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たばこ増税 紫煙の行方  重税時代まだ口火 (東京新聞)
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投稿者 彗星 日時 2005 年 12 月 17 日 13:44:52: HZN1pv7x5vK0M
 

特報
2005.12.17

たばこ増税 紫煙の行方
重税時代まだ口火

 与党の税制改正大綱が決まり、たばこの税率が土壇場で引き上げられた。二年前に続いての増税だが、最初に児童手当引き上げありきで、その“財源”として標的になった。一方で、定率減税全廃、消費税アップなど大増税時代への足音は大きい。たばこ税は取りやすいところから取る、というパターンだが、同じ構図は今後も続きそうで−。

 「やることがセコいよね。この程度の値上げでは、たばこをやめる人は少ないと見越したうえで、増税をしようとしている。国民の健康なんか本気で考えているんじゃないんだから」

 JR品川駅の喫煙コーナーで、紫煙をくゆらせていた喫煙歴三十年の製薬会社社員(53)はこうぼやき、続けた。「二百七十円を二百九十円にしたところにずるさを感じる。もっと値上げして禁煙する人がたくさん出たら、税金を取り損なうわけだから」。杉並区の会社員(44)からは「増税? 喜んでいますよ」と意外な返事が返ってきた。もっとも「私じゃなく、カミさんがね。『これでお父さんがたばこをやめてくれれば』って」。

 葉巻をたしなむ編集者の石川次郎氏は「たばこ増税は、非喫煙者が賛成するのはもちろん、『子どもたちのために使う』と言われればスモーカーも反対できない。『児童手当引き上げには賛成するし、税金も払うから、たばこを吸わせてほしい』という気持ちに追い込まれる。うまいことを考える」と皮肉った。

 なぜ今、たばこが増税の標的にされるのか。

 医療経済研究機構が二〇〇一年度に行った調査によると、喫煙によってかかる医療費は一兆三千億円以上にも上り、国民医療費の4・2%を占めている。さらに喫煙は五兆八千億円分の労働力を失わせていると推計している。

 大阪府立健康科学センターの調査によると、禁煙を試みた人の六−七割が途中で挫折している。「たばこがさまざまな疾患の原因であることは周知の事実なのに、自分の意志で禁煙することは難しい。とすれば喫煙者に何らかのきっかけを与えることで禁煙を促すことが必要だ」と同センターの担当者は指摘する。

 その一つは、ニコチン依存症を病気ととらえ、治療に当たる体制を整えること。厚生労働省は来年度から、医師による禁煙指導を公的医療保険の対象にする方針で、この点では対策が講じられることになった。

 もう一つは値上げで購買意欲をそぐことだ。小泉首相もたばこ増税について、「たばこをやめることができ、健康にもいい。税収増にもつながる」と記者団に語っている。しかし、増税による喫煙率の減少には専門家から早くも疑問の声が上がっている。というのも購買意欲をそぐほどの値上げではないからだ。

■『500円なら考える』

 禁煙広報センターの調査では、価格が五百円になれば禁煙する人は51・2%に達するが、三百円では4・3%だ。大阪府立健康科学センターの担当者も「禁煙行動に結びつくのは一箱五百円が境。二十円程度の値上げでは、定収入のある社会人の禁煙を促すまでの効果は疑わしい」と話す。

 禁煙問題の専門家は「二十円というのはいかにも物足りない。国民の健康・医療のための政策的な値上げというより、税収だけが目的の増税とみられても仕方ない」と訴える。どうやら「たばこをやめることができ、健康にもいい」という首相の説明は、取りやすいところから税金を取るための方便にすぎないようだ。

 では、今回の値上げでたばこの役回りは−。

 「私はたばこを吸わないけど」と前置きしながら、経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう語る。

■児童手当…けむに巻き

 「公明党の『メンツ』のため、児童手当の引き上げが決まり、財源には直接関係のないたばこを使う。政治的駆け引きというブラックボックスだ」

 経済評論家の森永卓郎氏も「困ったときのたばこ税。いつもの手法」と指摘する。「たばこを吸ってる人なんて、という世論を背景にたばこの増税は理念なく使われてきた。逆に戦後、物価上昇を理由にたばこが値上がりしたことはない」

 たしかに一九九八年にも旧国鉄の長期債務処理の財源に、たばこ増税が充てられた経緯がある。ただ、こうした「理念のなさ」はたばこ増税に限らない。今回の自民党税調の答申全般に通じると森永氏は話す。

 「増税の柱である定率減税の全廃だが、これは法律違反だ。というのも、九九年の導入時に将来の撤廃の条件として、景気回復とともに税制の抜本改革を挙げている。しかし、その抜本改革は来年度回しだ」

 そもそも定率減税は法人課税の引き下げ、高額所得者の最高税率引き下げとセットで導入された。この二つは今回手つかずだ。加えて「プチバブル」ながら株式売買益への課税もわずか10%にとどまっている。

 それゆえ、荻原氏は「結局、庶民いじめの増税だ」と断じ、エコノミストの紺谷典子氏は「小さな政府を目指すのなら歳出のみならず、歳入すなわち税収を抑えるのが常識。借金があるというが、責任はだれにあるのか。それを問わず、ただサラリーマンに付け回しをしている。『恒久的な減税』の恒久を無視している」と批判する。

 自民党は九月の総選挙前に増税をうたった政府税調答申を批判し、「サラリーマン増税はしない」と公約していた。選挙後も、谷垣財務相の消費税率引き上げ発言の後、「一部の税関係者が増税、増税と言っているが(彼らは)形を変えた抵抗勢力」(竹中総務相)、「安易な増税はしない」(武部幹事長)とそろって大見えを切ってきた。

 「今回の増税劇には私も責任を感じている」と森永氏は声を沈める。「政府税調の報告書が出た際、『これはすごい増税だ』と各種のメディアにコメントした。配偶者控除、特別扶養控除なども廃止される中身だった。それらは今回の党税調では継続となった。結果『小泉首相のおかげで税負担が減った』という印象がまかり通っている」

 荻原氏も「詐欺ではないか」と気色ばむ。「政府税調は首相の諮問機関。党税調も選挙の大勝で、首相の鶴の一声がまかり通る。結局は首相の自作自演だ」

 さらに「自民党は定率減税の半減は選挙前に決定済みで、全廃してもサラリーマン増税ではないとしている。だが、半減の時は『半分だけだから』と頭を下げておいて、選挙に勝ったら全廃ってあつかましさにも程がある」と憤激する。

 紺谷氏は「ずるい小泉手法にはもう驚かない」と冷めた口調だ。「国債発行額三十兆円以内という政権公約を破ったときも、あの首相は『大したことではない』と言い切った。こんな増税程度は朝飯前でしょう」

 国税庁の調査では、民間の平均給与はこの六年間、マイナスが続いている。さらに年金保険料、医療費負担も軒並み上がり、階層格差は広がる一方だ。

 消費税率の引き上げ論議も年明けには始まる。荻原氏はこう警告する。

 「今回の増税は三段跳びで言えば、まだ“ホップ”の段階。配偶者控除や給与所得控除の撤廃、消費税、団塊の世代の退職金課税と重税の本番はこれからだ」

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20051217/mng_____tokuho__000.shtml

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