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天木直人・メディアを創る ( 10/15) お門違いの造反議員批判
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投稿者 天木ファン 日時 2005 年 10 月 15 日 14:33:56: 2nLReFHhGZ7P6
 

10月15日―メディアを創る

 お門違いの造反議員批判

  筋書き通り郵政民営化法案が10月14日成立した。わずか一ヶ月前に反対票を投じた造反議員の大半が、同じ法案にもかかわらず、選挙後は手のひらを返したように賛成したことにメディアの批判が集中している。反対票を投じた彼らの政治信念を評価した有権者に対する裏切りではないかなどと激しく批判する。
しかしこのメディアの、判で押したようなバッシングは、メディアの更なる小泉支援にほかならない。メディアが批判すべきは、強引な形で欠陥法案を成立させ、それを「政治的奇跡」だと自己宣伝に利用している小泉首相の慢心なのだ。小泉批判をまったく行わずに、賛成票にまわらざるを得なかった負け犬議員を批判し国民の関心をそちらに向ける。小泉首相は笑いが止まらないであろう。
メディアが喝破しなければならないのは、「改革、改革」と叫び続けなければ人気を維持できない小泉政権の危うさである。あたかも自転車をこぎ続けなければ即座に倒れてしまう小泉首相の虚像である。その証拠に小泉首相はますます改革という言葉を強調するようになった。改革をやらなくても、改革が出来なくても、改革と叫び続けなければならない。もはや改革という言葉に自縄自縛された小泉首相がそこにある。メディアはそのいかさまを指摘すべきだ。「あなたは裸の王様だ」と国民の前で言わなければ八百長である。
造反議員にまわった自民党議員はさぞかし悔しかったであろう。しかし小泉自民党でなければ選挙に勝てないことを今回の総選挙が証明した。逆にどんな俄か候補者でも小泉自民党につき従えば政治家になれたのだ。問題はそのような選挙にしてしまった国民であり、その国民をうまく利用した小泉首相である。造反議員は胸を張って言えばいいのだ。「今でもあんな欠陥法案には反対だ。しかしそれを正しいと支持したのは国民ではないか。民意に従うのは当然ではないか。民意に従ったまでだ」と。
しかし、そもそもここでいう国民とは、「郵政民営化」を叫び続けるしかない小泉自民党に票を投じた国民であって、その数は5割にも満たない。しかもその5割にも満たない国民の果たしてどれだけが、小泉首相の唱える郵政民営化の内容を理解し、賛同して小泉首相を支持したというのか。
15日の朝刊各紙は、郵政民営化法案の成立を受けて、その法案の内容を詳しく報じている。それを読み返してみて、改めてこの民営化法案の複雑さ、不完全さを認識させられた。郵便のユニバーサルサービスを確保するために2兆円もの税金を投入するなら、一体何のための民営なのか。郵便事業に専念するべき郵便局が、なぜわざわざコンビに事業に手を出して、すでに十分に存在する民業を圧迫しなければならないのか。国民が安心して加入してきた郵貯、簡保を、何故わざわざリスクの高い金融業の競争の中にさらす必要があるのか、そもそも郵政公社の職員に、世界一巨額な金融資産を適切に運用する能力があるのか。このような基本的問題を、小泉郵政改革を支持して投票した国民の果たして何人が理解しているというのか。
元明治大学学長の岡野加穂留氏は15日付の朝日新聞「私の視点」のなかで、「法の成立ですべてが終わったわけではない・・・利用者の目から民営化プロセスを監視していかなければならない・・・それは決して旧守派の主張ではなく、自分たちの暮らしを守るための取り組みなのだ」と書いている。そのとおりだと思う。そしてメディアは、この複雑で膨大な郵政民営化法案がこれからどのように実行に移されていくのか、そしてその結果、果たしてこの郵政民営化法案は国民にとって有益なものなっていくのかを継続的に報道し、我々国民に正しい情報を提供する責務がある。
小泉首相は郵政改革の実施に向けて、今後一層熱心に指導力を発揮していかなければウソである。ゆめゆめ道路民営化法案のように、「これで終わった。あとは皆に任せる」とほったらかしにさせてはいけない。ましてや「欠陥法案だったからといって、たいしたことではない」と二度と言わせてはならないのである。

 無責任外交の極み

 郵政解散と総選挙の騒ぎの陰に隠され、忘れ去られようとしている外交の失態がある。日本の国連安保理常任理事国入りが完全に頓挫してしまったことである。
 いまの外務官僚にまともな外交を期待するほうが無理であるが、それにしてもこれほどお粗末な外交は近年でも珍しい。世界中の大使を東京に一同に集めて町村外務大臣が檄を飛ばしたパフォーマンスは記憶にあたらしい。御用学者の北岡伸一東大教授をわざわざ専任の国連大使に任命して事にあたらせたり、現地の大使がいるにもかかわらず多くの現役、OB官僚を頻繁に世界各国に派遣し賛成票を陳情したり、莫大な経済援助を餌にして恫喝したりと、およそ考えられるすべての浅知恵を使って工作を続けたにもかかわらず、加盟国の3分の2の賛成はおろかまともな国の支持が殆ど得られず、おまけに最後は、ブッシュ・小泉の緊密さを誇るはずだった米国にあっさりと「反対だ」と引導を渡されたのだ。最後までドイツなどとの四カ国共同決議案に固執した日本ではあったが、米国に一喝されたとたんに、一旦提出した決議案を取り下げて廃案にすると豹変したのである。
問題は、このような失敗に恬として恥じることなく責任をとろうとしない外務官僚の仕事ぶりである。こんな甘やかされた官僚からまともな仕事が生まれるはずはない。
もうかなり前の新聞になるが、10月3日付の日経新聞に西田恒夫外務審議官のインタビュー記事が載っていた。その言葉を読んであきれ果てた。
「何が誤算と言われてもよくわからない・・・今後どうするか考えている・・・(米国の反対は当初から想定していたのかという問いに答え)当然そうだ。米国が一定の数以上の拡大に非常に慎重だと言う事は前からわかっていた・・・ある時点でどこまで見通せる、見通せないと言われても答えようがない・・・そもそもこのような大事業が半年、一年で決まるとは到底考えられない。今回の国連総会の会期のうちに具体的な回答が出ないと、負けたとか失敗したとか言うのは敗北主義である・・・日本自身が安保理改革の旗を降ろさない限り改革の動きは続く。在外公館の大使も含め、このような外交戦にどこまで耐えうるのかという真価が問われている・・・」
なんという無責任な発言であることか。いままでの発言をあっさり変えて恥じることはない。あきれ果てていたら、週間ダイヤモンド10月15日号の政治評論家鈴木棟一氏の連載記事「新・永田町の暗闘」のなかで、外務官僚の更なる無責任発言を知った。選挙中の9月5日、日本経団連と主要官庁の事務次官による定例会が開かれた。居並ぶ経済界の代表を前にして谷内事務次官は「あれは失敗でしたな」と認めた上で三つの反省点についてこう言ったという。
「第一は、米国の同意が得られないような案はいくら持ち出してもダメとわかった。第二は、その前提として加盟国の三分の二にあたる128票を取り付けられる案でないとダメだ。第三に、なりたいという日本がプロモートするのではなく、中立的な第三国に担いでもらい提案してもらうことが大事だ」。
今までの外務省の戦略がすべてか違っていたことを認めているようなものだ。今更評論家のように外部の人間に他人事のように発現する神経を疑う。それを文句も言わず黙って聞いている財界人の従順さに、この国の民間人の卑屈さを見る。
鈴木氏の記事には最後にオチまでついていた。外務省は今後次のようなことを考えているというのだ。
「常任理事国入りはこれから毎年、何回でもトライする。日本の分担金比率は19.5%で、英仏が6%、中国が2%、ロシアは1%だ。来年日本は、常任理事国は10%以上負担せよと独自の提案をする。もし中露などが拒否権を使ったら、日本は払わずゼロにする。五年払わないと投票権を失うが、その前にちょっと払う」
この案に小泉首相は、「おもしろいじゃないか」と反応したという。そして、10月4日の参院予算委員会で小泉首相はつぎのように答えた。
「・・・常任理事国でない日本が米国以外の四カ国より分担金が多いのはいかがか。分担金の見直しを議論している・・・」
こんな対応で日本は各国の共感を得られると本気で思っているのだろうか。日本はますます国際社会から相手にされなくなる。外務官僚と二人三脚の四年半の小泉外交が行き詰まってしまった理由を見る思いだ。
そもそも本当に必要な国連改革とは何か。これについて10月3日の朝日新聞「時流自論」でオランダ人ジャーナリストのカレル・ヴァン・ウオルフレン氏が次のように指摘している。
「日本は、安保理事会の常任理事国入りを目指して全力で重ねている外交努力を、国連総会の強化、すなわち総会を、世界の問題を真に解決する場とする方向に振り向けるべきだ・・・安保理はもはや第二次大戦の遺物だ。現在国連総会は年に3ヶ月しか開かれない。しかも大半は議事手続きに費やされる。加盟国から選ばれた「常任執行委員会」が会期を通年に拡大し、長期的な利益に関わる計画を立案するようにしてもいいではないか。その実現に日本が取り組めば、日本は多くの支持と盟友を得ることになろう・・・」
その通りだと思う。しかし国連総会の強化こそ米国のもっとも嫌うところであり、今の外務官僚が米国の嫌うことを自ら率先するはずはないのである。たとえそれが国連の為であり、多くの加盟国が望むところの改革案であったとしても。


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