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資料:衆議院財務金融委員会議録  第154回国会 2002年6月12日
http://www.asyura2.com/0510/senkyo16/msg/587.html
投稿者 代理投稿1 日時 2005 年 11 月 03 日 12:12:20: IgficZuAves4c
 

(回答先: Re: 政府系金融機関「積極的に民営化を」財務相が軌道修正 [読売新聞] 投稿者 代理投稿1 日時 2005 年 11 月 03 日 11:43:17)

http://www014.upp.so-net.ne.jp/ISHIIKOKI/giziroku02-06-12.htm

衆議院財務金融委員会議録
第154回国会 6月12日

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下記文書の数字の整理
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国と地方の借金は 2002年度末で 1100兆円
主要金融機関の不良債権        107兆円

財投からの借り入れ
1970年   x兆円
1980年  XX兆円
1990年 178兆円
2000年 258兆円

国税収入税他(収入)  50兆円
我が国の予算(出費) 240兆円
GDP(名目)    510兆円

市場というものと権力というものとの関係において、我が国では権力が市場を支配している
その結果、市場経済というものを破壊している「分配経済」「官制経済」

特殊法人等による行政コストというのは、年間十五兆五千億円
不良債権の処理では市場経済の成果というもの出ない
もし予算編成の中でこの政府支出を減らすと、必然的にGDPの数値が下がってきて、
経済の成長率というものは下がっていく。
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○坂本委員長 次に、石井紘基君。

○石井(紘)委員 きょうは、ムーディーズのトム・バーン氏それからトム・ケラーさん、本当に、わざわざトム・バーン氏はアメリカから急遽御出席いただきましたことを改めて感謝を申し上げながら、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、私の質問でありますけれども、最初に、大体、日本の金融経済の実態について財務大臣に幾つか質問をいたしまして、その後に、ムーディーズに対して幾つか質問させていただきたいと思います。
 私の質問の大きな項目といたしましては、まず、我が国の財政における借金残高という問題。それから、よく千四百兆の国民金融資産があるんだというふうに喧伝されているわけですが、この実態の問題。それから、さらには、我が国の実際の歳出とGDPとの関係において、財政あるいは経済の実態。そして最後に、国債の保有状況との関連で、我が国の国債というものが、必ずしも市場ではなくて、政府みずからが保有しておる、このことがやはり国債の価値を大いに低めている、こういう問題について論じてまいりたいと思います。
 まず、我が国の長期債務の残高は、国と地方で、平成十四年度、今年度末で六百九十三兆円になるというふうに言われているわけでありますが、これには、実は政府の短期証券は含まれていない。それは含めないとしても、もう一方では、特殊法人の債務の一部、借金の一部を保証しているところの政府保証債務というのが五十八兆円もあるわけですね。これを含めないというのはいかがなものかという点について指摘をしなければならない。これを含めますと、七百五十兆円ぐらいに債務残高は膨らんでくるということになります。これは財務大臣、ちょっと見解を伺いますので聞いておいていただきたいと思うんですが。
 特殊法人、認可法人、これは公益法人は除いておりますが、公益法人にもあるんですが、この債務残高、これは約三百五十兆円。このうち、財投からの借入残高が二百六十兆円。これは、特殊法人等の借金も、これは国が法律をもって設立した機関でありまして、国の政策を遂行している機関でありますので、当然のことながら、これは国の借金である。これを含めますと、何と我が国の借金残高は一千百兆円になるということになります。
 この財投機関、特に特殊法人も含めるということは、これは財投計画というのは国の会計であるということもつけ加えなければなりません、国会へかけられる会計ですね。
 それからまた、財投機関には、特に特殊法人等には不良債権が非常に多い。大手の、大手というか主要な七つの金融機関だけでも百七兆円の不良債権を抱えておる。これは、今の、不良債権についての金融再生法の開示基準に従った算出を行って、この七つの金融機関、政府系金融機関というのはもっとたくさんあるわけでありますけれども、七つだけで百七兆円を超えているという状況ですね。
 これらの特殊法人等の借金というのは、返済が極めて困難な状況にある。年々歳々、この借金残高というものはどんどんふえておる。例えば一九九〇年から比較してみますと、一九九〇年の、これは財投からの借り入れだけで、残高は百七十八兆円でありました。これが十年後の二〇〇〇年になりますと二百五十八兆四千億というふうに、十年間でこれほど膨らんでおりますし、またさらに十年さかのぼると、これはもう一けた少なかったわけであります。二十年もさかのぼりますと、数兆円という金額だったわけであります。
 この財投機関、特に特殊法人等の借金残高というのは、これはもうウナギ登りでありまして、御案内のとおり、借金を返済するために新たに借金をするというような構造になっているというところから見ても、これは、特殊法人等の借金は国の借金である、こういうふうに理解をしなけりゃならないというふうに思いますが、これまで私が述べましたことについて、財務大臣の見解を伺いたいと思います。

○塩川国務大臣 今申されました数字はおおよそ仰せのとおりの数字でございまして、私の方から訂正するような数字ではございません。

○石井(紘)委員 ムーディーズの皆さん、ぜひよく聞いておいていただきたいと思います。
 それからもう一つは、千四百兆の国民金融資産があるんだということを盛んに言われるわけですが、これは第一に政府の資産ではないということは当然のことですね。それからまた、このうちの四百兆円は、見てみますと、これは将来国民が受け取るはずになっているところの保険とか年金の積立金ですね。それからもう一つは、一方には、国民の負債というものは財務省の統計でも三百九十兆、約四百兆出ておるというのがございます。いずれにしても、金融資産として存在するのは約六百兆円程度ではないかというふうに推計されるわけでありますが、この点についてはいかがですか。

○谷口副大臣 石井委員のお尋ねでございますが、千四百兆円の個人金融資産があると。これが、昨年末の運用状況を見ますと、おっしゃるように、保険、年金に四百七兆円、有価証券が百二十兆円、預貯金に七百三十一兆円と、この千四百兆円の個人金融資産がそのような形態で運用されているというような状況でございます。
 また、おっしゃるような、この借入金が、負債が四百兆円というようなお話がありました。御存じのとおり、資産が千四百兆円、また一方で負債が四百兆円、これはもう両建てなものでございますので、一方で千四百兆円の資産がそれぞれの形態で運用されておって、また一方で負債が四百兆円ある、このようなことになっておるわけでございます。

○石井(紘)委員 年金や保険の積立金が運用されているというんですが、この運用の実態は極めて惨たんたる状況であるということは、先ほどの特殊法人についても一部申し上げましたので省略をいたしますが、実態としては、この部分はもうほとんどカウント不可能に近いというふうに言わざるを得ないと思います。
 それからもう一つは、対外資産が膨大にあるんだということが言われます。対外資産は、これもまた大部分は国民のものであって、政府のものではない。公的部門における資産は、対外資産合計三百七十九兆円、三百八十兆円ぐらいのうちの八十五兆でございますね。それに対して、公的部門の負債は三十兆。そうすると、公的部門における純資産は五十四、五兆ということになると思います。
 しかしながら、こうした対外資産というものも、これは公的部門の場合は調達によるものである、大部分が。もう一つは、発展途上国なんかの国債を少しずつ引き受けるとか、そうした外交的な要素のあるものとかも、かなり含まれております。外貨準備等につきましても、五十二、三兆ございますが、こうしたものはその都度調達をしながら回している、こういう性質のものであるということについても御確認をいただきたいと思いますが、財務大臣、いかがですか。

○塩川国務大臣 おおよそ調べがあっての話だろうから、間違いないと思います。

○石井(紘)委員 まあ、簡明な答弁で大変結構でございます。
 あと、経済の実態については、先ほど来のいろいろな不良債権の議論だとか、あるいは企業倒産なんというのも、これはもう戦後二番目の数に上っておるし、毎年十四、五兆円という負債総額でもって倒産が上昇しておる。倒産件数あるいは負債額が上昇しておるということも経済の実情でございます。まあ、それは蛇足でございますが。
 次に、我が国の歳出とGDPの関係について申し上げたい。
 これはなぜ申し上げるかといいますと、GDPに占めるところの政府支出というものが我が国の場合は異常に高いということから、市場経済というものが円滑に回らないという状況があるということであります。つまり、日本経済には、資本の拡大再生産機能といいますか、そうしたものが失われているということを言わなければならないわけです。つまり、日本という国は、そういう、市場性を失わせる、いわば分配経済といいますか、そういうシステムに貫かれておるということですね。それは、先日来の公共事業からのいろいろなピンはねというような仕組みというものとも関係しているんですが、これは今ちょっと余分なことを申し上げました。
 まず、政府の歳出について、これは一体全体幾らなのか、そもそも、こういう幼稚な議論からしなきゃならぬわけであります。これが、正確には実はだれにもわからない。試しに財務大臣に伺ってみようかと思うわけでございます。これは、私は、昨年のたしか春に、宮澤前当時は大蔵大臣でしたか財務大臣でしたか、聞いたことがあるんですね。そうしたら、宮澤大臣は、研究してみますという答弁でございました。塩川大臣はいかがでございますか。

○塩川国務大臣 ちょっと質問の趣旨がはっきりわからないんですけれども、要するに、お聞きになっていることは、一般会計の中で一般歳出予算は幾らかというお尋ねですか。どういうことなんでしょうか。はっきりちょっと聞いてください。

○石井(紘)委員 では、もう少し申し上げます。
 国の予算というのは、御案内のとおり、一般会計予算と特別会計の予算、それから、最近では財政投融資計画というのも国会にかけられるようになりまして、その御三家といいますか、その三つの財布があるというふうに思います。
 特に、一般会計でもって通常議論されるわけでありますが、実は、一般会計というのは、カムフラージュというような性質のものでございまして、一般会計のうちの大部分、つまり、八十一兆なら八十一兆のうちの五十兆以上は特別会計にすぐ回ってしまうわけですね。特別会計の規模は、御案内のとおり、最近ではもう三百八十兆というような規模になっているわけですね。
 そこで、三つの財布をそれぞれ行ったり来たりしておりますから、こっちの財布から政府外に、つまり、国民にといいますか、出ていったり、あるいはこっちの財布から出ていったり、こっちの財布からこっちの財布を経由して出ていったり、そういう非常に複雑きわまりない構造になっておりますが、そういう中で、果たして、国の歳入歳出という面からいったら幾らになるか。これは純計しなければなりません、これらの財布を。それがすなわち我が国の国家予算なんです。年間の国家予算なんです。それは、到底、八十兆やそこらのものじゃありません。それを、私は、今からちょっと計算してみたいと思うわけであります。
 そこで、申し上げましたように、一般会計は十四年度八十一兆です。特別会計は三百八十二兆。これを純計いたしますと、二百四十八兆円でございます、行ったり来たりしておりますからね。それで、さらにその中から内部で移転をするだけの会計の部分があるんですね。整理、移転というものがあります。この部分約五十兆円でありますから、これを除きますと、純粋の歳出は約二百兆円であります。我が国の予算は二百兆円でありますから、どうぞ、ひとつ、財務大臣、御認識をいただきたいと思うのであります。
 こういうような議論、これはアメリカの連邦政府の予算にほぼ匹敵するというか、アメリカの連邦政府の予算よりちょっと多いぐらいの規模でございます。これは連邦政府のレベルで、我が国の場合も地方の分は今入れないでお話を申し上げて……(発言する者あり)あなたも、知らないでぐずぐず言っていないで、よく聞いていなさいよ。

○坂本委員長 お静かに願います。

○石井(紘)委員 二百兆円、国税収入が税プラスその他でもって五十兆円になるかならないかというのに、二百兆円の予算を組まれているということは、これはすなわち国債の発行だとか、あるいは郵貯の資金二百五十五兆円、年金資金百四十兆円、あるいは簡保の資金百十兆円、その他の資金五十兆円というようなものを、投資とか融資に主として充てている。公共事業なんというのは、こういうものでもってかなり投資活動として行われているわけです。
 したがって、こういうふうに見てみますと、一方でGDPは名目で約五百十兆円ぐらいですね。そうすると、このGDPに占めるところの中央政府の歳出というのは、何と三九%に上ります。
 ちなみに、アメリカの場合は連邦段階で一八%、イギリスの場合は中央政府で二七%、ドイツも一二・五%、フランス一九%、大体そんなふうになっているわけです。
 さらに、これに、政府の支出という意味でいきますと、地方政府の支出を当然含めなければなりませんから、我が国の場合、これも純計をして、途中を省きますが申し上げますと、大体これに四十兆円超加えなければなりません。そうすると、一般政府全体の歳出は約二百四十兆円というふうになるんです。これは何とGDPの四七%であります。GDPの四七%。
 GDPというものの性質上、政府の支出、例えば公的固定資産形成とかそういう項目に入っているGDPの数値というものは、もう一回その一部は最終消費支出で、家計簿でまた出てくるというような性質があるわけですね。そうしたことを勘案してみますと、我が国のGDPの場合、実質五割以上は、半分以上は実は一般政府の支出によるものである、したがって、市場からの成果というものは極めて限られたものだ……(発言する者あり)あなた、よく聞いておいた方がいいですよ。後でよく勉強したらいい。そういう国の仕組みというふうになっているんですね。
 これは実は、市場というものと権力というものとの関係において、我が国では権力が市場を支配している。これは今枚挙にいとまがありませんから、法制度やあるいは財政の仕組み等々についてはこれ以上申し上げませんが、権力が市場を支配している。その結果、市場経済というものを破壊しているというところがあるんです。
 こうした我が国の実態というものが、先ほど申し上げました分配経済と呼ぶべきものですね。私の言葉で言えば、私は官制経済というふうに申し上げているわけであります。これは、ここでは本質的に資本の拡大再生産というものは行われない、財政の乗数効果というものは発揮されない、こういう体制にあるんです。
 財務大臣、よく聞いておいてください。いいですか。これは後で、なぜこういうことを一々言っているかということを……(発言する者あり)いいですか。自民党の、あなた、与党の皆さんがよく聞いていなきゃだめですよ。
 一方、国民負担率というものは、我が国の場合は、私はもう今既に限界に達しているんだと思うんですね。
 財務省の数字によりますと、潜在的な負担率も含めて四八%と言っておりますが、しかし、これは先ほど申し上げました特殊法人等から生ずる負担というものがカウントされておりません。財務省が昨年九月に出したところの特殊法人等による行政コストというのは、年間十五兆五千億円くらいあると言うんです。
 こういうものを含めると、国民負担率、これは当然、例えば電気にしても、ガスや水道なんかのそういう公共料金、運賃や何かも含めて、こういうものは特殊法人という、認可法人や公益法人も入りますが、総称して特殊法人というものによって、このコストが乗ってくるわけでありますから、そうした将来にかかるコストと、現実に日常的にかかるところのコストというものがオーバーラップしてあります。こうしたものを含めた国民負担率というものは、もう六〇%に近づいているだろうというふうに考えられます。日本の不安定な社会保障の実態というものとあわせて考えると、これは六割近い国民負担率というものは非常に異常な状況であると言わざるを得ないと思います。
 さて、こういうことでございますから、財務大臣、これは一生懸命不良債権の処理とかやっておりますけれども、日本ではこの市場経済の成果というものはほとんど出てこないんですよ。財政も法制度もあるいは政策もそうした行政主導でもっていっておりますから、出てこない。税収も伸びてきません。GDPに対する政府支出の割合というのはそんなに大きいですから、ですから、もし予算編成の中でこの政府支出を減らしますと、必然的にGDPの数値が下がってきて、経済の成長率というものは下がっていくというような、漠然とですけれども、そういう構造になっているということを認識してもらわなくちゃいけないんですよ。いいですか。
 今まで申し上げましたことについて、財務大臣の御認識を伺いたい。どうですか。

○塩川国務大臣 御意見としてお述べになりましたのでございますから、私が否定するようなこともございません。

○石井(紘)委員 そこで、それでは、ムーディーズの今回の日本国債の格下げということは、どのぐらいの位置づけがふさわしいかどうかということはこれは別といたしまして、日本国債が非常に弱い状況にあるという意味では、私は、極めて適切であったし、また、そのことが日本の財政当局あるいは経済に対して大きなやはりインパクトを与える、今のような議論ができるということもこれもまた格付会社のおかげであろうかというふうにも思いますが、そういう意味で大変感謝しているわけです。
 そこで、まず二つほど伺いたいのは、財政投融資資金によるところの特殊法人等の多額の借金があって、こうしたものを初めとして、日本政府の債務残高というものは表に出ているよりはさらに実態は悪いのではないかというふうにお考えになるかどうかというのが第一点。
 それから、GDPに対して、これは市場経済の機能ということがあるわけですが、そのGDPにおいて政府支出が過半を占めている。これは市場経済の機能の低下といいますか、これと反比例して市場経済が痛めつけられている、そういう可能性が私は高いし、それはさまざまな今まで申し上げたような数値にも出てきているということだと思いますが、この二点について、まず御見解を伺いたいと思うんですが、いかがですか。

○バーン参考人(通訳) 石井さんにお答えいたします。
 まず申し上げたいのが、私どものこの分析は独立の形で行われたということであります。いろいろな影響があったとしても、それが直接私どものこの評価、いわゆる与信の評価、そしてデフォルトの確率に影響を及ぼすものではありません。
 具体的な質問にお答えいたしますと、まず第一点目。まず、この評価、財投融資に関する評価、そして、それ以外の資産に関する評価についてであります。
 まず、OECDなどが非常に興味深い指摘をしております。とりわけ国内資産、日本の公共部門の国内資産についての評価方法であります。また、学問の分野、アカデミックスタディーにおきましても興味深い点を出しております。両者ともに、やはりこうした資産の過大評価が行われているのではないかという点が共通しているわけです。
 実際に、その学問的な研究によりますと、よりこの点に関しましては悲観的な見解が出されております。また、OECDの方がむしろその資産評価に関しては過小評価しているというようなことも学問的研究で言われております。
 また、OECDの分析でも指摘されておりますけれども、この公共部門の資産は、実際にそれが政府がすぐに使えるようなものがあったとしても、規模的にはこの債務、負債を支払うには十分ではない、この政府債務の問題解決には十分ではないと言っております。
 ただ、我々にとってもっと重要なのは、この一般的な政府債務というのが、これは既にこの測定が容易になっております政府のBS、この貸借対照表にも出ておりまして、これは長期的には上昇の機運を見せております。これは今後ともふえていくだろうというふうに、そして、さらに時間の経過とともに、ほかの既存の政府資産、それが何であれ、それらをやはり動員して将来の偶発債務に充てなければならない、例えば、この国民年金基金などに対しての偶発債務に支払うために充てなければならないというふうなことが示唆されております。
 そのほかの点に関しまして、例えば、この債務の規模ということでありますけれども、基本的に、私どもの債務の計算評価、これについてはいろいろな異論はあるかと思いますけれども、私どもの分析の基礎は、これはOECD、IMFなどでも出されております。最近のIMFの経済見通し、日本の、その中で、債務を一四〇%、つまり二〇〇一年に関係しましては一四〇%、GDP比でありますけれども、今、達している。今後二年間、それがさらに増加するであろうという見通しを出しております。
 ここで我々にとって重要なのは、やはり公的債務がふえていくということ、とりわけ、非常にこれはやはり戦後の平和時においては最大のレベルに達しているわけで、それがさらにこれだけ上昇の可能性があるということは、やはり危機のリスクというものも高まっているというふうに我々は理解しております。

○石井(紘)委員 ありがとうございました。
 さらに、私がお出しをするデータを検討していただいて、実は国際的に、OECDでもいいしアメリカでもいいんですが、日本政府、今も聞いていただいてお気づきのとおり、財務大臣を初めとして政府の関係者も、日本の財政あるいは経済の実態というものを、私に言わせれば、そのポイントをつかんでいないわけでありますので、そういう点でも影響力を行使していただくのが一番近道だろう。
 私が最近出した「日本が自滅する日」というこの本は、今アメリカでも翻訳をされておりますが、やはりアメリカから言っていただくのが、自民党なんかあんな調子ですから、一番効果があるんじゃないか、こういうこともございます。そういう意味で、ぜひ適切な、これまで以上に適切な、日本経済、日本財政に対する御認識をいただきたい。
 そういう思いから、次に、我が国の国債そのものの保有の実態というものを申し上げてみたいと思います。
 我が国では、日銀の統計で出てきているところによりますと、国債の時価評価におけるところの現在高は、四百五十二兆円というふうに出ております。そのうちの、政府機関がどれくらい持っているのかということが私の重要な関心事であります。政府機関、自分の借金を自分で負っているということは、非常に不自然な姿であります。まさにこのことが、国債の評価を決定的に低める要因になることだろうというふうに思うわけであります。
 そこで、政府関係の所有状況につきまして申し上げますと、日銀の統計をもとにしております、これは財務省の財政融資資金が七十二兆七千億ぐらい持っております。それから、郵貯と簡保の特別会計、郵便貯金と簡易保険特別会計が、合わせて八十二兆円保有しております。これはいずれも、昨年の十二月末現在です。それから、日銀が六十八兆円持っておる。これだけですと約二百二十三兆円なんですが、それに加えて、日銀の統計には証券会社とか証券投資信託というような民間金融機関の保有の項目がございますが、この中に実は政府系の機関の保有している国債が一部含まれているのであります。
 それはどういうものかといいますと、四十二の特殊法人が約十八兆四千億円の国債を所有しております。赤字でどうしようもない、借金がたまっていてどうしようもない、こういう特殊法人が国債を何と十八兆四千億円抱えておる。それからまた農林中金、これも法律によって設置をされましたところの一種の特殊法人であります。これが七兆六千億円。この農林中金と特殊法人全体で二十六兆円の国債を保有しておりまして、政府系全体でトータルをいたしますと二百四十九兆円であります。これは現在時価総額の、国債の総額の五五%に当たります。こういう状況です。
 しかし、これは昨年十二月末ですから、それから今日まで半年経過をして、郵貯や簡保の所有分、あるいは日銀の所有分というものがさらに大幅にふえているのが実態でありますから、さらにこの割合はふえてまいります。
 例えば、総務省にちょっと数字だけ言っていただければ結構ですが、昨年末の段階と現在とを比べると、郵貯が保有している金額は幾らになりますか。

○斎尾政府参考人 お答えいたします。
 郵貯、簡保の国債保有額でございますけれども、平成十三年度末の状況について、現在決算の取りまとめ中でございますけれども、郵貯で約五十三兆円、それから簡保で約三十七兆円となる見込みでございます。

○石井(紘)委員 そうすると、先ほど私は二〇〇一年十二月末現在で郵貯、簡保で合わせて八十二兆円と言いましたが、今言われた数字ですと合計九十兆になりますが、これは統計をとった時点が違うんじゃないでしょうかね。これは昨年十二月末現在ですか、今言われた数字は。

○斎尾政府参考人 ただいま私が申し上げました数字は、十三年度末でございます。したがいまして、十四年の三月末の状況でございます。

○石井(紘)委員 年度で言われたわけですね。
 そうすると、ちょっと今ムーディーズの方がいらっしゃるから私は西暦で言っているわけですが、そうすると、年度で言うと、西暦が言いにくいんですね。
 そうすると、昨年十二月からことし三月までの間にこれだけ変化したということは、どういうことになりますかね。それは後でちょっと分析してください。
 それから、日銀の場合はいかがですか。先ほど私は二〇〇一年十二月で六十八兆円と言ったんですが、その後の変化はいかがですか。

○雨宮参考人 お答え申し上げます。
 今先生が御指摘になられた数字は、私どもの資金循環勘定というベースの数字かと存じますけれども、これはいわゆるファイナンシングビルと申しまして、政府短期証券を含むかどうかで若干数字のベースが異なりますけれども、それを前提に申し上げますと、私どもの国債の保有残高は、昨年十二月末が七十六兆円でございました。これが、直近の五月末ですと八十五兆円でございますので、増加額だけ申し上げますと、この間、九兆円増加しているというような数字になっております。

○石井(紘)委員 平成十三年度末で八十五兆円ということですか。

○雨宮参考人 十三年度末で申し上げますと、八十七兆円でございます。

○石井(紘)委員 そうすると、これが日銀は、二〇〇一年十二月末と十三年度末ですと三カ月ですから、この三カ月の間に七十六兆から八十七兆にふえた。それから、先ほどの郵貯、簡保は八十二兆から九十兆に八兆円ふえたというような調子で、政府機関の保有というのはその後もどんどんふえているわけですね。こうした実情、これはまさに自分の足を自分で食う、タコが足を食うという、英語でも言うでしょうけれども、日本語では言います。
 それからまた、これは普通の企業でいえば、出しちゃいけない融通手形ですね、こういうものを乱発しておる、好きなだけ借金をふやしておる。それはだれの保証も要らない、自分で保証していればいいんだというような、大変私は、ムーディーズの皆さんを前にして、日本国民として恥ずかしい話で、情けない話でありますけれども、しかし、そういうことを私たちも認識をしなきゃいけませんので申し上げるわけでありますが、こうした国債の保有状況について、トム・バーンさんにまた御見解を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○バーン参考人(通訳) 石井先生に回答申し上げたいと思います。
 日本は、非常に高い一般政府債務を抱えているというふうに書いてあります。また、最近のプレスリリースにおきまして、日本政府は、ほかの先進国に比べまして、かなり高い債務負担を抱えることができる余裕があるというふうに考えております。それは政府の債務市場の構造によるものと考えております。
 今おっしゃった市場構造ですが、その保有構造が高い、金融システムの中での保有率が高い、または財投における保有残高が高い、あるいはバンク・オブ・ジャパン、日本銀行における保有残高が高いという理由かと思います。
 最終的には、もちろん一般的な家計部門の貯蓄が政府の赤字をカバーするというふうに考えておりますけれども、このシステムの特異性ゆえに、例えば外部との連携があるために、リスクは時間の経過とともに、例えばそのような大きな債務の信用リスクというのは増大しておりますけれども、安定性の要素があるというふうに考えております。というのは、これは日本の中だけにとどまっているからであります。そのために、安定的な見通し、これはパラドックスに聞こえるかもしれませんが、を持っております。例えば、同時に大きな危機があるというふうには考えておりません。
 また、見通しは、その信用リスク、これはA2の格付になっておりますが、これはもちろんトリプルAほど強くありませんけれども、ある特定のリスクのエレメントはあるけれども、今現在は喫緊のものではないというふうに考えております。

○石井(紘)委員 いわゆる市場において、株式等については外人買いといいますか、外国からの買い注文も相当部分あるんですが、国債については、外国に出ていかないというのもございますし、それからまた、最近政府は、昨年から一生懸命国民が国債を買うようにという竹下景子なんというのを使ってテレビのコマーシャルをやったりしておりますが、さっぱりふえません。そういうふうに、国内でも国債の人気というものは非常に低い。
 こういう中で、もう一回ムーディーズに聞きたいんですが、先に財務大臣、こういう国債の所有の形態、実態というものを見て、これでいいのかどうなのか。こうしたものは、先ほどの政府支出のGDPとの関係の問題にしても、構造改革の中で基本的な問題として改革を進めていかなきゃならない問題じゃないのかどうなのか。これは後ろの方、副大臣じゃなくて、財務大臣に伺います。

○塩川国務大臣 私は、別に異常を感じておりません。

○石井(紘)委員 要するに、不感症ということですね。そういうことをムーディーズの代表の前で言われますと、ますます日本の評価というものは国際的に下がっていくだろうと心配をするわけであります。
 もう一度、トム・バーンさん、日本の財政状況は極めて厳しいと先ほど分析をされましたが、そういう状況でございまして、そういう中で国債の格付というものは、私は、もう二段階この間下げられましたから、しばらくは下がらないとは思いますが、将来下がる可能性というものはあるというふうにお考えでしょうか、ないというふうにお考えでしょうか。

○バーン参考人(通訳) 御質問にお答えしたいと思います、石井先生。
 この格付の見通しですけれども、弊社にとりましては、安定的な格付の見通し、これは一年、二年後を念頭に置いております。確率は五〇%以下、つまり、格付を見直す可能性は五〇%以下であるというふうに考えております。これは格付を下げる、あるいは格上げの可能性に関して、両方に関してのことだと思います。
 この安定的な見通しですけれども、これもやはりパラドックスかもしれませんけれども、安定的と申しましても、確かに政府の債務は、今後もこの期間、増大するものと予測しております。また、経済は今後も不振を続けるというふうに考えております。
 また、補足いたしますと、思いますに、日本は難しい局面に直面していると思います。政策のジレンマを抱えていると思います。速水総裁ですけれども、最近のスピーチにおきまして、金融緩和がまだきちんと経済のアクティビティーを回復させていないというふうに言っております。また、日本銀行は、金融政策だけでは十分ではない、構造的な改革によって補完されなければいけないと言っております。また、NPLの問題、そして金融システムの問題の解決が必要であると言っております。それから、日本におけるデフレーションのスパイラルの可能性はありますけれども、すべての政策をまとめた場合には、経済の回復が民間セクターによって牽引されるのではないかと言っております。
 私たちが認識している一つの問題ですけれども、経済はもちろんリストラが必要であると考えておりますが、この合理化というのは苦痛が伴うものというふうに考えております。これは、例えば失業率の増加であるとかによって反映されておりますが、それらのバランスをとるのは、為政者によっては、例えば信頼性が失われるのではないかといった懸念もあります。
 ただ、当局は、経済がより深刻な不振状況に陥ることを防止するものというふうに考えております。ただし、究極的には、もしこの合理化そしてマクロ経済の実効性がうまくいかなかった場合には、高齢化による負担、そして政府に対する予算への負担、また公共部門への負担が、経済にとってもかなり深刻な影響を及ぼすものと思っております。そして、政府の公共部門の債務の間にも大きな影響を与えると思っております。

○石井(紘)委員 ありがとうございました。今のお話でも、政策のジレンマに陥っている、構造改革が必要であるということがあったと思いますが、実はこの構造改革、我が国の政府はちょっとこの方向を間違っておりまして、勘違いの方に構造改革が進んでいるんです。
 それで、実はこの公的セクターの経済活動、これが非常に大きいということを私は先ほど来申し上げているわけです。これは民間の経済、つまり、民間の経済ということはないか、経済は民間がやるものですから、市場の経済活動に対して大きな制約になっているというふうに思いますが、この公的セクターの公共事業等を初めとする経済活動、日本ではこれが大き過ぎるためにこうした財政の窮状といいますか実態をもたらしている。こういう点については御見解はいかがでしょうか。
 それから、もう一つは、したがって、政府の投資活動、投資事業、こうしたものを予算的に縮小して、GDPとの関係においてもその割合を減らしていかなければならないというふうに思いますが、その点について、突然の質問でございますけれども、御見解がありましたら伺わせていただきたいと思います。

○バーン参考人(通訳) 石井先生、私の回答ですけれども、先ほど申し上げましたように、日本の一般政府の債務の問題、これはもう既に特定されているものと思います。非常に大きな債務、これは平時における非常に大きな債務であるというふうに考えており、またさらに増大するものと思っております。
 具体的な、定量的な意味では、まだ数字は盛り込んでおりませんけれども、ただ、偶発的な債務というのは金融システムにおいて存在し続けるものと思っております。また、財投機関も、将来的には政府のバランスシートの中に盛り込まなければいけないかもしれません、資本化されなければいけないかもしれません。また、その具体的な数字については今はございませんが。
 そして、私たちの役割というのは、政策の効果を信用リスクという意味から評価することにあります。これは債券の、日本国債の所有者、保有者に対しての信用リスクを明らかにすることであります。私たちは、日本の政府に対する政策の諮問機関の役割は示しておりません。また、信用リスク、これこそが弊社の格付が模索しているものであります。それよりも大きなものあるいは小さなものを対象にしているのではなく、狭義にその信用のリスクをその債務に関して評価するものであります。

○石井(紘)委員 私どもにとりまして大変参考になる、すばらしい御見解を伺わせていただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。
 これまでのトム・バーン氏のお話の中には、我が国の債務はさらに増大するということの明言がございました。このままいけば今後のさらなる格下げということも五〇%の可能性があるということを言われたと思いますが、さてそこでどうしたらいいのかということは私どもの問題でございますから、これは御列席の、特に与党のあの辺の皆さんはよく勉強していただかなきゃならないと思います。
 最後に余計なことを申し上げましたけれども、以上でもって終わらせていただきます。ありがとうございました。


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