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「憲法九条を子どもたちに」〜ある作家の体験から(JANJAN)
http://www.asyura2.com/0510/senkyo17/msg/218.html
投稿者 gataro 日時 2005 年 11 月 28 日 23:52:37: KbIx4LOvH6Ccw
 

(回答先: 自民改憲案を批判 「9条の会」がシンポ開催―asahi.com 投稿者 天木ファン 日時 2005 年 11 月 27 日 22:13:05)

JANJAN 2005/11/28
http://www.janjan.jp/living/0511/0511275641/1.php?PHPSESSID=dac44595b05c367c25c01e5b09cc98a7 から転載。

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 明治大学九条の会と千代田九条の会共催による「千代田九条の会講演会」が11月19日午後6時より、明治大学リバティータワーにて開催されました。講師は作家の早乙女勝元さんと弁護士の島田修一さんです。2人の話を紹介します。

早乙女勝元さん「憲法九条を子どもたちに」〜ある作家の体験から

 自民党が新憲法草案を出し、国民投票法案が審議入りされたことを踏まえ、早乙女さんは、「憲法の平和条項を守れるのか、それとも、いつでもどこでも戦争のできる国にするのか、この1年が正念場」と述べ、いま戦後民主主義が岐路に立っているとの認識を示しました。8月15日が終戦記念日であることを知らない人もいるなど、一般の人たちがこの問題に対して関心が低いことに懸念を示しながら、「戦争は、忘れたころ、無関心からやってくる」と警鐘を鳴らしました。

 早乙女さんは60年前の8月15日を下町向島で迎えました。当時13歳だった早乙女さんは、生まれた時はすでに日中戦争が始まっており、平和を知らずに育ったので、大人たちの話から戦争が終わったことを知っても実感はなかったそうです。平和を実感したのは、灯火管制公式解除の日(昭和20年・1945年8月20日)と、日本国憲法公布の日(昭和21年・1946年11月3日)でした。明かりが点き、黒い覆いを外して裸電球の下で家族の顔を見たとき、「平和は明るい。まぶしい。今夜から防空壕に入らないで、ぐっすり寝て朝を迎えられるんだなあ」と思ったそうです。

 日本国憲法が公布された1946年は、早乙女さんはすでに町工場で働いていました。戦後の日々を早乙女さんは「自分で自分が可哀相に思える日々だった」と述懐しながら、9歳年長の兄から日本国憲法の条文を教えてもらい、九条を読んで「感動した」と述べました。「1項の絶対戦争はしない。2項のそのための軍事力は持たない。国の交戦権は認めない。これからどこで戦争が起きても日本は戦争をしないのだ」と思い、戦地から生きて戻った兄と、大空襲を生き延びた自分に思いを致し、感慨深いものがあったそうです。

 あの戦争はどうして起きたのか。なぜ食い止めることができなかったのか。この目で見極めたいと思い、早乙女さんは独学に入りました。改めて憲法を読んでみて、読み違えていたことに気がつきます。それは、自民党の新憲法草案からそぎ落とされている部分の「政府の行為によって戦争は始まる。その戦争が起こらないように決意をするのはだれか。国民である」という箇所でした。早乙女さんは、主権者である国民は戦争に参加しようとする政府にストップをかける使命がある、と強く訴えました。

 東京大空襲の体験を、早乙女さんは次のように語りました。

 「61年前の11月半ばから、日本の国土は戦場と化した。100回以上にわたる東京空襲のすべてに立ち会った。学校も町も焼けた。大勢の友達がまるで神隠しにあったようにいなくなった。B29の登場。アメリカが日本攻撃のために開発した戦闘機。サイパン、グァムに基地を置き、北海道と九州を除く日本の町々を爆撃した。サイレンの鳴り止まぬ日々の中で最後の年を迎えた。昭和20年3月10日の明け方、東京大空襲があった。真夜中に300機の大連隊。圧倒的な焼夷弾攻撃。高度2000mからの無差別攻撃。隅田川を中心とする東京の下町。密集地を無差別爆撃。2時間で終わった。東京の歴史と運命を一変させた。100万人以上の罹災者と10万人の命が失われた。数時間前まで灯火管制の下で、乏しい食事を分け合い、語り合ったり、ため息を吐いていた1人ひとりの人格が破壊された。人命が虫けらのように奪われていく日々。この10万人からの尊い命に対しての大本営の発表は、『都内各所に火災を生じたるも宮内庁主馬寮は2時35分、その他は8時ごろまで鎮火せり』だった。「その他」の3文字の中に、100万人からの罹災者と、10万人からの命が含まれていた」と述べ、無差別攻撃によって人々が虫けらのように死んでいったことに対する憤りと、国民を欺き、空襲を火災と報じた大本営の情報操作を厳しく非難しました。

 「戦争で犠牲になった日本人は、公式発表では国内で310万人、外地で失われた人命は約2000万人であるが、厚生労働省のデータによると、昭和20年の平均寿命は男子23.9歳。女子37.5歳。翌21年は男子42.6歳、女子51.5歳。明治維新以来、はじめて日本人の平均寿命が50歳を超えた。平和というものはすごいパワーがあることがこのデータからわかる。ちなみに、2004年の日本の平均寿命は、男78.6歳、女85.6歳。女性は世界1、男性は世界2位。戦後60年に渡って曲がりなりにも平和が続いたのは、根本のところに九条があったからといっても言いすぎではない」と述べ、「憲法九条が私どもに与えてくれた贈り物はそんじょそこらのなまやさしいものではない」と九条がかけがえのない国民の財産であることを力説しました。

 早乙女さんにとって座標軸となる言葉は、宮沢賢治の「世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はない」という言葉でした。この人のあとに続きたいと思い、書くことで戦争勢力と対峙してきた早乙女さんは、「グローバルな理想を実現するために九条がある」と述べ、九条が世界平和にもたらしてくれる役割の重要性について訴えました。

 戦争の犠牲になった民間人に対する保障が置き去りにされていることに触れながら、「軍人、軍属に対する恩給は約1兆円。空襲で身内を亡くした人や体が不自由な人にはビタ一文ない。民間置き去りはいまも続いている。原爆や空襲の犠牲者は靖国神社に祀られていない。東京都慰霊堂には105,400体眠っている。そこに総理がきたことはない」と述べ、人道的施策が欠落している政府の対応を厳しく批判しました。

 憲法制定1年目からアメリカは極東政策の見直しを考え、日本に再軍備を求めてきました。自衛隊の前身の警察予備隊はアメリカに押し付けられたものであり、1950年の朝鮮戦争によって日本は再軍備体制となりました。「日本の軍事費はアメリカに次いで世界で2番目か、3番目。自民党が一番狙っているのは、九条の2項。自衛隊を自衛軍にし、自衛のためと称して国の交戦権を認め、武力行使を認めるのが政府の狙い。2項の改正は、不戦の誓いを捨てて日本をふたたび戦争のできる国にすること。集団的自衛権は集団的交戦権。有事法制は戦時法制。言葉に惑わされてはいけない」と改憲の狙いが九条の2項にあるとの認識を示しました。自衛隊がイラクに出動したことを踏まえ、「日本は銃後に入った」と述べ、法律をごまかしていく流れの中でブレーキとなっている九条を外し、戦争のできる国にするために、軍事力、法整備、教育を法整備する狙いがあることを指摘しながら、なし崩し的に既成事実が先行している現状に警鐘を鳴らしました。「教育基本法の狙いは若者をその気にさせること」と述べ、若者を戦場に送り出すための教育をすることが教育基本法の狙いであることを明らかにしました。

 「5月3日に行われた朝日新聞の世論調査では、改憲する必要があると答えた人は56%(前年53%)ですが、九条に関しては変えないほうがいいと答えた人は51%(前年60%)。10月の毎日新聞の世論調査でも、九条を変えないほうがいいと答えた人は62%。九条に関しては変えないほうがいいと思っている人が半数を超えている。一方、知る権利、プライバシー権、環境権などを憲法に盛り込むべきとする世論調査は賛成が53%(前年46%)。国民の2人に1人は新しい人権を憲法に盛り込むことで憲法を変えたほうがよいと考えている。だが、人権が盛り込まれても九条が壊れてしまうと、扇の要が壊れる。紙を張り替えても、元も子もなくなる。そのことをわかっていない」と述べ、人権が盛り込まれても扇の要である九条が壊れてしまえば人権も壊れてしまうことをわかっていない人が多いとしながら、そのことをきちんと伝えてこなかった戦争体験者の人たちと、学ぶ努力をしてこなかった人たちの双方に責任があると苦言を呈しました。

 どこかの国が攻撃してきたらどうするかという議論に対し、軍隊を捨てた国コスタリカが、隣国ニカラグアの内戦のときも平和主義を守ってきたことに言及しながら、コスタリカのアリアス大統領が中米和平をまとめてノーベル平和賞を受賞したのは、「アリアス大統領の外交が丸腰だったからである」と述べ、「片手に武器を構え、片手に人道支援はありえない。日本がとるべき道もそうでなければならない」と丸腰が最大の防御になるとの認識を示しました。

 「いまの日本はむしろ火付け役になっている。軍事力をもって仮想敵国を作ろうとしている。いかに危険かを煽らないと、国民が納得しないからだ。有事法制を作ると、有事を招く。備えがないのが最強の備え。他国が攻めてくるというなら、とっくに攻めている」と述べ、世界最強の国の軍隊が60年もいることに疑問を呈しました。日本は徴兵制のない国を目指すべきとし、「話して話して話しまくる。話すより先に武力をとるべきではない」と武力の行使をしない非武装を説きました。

 「先進国は貧しい国に武器を売りつけている。核弾頭は世界で36,000発。さらに小型化している。戦争によって地球社会はかつてない危険にさらされている。ベトナム戦争でアメリカ軍が使った枯葉剤・ダイオキシンの後遺症は、戦争をまったく知らない二世や三世にも出ている。イラクで使われた劣化ウランの被害もこれから出てくる」と述べ、戦争が地球にもたらす深刻な被害と、何代にも渡って後遺症に苦しめられる人々の悲惨な状況に言及しながら、武力ではなく、知力、外交、言葉、信頼、相互理解によって世界平和の実現を目指さなければならない、と強く訴えました。そのための羅針盤となるのが九条の2項であると述べ、「すべてはこれから始まる」との認識を示しました。

 戦後60年守り続けてきた九条を子どもたちに渡すために、1人ひとりの行動が求められているとしながら、「すべては1人から始まる。1は微力だが、1があるから2、3がある。0ではなにも事態は変わらない。1は2から3になり、100になる可能性をはらんでいる。これからの世代にきちんとバトンを渡す。そのための原点の1であることを期待したい」と述べ、子どもたちの未来のために、「1人ひとりが勇気をもって行動を起こしてほしい」と訴えました。

弁護士の島田修一さんより、自民党の憲法改正草案についての報告

 自民党から改憲草案が出てきたことに対し、島田さんは「全面改正の形をとった改正案ははじめてなので、条文作りに入ってきたことの意味を深刻に受け止めている」と述べ、重大な側面にさしかかってきたとの認識を示しました。改憲草案の中身について、島田さんは次のように述べました。

 「九条2項の全面削除。そのかわり自衛軍を保持し、防衛、国際活動、治安活動を憲法に明記する。平和憲法の真髄である2項をすべて捨てた上で、具体的な行動を明記し、国際活動を強調する。集団的自衛権という言葉を使わず、国際平和活動、国際協力を持ち出してきた。狙いは、戦前とは違うというイメージを作ること。戦前は単独であったが、今度は単独でないことを強調する。国際協調と言いながら、実際は2国間の協調。アメリカとやる。戦前の侵略を、今度は国際平和を守るためと言おうとしている。戦前と同じだと国民とアジアから反発を受ける。トリックがある。派兵に制約がない。国連決議、集団的自衛権に留まらない。国際貢献の名のもとに自由にできる。国際平和を守るためであり、戦争に行くのではないと嘘をつく。国際貢献というときほど危ないことはない。韓国は国際貢献を憲法に規定し、イラクに派兵している。韓国の政治学者が国際貢献は危ないとメッセージを送っている。民主党は国連決議。自民党はフリーハンド。制約を一切認めないのが眼目になっている。協調。だれと協調するのか。アメリカをおいてほかにはない」

 「アメリカは1945年以来、20回以上戦争をしている。戦争の好きな国。日本がそういうアメリカとどう向き合ってきたか。ベトナム戦争のときは基地を提供し、アフガン戦争のときはインド洋で補給、イラク戦争のときは現地に行って補給活動をしている。イラクから陸上自衛隊が戻ってきても、航空自衛隊は残る。アメリカの戦争に協力し、支援の内容が拡大して地球規模になっている。一緒に引き金を引こうという隠された狙いがある。戦力を認めるということは、軍事大国化の歯止めをなくすこと。人権に重大な影響を与える。基本的人権は公益の前に制限される。反戦運動ができなくなる。国家公務員の言論表現が弾圧される事件が相次いでいる。自衛軍という戦力をもつことによって、国民に対して軍が銃を向けてもかまわない。市民に対して、軍法会議にかけられることが可能になる。前文に日本国民は国家を守る責任があると書いてあるので、徴兵制が可能になる。自衛隊の追認に留まらない、恐ろしい結果を招く。先の戦争に対する反省がない。前文と九条をとることで反省を捨てる。アジアは九条を改正することは過去を正当化するもの、と厳しく批判している」

 政教分離については、「靖国参拝を合憲とする。総理大臣の権力強化。改定3分の2から2分の1にできる。改正のハードルを下げようとしている。戦争をしない国を軍事大国化することによって戦争をする国にする。福祉国家から企業国家へ、国家像の転換をはかる。先の選挙で与党が圧勝した。憲法改正に賛成の議員は84%。3分の2を超えている。民主党は国連決議に限定しているが、前原代表は記者クラブで九条改正を公言している」と述べ、与野党が同じ方向を向いていることに懸念を示しました。また、日本国民は新しい憲法を制定すると書いているだけで、なんのために憲法を改正するのか、その理由を書いていないことに言及しながら、「アメリカと一緒に戦争をしようとは死んでも言えない」と述べ、矛盾、弱点を抱えている今回の自民党の改憲草案の問題点を指摘しました。また、アジアから日本は危険な方向にいっているとの指摘を受け、ソウルでも厳しい批判を受けたことを明らかにしました。

 世論調査の結果から国民の過半数が改憲に慎重であることを踏まえ、「九条は変えなくてもいいという国民が62%。国会の議席と世論にズレがある。このズレを突破できないために、予定を立てることができない。丸腰で国を守れるのか。マスコミがキャンペーンをはったら、世論操作をされてしまう危険性がある。マスコミの動きを注視しなければならない。国民の意識をどうみるか。日本社会は解体状況。年間3万人以上の自殺者が続いている。年収200万の層が増え、若者の2分の1が非正規労働者。閉塞感がある。中高年も厳しい。新しい憲法がなにかやってくれるのではないかという期待感に国民がついていく危険性を否定できない」と述べ、格差社会が広がり、閉塞感にとらわれている国民が、郵政民営化のようにマスコミの世論操作によって惑わされる危険性を指摘しました。全国各地で九条の会が増えていることにもふれながら、草の根運動が広がっていることが同じ過ちを繰り返さない手立てになるとの認識を示しました。

 「いまの日本は人々が孤立し、話し合う場をもたない人がたくさんいるのではないか。支配層の戦略によって、国民の1人ひとりを結びつけない。集団化しない。切り離すことによって、自分の生活のことだけ考える人が増えている。たくさんの人に声をかけ、たくさんの九条の会ができれば、郵政の二の舞を食い止めることができる。九条の会は1年間で3,000を超えた。草の根の運動が広がっている。平和の結集をどう求めていくかが問われている」と述べ、情報操作によって国民があやまった判断をしないように、草の根運動を広げていくことが重要であることを訴えました。

 千代田九条の会の浅野さんから、マスコミ各社に「憲法改正報道に関する要請書」を渡し、憲法改正報道に関し、マスコミが公正な報道をするように要請したとの報告がありました。NHKに行ったとき、「NHKがこのような要請を受けるのは今回がはじめて」と言ったそうです。自民党の改憲草案が出たいま、「正念場を迎えている」と浅野さんは述べ、各方面に積極的に働きかけを行ってほしいと呼びかけました。

(ひらのゆきこ)

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