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(回答先: Minamataに学ぶ海外 水銀削減 魚介類を多食しない米国で水銀に敏感なのはなぜか[熊本日日] 投稿者 feel 日時 2006 年 6 月 15 日 02:58:30)
水俣病50年 第４部 Minamataに学ぶ海外 水銀削減
水銀削減 （１4）北米環境協力委員会 リューク・トリップ事務局長
任意の計画で現実的対応
http://kumanichi.com/feature/minamata/minamata_50nen/dai_4_bu/4_bu14.cfm
http://kumanichi.com/feature/minamata/
◇リューク・トリップ セントメリー大卒。カナダ環境省で３３年間、水銀削減プログラムを担当。元カナダ全国環境非常事態センター長。現在、水銀削減コンサルタント、北米環境協力委員会事務局長、カナダ水銀研究ネットワーク役員。モントリオール在住。
北米環境協力委が２００５年、米国とカナダの把握基準を統一して完成させた「０２年北米有毒化学物質 排出・移動データ」。水銀についても両国の州別、企業別の詳細データを網羅している。次回からメキシコのデータも加える
メキシコ・メリダで水銀削減研修会を開いた北米環境協力委員会のリューク・トリップ事務局長（５８）＝カナダ＝に水銀削減の現状や問題点を聞いた。（井芹道一）
―北米三カ国は水俣病のような悲惨な水銀中毒を経験していないのに、なぜ水銀削減に熱心なのか。
日本での水俣病の発生がそれほど大きなインパクトを持っていたということだ。米国、カナダでは水俣病の発生を受け、一九六〇年代、七〇年代に工場排出規制が強化された。水俣ほどひどくはなかったが、化学工場からの水銀汚染水排出が確認されていたからだ。微量水銀がもたらす人体への影響が解明されていない点も大きい。
―今年を目標とした北米水銀削減行動計画をどう評価する。
水俣病公式確認五十年の年に北米三カ国の水銀排出５０％削減が実現できたことはうれしい。三カ国共有の水銀排出・在庫管理データベースが完成し、現状把握が可能となった。三カ国の産業界を中心に、水銀削減で協力が得られたのも前進だ。ＵＮＥＰ（国連環境計画）が私たちの行動計画を評価し、削減方法を他の国に適用することになった意味も大きい。
―三カ国の個別評価を。
カナダでは十州・三準州の歯科医療施設でアマルガム分離器の設置が進み、米国では病院を対象とした包括的水銀削減プログラムが動きだした。米国では石炭火力発電からの水銀排出に規制が導入された。大気汚染防止ではメキシコにも積極姿勢が現れた。中南米での指導的役割が期待できる。今後はメキシコでの水銀排出情報の把握をさらに充実させたい。
一方、多くの大学で水銀研究が活発化している。最新研究では水銀の神経への影響に加え、心臓病との関係も指摘され始めた。八月に米ウィスコンシン州で開かれる第八回地球環境汚染物質としての水銀国際会議に向けて、最新研究の報告準備も進んでいる。
―三カ国の行動計画については、罰則規定がないため実効性を疑問視する声もあるが。
国際条約締結には長い年月が掛かる。その間に水銀の有効な削減措置が取られるという保障はない。任意の計画なら今日からでも始めることが可能だ。大切なのはバランスだ。最終目標は条約化に置きながらも、一方では強制しない任意の行動計画を組んで、徐々に進めていくのが現実的な対応策だと思う。
―今後に向けた課題と日本への期待を。
最大の課題は、水銀の悪影響が分かっていても世界各国で水銀含有製品の生産が続き、使用中止に向けた道筋も、適正廃棄の仕組みも確立されていないことだ。二〇〇一年に水俣を訪れた際、汚染された水俣湾の埋め立てにばく大な予算を投入し、環境復元した現場を見た。あそこを見れば、水銀汚染の代価の大きさが一目りょう然だ。世界の環境教育に役立ててほしい。
日本には、ハイブリッド車など環境技術での貢献も期待したい。中国の石炭火力発電から排出される水銀は風で日本にも運ばれる。大気中への水銀排出量が大きい石炭火電への依存を減らさなければならない。中国との間で環境重視の貿易を進めるなどの対応策も急ぐ必要がある。
＝第４部終わり
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