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私の視点 検証「IRTはなぜ到着が遅れたか」(浅井久仁臣グラフィティ)
http://www.asyura2.com/0510/senkyo15/msg/574.html
投稿者 スタン反戦 日時 2005 年 10 月 14 日 06:21:58: jgaFEZzEmIsYo
 

http://blog.goo.ne.jp/asaikuniomi_graffiti/e/06f07f1faafaaf917b7f23720f154a66

 10月8日午後0時50分(現地時間午前8時50分。時系列で話を進めるので日本時間を基準にした)頃、パキスタン北部でマグニチュード7.6の大地震が起きた。今回、日本の救助隊は迅速な救援活動を行ない、自衛隊もヘリコプターを持ち込むなど小泉さんは見事な危機管理を披露した…と言いたいところだが、よく調べてみると、とても及第点を上げられる対応ではなかったことが見えてきた。

 まず、大地震発災後、官邸に緊張感はなかった。地震発生から4時間後の午後5時になってパキスタン政府から救助隊派遣の要請が入り、その後イスラマバードで日本人が犠牲になったとの情報が飛び込んできて外務省と国際協力機構(JICA)にあわただしい空気が生まれた。その頃小泉さんは、イタリアの音楽家のコンサート鑑賞をしており、午後9時前に公邸に戻っている。確認できていないが、小泉総理は恐らく移動時間中か帰邸後に国際緊急援助隊(IRT)の現地派遣の決定を知らされていたはずである。

 午後9時、政府はIRTに対して出動要請を出した。具体的には、消防庁長官がIRTの事務局があるJICAに要請したことになる。

 ここでまず問題にしたいのは、IRTの出動が日本側の声がけによるものではなく、パキスタン政府側の要請があってから検討されたことだ。別に自慢になる話ではないが、日本は世界の中でも「災害の経験」では抜きん出ている存在だ。経験の豊富さだけでなく、技術・学術の面からも「災害大国」と言って過言ではない。スマトラ沖地震の時、私は気象庁地震津波監視課となぜ即座に大津波の可能性を周辺国に警告しなかったかと激論を交わしたが、今回も大きな被害が容易に想像できたはずだ。IRTが「災害発生後の24時間以内の出発」を謳うのであれば、積極的な取り組みなしには実現は難しい。

 IRTの中でも救助の専門家集団であるIRT-JF(消防チーム)が24時間へのこだわりを見せるのはなぜか。それは、災害時の人命救助において「72時間」がキーワードになっているためだ。建物や土砂に埋もれた被害者は、時間の経過と共に体力を失い、気力も衰えていく。だから救助は早い時間に出来ればそれに越したことはないのだ。72時間というのは、下限、つまりは最低限この時間までに救助したいという思いが込められた数字なのだ。「72時間」を実現するためには、移動時間や入国手続きにかかる時間を考えれば、「24時間」はもっともな数字だ。

 ところが、これまで24時間以内の出発は実現できなかった。それはまず第一に、政府の判断の悪さがあげられる。また、専用機を持っていないことも大きく影響する。民間機に乗っていくから「好きな時間」に出発できないのだ。後述するが、今回も好きな時間どころか、好きな場所にさえ行けない状況になった。いや、その前に席の確保もままならぬ状況があった。また、救助隊の形態にも問題がある。救助チームは、消防庁、警察庁、海上保安庁(必要な場合は自衛隊も参加)の寄せ集めである。この寄せ集め形態がこれまでの海外派遣に様々な問題を引き起こしてきた。そして、今回もIRT-JFを例に取れば、当番が「東京・横浜・広島・船橋・茨城」と広域にわたっていたため集結までに時間がかかり、広島の隊員は出発時間に間に合わなかった。

 あわただしく寄せ集められた救助隊員39名に外務省とJICA職員が加わり、49名が成田空港で「結団式」を行なったのが翌9日の午前8時半であった。

 2時間後の10時46分、49人を乗せたTG671便は一路パキスタンのイスラマバードに向けて、と思いきやTGと言えば、タイ航空だ。バンコクに向かった。

 バンコクで飛行機を乗り換えた隊員たちが次に向かった先が、同じパキスタンでも被災地からはるか遠くのラホール空港だ。それも着いたのが、(日本時間)10日の午前3時35分である。そこから一行は陸路ラワルピンディのチャクワル空軍基地まで7時間近い車の旅を強いられた。そして、同基地からヘリコプターで北西辺境州バタグラム郡に飛んだ。さらに車で約2時間。同郡内のチャタグラムに到着したのが10日の午後5時。日本を飛び立ってから約30時間が経過していた。

 活動を開始したのが19時25分(現地時間の15時25分)だから「72時間」はクリアできたようだが、その日はほとんどが現地の状況の把握に費やされてしまい、救助活動はほとんど行えないまま一日目は終わってしまった。

11日から本格的な救出作業に入ったものの、これまでのところ翌12日に女性の遺体を一体発見したこと以外には確たる成果は報告されていない。

 もちろん、私はここで成果があったかなかったかを論じているのではない。救助活動においてそのような論議はナンセンスだからだ。それよりも、これまでの動きを検証することが肝要だ。

 残念ながら、このように内情を事細かに調べてみると相変わらずの対応の悪さが見えてくる。その対応の悪さはもちろん、救助チームをさしているのではない。現場の救助に携わる人たちはとても真摯に自分の役割を捉えており、普段からの技術向上にたゆまぬ努力と研鑽を重ねている。だが残念なことに、それを政府も行政も生かしきれていない。ひと言で斬ってしまえば、彼らに危機意識が欠如しているのだ。地震の第一報を聞いて直ちに救助隊を待機させて、専用機で飛ばせていれば、地震発生の翌日から活動は出来たはずだと思うのは私だけではないはずだ。現実に英国など何カ国かの救助隊は9日には活動を開始している。そして、生存者を瓦礫から救い出している。今回の経験を総括して、一刻も早く抜本的な改革が行なわれることを切望する。そしてわが国が「災害大国」から「災害支援大国」になる日を夢見ている。


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