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「完全勝訴」と書いた紙を手にする原告の木村伸一さん（左）と亀田谷和徳さん（右）＝１６日午後、最高裁前で
注射器が使い回しされた乳幼児期の集団予防接種でＢ型肝炎ウイルスに感染したとして、札幌市の男性患者ら五人（うち一人死亡）が、国に計五千七百五十万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が十六日、最高裁第二小法廷であった。中川了滋裁判長は「予防接種で感染した可能性が高い」として国の責任を認め、五人に計二千七百五十万円の賠償を命じた。
予防接種によるウイルス感染と国の責任を認めた初めての判決。厚労省は全国に百数十万人いるとされるＢ型肝炎患者の救済に向け、対応を迫られそうだ。
裁判では感染原因に加え、患者らの賠償請求権が有効な除斥期間（二十年）がいつから始まるかが争点となった。
感染原因について中川裁判長は「国が主張する予防接種以外の原因可能性は一般的、抽象的なものにすぎない」と否定。「母子感染の可能性はなく、幼少時にほかの原因で感染する可能性も極めて低かった。注射器の連続使用の可能性が高く、感染との因果関係を認めるべきだ」と述べた。
その上で「国は連続使用を放置していた」として賠償責任を認めた。
除斥期間の起算点については「予防接種時ではなく肝炎の発症時」と判断。提訴の二十年以上前に予防接種を受けたために、二審判決で除斥期間の経過を理由に訴えが退けられた二人についても請求を認めた。
患者五人は二十−五十代の男性。一九五一年から八三年にかけ、乳幼児期に集団予防接種を複数回受けた。その後、四人が慢性Ｂ型肝炎に、一人が未発症のキャリアーと診断された。
五人は八九年に提訴。一審札幌地裁は二〇〇〇年、全員の訴えを退けたが、〇四年の二審判決は感染原因を予防接種と認定。三人に計千六百五十万円を賠償するよう国に命じたが、除斥期間の起算点を最後の予防接種時とし、二人の訴えは退けた。このため患者、国側双方が上告していた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060617/mng_____sya_____005.shtml
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