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環境激変で海にも地にも異変が起きている 【SENKI】
http://www.asyura2.com/0510/nature01/msg/489.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 7 月 26 日 06:15:15: ogcGl0q1DMbpk
 

環境激変で海にも地にも異変が起きている

http://www.bund.org/opinion/20060715-1.htm
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侵食調査から10年、三保の浜はやせ細っていた

清嶋康伸

 久しぶりに三保の海を訪れた。静岡県旧清水市(現在は静岡市)の三保海岸沿いにある三保の松原は天下の名勝として知られ、いつも観光客が絶えない。白砂青松の海岸風景とここからの富士山の眺めは日本を代表する絶景だ。私は大学時代を三保で過ごしたので「第二の故郷」である。大学を卒業して以来10年ぶりに三保の海を見たのだが、海岸侵食は大幅に進み、テトラポッドが置かれ絶景が台無しになっていた。

卒論で海岸侵食調査

 大学の卒論では三保海岸の海岸侵食を友達と一緒に調査した。きっかけは台風の後、大学近くの浜が大幅に削られてしまったのを見たことにある。台風が来る前までは広い浜だったのが、海岸沿いの遊歩道前が浜崖になり、そこまで海になってしまった。私が所属していた研究室の先生は、ずっとこの地の海岸侵食を問題にしていた。

 卒論では大学近くの浜での測量と、浜に分布する礫の量(分布する割合の少ない種類の岩石を拾い集めて)を定期的に調査した。1年間継続して調査し、データを並べてみると、徐々に浜が狭くなっていた。礫の量も徐々に少なくなっていった。特に台風や低気圧による波浪の影響でテトラポッドが置かれている所では変化が著しかった。海流の下手方向が大きくえぐられ、荒天の度に浜崖が出来たり削られたりで、地形が大きく変化し、礫の量が大幅に減ることがわかった。1年間で海岸侵食が徐々に進行しているのを確認して卒論をまとめ、海岸侵食に関心のある親しい後輩達に研究の継続を託し、清水を去った。

原因はテトラポッドと砂防ダム

 三保海岸のある三保半島は、静岡市西部を流れる安倍川から流出した土砂が海流によって運ばれ堆積して造られた地形だ。駿河湾の荒波で浜は常に浸食(この場合は自然現象の「浸食」、この部分以外は人為的要因なので「侵食」と書く)されているが、安部川から礫が供給されることで収支のバランスがとれていた。

 しかし、昭和30年代から40年代にかけての高度経済成長期に、安倍川の上流に土砂災害防止のための砂防ダムが建設され、大規模な土木・建築工事のためのコンクリート骨材用に大量の砂利採取が行われた。その結果安倍川からの砂礫の供給は砂防ダムによって止められてしまった。安倍川河口付近の海岸から侵食され、東へ向かって海岸侵食が進んだのだ。

 安倍川河口から北東へ約8qの久能山の周辺では、殆どの浜が消滅して浜一帯にテトラポッドが置かれた。現在では安倍川河口から北東へ約15qの三保まで海岸侵食が進行している。侵食が見られるとテトラポッドが置かれる。テトラポッドによりその場所が波で削られるのを防いでいるのは確かだが、同時に海流で運ばれる礫の供給が止められるので海流の下手方向が削られてしまう。海岸侵食を防ぐための護岸工事が、かえって侵食を進めてしまうという皮肉な現象になっているのだ。

 航空写真で見ると、かつて自然の美しさを誇っていた海岸線がのこぎりの刃のような恰好になり、みっともない感じになっている。

 海岸侵食は三保だけでなく全国的に問題になっている。京都府の宮津市にある天橋立は日本三景の一つだが、三保と同じように海岸侵食が進み、護岸工事と海流の下手側の侵食を繰り返し、かつて海に架かる自然の細長い砂の橋(砂州地形という)だったのが、のこぎりの刃のようになり、「天の串刺し」と皮肉られるような景観になってしまった。

 天橋立の海岸侵食の原因は、周辺の海に流れ込む川の上流に砂防ダムが建設されたのと、防波堤を持つ漁港が整備されたことによって、砂の運搬・供給が止められたことにある。どこの海岸でも侵食の原因は共通しているのだ。

卒論から10年更に侵食が進行

 私が卒論で取り組んだ研究を引き継いだ後輩達の年賀状には、毎年のように三保の海岸侵食が進んでいると記されていた。今年になって10年ぶりに三保海岸を訪れたわけだが、私が想像していた以上に侵食は進んでいた。卒論を書いた時には全然侵食されていなかった所が無残にも削られ、急峻な浜崖になってしまった。浜全体がやせ細り、テトラポッドが増設され、その先が海流によって更にえぐられていた。それを見て寂しさと失望感を覚えた。

 今では観光客が訪れる所まで海岸侵食が進み、富士山を仰ぐ方向にもテトラポッドが置かれている。私の研究室の先生は、近い将来天下の名勝三保の松原がテトラポッドに覆われることを危惧していたが、それが現実になりかけているのだ。

 なお静岡県土木部のホームページによると、昭和42年に安倍川上流での大規模な砂利採取が禁止され、平成12年から国土交通省と連携して安倍川の治水のために川底を掘削し、その砂利で海岸を養浜(砂利の補給)する事業を始めたとある。河川の能力アップと浜の保全を同時に達成できる一石二鳥の方法だというが、事業の開始から5年たった現在、私が三保海岸を見たところでは成果が出ていない。養浜事業によって早期に浜を復活出来るように思えるが、養浜事業が海岸侵食の進行に追いつかないのだ。

 また最近では安倍川上流の砂防ダムを改良し、土砂を全部貯めるのではなく、土砂災害の原因となる巨石や流木のみを止めて、粒の小さな砂利は下流へ流すタイプに変えているという。海岸侵食のスピードに対策事業が追いつくかどうか、実際に成果が出るのは長い年月を要するだろう。

(地質調査技術者)


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磯焼けで海底の砂漠化が進んでいる

戸川まさえ

 今、日本の海岸線で藻場が壊滅の危機に瀕している。それまで生えていた場所に海藻や海草が生えなくなり、海中林であるアラメやカジメなどが側葉(木でいうところの枝葉)を落としたり枯れたりしている。いわゆる「磯焼け」といわれる。海水温の上昇や富栄養化・貧栄養化・埋め立てや、ウニなどによる食害が原因だとされているが、本当の原因は不明だ。

 磯焼けという言葉は、古くは1882年の農商務省報告に記録が残っている。現在ではアラメやカジメなどの海中林の破壊域、サンゴ礁の白化現象、海草の消滅域などを指す言葉として使われている。

 1980年の調査(水産庁研究部)では、海岸を有する県の6割で「磯焼け」が発生しているのだ。  御前崎周辺の海域には、かつて8000ヘクタール余の海中林が広がっていた。国内でも有数の藻場だが、1999年の調査では激減していた。海藻を餌にしているあわびなどの漁獲量も激減して、漁業に深刻な影響を与えている。1999年5月の国会に報告された環境庁の調査によると、13年間で全国で実に6000ヘクタールの藻場が消滅してしまった。

 瀬戸内海では1960年当時は、砂泥質海岸に2万3000ヘクタールのアマモ場が存在した。それが1990年には6000ヘクタール余に減ってしまった。徳島の沖合の一部では海底の岩肌が真っ白になるほど石灰藻だけしか生えなくなってしまった。

海水汚染が原因か

 磯焼けは夏から秋に起こる現象で、コンブやヒジキなど一年生植物の茂る藻場では磯焼けはないといわれてきた。ところが最近はコンブやヒジキなどにも磯焼けが起きている。

 磯焼けの原因は実は海底へ届く光の量が減っているのが原因ではないかという分析もある(横浜康継氏著『海の森の物語』新潮選書)。人間にとっての主食は穀類だが、植物の「ご飯」は太陽光だ。光の好きな植物を日の当たらない玄関などに置くと、肥料を与えても花の色が変わったり元気をなくしてしまう。

 海水の透明度は50年以上にわたって調査されている。伊勢湾、知多湾、奄美湾の場合、1950年代から低くなり、1970年代の半ばごろまで透明度は低下し、その後はほぼ横ばいで推移している。それが藻場の減少と重なってもいる。

 水のきれいな伊豆半島でも光が届くのは水深20メートルくらい。横浜氏の調査では、海水面下のカジメの生える場所には、晴れた日で海面の5分の1くらいの光量しか届かない。届く光の量は海水の透明度が下がればさらに少なくなる。光量が減少すれば大型の海藻は育たなくなってしまうのだ。

 海藻や海草が姿を消すと海は海水浄化機能を失う。海水浄化機能を持っている生物としては微細な藻が残っているが、藻は海中を漂いながら急激に増えることがあり、しばしば赤潮の原因にもなる。

 また海水の浄化能力よりも有機物の堆積速度の方が上回る浅瀬では、ヘドロや酸素を含まない青潮が発生し、養殖漁業に大きな被害を出している。

 最近では藻場を復活させる取り組みが各地で行なわれている。稚苗を育てて移植したり、ブロックを海底に沈めたり、ヘドロの海底の上に浚渫した砂をかぶせるなどある。砂を盛って浅瀬を作ったり、人工干潟を作ったりもしている。成果も現れているようだが、一方では浅瀬や干潟の埋め立てが相変わらず続けられている。これでは海が守れるはずがない。

 食生活が変わってきたとはいえ、海藻は日本人にとっては大切な食料だ。それが早晩、海藻さえもが「高嶺の花」になりかねないのだ。大衆魚の王様であった鰯が数年前には高級魚になったのが思い起こされる。

(給食調理員)


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毎年、春になると杉花粉と黄砂が降るようになった

鈴木邦衛

 毎年、春頃になると花粉と共に空から降ってくるものに黄砂がある。黄砂は大陸の乾燥地帯(タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原など)の砂が風に舞い、偏西風にのって3000〜4000qも飛んでくるものである。春先特に中部以西の人は、洗濯物や車に細かい砂が付着して、いまいましく感じている人も少なくないであろう。さらに大量に黄砂の降る地域では、視界不良による交通への影響も深刻である。また人によっては、目や喉に痛みをおぼえたり、咳が止まらなくなったりする人もいる。

 特に今年は東京都心では6年ぶり、千葉市においては18年ぶりに黄砂が観測され、全国的にも気象庁が1967年に観測を開始して以来最大の観測量となった。

 私の住む名古屋でも今年の黄砂は多く感じられ、4月下旬から連日のように降り、晴れているにもかかわらず空は茶色く霞んだ。私が洗車したばかりの車は黄砂を含む雨に降られ、あっという間に洗車前より汚くなってしまった。

 日本での1年間の黄砂降下量は100万〜300万トンと推定されている。

 以上のことは黄砂に対してマイナスの印象を持つ以外ないことだ。しかし、黄砂には大気汚染物質を吸着し、黄砂降下地域における酸性雨を中和させる効果もある。これは黄砂に含まれるアルカリ性物質のカルサイトが、酸性雨を中和させる事によるものである(平成11年度国立環境研究所年報)。つまり黄砂が降下する地域においては、その地域における酸性雨被害を減少させている事も一つの事実なのである。

 黄砂は江戸時代に編纂された「本朝年代記」にもその記述がある(環境省黄砂パンフレット)。近年になって起き始めた現象ではない。ただ最近日本で観測される黄砂の観測回数は、2000年〜2002年にかけ3年連続で過去最大を記録している。そればかりかこれまでほとんど黄砂が観測されなかった北海道でも、黄砂が確認されるようになっている。さらには北海道を越え、アメリカ大陸にまで黄砂が到達している事が衛星により確認されている。これは明らかに「異常」である。黄砂の酸性雨中和能力やそもそもの自然現象と言う点を踏まえても、これは明らかに過多な状況である。

 このような状況を生み出した原因の一つとされているのが、中国大陸(特に北西部)における過放牧や開発に伴う森林減少、砂漠化の拡大である。

 2005年の調査によると、中国では砂漠が国土の18%に達し、1年間に1280平方キロ増加したという。(2006年4月20日付asahi.com)

 中国北西部においては甘粛省や、黄砂発生の地である黄土高原の一部に位置する陝西省や、その隣の山西省で近年特に石炭採掘が盛んであり、急速な都市化が進んでいる。加えて現在、2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博へ向け、高速道路網整備が急ピッチで進められている。高層住宅やホテル、大規模商業施設などといったコンクリート建造物の増加も至るところで進んでいる。これら開発が砂漠化の拡大や温暖化へ影響を与えていることに疑う余地はない。

 だが、中国の経済発展に伴う都市化、自動車保有台数の増加、さらに中国政府の環境政策の不十分さを安易に批判する事は、我々には出来ないのではないだろうか。なぜならば日本も現在に至る過程において、一人一台以上の自動車を保有し、緑の少ない都市を生み、列島改造の掛け声の下で日本全土に高速道路と鉄道網を張り巡らせたのだからだ。

 さらには水俣、四日市に代表される公害で政府は被害を黙殺し、対策は後手に回った。そしてバブル期には郊外の山林でさえゴルフ場へと姿を変えた。それは生活の利便性と快適性の追求と工業化の過程で残した我が国の汚点である。

 そのような事実がある以上、過去の我が国が求めたのと同様に、生活の利便性や快適性、経済発展をとげる中国の事情を安易に否定することは、自らの行いを棚に上げた物言いであるだろう。

 現在、中国政府も中央、地方政府に林業局を設け、手入れ、改良を除く、天然林の伐採禁止などの森林保護政策や造林事業を展開している。1980年代から日本の学生やNGOなども、都市周辺や黄砂発生地域周辺における植樹ボランティア活動をおこない一定の成果をあげている。日本の林野庁もこの分野においては「2500万haの森林の適正な管理や、1000万haの人工林を造成してきたわが国の技術が生かせる部分はまだまだあると確信」していると、技術援助を進言している。(『森林技術 No.760』 日本森林技術協会)。

 環境問題は当然一国の問題にとどまらない。すでに、民間・市民レベルでは環境保全のためのパートナーシップが中国との間にできている。中国政府も黄砂防止の為「全世界の共同の努力が必要」(2006年4月20日付asahi.com)と協力を求めている。

 現在の日本政府のような無知かつ独り善がりで視野狭窄な発想や、仮想敵国づくりが、アジアの建設的未来を破壊する事は許されないことだ。

(団体職員)


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(2006年7月15日発行 『SENKI』 1218号3面から)


http://www.bund.org/opinion/20060715-1.htm

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