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□矢沢永吉 オヤジ世代の心にしみる「アー・ユー・ハッピー？」 [ゲンダイ]
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1476943/detail
矢沢永吉 オヤジ世代の心にしみる「アー・ユー・ハッピー？」
周辺から事実を聞かされた時は荒れた。朝から酒におぼれる日々――周辺にも当たり散らし、クダを巻き続けた。
「成り上がり」で知られる矢沢永吉（５６）が、さすがにショックを受けたのも当然だ。なにしろ、相手は、お堅い銀行出身の事務所金庫番と、元テニスプレーヤーで友人だった現地責任者。長年、信頼しきった２人に、オーストラリアでのスタジオ建設費に用立てた３５億円をまるまるだまし取られた。もちろん、すぐさま告訴した。詐欺、横領、文書偽造など、起訴件数は７３件。しかし、結果は微々たるもので、一人は１年後に、もう一人も３年足らずで保釈されるという条件がついていた。しかも、被害額の３５億円は１円も戻らず、矢沢が全額かぶるハメになった。
さらに追い打ちをかけたのがマスコミのバッシング報道。「バブルにおぼれたミュージシャン」「ヤザワもこれで終わり」などと情け容赦なかった。
それでも矢沢は立ち上がった。事件発覚から６年後の０４年、都内に１５億円のスタジオを完成させ、今年５月には１０億円の“矢沢御殿”をお披露目した。事件で背負った３５億円はすでに完済し、２つの物件は新たな借財でまかなった。
矢沢を立ち直らせたのは家族の後押しだ。酒びたりの日々を送っていた頃、マリア夫人にこう言われた。
「子供の送りはあなた、迎えは私。ごはんを食べるのも一緒。家族は絶対ひとつよね」
以来、家族の前では“元気な矢沢”を演出した。最近になって息子から「お父さんが窮地に立っていたなんて夢にも思わなかった」と言われたという。矢沢の返事は「当たり前じゃないか、矢沢永吉をナメんなよ！」だった。
今年も１０月末から全国ツアーをスタートさせた。１４会場で３４公演の予定。ただし、例年とは大きな違いがひとつある。１６年ぶりに日本武道館を“封印”し、７００〜２０００人収容の比較的小さな会場に限定した。
会場に集まるのは矢沢と同じオヤジ世代。会社では部下に突き上げられ、上司にはいじめられ、定年も目前に控えている。そんな同世代に「肩の力が抜けた矢沢もカッコいい」というメッセージを送りたかった。あえて小規模会場に限定したのはそのためだ。
コンサートで矢沢が発する「アー・ユー・ハッピー？」は３０年前と違って優しさが伝わってくる。
【2005年11月4日掲載】
2005年11月07日10時00分
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。