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ハンセン病台湾訴訟 国が控訴 早期救済、道険しく―「毎日新聞」
http://www.asyura2.com/0510/senkyo16/msg/867.html
投稿者 天木ファン 日時 2005 年 11 月 09 日 19:40:20: 2nLReFHhGZ7P6
 

(回答先: 天木直人・メディアを創る ( 11/09) ハンセン病台湾訴訟に動かぬ小泉首相 投稿者 天木ファン 日時 2005 年 11 月 09 日 11:47:46)

クローズアップ2005:ハンセン病台湾訴訟 国が控訴 早期救済、道険しく
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/closeup/news/20051109ddm003040100000c.html

 ◇平均81歳…残された時間は少ない

 植民地統治時代の台湾のハンセン病療養所入所者が、日本政府に補償を求め勝訴した訴訟は8日、国が控訴した。既に原告側が控訴している韓国ハンセン病訴訟とともに、東京高裁に舞台は移った。厚生労働省は同日、早急に救済策を打ち出す方針を表明したが、日本の入所者より低額の補償となるのは必至で、「満額」を求める原告側との隔たりは大きい。国の責任を認めた熊本地裁判決を受けて、ハンセン病補償法が成立した01年当時に比べ、政治の動きも鈍い。「時間稼ぎ」の本音ものぞく国の控訴に、平均年齢81歳を超える原告は怒りを強めている。【江刺正嘉、小林直、米村耕一】

 ◇「日本人と同額無理」−−厚労省

 「できるだけ早くやれと指示している」。救済策について、川崎二郎厚生労働相は、8日の会見で強調した。過去の隔離政策を反省しての発言だが、「裁判の長期化で、原告たちが次々と他界すれば、厳しい批判にさらされることを恐れている」(政府関係者)という側面もあった。

 それでも、控訴の道を選んだのはなぜか。

 10月25日の二つの東京地裁判決は、韓国訴訟で原告敗訴とする一方、台湾訴訟では、国に日本の入所者同様の補償金(800万円)を支給するよう命じた。このねじれた判断が、厚労省を戸惑わせた。

 「時間が欲しい」。厚労省幹部は控訴を決断した際、こう漏らしたという。そこには「控訴審で時間を稼ぎ、最後は政治決着で解決を」という本音がにじむ。実際、判決後に法務省と協議した際、厚労省が最も気にしていたのは、控訴審にかかる時間と勝算だった。

 協議の中で、厚労省は「日本人と同額の補償を命じた台湾訴訟の判決は、受け入れられない」と強調。「隔離政策を始めたのは日本だが、戦後も隔離を続けた以上、韓国、台湾両政府も責任を免れない」と、その根拠を訴えたという。「日本の入所者より低額の補償」。これが国の救済策の譲れない一線というわけだ。

 しかし、のど元には、敗訴した台湾訴訟が突きつけられている。このまま敗訴が確定し「日本人と同額の救済が妥当」という台湾訴訟の司法判断が確定すれば、日本人より低額の補償は「憲法の平等原則に違反した救済策」になってしまう。

 このため、厚労省関係者は「救済策の大前提は、台湾訴訟の原告が訴訟を取り下げること」と明かす。だが、原告側弁護団は「勝訴したのに譲歩など考えられない」と反発する。韓国訴訟の原告が、不平等な救済策を受け入れるはずもない。

 「政府・与党が動かなければ事態は打開できない」。厚労省幹部は、政治決着にかけるしかない心境を語っている。

 ◇「不平等は許されぬ」−−原告側

 「不誠実な対応で、解決する気があるのか疑問だ」。両訴訟の弁護団は8日、強い口調で国を批判した。

 台湾訴訟原告の陳石獅さん(82)は「私の願いは、日本政府の謝罪と補償だけ。日本の入所者と平等な解決しかあり得ない」と訴えた。

 国の控訴を受けこの日午後、原告・弁護団と厚労省との初めての交渉が同省内で行われた。原告側は、救済策をまとめる際、原告側の意見を聞く機会や窓口を設けるよう要請。しかし、非公開で約1時間行われた話し合いで、関山昌人・疾病対策課長は「スピーディーに対応したい」と繰り返すだけで、具体的な回答が一切なかった。

 また、韓国、台湾のほか、統治下にあった南太平洋の4カ国が補償の検討対象に加えられたことについても、弁護団は「厚労省が事前に4カ国を調査した形跡もなく、韓国、台湾の解決を引き延ばす材料に使っている」と非難した。

 原告側が控訴断念を強く求めたのは、早期解決が遠のくだけでなく、国内入所者と同じ補償金を得るという「平等原則」が崩れる可能性が強いためだ。

 実際、川崎厚労相は8日の閣議後会見で、国内入所者への補償金よりも減額する可能性を早くも示唆している。

 原告側は、今年3月に第三者機関「ハンセン病問題に関する検証会議」が厚労省に提出した報告書で「両施設で日本と同等かそれ以上の人権侵害があった」と指摘されている点を根拠に「減額は新たな不平等を生み、国際的な非難を免れない」として、同額の補償を訴える方針だ。

 また、二つの判決がいずれも「厚労省告示」に両施設を加えれば補償対象になるとの認識を示している点を強調し、新法制定や補償法の改正ではなく、告示の改定による速やかな補償を求める。

 ◇小泉首相、今回は沈黙−−政治解決の動き見られず

 01年5月、国が敗訴したハンセン病訴訟で、小泉純一郎首相は原告団らの訴えを直接聞き、控訴断念の決断をした。だが今回は、首相サイドは早い段階から「政治判断はしない」と事務レベルでの対応を指示。首相は存在感を示さなかった。

 4年前、政府は判決を不服として、事務方レベルで控訴に向けた手続きを進めていた。これを翻したのが首相の決断。「元患者の苦痛を放置できない」と控訴を断念し、「政治が法律論を打ち破った」と話題になった。

 今回、首相が乗り出さなかった理由について、首相周辺は二つの判決が食い違ったことを挙げる。「控訴を断念すればもう一方の救済が難しくなる。控訴したうえで両方の救済策を考えればいい」との判断からだ。

 ただ、前回とは政治状況が違う。4年前は小泉政権が発足してわずか1カ月。民意を味方に政権の安定を図ることが必要な時期でもあった。

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 ■韓国、台湾のハンセン病療養所を巡る動き■

1907年    日本の隔離政策始まる

  16年    朝鮮総督府が「小鹿島慈恵医院」開設

  30年    台湾総督府が「癩(らい)療養所楽生院」開設

  31年    旧癩予防法制定

  45年    終戦で両療養所から日本人職員撤退

  53年    らい予防法制定

  96年    らい予防法廃止

  98年 7月 熊本、鹿児島の元患者13人が国に賠償を求めて熊本地裁に初提訴

2001年 5月 熊本地裁がらい予防法を違憲として国に賠償命令。国は控訴断念

      6月 ハンセン病補償法が成立、施行

  03年12月 小鹿島入所者が厚生労働省に補償請求

  04年 8月 厚労省が補償請求棄却。韓国訴訟提訴

         楽生院入所者も補償請求

     10月 厚労省が楽生院入所者の請求棄却

     12月 台湾訴訟提訴

  05年10月 東京地裁判決。台湾訴訟で原告勝訴、韓国訴訟で原告敗訴

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 ■ことば

 ◇韓国・台湾ハンセン病訴訟

 朝鮮総督府が開設した「小鹿島(ソロクト)慈恵医院」(現・小鹿島病院)の入所者117人と台湾総督府が開いた「楽生院」(現・楽生療養院)の25人が、ハンセン病補償法に基づく補償を日本政府に求めた。東京地裁は10月25日「補償法は広く入所者を救済する特別な立法で、国外というだけで補償対象から外すのは違法」として、台湾訴訟だけを原告勝訴とした。韓国と台湾の入所経験者で対象となるのは400人余で、補償額は最大でも約40億円と原告側は主張している。

毎日新聞 2005年11月9日 東京朝刊

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