えない。それに代わって、301条の脅し、反ダンピング調査を多発する嫌がらせ、知的財産権の美名に隠れた市場独占、半導体事件のような謀略、バリヤー・リポートのようなプロパガンダ、そして国際フォーラムにおけるデベーティング能力の発揮などを多様に組みあわせた戦略が使われる。タレーラン、メッテルニッヒ時代の再来である。

6.2. さしあたっての争点予想:
6.2.1. 一方的措置のWTO閉じこめ:

 世界が主権国家系である以上、米国通商法301条の本質は変わらないが、現実には、301条は、すでに、かつてのような保護主義(1984年以前)ないし帝国主義(1985-1994)の道具から、WTO紛争解決システムに対応した国内執行法制に変貌しつつある(現実主義から機能主義へ)(16)。ECホルモン牛肉、バナナ両件についても、米国は、301条措置発動に先立って、丁重すぎるほどにWTO裁定を求めている。こ の上は、米国が逆戻りしないよう、途上国がまねないよう、WTO・DSUの拘束性強化とともに、WTOパネルと上級委員会の質量上の強化をはかる方向が正しいだろう。

6.2.2. 知的財産権の押さえこみ:

 贋物と海賊版が国際通商を歪曲することはあきらかで、これについては議論の余地がない。この世界では関税法337条と税関規則133条がうまく機能している。だが、それに便乗して、ほんらい人類の文化遺産に属する思想や表現の私的囲いこみを策し、超過利潤の永久化をねらう既成インタレストが、ウルグアイ・ラウンドTRIPS協定と後続のWIPO著作(隣接)権条約を動かして、ソフトウエア/ビジネス・モデル/ゲノム特許を実現し、また著作物の公正使用領域を縮小して、技術貿易収支における米国の一人勝ちを現出させた(グラフ2)。

 技術貿易収支における米国の覇権は圧倒的なもので、年成長率をみても、過去30年平均では年3%だが、ヤング報告書の1985年を境に、それまでの年2%を、それ以後の年4%へといきなり倍増させている。ほかの先進国は(日本もふくめて)低空飛行を続けているので、米国の巨大な黒字を払っているのは実質的には途上国である。まことに、知的財産権の過保護こそ米国問題であり、これによってもたらされる世界貿易の歪曲ははかりしれない。

 2001年5月、日本の研究者2名(うち1名は準国立の理化学研究所所員)が、米国クリーヴランド・クリニック財団から、アルツハイマー病遺伝子に関係するDNA資料などを違法に持ち出したとして、経済スパイ法(1996年制定)違反などで起訴された。2002年6月、こんどはハーバード大の日本人(女性)研究者がやはり同様の容疑で逮捕された(こちらの場合は、売り込みを受けた日本の製薬メーカーが捜査に協力したらしい)。古い話では、1982年、日立と三菱電機の技術者数名が、FBIがIBMの協力を得てセットアップしたおとり会社に誘い込まれ、IBMのトレード・シークレット(メインフレームOSのソースコード)を持ち出そうとして起訴され(当時は経済スパイ法がないので、連邦刑法の「盗品移送共謀罪」容疑)、司法取引に応じた(有罪の答弁をするかわりに罰を軽くしてもらった)事件がある。2001年6月、ロシアのソフト技術者が、はじめてのDMCA(デジタル・ミレニアム著作権法)刑事規定違反で逮捕された(技術者は司法取引きで釈放、会社も犯意なしの陪審評決で無罪)。いずれの場合も外国人にまず発動されており、これらの事件が通商問題であることは明らかである。またいずれの場合も、容疑者には罪の意識がまったくなく、研究者間の自由な情報交換こそが科学の進歩の原動力なのだという古典的なモラルにもとづいて行動していたとみられる。情報がいま私益のために囲い込まれつつあり、これによる科学の全般的退行現象の波頭を、彼ら/彼女らがかぶっている。

 20世紀においては、発明・創作促進のための美しい知的財産権とみえたものが、21世紀においては、情報革命を内部から食い尽くす獅子身中の虫と化している。これに対抗できる唯一の法が独占禁止法である(17)。

6.2.3. 反ダンピング経済学の論破と行政コストのブレーキ:

 前述したように、関税法337条調査の開始件数は年10数件と以前とあまり変わらない。件数では80年代中期3−40件代というピークがあったが、のち鎮静化していた。調査開始がUSTRの裁量である通商法301条と違って、関税法337条では、提訴が形式要件を満たしていれば調査開始は義務的だが、現実にはITCの処理能力で制限される。それとは対照的に、反ダンピング調査(商務省国際貿易管理局)の肥大化は顕著である。facts otherwise available(立証責任の転換)でコスト意識がなくなった行政と、それに寄生する法律・経済ビジネスのモラル・ハザードである。反ダンピング制度に対する攻撃は、こまごました計算方法にではなくて、その本質に向けられるべきである。もともとGATT6条が予定していたのは、道徳的に責められるべき略奪型のダンピング(1916年法)であって、その適用にはdue process of lawが適用され、軽々に有罪判決はとれない。16年法はもともとあまり大きな脅威ではなかった(18)。反ダンピング措置に対する攻撃は、行政によるfacts otherwise availableのdue process違反性に向けられるべきである。

6.3. もっと大きい波――情報革命、マクロ経済、環境、反グローバリズム、リージョナリズム、アナーキズム:
 世界が主権国家系であるあいだ、通商問題はなくならない。しかし、以上述べてきた米国通商4法のうち、米国政府が輸入業者をたたく関税法系の反ダンピング制度と337条は、輸入品多国籍の21世紀超グローバライゼーション時代を生きのびられないだろう。政府対政府の通商法系でも、議会のローカル・インタレストに振りまわされやすいスーパーおよびスペシャル301条の余命はもう長くないだろう。国権の発動そのものであるレギュラー301条は残るが、「回転木馬」条項にみられるように、国内での調整がますます悩ましくなるだろう。生活保護の201条は資本主義とともに生き残るだろう。

 この意味で、本稿の記述は後向き(retrospective)で、20世紀通商問題の決算記録(データ・ベース)という性格であった。ここで、視線を近未来に向けてみよう。21世紀初頭、世界通商には大きい波が押し寄せている。

 まず、情報革命の進行である。情報革命の主要な産品は著作物の形態をとる。ハードウエア市場を卒業した米国は、著作物市場の制覇をめざして、著作権の独占力を強化するため、1996年、WIPO(世界知的所有権機関)に著作権・隣接権条約を採択させ、それに対応して1988年デジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)を制定、インターネット空間での個人の著作権侵害について、一定の責任をインターネット・サービス・プロバイダーに負わせ、著作権管理システムの回避支援を違法化した。米国通商当局は、本国では批判も多く、要件も厳しすぎて、脅し以外に使い物になるかどうかわからないDCMAを日本でも立法するよう強く働きかけてきており(2001年通商障壁報告書、スーパー301条、日米新経済協議)、日米通商摩擦が、ダンピングや関税法337などよりも深い地層に移行しつつあることを示唆している。

 また、20世紀的通商法の世界でも、世界中から逆オークションで部品を調達し、マレーシアで組み立てている(SCM=Supply Chain Management)米国資本Dell製品の原産国や正常価額をどうやって決めるのだろうか。インターネット上を流れる情報商品(プログラム、音楽、映像、文芸)やサービスを税関でどうやってチェックするのだろうか。こんにちの国際通商問題は、すでに、片々たる輸入品の関税問題ではなく、通信インフラ市場の覇権争奪に比重を移している。

 つぎに、ウルグアイ・ラウンド後の米国通商政策は、それまでの個別セクター対応から、マクロ経済政策へと大きく転換している。ライバルの日本を低金利におさえつつ米国の株式市場を準バブルに保つことによる資本収支の大黒字と、いわゆるプロパテント政策による技術貿易収支の大黒字(商品貿易収支の大赤字はこれらの反作用)が、米国の情報革命に資金を供給しつづけている。

 GATTがさんざん手を焼いた農業問題は、あらたに反グローバリズムや環境問題と野合して21世紀の宿題として持ち越されている。ECホルモン牛肉・バナナ事件で、米国がめったに使わなかった301条措置をあえて使っているところに、この問題の深刻さがある。

 先進工業国が対テロ問題で手詰まりに陥っているあいだに途上国の発言力が強まり、WTOが国連総会化してしまったのをみた米国は、従来のマルチ路線からバイ・リージョナル路線へと大転換しつつある。数年前まで米国が結んだFTAは、NAFTA(北米自由貿易協定)を除けば、イスラエル、ヨルダンという政治的動機のものが主だったが、2005年1月現在ではシンガポール、オーストラリア、チリが加わり、さらに数国と交渉中である。「悪貨は良貨を駆逐する」/「囚人のジレンマ」で、スパゲッティ・ボール効果(パグワティ)や2004年で全廃したはずのMFA(多角的繊維協定−−2004年末で全廃)の再来が分かっていながら、日本を含めみんながなだれを打って米国のまねをしている。グローバルな自由貿易体制は、19世紀後半Pax Britannicaのもとでの短命な第1回に引き続き、それでもPax Americanaのもとで半世紀続いた第2回が、やはりそろそろ幕引きなのか、それとも自給自足ではやっていけない唯一のスーパー・パワー日本にこれを立て直す責任があるのか、日本のビジョンが問われるところである。

 さいごに、1999年WTOシアトル閣僚会議を挫折させたアナーキズムを軽視してはならない。たとえば、情報革命と結びついた音楽の無料交換サイト問題(Napster/Gnutella)は、いまの若者がまっすぐアナーキズムに向かって走っていることの1つの徴候である。20世紀の国際通商感覚では、この問題を理解することはできない。

 

グラフ1:AD Inv. Initiated 1980-1988 by Countries of Origin: GATT AD Comm. Semi-Annu. Rep., 1990.10.5.
US
EC

Japan
47□□□□□□□□□□□□□□□□
29□□□□□□□□□□

Korea
22□□□□□□□
12□□□□
   
Taiwan
12□□□□
    00
   
China
16□□□□□
    00
   
Singapore
04□
    02□
   
Hong Kong
02□
    04□
   
Thailand
03□
    00
   
India
03□
Asia
119
00
Asia
047

Germany
26□□□□□□□□□
00
   
Italy
19□□□□□□
    00
   
France
15□□□□□
    00
   
UK
10□□□
    00
   
Spain
10□□□
    14□□□□□

Belgium
06□□
    00
   
Sweden
04□
    06□□
   
Netherlands
03□
    00
   
Switzerland
03□
    01□
   
Portugal
02□
    00
   
Ireland
02□
    00
   
Greece
02□
EC/EFTA
102
00
EC/EFTA
021

US
00
    19□□□□□□
   
Canada
24□□□□□□□□
    06□□□
   
Brazil
21□□□□□□□
    14□□□□□
   
Venezuela
09□□□
    00
   
Mexico
07□□
    04□□
   
Argentina
05□□
    00
   
Columbia
03□
Pan America
071
00
Pan America
043

Poland
06□□
    15□□□□□
   
Romania
06□□
    15□□□□□
   
Yugoslavia
04□
    26□□□□□□□□□
   
Czechoslovakia
01
    27□□□□□□□□□
   
Hungary
03□
    16□□□□□
   
USSR
02□
Non Market
021
00
Non Market
103

Australia
03□
    01□
   
New Zealand
02□
Oceania
005
00
Oceania
001

Others
24□□□□□□□□
Others
024
09□□□
Others
009

Total
341
Total
341
224
Total
224

グラフ1.2: 米国AD調査年別件数<http://ia.ita.doc.gov/stats/iastats1.htm>から作表 

グラフ1.3:米国CVD調査年別件数<http://ia.ita.doc.gov/stats/iastats1.htm>から作表

グラフ2:技術貿易収支
出典:科学技術白書

技術貿易収支/名目GDP

                    

資料1 301条事件一覧: 1975.7.1〜2001.4.17
出典:http://www.ustr.gov/reports/301report/act301.htm

国名/問題:提訴日/提訴人/内容/処分または現況

グアテマラ貨物差別: 75.7.1.提訴、提訴取下げ、76.6.29.調査終結。

カナダ鶏卵割当て:75.7.21.提訴、割当て倍増、76.3.14.調査終結。

EC鶏卵輸入課徴金: 75.8.7.提訴、課徴金を関税に代置、80.7.21.調査終結。

EC缶詰果物最低輸入価格制:75.9.22.提訴、GATT提訴、EC妥協、79.1.5.調査終結。

ECモルト補助金:75.11.13.提訴、補助金減額により80.6.19.調査終結。

EC小麦粉補助金:75.12.1.提訴、GATTパネル報告を現ラウンドで交渉中。

EC缶詰果物添加砂糖可変課徴金:76.3.30.提訴、79.7.11.合意、80.6.18.調査終結。

EC家畜飼料混合条件:76.3.30.提訴、GATT提訴、EC条件撤廃、 79.1.5.調査終結。

中国家電関税:76.3.15.提訴、中国関税引き下げ、77.12.1.調査終結。

EC日本鉄鋼ディバージョン:76.10.6.提訴、根拠なしで78.1.30.調査終結。

EC柑橘関税差別: 76.11.12.提訴、政府間協議不調、82.11.2.GATTパネル設置、EC裁定ブロック、85.6.20.大統領クロ決定、米国対ECパスタ報復関税、EC対米柑橘逆報復関税、86.8.10.協定成立、 88.包括通商法で決着。

ブラジル・韓国・中国対日絹協定:77.2.14.提訴、GATT提訴、日本妥協、調査終結。

日本皮革:77.8.4.提訴、合意履行不満でパネル設置、84.2.クロ裁定、85.9.大統領報復指示、85.12.日本関税補償引下げ、米国関税引上げで決着。

ソ連海上保険:77.11.10.提訴、 78.6.クロ決定、米ソ協定待ちで79.7.12.調査停止。

カナダ国境放送:78.8.29.提訴、 84.10.30.対抗立法(1984通商関税法)。

EC小麦粉:78.11.2.提訴、政府間監視合意、80.8.1.調査終結。

アルゼンチン海上保険:79.5.25.提訴、マルチ移行約束、80.7.25.調査終結。

日本葉巻・パイプたばこ:79.3.14.提訴、GATTパネルで妥協、81.1.6.調査終結。

韓国保険業:79.11.5.提訴、妥協・提訴取下げ、80.12.29.調査終結。

スイス眼鏡フレーム:79.12.6.提訴、提訴取下げ、80.12.11.調査終結。

EC砂糖補助金:81.8.20.Great Western Sugar Co.提訴、81.10.5.調査開始、87.7.29.再提訴あるも通商代表拒否、UR移行。

EC鶏肉補助金:81.9.17. National Broiler Council提訴、81.10.28.調査開始、83.11.18.補助金コード委員会調停、GATTラウンド移行。

アルゼンチン生皮協定:81.10.9.National Tanners Council提訴、81.11.24.調査開始、82.10.29.関税引上げ、82.11.16.提訴取下げ、調査終結。

ECパスタ補助金:81.10.16. National Pasta Association提訴、81.11.30.調査開始、82.3.1補助金コード委員会調停付託、82.7.12.パネル設置、83.1.20.パネル事実のみ報告。85/86.ECの柑橘関税に対抗してパスタ関税引上げ、EC逆報復(後出)。86.8.10.協定成立(関税相互引き下げ)、87.9.30.大統領布告(パスタ輸入にUSTR認証必要)。

EC缶詰果物補助金:81.10.23. California Cling Peach Advisory Board他提訴、81.12.10.調査開始、EC作戦でGATTパネル遅延、大統領報復指令、EC合意。

伯墺仏伊英等特殊鋼補助金:82.6.23.Tool/Stainless Steel Committee提訴、82.2.26.以後逐次調査開始、大統領通商法 201条に切替え、関税引上げ・割当。

カナダ・ローダ関税戻し:82.10.25. J.I.Case提訴、82.10.28.調査開始、GATT22協議。

日本・ブラジル・韓国・台湾革製履物輸入制限:82.10.25.Footwear Industries of America提訴、82.12.8.以後逐次調査開始、日本:GATTパネル・クロ裁定、大統領報復指示、85.12.合意成立(日:関税補償、米:関税引上げ)、他国はシロないし妥協。

韓国鋼索補助金・商標侵害:Committee of Domestic Steel Wire提訴、83.5.2.調査開始、83.12.15.提訴取下げにより調査終結。

スペイン・ポルトガル・ブラジル大豆油等補助金:83.4.16.National Soybean Processors Assn.提訴、83.5.23.以後逐次調査開始、政府間協議の後、GATT補助金協定協議。

台湾コメ輸出補助金:83.7.13./83.9.29. Rice Millers Assn.提訴、83.10.11.調査開始、政府間協議による妥協で提訴取下げ、84.3.22.調査終結。

アルゼンチン航空便差別:83.9.21.Air Courier Conference提訴、83.11.調査開始、政府間協議難航、1988.9.1.協定成立せるも履行状況不満、1989.5.25.再協定成立、監視中。 台湾フィルム対外差別:83.12.19.Motion Picture Exporters Assn.提訴、84.1.30.調査開始、84.4.26.提訴取下げにより調査終結。

欧州衛星打上げサービス補助政策:84.5.25.Transpace Carriers提訴、欧州宇宙機構(ESA)アリアン打上げ補助政策、84.7.9.調査開始、協議によりシロ決定、調査終結。

EC3過燐酸塩水溶性標準:84.8.14.Fertilizer Institute提訴、GATT標準協定違反、8410.1.調査開始、政府間協議。

日本半導体協定:85.6.14.Semiconductor Industry Assn.提訴、市場アクセス障壁・ダンピング、85.7.11.調査開始、政府間協議の後、86.7.31.協定成立(市場アクセス促進、ダンピング防止)、86.9.2.調査停止。87.4.17.協定不履行を理由に報復発動(タスキがけ関税引上げ)、87.6.16.後者満足により一部報復停止、前者報復は存置(米国シェア86/9.1%→89/11.2%)、91.8.1.協定更新。

ブラジル情報産業保護政策:同国は世界6位の市場。77.軍事政権による情報産業保存政策実施(技術独立育成のため、ミニ/マイクロ・コンピュータ製販を国内1000社に指名独占)。79.情報産業庁設立、汎用機も許可制。 85.の民政移行に備えて、84.10.29.Informatics法制定(挙国的支持)、保存政策を8年間延長(「米日情報帝国主義を懸念−独仏も同感」)。 IBM等ソフト著作権訴訟難航。85.9.16.職権開始、投資・輸入障壁・補助金・知的財産権保護(プログラム著作権)不十分、政府間協議の後、86.10.6.対GATT通告、86.12.30.輸入障壁につき、87.6.30.知的財産権につき改善評価して調査停止。しかし、後者不履行を理由に、87.11.13.報復発動(関税引上げ)、87.12.著作権法改正成立(プログラム25年−機能・標準による類似は合法)。88.2.29.コロル政権成立で報復延期しつつ実施状況監視、89.10.5.調査終結。

日本たばこ輸入障壁:85.9.16.職権開始、高関税、国家独占・流通障壁、86.2.3.政府間協議申入れ、質問書送付、86.3.21.回答書受領、86.10.3.協定成立(関税、物品税差別、差別的流通撤廃)、86.10.6.調査停止。

韓国保険業参入障壁:85.9.16.職権開始、政府間協議、86.7.21.障壁撤廃協定成立,868.14.調査終結。

韓国知的財産権:85.11.4.職権開始、物質特許・著作権:政府間協議、86.7.21.合意(米国人発明にのみ物質特許付与等)で調査終結、88.12.実施状況につき協議再開(「不断の圧力必要」)、TS保護未成立(日本型で立案中)。

アルゼンチン大豆製品補助政策:86.4.4.National Soybean Processors提訴、原料・製品輸出税差異:86.4.25.調査開始、政府間協議、87.5.14.合意により調査停止、88.7.29.補助政策復活を理由に協議再開。

EC拡大輸入障壁:86.3.31.職権開始、ポルトガル(油種、穀物数量制限)・スペイン(とうもろこし可変課徴金)のEC加盟に伴う輸入制限:86.5.15.対EC輸入割当て、86.7.2スペインにつき一部補償協定成立するも不満。86.12.30.EC農産品輸入に対する200%関税で威嚇、87.1.30.ECバインディング両国に適用合意、米国措置中断。90.11.15.職権再開、90.12.5.GATT24による譲許停止通告、90.12.21.協定成立により調査終結。

台湾自動車直接投資輸出性向条件:86.3.31.職権開始、通商関税法307条事件:政府間協議、1987夏までに現条件撤廃、新規無条件、投資増加無条件の合意、調査終結。

カナダ鮮魚輸出制限:86.4.1.Icicle Seafood等提訴、86.5.16.調査開始、88.2.1. GATTパネル・クロ裁定。カナダ矯正措置に米国不満、89.5.23. FTA協議開始。90.2.協定成立、90.6.調査終結。

台湾税関評価:86.8.1.職権開始、大統領台湾の関税計算制度協定違反でクロ決定、措置指令、86.8.11.交換公文で制度改正合意、88.10.1通商代表措置不実施指示。

台湾ビール・ワイン・たばこ流通差別:86.10.27.職権開始、大統領クロ決定通商代表に措置指令、86.12.5.台湾差別撤廃合意したため、措置なし。

カナダ軟質木材補助政策:86.12.30.職権開始、大統領クロ決定報復関税課徴、87.1.8カナダ15%輸出関税に合意、米国報復関税撤回(87.5.26必要立法)。

インド・アーモンド輸入障壁:California Almond Growers Exchange提訴、輸入許可制と高関税、87.2.20.調査開始、政府間協議不調、87.11.米国要求でGATTパネル設置、88.5協定成立、調査終結。

EC第三国畜肉指令:87.7.14. American Meat Institute等提訴、GATT3違反、87.7.22.調査開始、政府間協議不調、米国GATTパネル要求に対し、87.12.EC同意、障壁軽減中。92.10.16調査終結。

ブラジル薬品知的財産権:87.6.11.Pharmaceutical Manufacturers Assn.提訴、方法特許、薬品保護不存在、87.7.23.調査開始、88.2.29.政府間協議不調、88.7.21.クロ決定、88.10.20.タスキがけ100%関税。89.2.21.ブラジル提訴GATTパネル設置難航。90.6.26.協定(1991.3までに立法)により報復関税(医薬品100%=$40M)を撤廃、90.7.調査終結。

ECホルモン牛肉技術障壁:87.11.25.職権開始、ECホルモン畜肉指令に対し、大統領1億ドル関税引上げで威嚇、87.12.24.関税引上げ決定と同時に実施猶予、USTRに権限委譲、89.1.1.EC指令実施、100%報復関税、89.5.3.障壁緩和、89.12.報復緩和、残存障壁交渉中(91.12.まで措置猶予)、95.1.WTO-SPS協定に鑑み報復終了、97.8.パネル、98.1.上級委員会、2.DSB SPSクロ決定(99.5.までに改善勧告)、99.6.DSB仲裁付託米WTOに被害額決定要請(米202、EU53)、7.WTO仲裁団M$117に決定、報復関税徴収中。

EC油種関税補助金:87.12.16.Amerian Soy-bean Assn.提訴、ゼロ関税バインディング違反、88.1.5.調査開始、88.5.米国GATTパネル要求EC遅延作戦、89.6.GATTパネル設置、89.11.関税クロ裁定、EC受諾、90.1.31.調査終結(91.12.まで監視)、92.3. 補助金GATTクロ裁定、92.4.年B$1報復予告、92.6.報復予定品目官報告示、92.11.ブレアハウス合意。

韓国たばこ輸入障壁:88.1.22. US Cigarette Export Assn.提訴、88.2.16.調査開始、政府間協議、88.5.27.協定(市場解放、差別待遇撤廃)、88.5.31.調査終結。

韓国牛肉輸入許可制:88.2.16. American Meat Institute提訴、制限的輸入許可(GATT11):以前からGATT23-1協議中、88.3.28.調査開始、88.5.4.パネル設置、89.5.27.クロ裁定、90.4.協定成立(1997.7.までに撤廃)、米牛輸入前年5倍に上昇、90.4.調査終結。

日本オレンジ輸入割当等:88.5.6.Florida Citrus Mutual提訴、生果・果汁輸入割当(GATT11)・現地果汁混入(GATT3-4)、以前からGATT23-1協議中、88.5.4.パネル設置、88.5.25.調査開始、88.7.5.協定成立(90.4.1. 混入、91.4.1.生果、92.4.1.果汁自由化)88.7.5.提訴取下げ、調査終結。

韓国ワイン高関税:88.4.27.Wine Institute & American Vintners Assn.提訴、88.6.11.調査開始、88.10.政府間協議、89.1.18.協定成立、調査終結。

アルゼンチン薬品知的財産権等:88.8.10.Pharmaceutical Manufacturers Assn.提訴、物質特許拒否・差別的登録慣行、88.9.23.調査開始、 89.9.23.提訴取下げ。

日本建設関連サービス参入障壁:1988年包括通商競争力法1305条、政府官営企業の対米差別、88.11.21.調査開始、89.3.13.公聴会、90.5.MPA協定(14計画特定)成立。91.4.26.報復通告。

EC銅屑輸出制限:88.11.14. Copper & Brass Fabricators Council提訴、88.12.29.調査開始、 89.4.26.GATT 23-1協議、89.6.22.パネル請求、90.1.協定成立、90.2.調査終結。

EC電気通信障壁:1988年 包括通商競争力法1374(a)条、89.2..調査開始。

韓国電気通信障壁:1988年包括通商競争力法1374(a)条、89.2..調査開始。90.2.一部協定成立、市場開放本体はGATT待ちで調査中断。

日本電気通信障壁:1988年包括通商競争力法1377(a)(2)条、89.2. 調査開始、MOSS協定違反:90.7.31.IVANS/NCTE両協定成立、調査中断。

EC缶詰果物補助金:89.5.8.職権開始、EC補助金軽減協定不遵守、89.6.9.公聴会で、米国輸入関税報復引上げの是非を諮問、EC補助金引下げ。

タイたばこ輸入障壁:89.4.10. US Cigarette Export Assn.提訴、89.5.25.調査開始、89.12.22.GATT23-1 GATTパネル提訴、90.2.タイ敗訴。90.9.協定成立、90.11.調査終結。

ブラジル輸入許可制:89.6.16.職権開始、Super 301、90.3. 措置撤廃、90.5.調査終結。

日本衛星政府調達:89.6.16.職権開始、Super 301、90.4.3. R&D用以外の衛星全面開放協定成立、89.6.15.調査中断。

日本スーパーコンピューター政府調達:89.6.16.職権開始、Super 301、90.3.22.全面開放協定成立、90.6.15.調査中断。

日本木材技術障壁:89.6.16.職権開始、Super 301、90.4.25.開放協定成立、90.6.15.調査中断。

インド投資参入障壁:89.6.16.職権開始、Super 301、90.4.21.再特定、90.6.14.クロ決定するも、GATT待ちで措置猶予。

インド保険参入障壁:89.6.16.職権開始、Super 301、90.4.21.再特定、90.6.14.クロ決定するも、GATT待ちで措置猶予。

ノルウエー高速道路料金電子識別システム政府調達:89.7.11.Amtech提訴、89.8.25.調査開始、米GATT調達委員会付託予告。90.4.26.協定成立、調査終結。91.4.26.新通商法タイトル・特定。

カナダ・ビール輸入制限:90.5.15.Heileman提訴、FTA違反、1990.6.29.調査開始、GATT23-1協議。

タイ著作権:翻案権10年、ソフト明文なし。90.11.15.映画・レコード・ソフト業界提訴、90.12.21.調査開始、91.12. Special 301に合併。

EC第三国畜肉指令:90.11.28.National Pork Assn.提訴、91.1.10.調査開始。

中国(WTO加盟申請中)知的財産:79.二国間条約で保護強化約束。84.特許法制定(15年、医薬・化学不特許)。著作権不満、ソフト疑問、強制実施、公表制あり、商標不十分、TSなし(日本型で立案中)。91.4.26.職権開始、Special 301、レコード・ソフト、農薬・医薬品不特許、91.11.27.制裁決定、92.1.16.協定成立(ベルヌ加盟他)、調査終結。

インド知的財産:91.4.26.職権開始、Special 301 、出願から14年(方法7年)、医薬・化学・バイオ・生物・農業機械不特許、著作権あるも執行不十分、サービスマークなし、92.2.26.クロ決定、92.4.27.報復、GSP一部停止(M$60分)、93.4.30.継続指定。94.4.30.継続指定予告。94.6.30.指定撤回。

タイ知的財産:91.4.26.職権開始、Special 301、医薬・化学・農業機械不特許、強制実施、92.4.まで決定延期、92.4.27.継続指定、93.4.30.継続指定。93.5.6.USTR「著作権侵害防止について進展がある」として制裁発動延期。93.10.調査停止。

台湾(WTO加盟申請中)知的財産:92.4.27.職権開始、Special 301、録音著作権、商標権。93.7.1.までに矯正約束。

ブラジル知的財産:93.4.30.指定、Special 301、非特許製品広範、不使用強制実施、プログラム著作権保護25年・市場障壁。

中国知的財産:94.4.30.再指定予告、Special 301、94.6.30.再指定。

アルゼンチン知的財産:94.4.30.指定予告、Special 301、94.6.30.指定撤回。

日本自動車部品系列:94.10.1.職権開始、95.5.10.クロ決定、報復リスト公表、日本WTO22条協議請求、95.6.28.合意成立。

EUバナナ・レジーム:94.10.17.Chiquita提訴開始、95.9.27.調査終了WTO移行のため職権新調査開始、96.5.パネル設置、97.5.パネル・クロ決定、9.上級委員会、DSBクロ決定(99.1.までに改善勧告)、98.10.提訴予告、11.EUこれをDSU23条(一方的措置)違反として協議要請、12.USTR報復リスト発表(M$520チーズ、カシミア等100%関税)、99.1.米被害関連DSBパネル仲裁付託、同時に報復実施布告、4.パネルM$191被害認定、報復関税徴収。01.4.11.合意成立、EUは米Chiquitaの中南米産バナナの輸入割当を94-96レベルに戻し、06以降関税化、米は報復停止。

コロンビア・コスタリカ対EUバナナ輸出:95.1.9.職権開始、96.1.10.クロ決定するも報復発動せず。

韓国農産品アクセス制限:94.11.22.提訴開始、95.5.3.対韓国WTO22条協議請求、95.7.20.合意成立。

カナダ放送政策:95.2.6.ケーブルTV会社提訴により開始、95.6.企業間暫定合意、96.2.7.クロ決定するもモニター中。

EU拡大:95.10.24.オーストリア、フィンランド、スエーデンEU加盟にともなう関税引上げにつき職権開始、95.11.30.合意、12.4.欧州理事会承認、全加盟国による批准待ち。

日本フィルム市場系列ほか:1995.7.2.コダック提訴により開始、96.6.クロ決定、10.WTO提訴、97.1パネル・シロ決定。

カナダ゙定期刊行物輸入制限:96.3.職権開始、GATTWTO提訴、97.3−9.パネル上級委員会クロ決定。合意により終結。

ポルトガル特許慣行:1996.4.職権開始、5.GATT22条協議要請、8.法令改正、10.調査終結。

トルコ映画興行課税:1996.6.職権開始、WTO提訴、97.7.合意により終結。

パキスタン医薬品特許慣行:1996.4.職権開始、5.GATT22条協議要請、7.パネル設置要請するも合意により調査終結。

インド医薬品特許慣行:1996.7.職権開始、GATT22条協議後パネル移行、97.9.パネル・上級委クロ決定、監視中。

アルゼンチン衣料等関税NTB:1996.10.職権開始、GAT22協議後、97.2.パネル移行、11.パネル・クロ決定、監視中。

インドネシア国民車政策:1996.10.職権開始、GATT22条協議後パネル移行、98.4.パネル・クロ決定、99.7合意。

ブラジル自動車計画:1996.10.職権開始、1997.1.GATT23条協議移行、98.3.合意により調査終結。

中国知的財産権:1994.6.職権開始、12.調査延長、1995.2.6.クロ決定、報復品目発表、中国も逆報復品目発表、2.24.合意、1996.4.Special 301再三指名、5.USTR報復品目発表、中国も逆報復品目発表、6.合意。

豪州自動車部品輸出補助金:1996.10.職権開始、GATT23条協議、11.25.合意。

アルゼンチン繊維製品・靴高関税:1996.10.職権開始、GATT22条協議要請、1997.2.パネル設置、11月米有利の報告をDSB採択、上級委員会も同意。履行を監視中。

EU強化スターチ補助金:1997.1.業界提訴により開始、グルテン問題と取引で97.6.調査終結。

中国知的財産権:1997.3.306条監視国に指名。

デンマーク知的財産権:1997.3.WTO/DSU提訴予告。

スエーデン知的財産権:1997.3.WTO/DSU提訴予告。

アイルランド知的財産権:1997.3.WTO/DSU提訴予告。

エクアドル知的財産権:1997.3.WTO/DSU提訴予告。

EUグルテン補助金:1997.3.提訴開始、97.6.協議開始(途中でWTO提訴、報復しない約束)、終結。

カナダ乳製品輸出補助金・アクセス障壁:1997.9.National Milk Mfrs. Fed.提訴により開始、10.WTOパネル移行。

日本農産品検疫アクセス障壁:1997.10.職権開始、SPS/農業協定、11.WTOパネル移行、98.10.パネル・クロ決定。

EUチーズ輸出補助金:1997.10.職権開始、DSU/農業協定協議に移行。

韓国自動車輸入障壁:1997.10.職権開始、合意により調査終結。

ホンジュラス知的財産権:1997.10.職権開始、98.3.クロ決定、GSP停止、6.合意により調査終結、GSP付与。

パラグアイ知的財産権:1998.2.職権開始、98.11.合意により監視に切替え、GSP付与。

メキシコ・コーン・シロップ起業機会拒否:1998.4.Corn Refiners Assn.提訴により調査開始、99.5.USTRパネル提訴。2000.2.パネル・クロ報告採択。

カナダ旅行釣行サービス差別慣行:1999.3.Border Waters Coalition提訴により調査開始。99.11.調査中止、306条(モニタリング)へ移行。

カナダ小麦政府独占:2000.10.業界提訴で開始、2002.2クロ決定、WTO提訴、相殺関税調査、報復、協議という多様な対応決定。

ウクライナ(WTO加盟申請中)レコード等海賊版輸出:2001.3.職権開始、01.12クロ決定、$M75報復関税決定。

 

資料2 日米半導体事件年表
    D RAM 他
64K D RAM
EPROM
256K+ DRAM
DRAM 他

85
06
提訴:SIA
提訴:Micron
     
  09
    提訴:Intel/NS等
   
  12
  クロ仮決定
  提訴:政府
 
86
02
        提訴:TI

  03
  クロ最終決定
クロ仮決定
クロ仮決定
 
  05
    クロ最終決定
クロ最終決定
 
  07
    SA(5年)
SA(5年)
和解

09
政府間協定 (1)(5年)/MITI米品購入・AD要請、monitoring室(事後)

  10
MITI半導体需給見通し/EC GATT提訴

  11
フォロー協議:貿管令事前承認monitoring

  12
フォロー協議:SA FMV連動問題

87
01
フォロー協議:報復警告/貿管令(100→5万円)

  02
MITI半導体需給見通し10%減

  03
香港事件/EPC報復勧告/米品 $164M購入緊急要請(個別ノルマ即発注)/INSEC

  04
米対日報復発動(TV・PC・電動工具100%関税)総額$300M/EC AD調査開始

  05
EC報復品目事前監視制

  06
報復第三国AD分一部CTV$52M解除/第1回日米半導体会談(東京)

  08
専門家協議:米品シェア計算方法問題(WSTS:captive除外/出荷額、MITI:購入額)

  09
専門家協議:第三国FMV合意

  11
報復第三国AD分$84M解除、アクセス分 $164M存続(PC)。米:日輸出無制限確認要求

  12
日本/世界シェア48%(Dataquest)

88
03
GATTパネル:クロ裁定/第2回日米半導体会談/AEA-SIA合意(相互依存確認)

  05
MITI GATT勧告受諾:@需給見通し/A原価データ/B再販価格データC/アクセス指導、内@を廃止

  06
第3回日米半導体会談(東京)/AEA-SIA FMV改善申入れ(start-up・設備投資繰延改善)

  09
日本ユーザー協議会(56社)外国半導体Access Action Plan(情報定期交換/design-in推進等)

89
10
SIA/CSPP共同提案:協定延長/20%-92E達成/(FMV廃止/DRAM終結EPROM継続)

  11
キルビー日特許成立

  12
EIAJ対SIA半導体共同発展提案(包括シェア→個別分野 auto/HDTV等)

90
12
12-TI契約切れ(H除く)

91
08
政府間協定 (2)(5年)/報復すべて解除/DRAM SA廃止(将来加速調査義務残存)

92
01
4M+DRAMで外社脱落寸前/silicon cycle不発/本格的不況のきざし

  05
SIA/EIAJ現地「アクセス・センター」設立/USTR日本側努力不充分を警告(報復は慎重な表現)

96
06
日本業界提案(シェア調査/政府関与不要)、日膠着状態打開のため政府間交渉受入れ表明、首脳会談で7月末合意期限設定

  07
次官級協議開始、首相、大統領あて親書(政治的決断もとめる)

  08
政府間合意成立、共同声明発表(協定書はない)、業界も同意


資料3 1995年以後の337条調査
「行為」列:無記入は特許。「原告国籍」列:無記入は米。 CL商:コモンロー商標(不正競業)。 C&D: Cease and Desist Order. GEO/LEO: General/Limited Exclusion Order. 出典:http://info.usitc.gov/ouii/public/337inv.nsf/All?OpenView

No 原産国 原告国籍 開始年 行為 品目 処分、備考
539 印、パナマ、ハイチ、ニカラグア、墨、豪 05 特 タダラフィル塩溶剤 係属中
538 中 05 特 オーディオ制御IC 係属中
537 香 05 特 天候ステーション 係属中
536 台、中 05 特 自動整列プール・キュー 係属中
535 加、シンガポール、モーリシャス 05 特 ネットワーク通信システム 係属中
534 台 05 特 カラーテレビ・モニター 係属中
533 中、韓 05 特 ゴム耐久材 係属中
532 独、ベルギー 05 特 自動車燃料キャップ 係属中
531 台 05 特 ネットワーク・コントローラー 係属中
530 独、日(安川) (FANUC) 05 特 電気ロボット 係属中
529 日 05 特 デジタル・プロセッサー 係属中
528 西、蘭、ポルトガル、加、仏、独 (3M) 05 特 フォーム・マスキング・テープ 係属中
527 台、日(Kodak) (Ampex) 05 特 デジタル映像保存表示装置 係属中
526 シンガポール 04 特 NANDフラッシュ・メモリー 係属中
525 中 台 04 特 半導体装置 和解
524 中、仏、イスラエル、韓、英 04 特 POS端末 係属中
523 台 台 04 特 DVD制御チップ 係属中
522 中、印、インドネシア、韓 04 商標 インク・マーカー 係属中
521 中、マレーシア 04 特 電圧制御器 係属中
520 日(ソニー) (Ampex) 04 特 デジタル映像保存表示装置 和解
519 メキシコ、中 04 特 パソコン 係属中
518 中香 04 特 耳保護器 係属中
517 香 英 04 特 無皺シーム・シャツ 提訴撤回
516 中 04 ディスク・ドライブ 係属中
515 スエーデン 04 特 注入移植部品 提訴撤回
514 中 04 特 プラスチック食器 係属中
513 台、韓 04 特 電源アダプター・コンバーター 提訴撤回
512 マレーシア 独 04 特 LED 係属中
511 中、ブラジル 04 特 ペット・フード 係属中
510 日、台 04 特 ウイルス、ワーム駆除システム 係属中
509 台、中 04 特 PC、サーバー 係属中
508 メキシコ 04 特 吸収性衣服 同意命令
507 イスラエル 04 特(間接) 骨髄圧縮用医療機器 同意命令
506 台、中、香、日、シンガポール 04 特 光ディスク・コントローラー・チップ 係属中
505 スイス、蘭 04 特 火器練習用ガン・バレル 係属中
504 仏、加 04 特 シグネチャー・キャプチャー・ミッション 和解、提訴撤回
503 独 04 特 トラック用自動メカニカル・トランスミッション クロ、CDO、LEO
502 独 04 特 自動車テールライト・レンズ シロ
501 マレーシア 03 特 密閉型IC 係属中
500 マレーシア、中 03 特 紫色保護手袋 クロ、GEO
499 英 03 特 自動DAコンバーター LEO
498 中 03 昆虫トラップ 和解、クロ、CEO、LEO
497 香、加 03 特、DMCA ガレージ・ドア開閉用汎用トランスミッター シロ
496 韓 03 家庭用真空包装機 和解
495 イスラエル 豪 03 胃疾患探知用呼気計測システム 同意命令
494 台、豪、日、中 03 商 自動計測器 和解、同意命令、CDO、LEO
493 中、香、日、インドネシア、シンガポール (Eveready) 03 水銀ゼロ・アルカリ電池 シロ
492 タイ、中 03 プラスチック買物袋 クロ、同意命令、GEO
491 台 03 ディスプレー・コントローラー クロ、LEO
490 米 03 電力増幅用チップなど シロ
489 ベリーズ、イスラエル、英、印、中ほか (Pfeizer) 03 Sildenafil塩ほか GEO
488 独 03 スクリーン印刷機 和解
487 中、蘭、仏、独、加 03 商、商希釈 農業用車両 同意命令、CDO、LEO、GEO
486 中 03 TS 農業用トラクター 同意命令、LEO
485 加 03 トラック床ランプ シロ、同意命令
484 日 03 マシーン・ビジョン 打切り
483 台 02 工具ホルダー シロ
482 デンマーク、ベルギー、香、台 英 02 意匠 CD/DVDホルダー クロ、LEO
481 台 02 ディスプレー・コントローラー 係属中
480 香、中 02 パネル・ファスナー 同意命令
479 オーストリア、イタリー、スイス 英、米(Glaxo) 02 TS Clavulanic酸誘導体 和解
478 中、香 02 大地フォールト遮断器 提訴撤回
477 中 02 アンモニウム・オクタモリブデート シロ
476 中 (Bose) 02 商 ラジオ 提訴撤回
475 香 02 電子教育装置 提訴撤回
474 香、台 (U.S. Philips) 02 CD/CDRW 係属中
473 中 (Microsoft) 02 ビデオゲーム クロ、C&D、LEO
472 韓 日 02 半導体装置 和解
471 日 データ・ストレージ・システム 和解
470 日 02 半導体メモリー 和解
469 墨、加 02 商 ベアリング&パッケージング 係属中
468 蘭 日 02 モノリソグラフィック機 シロ、控訴中
467 独、墨 02 商 カナリア黄色自動接着ノート 和解
466 加 01 整理棚 和解
465 01 半導体タイミング信号発生装置 和解
464 日 日、米 01 ビデオ・カセット組合わせ 提訴撤回
463 台、中、フィリっピン、インドネシア 01 節電型IC 和解
462 独、仏、伊 01 プラスティック成形機 和解
461 スエーデン 01 クレー標的投擲システム 和解
460 蘭 01 ソート・システム クロ、LEO
459 台湾 01 ガレージ扉 和解、提訴撤回、同意命令
458 加、米 01 デジタル・ディスプレー受像機 提訴撤回
457 韓 01 ポリエチレン・テレフタレート撚糸 シロ
456 台 01 ジェル充填手首レスト 和解
455 日、台、シンガポール 01 ネットワーク・インターフェイス・カード 和解
454 日、墨 01 セット・トップ・ボックス シロ
453 米 01 プログラマブル・ロジック装置 和解
452 加 日 01 パーソナル・ウォータークラフト 和解
451 シンガポール、中、台 01 CMOSアクティブ・ピクセル・センサー 和解
450 台 01 集積回路 クロ、LEO
449 台 01 研磨製品 クロ、C&D、LEO、控訴中
448 台、イスラエル、独 01 振動スプリンクラー クロ、LEO
447 仏 01 宇宙航空用リベット 同意命令
446 台 01 インク・ジェット・プリンター・カートリッジ クロ、C&D、LEO
445 日 01 プラズマ・ディスプレー 提訴撤回
444 日 日 01 半導体LED 提訴撤回
443 ベルギー、独、仏 スエーデン 01 フローリング材料 シロ
442 台 00 クローゼット・フランジ シロ
441 フィリッピン 00 FPゲートアレー 和解
440 中 00 4アンドロステネオール クロ、LEO
439 イスラエル、台湾 00 HPSモデム 和解
438 日 00 プラスティック成型機 和解、終結
437 韓 00 同期DRAM(Rambus) 提訴撤回
436 日 00 WAP互換無線機器 和解、提訴撤回
435 台 00 集積リピーターほか クロ、LEO
434

00
  磁気共鳴注入
シロ

433

00
  安全めがね
和解

432

00
  半導体
和解
431
日、中
00
  同期DRAM/MPU
和解、提訴撤回

430

00
  集積リピーター
クロ、LEO

429
独、スロバキア
00
  工具
和解、提訴撤回

428

00
  ICチップセット
和解、終結

427

00
  油井用電子機器
終結

426

00
  換気装置
提訴撤回

425
スイス
99
  薬品
和解、同意命令

424

99

タバコ-並行輸入?
和解、同意命令

423
フィンランド
99
  研磨材料
同意命令

422
台、中
99
  水道器具
クロ、GEO、同意命令

421

99
  DRAM
和解

420
チェコスロバキア
99

ビール
同意命令

419

99
  レーザー装置
シロ

418

99
  器具
提訴撤回

417
メキシコ
99
  電子装置
和解

416
台、中
98
  工具
クロ、GEO、同意命令

415
加、独、オーストリア
98
  木材用工具
シロ、控訴中

414

98
  半導体メモリー
和解

413
台、中
98
  希土磁性材料
クロ、GEO、同意命令

412

98
  電子装置
シロ

411
日、独、香、タイ、
98
  有機光伝導装置
提訴撤回

410
蘭、中
98
  光ファイバー
同意命令

409

98
  CD-ROM
控訴中

408
ベルギー
98
  肝炎ワクチン
和解

407
イタリー
98
  電子装置
和解

406
中、香、韓
日 98
  簡易カメラ
クロ、C&D、GEO、同意命令

405

97
  自動車用工具
和解

404

韓 97
  半導体
和解

403

97
  化成品
シロ、控訴中

402

日 97
  半導体
和解

401
台、シンガポール、マレーシア
97
  CD-ROM
提訴撤回

400
イスラエル
97
  デジタル電話
和解

399

97

照明器
和解、提訴撤回、同意命令

398
中、シンガポール
97
CL商
ナイフ
提訴撤回

397
イタリー
97
  通信機器
同意命令

396
メキシコ
97
  ICカード
寄与侵害、シロ

395
台、日
97
  半導体メモリー
シロ、再審、係属中

394

97
  プリンター
和解

393

97
  計器
シロ

392
メキシコ
96
  デジタルTV
シロ

391
台、中
96
  歯ブラシ(意匠)
クロ、LEO、同意命令

390

96
  タイヤ
提訴撤回

389

96
  計器
和解

388

96
  DRAM
和解

387
イスラエル
96
  光モデム
和解

386

96
  GPS計器
和解

385
日、シンガポール
韓 96
  RAM
和解

384

96
マスク
IC
和解

383

96
  電子部品
クロ、TEO、LEO、再審中

382

96
  半導体メモリー
クロ、C&D、LEO

381
韓、台、シンガポール
96
  半導体
和解

380

日 96

トラクター
並行輸入、クロ、C&D、GEO

379

95
  自動車部品
提訴撤回

378

日 95
CL商
かまぼこ
並行輸入、クロ、C&D、LEO

377

95
  MPU
同意命令

376

95
  風車
クロ、LEO

375

95
  靴
クロ

74

95
  HDD
和解

373
日、英
95
  コネクター
クロ、C&D、LEO、同意命令

372
中、台
95
  磁性材料
クロ、C&D、LEO、GEO

371
韓、日
95
  半導体メモリー
シロ、特許ブローカーが原告

370

95
  バイオマス
シロ

369

95

化粧品
和解


1 本稿は、同主題の前著「通商問題と企業の対応」『JMEAジャーナル』(日本機械輸出組合、1997年1月)を補足、更新するが、前著よりデータベース的性格が強く、むしろ、本間忠良、『ウルグアイ・ラウンドが世界貿易を変えた(第2版)』(1995年、中央経済社)の補遺ともいえる。

2 「国際通商(International Trade)」が社会科学の1分野として定着するためには、国際通商における諸現象が、社会科学がこれまで確立してきた方法によって説明されなければならない。ここでいう社会科学の方法とは、現象を分析してその要素を発見し(下降過程)、要素を綜合して世界像を再構築する(上昇過程)ことである。その初歩的な試みとして、本稿は、対象を米国にとり、まず米国通商の制度現象を分析して(もしあれば)その要素を発見し、それによって、一見ばらばらな米国通商政策を綜合的に説明――批判――予測しようとしている。

3 「包括」通商法の選定基準については――とくに最初の1930年関税法(悪名高いスムート・ホーレイ法)については、fast-track権限とのからみで――若干異論がありそうである。

4 憲法1条8項1節(関税の決定・徴収)、3節(通商統制)。

5 慣行としては1934年互恵通商協定法以来だが、成文化されたのは1974年通商法がはじめて。

6 時限が切れたあと、更新されないで空白期間ができることがあり、統一的な通商政策を遂行しにくくしている。1994年ウルグアイ・ラウンド協定法以後2002年8月まで8年近く空白が続き、WTO新ラウンド難航の主因になっていた。失効以来、世界の通商協定130件のうち米国が当事者になったのはたった3件の由(WSJ 02-5-22)。大統領府は、クリントン政権以後、これを「通商促進権限(trade promotion authority)」と呼び変えているが、定着するかどうかわからない。マスコミは依然 fast track を使っている。クリントン・ブッシュ両政権とも、これを最大の通商課題としてキャンペーンを張り、2002年3月発動の鉄鋼セーフガードも5月制定の新農業法も、交渉権限獲得の代償提供という性格を抜きにしては考えられない。一括交渉権限法案は、WTO新ラウンドを控えた2001年12月7日、1票差で下院を通過、2002年5月14日、上院も通過したが、ここでは、民主党に対する譲歩の結果、大統領が合意した通商協定を、通商救済制度の弱化など一定の場合には、議会が覆すことができるという重大な修正を受けた。両院の議決が異なったため両院協議会に移行、7月25日合意成立、合意案が27日下院通過(3票差)、8月1日上院通過(64:34)、6日大統領の署名を経て法律として成立した。今回の一括交渉権限は2005年6月末まで(両院が拒否しない限り2年間自動延長)。一括交渉権限法は、従来のものほど大規模ではないが、2001年末で失効していた最貧諸国およびアンデス諸国に対する特恵関税の復活をとりつけたかわりに、労働・環境を交渉の主目的とすること、通商自由化で被害を受けた労働者・農民に対する補償(以上民主党に対する譲歩)、ADなど通商救済制度の護持(弱化は議会委員会による事前承認−−5月上院案よりやや緩和−−共和党内通商タカ派に対する譲歩 ) などの条件を含み、新農業法とあわせて典型的な包括通商法としての性格を有する。

7 ここでいう「レギュラー」、「スーパー」、「スペシャル」は俗称だが、和製英語ではなく、米国通商関係者が好んで使っている。

8 法文では「措置」(action)と言っているだけなのに、日本では一般に「制裁」(sanction)と訳されることが多い。これは社会の敵(たとえば1991年湾岸戦争におけるイラク)に対する共同行動を意味するもので、いたずらに恐怖と自責の念をあおるので、やめたほうがいい(通商問題に関して日本のマスコミはかなり自虐的である)。どうしても何かつけたいなら、抑止用語の「報復」(retaliation)のほうがいい(米国ではこれが一般的であるだけでなく、最近の改正、たとえば306条(b)(2)などでは法律用語としても使われはじめている)。

8.5 ロバート・ゼーリック氏国務長官首席補佐官へ転出にともない、2005年4月下院議員(共和党)のロバート・ポートマン氏がUSTR就任。USTRは最近6期のうち2期が女性であるった。

9 価格弾力性price elasticityとは、「価格が1%変化したとき、需要量や供給量が何%変化するかを見る比率。変化がともに微少なとき、数量の相対的変化÷対応する価格の相対的変化にほぼひとしい」とされる。

10 限界生産費とは「産出量の1単位の増加によって生ずる総生産費の増加分」である。

11 WILLIAM J. BAUMOL, THE LOGIC OF ADUMPING CONSPIRACY THAT DAMAGES COMPETITION, in the Brief of Appellants on Remand, In re Japanese Electronic Products Antitrust Litigation (3rd Cir. June 16, 1986)

12 AREEDA & TURNER, ANTITRUST LAW (Little Brown, 1978), v. 3, p. 186。

12.3 http://ia.ita.doc.gov/download/korea-drams/drams-korea-final-decision-memo.pdf

12.5 2005年4月現在、委員長はスティーブン・コプラン氏。委員長は最近6期のうち4期が女性で、また現委員6人のうち4人が女性である。

13 アクゾ事件:United States - Section 337 of the Tariff Act of 1930. Report by the Panel, 1988.11.23:米国デュポン社は、同社米国方法特許にもとづき、オランダ・アクゾ社製のアラミド繊維の輸入に対して、1984年4月、337条提訴をおこなった。1985年11月、ITCが一定のアクゾ製品に対して限定輸入排除命令を発令、1986年12月、連邦巡回控訴裁(CAFC)がITCの決定を支持、連邦最高裁もアクゾの上告を却下して一件落着したかに見えた。しかし、アクゾは、この措置が欧州共同体理事会規則2641/84(米国通商法301条のEC版−−ウルグアイ・ラウンド後は3286/94に移行)にいう不正商業慣行にあたるとしてEC委員会に提訴、委員会は、1987年3月、肯定的決定をくだし、GATT 23条1項協議不調の後、7月、GATT理事会あてに23条2項提訴をおこなった。ここで問題になったGATT規則は、一般協定3条4(内国民待遇)と20条(d)(「国内財産権法令の順守を確保するために必要な措置」に対する例外)である。まず内国民待遇では、パネルは、337条について、時間制限・反訴の不存在・二重法廷(ITCと連邦地裁)、一般対物排除など6点にわたる対輸入品不利益差別を指摘している。つぎに知的財産権例外では、パネルは,GATT 20条(d)にいう「必要」の判断基準について、『GATT違反でなく、合理的に利用できる代替法がある場合は「必要」と認めないし・・かかる代替法がない場合でもGATT違反性が最少になるような措置を利用すべきだ』とし、上の6項目をこの基準に照らして判断した結果、対物一般排除は、国産品にくらべて、侵害品の源泉をつきとめるのが困難だったり、対人措置の実効性がとぼしいなど「必要」の基準を満たす場合があると述べている。

14 本間忠良、「米国における特許侵害訴訟の実態――ワトソン事件」、柏木編、東大特別講座論文集『日本の企業と法』(有斐閣、1996年5月)参照。

14.3 本間忠良、「BBS事件最高裁判決の評価と今後の問題点」参照。

14.5 通商法201条の原型は、米国が戦前から結んできた通商協定中によく見られた「エスケープ・クローズ」と呼ばれる条項である。米国政府は、WTO以後、WTO用語の「セーフガード」を好んで使うようになったが、古い貿易マンには、まだ「エスケープ・クローズ」でおぼえている人が多い。

15 本項については、前著「通商問題と企業の対応」『JMEAジャーナル』(日本機械輸出組合、1997年1月)につけくわえるところがほとんどない(というより、前著は綜合だけである)。

15.5 ここで論じているのは、米国がその対外通商政策を実現するために所有するいわば攻撃(ないし攻撃的防御)用の兵器のことであり、米国がもともと持っている通商上の弱点(不公正貿易慣行)のことではない。後者のためには、産業構造審議会が毎年出している『不公正貿易報告書』(経産省通商政策局編)を参照されたい。

16 ROBERT O. KEOHANE, AFTER HEGEMONY -- Cooperation and Discord in the World Political Economy (Princeton, New Jersey, Princeton University Press, 1984) は「機能主義」(fuctionalism)よりinstitutionalsm(「ルール志向」とでも訳すのだろうか)のほうを推奨する。

17 TADAYOSHI HOMMA, TRIPS AND AFTER -- A Realist's View, CHIBA UNIVERSITY LAW JOURNAL, v. 13, n. 2 (October, 1998).

18 米国反ダンピング措置の乱用については米国内からも批判がある。INTERNATIONAL TRADE COMMISSION, THE ECONOMIC EFFECTS OF ANTIDUMPING AND COUNTERVAILING DUTY ORDERS AND SUSPENSION AGREEMENTS (1995)は、1980-93のAD措置682件を分析した結果、その40%が鉄鋼で、措置によって社会厚生が16億ドル低下したことを報告する。AD措置のおかげで転職を免れた労働者数6,500人で割ると、1人あたりの社会的費用はなんと25万ドルに達する。これを転職資金にまわした方がよかったのである。最近、もと財務長官Robert E. Rubin氏は、議会で、大要、「輸入増が物価を1%、金利を2%押し下げており、これがなければ近年のわが国における景気拡大は存在しなかっただろう」と証言する(2000年5月3日)。また、WILLIAM H. BARRINGER & KENNETH J. PIERCE, PAYING THE PRICE FOR BIG STEEL, American Institute for International Steel (Washington, D. C., June, 2000)は、過去30年間、技術投資を怠って国内ミニミル(スクラップ原料・電炉)との競争に敗れつつある大手一貫製鉄業界(Big Steel)が、その絶大な政治力(Steel Caucus)を利用して、170億ドルの政府補助金をもらう一方(金融・政治投資に費消、依然として技術投資にまわしていない)、不振の原因を海外に転嫁し、度重なる自主規制と(それがWTO協定上違法化された後では)AD提訴の乱発によって、米国経済に460-760億ドルの損害を与えたことを報告する。これに対する商務省の反論:INTERNATIONAL TRADE ADMINISTRATION, U. S. DEPARTMENT OF COMMERCE, GLOBAL STEEL TRADE (July, 2000)は、まったく議論がまったくかみ合わず、日本の鉄鋼市場が反競争的であり、その反射作用として対米ダンピング輸出に走る構造に問題があるという陳腐な略奪論に終始する--というより、論点上そこまで追い詰められている。この手の略奪論の非現実性については、本間忠良、「略奪と競争--米国連邦最高裁ゼニス対松下判決をめぐって」、『企業行動と法--松下教授還暦記念論文集』(商事法研究会、1994年)がくわしい。

 

 

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