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市民ジャーナリズムの普及で起こるメディア革新--ダン・ギルモア氏 (CNET Japan)
http://www.asyura2.com/0510/hihyo2/msg/166.html
投稿者 外野 日時 2005 年 11 月 05 日 16:49:05: XZP4hFjFHTtWY
 

(回答先: 「一次情報を取材するブログ」──泉あい(「GripBlog」ブロガー) インタビュー 投稿者 外野 日時 2005 年 11 月 05 日 15:56:35)


CNET Japan
市民ジャーナリズムの普及で起こるメディア革新--ダン・ギルモア氏
市民ジャーナリズムを普及させるためGrassroots Mediaを立ち上げたダン・ギルモア氏が、市民ジャーナリズムとは何なのかを語った。
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000050154,20087545,00.htm

市民ジャーナリズムの普及で起こるメディア革新--ダン・ギルモア氏
藤本京子(編集部)
2005/10/11 15:00

 シリコンバレーの日刊紙「San Jose Mercury News」の名物コラムニストとして知られていたダン・ギルモア氏が9月末に来日した。同氏が2004年に執筆し、2005年8月にその翻訳本となる「ブログ 世界を変える個人メディア」(原題「We the Media: Grassroots Journalism by the People, for the People」)が日本で刊行されたことによるものだ。

 同氏は1994年から2004年まで務めたSan Jose Mercury Newsを退社した後、2005年に市民ジャーナリズムの普及を目的とした企業Grassroots Mediaを設立している。新会社を設立したのは、市民ジャーナリズムに大きな可能性を感じたためだという。

 ギルモア氏に、市民ジャーナリズムとは何なのか、市民ジャーナリズムが普及することによって何が変わるのかを聞いた。

--名物コラムニストとして活躍していたSan Jose Mercury Newsを去って、Grassroots Mediaを立ち上げた経緯について教えてください。

 San Jose Mercury Newsに在籍中に「We the Media」を執筆したのですが、本について数々のフィードバックを受けたことで、一般市民による草の根的なジャーナリズムが生まれつつあることを実感し、私はそこにチャンスを感じました。新しい分野で仕事ができるのではないか、私の持つ従来のジャーナリズムのスキルを新しい分野に生かせるのではないかと思い、10年後に今を振り返って、このチャンスを生かさなかったことを後悔したくなかったのです。

--Grassroots Mediaでは何をしようとしているのでしょうか。現在の主な活動内容について聞かせてください。

 Grassroots Mediaの目標は、草の根ジャーナリズムを普及させることです。多くの一般市民にジャーナリズムを理解してもらい、ニュースを発信できる可能性についてわかってほしいと考えています。まだプロジェクトは始まったばかりですが、講演や本の執筆をはじめ、市民ジャーナリズムに取り組んでいるビジネスパートナーやボランティアなどと共に活動を進めています。大きなものを作るというよりは、有益なものを作り上げたいと思っています。

--有益なものとは、具体的にどのようなものなのでしょう。また、市民ジャーナリズムで有益なものを作り上げるには、どうすればいいのですか。

 多くの人が知りたいと思う情報は、有益な情報といえます。市民ジャーナリズムとして成立するには、単に個人の日記を公開しているだけではだめなのです。

 一般市民が報道陣と同様に有益な情報を提供するには、まずジャーナリズムとは何なのかを理解しなければなりません。ジャーナリズムとは、単に自分の意見を述べることではないのです。そこには、調査や取材、事実確認などのプロセスが関わっています。また、中立的な立場で物事を見る必要があります。つまり、報道機関で個人の意見を発言するのであれば、独立した立場であるか、もし企業などに所属している場合はその立場を明確に示さなくてはなりません。

 このように、ジャーナリストとして情報を発信するには、ジャーナリストでなければ意識しないようなしきたりがあります。もちろん、普通に生活している限りそのようなことを意識する必要は全くありませんが、できるだけ多くの人にこうしたジャーナリスト的な考えを体験してほしいと思います。一般市民でも、身近に起きた事件を報道するなど、ジャーナリズムに関わる機会は存在し、それが有益な情報として受け入れられることも多いのですから。

--米国ではブログがジャーナリズムの一部としてとらえられつつありますが、やはりジャーナリスト的な視点で書かれたブログでない限り、「ブログ=ジャーナリズム」には成り得ないということでしょうか。

 ブログがジャーナリズムとなることもありますが、すべてのブログがそうだとはいえません。ただ、ブログは私も大好きですし、人々が自分の好きなことを発言する機会があるのはすばらしいと思います。われわれジャーナリストも、一般市民の声から学ぶことは多いですしね。

 私がGrassroots Mediaで伝えたいことは、ブログだけでなく、ポッドキャストやビデオ、写真などの手段が、すべてジャーナリズムに結びつくチャンスがあるということなのです。

 インターネットに限らず、すべての情報についていえることですが、「シグナル」となる情報もあれば、「ノイズ」も散乱しています。情報発信が容易となったインターネットの世界では、数多くの情報の中でいかにうまくノイズとシグナルを見分けるかが重要となってきます。また、私の役目は、人々にシグナルを生み出す方法を伝えることです。

 ただし、私はニュースやジャーナリズムとして有益な情報はシグナルの中にあると言っているだけで、ノイズが悪いとは言っていません。多くの人は個人的な情報発信でノイズを生み出していますが、そこにはジャーナリズムとは全く別のレベルですばらしいコミュニケーションが成り立っています。ノイズという言葉が否定的な意味を持つわけではないということは理解しておいてください。

--では、どうすればジャーナリズム的なシグナルを生み出すことができるのでしょう。

 トレーニングする必要がある場合もありますが、ブログは優れた学びの場を与えてくれます。例えば、間違った情報を掲載すれば、コメントで指摘されます。公平な視点で意見を述べていない場合も、反論が来るでしょう。そこで視点を改めるかもしれません。フィードバックを得ることにより、ブログ執筆者と読者の間にコラボレーションが生まれるのです。こうしたコミュニケーションに参加することで、自然にシグナルを生み出す技術が身に付くと思います。ブログのみならず、ポッドキャストやビデオでも同じことです。一般市民が自ら情報発信する場を持ち、フィードバックを得ることで学べ学べます。

 将来的にはなるべく多くの人にジャーナリズムに関わってもらい、それが世間の人々に重要な情報として受け止められるのだということをわかってもらいたいと思っています。市民ジャーナリズムに関することは、一市民としてコミュニティにより密接に関わることにもつながりますから。

--掲示板についてはどう思いますか。日本には2ちゃんねるという巨大な掲示板があり、さまざまな情報が飛び交っています。

 2ちゃんねるの管理人である西村博之氏には数年前に会ったことがあります。あの掲示板はすごいですね。あの掲示板の内容がジャーナリズムだとは思いませんが、あの中に有益で面白い情報がいくつもあることは知っています。

 掲示板に限らず、ユーザーが作り出すコンテンツにおいて課題となる点は、信頼できる情報とそうでないものを見分けることです。もちろん、新聞やテレビでも信頼性が問題となる場合がありますが、こうしたメディアは信頼性について敏感ですから、ある程度は信頼のおける情報源として受け止めることができます。

--掲示板は匿名性が高いことが特徴ですが、ブログは特定の個人が情報を発信する場であるために、匿名性が薄れます。しかし日本では、ブログも匿名で投稿する人が多いようです。アメリカのブログは実名を出している人が多いようですが、匿名性についてはどう考えますか。

 私は日本文化のエキスパートではないのではっきりしたことはわかりませんが、日本人はアメリカ人ほど個人主義ではないという印象を受けます。どちらかというと、日本では個人よりコミュニティを重視するのではないでしょうか。それがブログの匿名投稿にも影響を与えているような気がします。

 ただ、日本でも個人主義的な面が出てきたように思えます。起業家が増えてきたことも、その一面ではないでしょうか。こうした動きを見ると、将来的には実名でブログを書く人も増えるような気がします。

--市民ジャーナリズムの定義は何だと考えていますか。

 決まった定義というものはありません。例を挙げるとすれば、ハリケーンカトリーナで被害のあったニューオーリンズからブログで市内の状況を写真つきでレポートした人がいました。これは間違いなく市民ジャーナリズムといえます。また、ロンドンで爆破事件があった時も、携帯電話のカメラで現場の惨状を撮影した人がいて、その写真が世界中の新聞の一面に掲載されました。撮影した人が実際に何の仕事をしているかわかりませんが、その人はその写真を撮った瞬間、まさにジャーナリストでした。

 こうした事件だけではありません。私がよく見るサイトで、トヨタ「プリウス」の持ち主が数人集まって、車の情報を詳しく公開しているサイトがありますが、そこにはプリウスの仕組みやカスタマイズの仕方、技術情報などがうまくまとまって書かれています。これは業界紙に近い役目を果たしており、市民ジャーナリズムの一種といえるでしょう。

 また、ガジェット情報を発信する「engadget」や「Gizmodo」というブログも私の好きなブログです。これらのブログは読者も非常に多く、ガジェット系のニュースをすっぱ抜くこともあります。大企業のCEOが、こうしたブログオーナーにヒアリングをすることもあるほどです。これもまさに市民ジャーナリズムですね。

--インターネットがメディアとして発展するにあたって、今後何が起こると考えますか。ノイズは常にインターネットに存在するでしょうし、その中で信頼性のある情報を見つける手法も必要になってくるのではないでしょうか。

 インターネットが登場した時、情報が入手しやすくなったとされましたが、ブログの登場で今度は情報が発信しやすくなりました。多くの人にとって1990年代のインターネットは「Read Only」でしたが、ブログの登場で「Read and Write」に変化したのです。ブログを使えば、入力ボックスの中にテキストを入力し、クリックするだけで情報発信ができるのですから。

 そこにノイズが存在するのは事実です。一個人が日常的な出来事を日記としてブログに書いても、多くの人にとってそれはあまり有益な情報ではありませんからね。ただ、先ほども言ったように、私はノイズが悪いことだとは全く思っていません。好きなことを好きなように伝えるというコミュニケーションは重要ですから。

 そこで今、インターネットの世界で信頼性を測るようなシステムが登場しつつあります。人が信頼を置いていると思われるサイトを見極めるシステムです。GoogleやTechnoratiが、サイトに貼られたリンクの数の多さで「これは多くの人が求めている情報ではないか」と判断しているのも、そのひとつと言えます。もちろん、単にリンクの数が多いだけで信頼性が高いとは限りませんが。

 こうして信頼性を測るシステムができると、信頼性の高い世界中の人たちがジャーナリストと同じ力を持つことになるかもしれません。市民ジャーナリズムは、それほど大きな意味を持つことなのです。

--私たちの仕事がなくなってしまうかもしれませんね。

 いや、やはりプロの出す情報は、いつも多くの人が求める信頼性が保てるものだと思いますし、私たちもその期待に応えるよう努力を続けなくてはなりません。ユーザーが作り出すコンテンツがプロの作るジャーナリズムに取って代わるというより、両者は補完関係にあると思っています。メディアのエコシステムは、双方を要素を必要としているのです。

 ただ、ジャーナリストの仕事が変わってくる可能性はあります。さまざまな情報をまとめ、どの情報とどの情報が関連しているのか、どれを読めばいいのかを教えるガイド役になるかもしれません。

 ブログの情報はジャーナリストにとっても無視できない存在となっています。コメントやトラックバックから新たな情報を得ることもあれば、学ぶこともあります。今後ジャーナリストは、ブログの情報をより上手に活用することが求められるでしょう。

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