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映画「終戦のローレライ」兵器や兵士、言葉遣いなどの時代考証までいいかげんな「ただのマンガ」実写映画
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投稿者 TORA 日時 2005 年 10 月 22 日 18:16:29: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
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映画「終戦のローレライ」兵器や兵士、言葉遣いなどの
時代考証までいいかげんな「ただのマンガ」実写映画

2005年10月22日

◆本格的な戦争ドラマを期待しないように 超映画批評
http://movie.maeda-y.com/movie/00477.htm


人気作家の福井晴敏(「亡国のイージス」ほか)による原作(「終戦のローレライ」)をもとに、平成ガメラシリーズで知られる特撮のスペシャリスト樋口真嗣監督が作り上げた潜水艦アクション大作。

第二次世界大戦末期、米軍による空襲は日本本土に及び、ついに原子爆弾が広島、長崎に投下される。主人公の艦長(役所広司)と若き乗組員(妻夫木聡)らは、首都東京へ向けた3発目の原爆投下を阻止するため、ドイツ軍から接収した最新型潜水艦「伊507」で敵陣に突入する。

さて、上記「ローレライ」のあらすじを読んで、「邦画界久々の骨太な戦争フィクションか?」と思ってしまう方もいくらかはいよう。しかし、本作は一言でいえば「アニメ風味の実写映画」であるから、普通の大人の皆様にはすすめにくいとまずは言っておこう。

映画に詳しい人なら、スタッフをみるとそれは理解できる。たとえば、作中のB29のマークデザインは押井守(「イノセンス」監督)、ヒロインの服のデザインは出渕裕(ガンダムやパトレイバーシリーズのメカニックデザイン等)、そして画コンテ協力には庵野秀明(「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズ監督)と、アニメ界の重鎮たちが顔をみせる。自らアニメ作品を多数手がけてきた樋口真嗣監督が、『ローレライ』をどんな実写作品にしたかったのか、ある程度想像がつきそうだ。

この、アニメが半分混じったような奇妙な戦争映画は新鮮ではあるが、かといって成功しているともいいがたい。むしろ、リアリティの希薄さが「戦争アクション」というジャンルにおいては、大きなマイナスになっている。

たとえば、初めてみるはずの敵の新型爆雷の性能を、現場を数年離れていた艦長がなぜか正確に把握していたり、ドイツ製のはずの潜水艦を未熟な日本人クルーたちが手足のように扱っていたりする。

クライマックスで殉職する、あるクルーのエピソードもひどい。あのシーンで観客を泣かそうということなのだろうが、いくらなんでもあんな展開はない。あれではあの水兵はただのバカではないか。どうしてああいう事を平気でやってしまうのか、私は不思議でしょうがない。

基本的に伊507号の乗組員らは、まったく当時の軍人には見えないので鑑賞時は脳内補完が必要だ。もちろん、役所広司をはじめとする幾人かの実力派俳優は別。それ以外の、主に若いキャストの役作りには期待しないほうがいいという意味だ。

また、この潜水艦最大の武器である“ある秘密兵器”の鍵となるヒロインが着ている服など、萌え萌えなアニメのオンナノコキャラそのもの。オタク的な趣味性が強すぎて、どうにも違和感を拭い切れない。他のクルーたちは、少なくとも帝国海軍の軍服を着ているが、この人だけは20世紀のジャパニメーションの世界から抜け出してきたようなルックスなので浮き上がっている。まあこれは所詮“アニメ風味の実写映画”なのだから、そういう文句は言うだけ野暮というものか。しかしもう少しだけ、調和を取ってほしかった。

きりがないのでこの辺にするが、アニメだろうが実写だろうが、実際の歴史を舞台にするフィクションを作るときは、やはり多くの嘘をついてはいけない。

『ローレライ』でいえば、物語上もっとも重要な設定である「潜水艦の秘密兵器がヒロインの超能力で動く」という部分までは許せる。だが、それ以外の兵器や兵士、言葉遣いなどの時代考証までいいかげんな描写をしてしまったら「ただのマンガ」だ。むしろ周辺要素、細部のリアリティについては、普通の戦争映画以上に気を使ってこそ、全体のバランスが取れるというものだ。

そんなわけで『ローレライ』は、アニメ好き以外の大人が満足できる作品とは言いがたいが、主演の役所広司らの見事な演技と、愛国心を刺激する勇ましいストーリー展開、戦闘シーンの迫力などはほめてあげたい。

◆「ローレライ」 潜水艦映画を見よう
http://homepage1.nifty.com/itoseipc/datas/37role.html

周到なメディアミックス戦略による作品。福井晴敏の長編小説「終戦のローレライ」が原作、というよりも、もともと同じアイデアをもとに小説と映画の両方を作る、という構想のもとに製作されたものだ。映画公開は遅れに遅れて2005年3月になったけど、ちょうど同じタイミングで小説が文庫化されるなど、実は図ったかのようなタイミング。公式サイトの充実ぶりはいうまでもないが、封切と同時に、書籍版の版元である講談社の月刊誌「アフタヌーン」で漫画の連載が始まり、コンビニでは食玩も販売。さらに、DVDはもちろんのこと、監督と原作者による対談集や監督の絵コンテといった付帯書籍まで矢継ぎ早に発売され、ターゲットである「オタク心をもった人々」に届きそうなメディアは全部使っている。サントラも当然販売中だ。

 そんなオタク映画であるにもかかわらず、妻夫木聡なんかが出てくるし、テレビCMもガンガンやってるしということで、映画館では勘違いして観にきちゃって、頭をひねりながら帰る人がけっこういた。そういえば、某映画評論家が「40点」とつけた映画評も勘違いしてますね。

 ときは1945年8月。広島に落とされた新型爆弾の第二弾、第三弾を防ぐべく、元・ドイツの潜水艦「伊507」の乗組員が奮闘する、という戦争アクションである。原作はここにも書いたとおり、モーニングに連載中のかわぐちかいじの漫画「ジパング」と同じ趣旨をもったシミュレーションだが、映画ではそこまで欲張れないとの配慮からか、東京に落とされることになった3つめの原爆をどうにかして食い止める、というところまでで終わっている。

 ただ、その終わらせ方は中途半端。上川隆也ふんする日本人作家が、当時「伊507」と戦ったアメリカ海軍の退役軍人にインタビューするという設定で(原作にはない設定)、作家の語りという形でストーリーが進行する。で、ひとしきり語った後、そのおじいさんに隆也さんが礼をいって別れる、というシーンで終わるわけだけど、ここはせりふが足りないと思った。せっかくこの作家が実は何者なのか、ということを暗示させる絵を入れたんだから、もっとあからさまに、このおじいさんに決定的なせりふをしゃべらせるべきだったと思う。

 とまれ、本作の見どころは、なんといっても伊507艦長を演じる役所広司の演技力。あまりのすさまじさに、館内ではすすり泣く声もけっこう聞かれたほど。でも冷静に考えると、ぜんぜん泣くようなハナシじゃない。その役所広司をはじめとする多くの名優によるせっかくの演技が、オハナシにきちんと吸収されていない印象が残るのだ。

 いちばんかわいそうだったのは機関長役を与えられた小野武彦。この人、フジテレビ系列のドラマではいっつもサムい役どころばかりで本当にかわいそうだなあと思っていたけど、フジテレビがかんでいる(からかどうかは知らんけど)本作でも、やっぱりやることなすこと全部スベっていて見せ場がまったくない。小野サンは、2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」でも、基本的にはスベらされる役どころを演じていたけど、最終回にちゃんと見せ場が用意されていた。芝居の観客としては、役者に対するこうした配慮があった方が観ていて気持ちがいい。

 潜水艦映画としては、フランス→ドイツ→日本と数奇な運命をたどった伊507のほか、アメリカの潜水艦が何隻か出てくるが、いずれもCGでやっちゃったシーンが多く、またすぐにCGとわかってしまったのが痛い痛い。DVDによれば、伊507については模型を使ったところもけっこうあるようだけど、CGを使った部分に全体を合わせたからか、いかにも「CGでやりました」的な色調・画調が全体を支配していて、リアルに迫る絵がほとんどなかった。役者の好演が生かしきれてないと思ったのも、合成用のブルーバックで芝居させているようすが目に浮かんじゃったからだと思う。

 あるいは、どうせお絵かきなんだし、全体のスジとしてはシミュレーションあるいはドラマではなくアクションを選んだんだから、史実にこだわらずに「HERO」みたいな大胆なウソをついた方がいっそ面白くなったのではないかと思う。

 蛇足ながら、DVDを観ていて初めて気づいたんだけど、艦内の描写ではCCDのスミアと思われるヘンな光線がやたら目立っていて、それも気になった(撮影にはソニーのデジタルカメラが使われたはずだ)。キレイな絵を安く作れて便利なのかもしれないけど、何でもデジタルでやりゃあいいってもんじゃない。

 もうひとつ、これはどうしてもいっておきたい。長崎に原爆が落とされたシーンや、ナチス・ドイツによる暴虐のシーンなど、説明用に無理やり絵にしちゃったシーンがけっこうあって、それもいただけなかった。本サイトでは何度か同じ意味のことを書いているけど、いずれも安易に映像にしてはいけないシーンだと思う。DVDのコメンタリーを聞いていたら、監督は「絵にしないとわかりにくい」という意味のことをいっている。長崎のシーンなんかは、撮影前の現地調査もけっこうやったらしいけど、でもやっぱり安易に映像にしちゃったという感はぬぐえなかった。

 メディア戦略の徹底ぶりには感心するけど、肝心の中身は中途半端、というのが結論です。

(私のコメント)
映画「終戦のローレライ」は福井晴敏の小説の映画化ですが、レンタルビデオ屋でDVDを借りて見ました。戦争映画として見るには無理があり、アニメの「宇宙戦艦ヤマト」の実写版として見たほうがいいのだろう。ならば最初からアニメ映画として作ったほうがいいのでしょうが、実写版といってもコンピューターグラフィックスがふんだんに使われているから実写とアニメのコラボレーション映画というべきか。

私のような戦争映画ファンから見れば、これでは帝国海軍が気の毒になってしまうのですが、もはや本物の帝国海軍を知る人はほとんどいなくなって、アメリカと戦争をしたことも知らない子供もいるくらいだから仕方がない。福井氏の小説はメッセージの一杯詰まった重厚な長編小説なのですが、映画はアニメオタク向けに作られた実写のSF映画だ。商業性を考えたらこの映画を見る対象がオタク世代だからこのように造らざるを得ないのだろうか。

舞台は戦争末期の8月の南の太平洋だから灼熱地獄ですが、映画の艦長は革のコートを着て艦内でも海軍の第三種の上着を着ている。しかし実際には南の太平洋は海水温が30度近くもありエンジンや機器の熱気で汗まみれのシャツすら着られないほどの暑さだ。米国海軍の場面などは俳優や軍装などリアルなのに日本海軍の俳優や軍装が全くのデタラメで、日本映画なのに日本側の描き方が漫画チックなのはなぜなのか。

映画自体がSF仕立てなので割り切ってみるしかないのですが、日本人が日本の軍隊を描くのに時代考証すらまともに出来ないのは嘆かわしい。当時の帝国海軍や潜水艦などの様子は記録映画も残っているし、帝国海軍の専門家もたくさんいるし、せめて潜水艦の場面などは軍装や用語など本物らしく出来なかったのだろうか。これではハリウッド映画を笑えない。

しかし実際に俳優に長髪から丸坊主にさせることも出来ない状態だし、時代考証に凝ってみてもそれを評価できる人もいない状態では無意味なのだろう。またローレライという秘密兵器の少女にしても、日本語がぺらぺらの日本の少女だし、金髪で青い目のドイツ語を話す少女のほうがリアルに出来たのではないかと思うのですが、ドイツ語が絡むと製作が面倒だから手抜きをしたのだろう。

日本映画では戦争ものは意外と少なく大東亜戦争のトラウマが戦争映画を作りにくくしている状況もある。特撮も多くなるし制作費もかさんで大変だし、ハリウッド映画みたいにドイツ兵をバタバタと殺しまくるように中国軍を殺しまくったら中国から抗議も来るだろうし、国内では戦争を賛美したと言う人も出てくる。戦争そのものをハリウッドみたいにアクション映画として描けないから、かえって時代考証に正確に作れないのだろう。

戦争ものの映画は以前は東宝などが「太平洋の嵐」シリーズなど作っていましたが私もよく見た。テレビドラマなども「人間の条件」とかありましたが、最近はNHKの大河ドラマも明治以降の戦争ものは「二つの祖国」以外には全くやらない。「二つの祖国」もあちこちからクレームが来て第二次大戦ものはやりづらいのだろう。戦争映画をまじめに作ろうとするとどうしても思想的なものが絡んでくるから、反戦自体は問題がなくても、どちらが悪かったかなどの問題はいまだに清算が出来ない。

総理大臣が靖国神社を公式参拝もすることが出来ない状態では、戦争自体も総括したり清算したり、60年たってもいまだに出来ないのは敗戦ボケがいまだに尾を引いて思考停止状態が続いているからだ。東京裁判も正当であるかどうかいまだに東京裁判史観に洗脳されて、映画製作にも何やかやと影響が出てきてしまうのだろう。


本物の帝国海軍潜水艦の内部


「ローレライ」の潜水艦の内部(上着やネクタイはうそ臭い)


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