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対米ファイナンスは、現状であれば、大きいほど日本経済にとってより強いインフレ要因(デフレ緩和要因)になるはずです。
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投稿者 あっしら 日時 2005 年 11 月 13 日 06:24:17: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: bakaでもわかる「あっしら経済学」- その14 日本のデフレと対米ファイナンスとの関係 投稿者 baka 日時 2005 年 11 月 12 日 09:30:29)


bakaさん、どうもです。


>日本の貿易黒字は年間10兆円超のようですが、これを上回る米国債買いが20兆円とす
>ると、これらの大小関係によって、日本のインフレとデフレの傾向が定っていると考
>えてよいのでしょうか?


まず、現状の「近代世界」がなんとか維持できているのは、連邦政府の借り入れに支えられた米国の“バキュームカー”的需要があるからです。

(米国が貿易収支均衡を実現しようとすれば、世界全体が破滅的不況に陥るはずです)


米国が“最後の買い手”として存続できている主たる要因は、ペーパーマネーとなった自国通貨ドルが国際決済通貨であることと国際競争力を持つ国民経済(国家)が産業主義的成長を目指していることです。


経常収支で5千億ドル(約55兆円)を超える赤字を計上し続けている米国の通貨ドルが国際決済通貨の地位を維持しているのは、米国が軍事政治的覇権を誇り、原油をはじめとする資源や食糧の多く、そして、武器・IT関連・航空機などの先端製品がドルで輸入できる(ドルで決済しなければならない)ことが基本要因です。

(それさえ政府の国際借り入れに依存したものですが、米国にいかに軍事力があろうとも、ドルで買える(輸入できる)ものが少なければ、ドルが国際決済通貨の地位を保つことはできません)


米国が“最後の買い手”として存続できている条件としてそれ以上に重要なのは、米国向け輸出が自国経済(産業)の成長にとっての生命線だと考えている国々が存在していることです。

日本や中国・韓国などアジア諸国がその代表ですが、欧州諸国もやはり米国の需要に依存しています。

米国向け輸出が自国経済(産業)の成長にとっての生命線だと考えれば、米国向け輸出を維持・拡大するために、輸出で稼いだドルを米国連邦政府に還流させること(米国債購入)も合理的な政策だと判断するようになります。

政治的支配が決め手ではありますが、このような判断が、輸出で稼いだドルで金など価値保存性の高いものを買わずに、歴史的に大きく減価してきたドル建ての米国債を購入し続けてきた日本政府の正当化理由(言い訳)だろうと思っています。
(また、外貨準備を米国債ではなく価値保全財の購入に使えば、ドルが経済世界を浮遊することになりコントロール性が弱まり、ドル安及び金利低下の圧力になったり、国際商品の価格上昇要因になります。米国債購入というかたちで手に入れたドルを米国政府に戻すことで、米国の政治的覇権も維持できドルのコントロールも可能になるわけです)


前置きが長くなりましたが、他の国の対米投資の落ち込みがないなかで日本が米国債をより多く購入したり対米投資を拡大することは、日本の産業が国際競争力を維持している限り、日本経済のインフレ要因(デフレ緩和要因)になります。

(別に日本でなくても、中国やアラブ諸国など他の国が対米ファイナンスを増やしても、現状なら同じように日本経済のインフレ要因(デフレ緩和要因)です)


日本経済の2003年後半からの景気回復は、日本政府が円ドルレートの安定化と称して月々3兆円近い米国債を購入したことに支えられています。
世界に浮遊し投機などに使われているドルキャッシュを1年3ヶ月ほどで3千億ドル超(35兆円)も買い、それで米国債を購入し米国連邦政府に引き渡したことが、現在の経済状況をも支えていると言えます。

日本政府が35兆円ものおカネを使って3千億ドルもの米国債を購入しなければ、イラク侵攻に踏み切った米国連邦政府は、赤字財政をファイナンスするために高い金利で借り入れをしなければならなかったはずです。
2003年当時は不況対策でFF金利が1%そこそこまで下がっていたときですから、米国債の金利上昇は住宅ローンを含むあらゆる金利を押し上げることになり、経済の回復に水を差すことになったはずです。
また、米国内からも多額の資金を吸収することになるので、株式市場も下落に見舞われていたはずです。

米国連邦政府が日本政府から借り入れたドルを軍需産業を中心に使うことで、産業連関的に米国の実物経済が活発になり総需要が増加します。

米国経済は輸入超過構造=供給力不足ですから、総需要が増加すれば輸入も増加することになります。
(このことは、2003年・2004年と米国の輸入及び貿易赤字が増加したことでわかります)

2004年後半から現在にかけては、ニューヨーク株式市場の活況に見られる対米投資の回復が支えになっています。
(外国からの投機は、財を買うわけではないので直接のインフレ要因にはならず借り入れでもなく米ドルが還流してくる、米国経済にとって何よりの“福音”と言えます。投機に使われた資金は、主として米国系銀行に流れ込むので、ドルのコントロールもしやすい。投機に使われたおカネの一部は税として連邦政府にも入ってきます)

米国が輸入を増加させると、対米貿易で競争力を持つ日本や中国などの輸出が増加することになります。
また、中国の対米輸出増加は、中国経済が部品・機械装置などを日本に依存していることから日本の対中輸出の増加につながります。

輸出全体の増加は、被雇用者の所得が増加する一方で、生産した財のある部分が輸出で国内市場から消えてしまうことですから、他の要因が変わらないのなら、「需要額増加率>供給量増加率」でインフレ要因になります。

それと同時に貿易収支の黒字も増加するので稼いだドルが円に転換され、それが投資や給与引き上げなど実物経済に使われるのなら、さらなるインフレ要因となります。

2003年以降の経済状況は、前者のインフレ要因が中心で、後者のインフレ要因はそれほどではなかったために、今なおデフレが続いていると言えます。

※ 念のため、このような世界経済構造を好ましいものと考えているわけではありません。


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