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現在のペンタゴンには、"戦争担当省〃と"戦争以外のあらゆるもの担当省〃があり、反目しあったままである。
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投稿者 TORA 日時 2005 年 10 月 11 日 16:21:46: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
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現在のペンタゴンには、"戦争担当省〃と"戦争以外の
あらゆるもの担当省〃があり、反目しあったままである。

2005年10月11日

◆「戦争はなぜ必要か」 トマス・バーネット著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/477002794X/249-2789299-5812351

◆システム・アドミストレーター

九・一一から一カ月も経たないある日、昔の上司であるセプロウスキーから電話をもらった。元海軍大学学長で、現在は国防長官の上級相談役として防衛改革に取り組んでいる人物。彼が欲しかったのは、Y2K問題が片づいた直後に私が書いた記事のコピーだった。その記事で私は、我が国のネットワーク化された経済が狙われて壊滅的な被害を受けたら国防総省がどうなるかを予測していた。

真珠湾攻撃クラスの大惨事によって、今日のインターネットよりはるかに広域で活躍する媒体、名づけて"エヴァーネット"が実現不可能になるというシナリオだった。私の仮説では、壊滅的打撃を受けた結果、大規模の戦闘しか視野に入れていなかったペンタゴンは、「間近に迫った国際安全保障問題に対してまるっきり時代遅れであることを暴かれ」、結果として軍は二つに分裂する。一つは大規模戦闘用で、"世界の抑止カ"に主眼を置いた破壊性の高い軍、もう一つは危機管理用で、対応が早く"ネットワーク安全保障"に主眼を置いた防衛軍である。

前者がアメリカにとって二十一世紀の"キラー・アプリケーション”あるいは、現れた敵を一方的に叩き潰すために抜く棍棒のようなものであるのに対し、後者はアメリカ出身の巡回警官として、合衆国政府の各機関や国連、連合軍と息を合わせ、日常的に世界に目を配る。これら二つの軍は、それぞれ異なる軍規のもとに機能し、異なる任務と目的を果たす。そして、陸軍省と海軍省とに二分化されていた、かつてのアメリカの国家安全保障構造を復元する。

ところで、セブロウスキーはなぜ記事を読みたがったのだろうか。本人の弁によれば、国防長官室では現在、まさにこの問題について真剣な話し合いがなされているという。九・一一で突然あらわになった世界に対して、上層部もついにペンタゴンの体制が整っていなかったことを理解し始めたよ・つだった。

思うに軍のこの二分化は、ただの先祖返りではなく、ソ連との数十年にわたる一触即発のにらみ合いという異常な状況から、国家安全保障の本来あるべき姿への回帰である。軍部は長い間、アメリカ社会から離れ、誰もが知っている世界から離れ、そしてアメリカの技術的進歩に必死で追いつこうとする同盟国からも離れる一方だった。"離れる"とはつまり、なぜアメリカが世界中に兵力を送り込むのかという現実的な問題をなおざりにしてきたということである。

世界的な核戦争について想定に想定を重ねてきたせいで、兵力の用途に関する考証は、"国益""国の意志"といったあいまいな観念へと逃げ込んでしまった。"大物"に目を奪われたペンタゴンは、"いかに"に固執するあまり、"なぜ"を失念してしまった。アメリカ国民への説明の仕方については何をか言わんやである。防衛機関は"なぜ"を説明するのがあまりにも下手なので、この話題を完全に避けて通るようになっていた。

時が経つにつれ米軍は戦略的環境を超えて進化し、真の好敵手など現れようがない状態に至ったが、ポスト冷戦時代のアメリカは、リバイアサンなる地位をどう捉えるべきか頭を悩ませる代わりに"対等なライバル"を探し求め、我が国のハイテクな軍備と、常日頃強いられるローテクな任務との間に生じる食い違いから目を背けてきた。

戦争は短く、容易になったが、危機対応はより長く、複雑になる一方だった。この状況に対しペンタゴン内で不満がくすぶった九〇年代末になると、変革派に属する専門家は口をそろえて、もういい加減、中国を擬似ライバルに据えた起こりもしない戦争を想定するのはやめるべきだと言うようになった。

輝かしいリバイアサン軍も、9・11に際してはまったくの役立たずだった。攻撃を食い止められもせず、反撃する力もなかった。何週もの間、戦闘機がニューヨークとワシントンの上空を我が物顔で飛び回り、とうに牛が逃げた後の家畜小屋をいたずらに封鎖していた。いろいろな意味で痛ましい光景だった。アメリカが不意打ちを食らって地面に倒れ込む姿を前にして、無敵軍には為す術がなかったのだから。その後アメリカの国家安全保障体制は、毎度おなじみの、民族国家に対する報復をおこなったが、これもまた特殊作戦軍とCIAの準軍組織を用いた奇妙な戦争だった。

アフガニスタンでの戦闘にはまったく備えていなかったペンタゴンだが、持ち前の調整プランニング能力を発揮して、兵力の約五分の一に戦闘の五分の四をやらせて作戦を完遂した。快勝によって戦士魂は再確認されたようで(「軍隊はこのためにあるんだ!」)、国土安全保障省の設立が提案されたときには、ペンタゴンがつまらない問題回避をしているように私には映った。アメリカの国家安全保障をペンタゴンの内部で分化させようというのではなく、それを国内と海外とに分けて済ませようというのだから。

しかし、私が常々予言していた分化は立ち消えになったのではなく延期されただけだった。ペンタゴンは、国土安全保障省がつくられたことによって、重大な損失をこうむっていた。沿岸警備隊は戦闘要員の役割を本質的に失い、国土の防衛に集中するべく、海軍が嫌がるアメリカの海岸線警備に回った。州軍と予備軍はどちらも、さまざまな面で戦闘要員としての役割を大幅に削られた。「イラクの自由作戦」と連携する形で生まれ、国土安全保障に警鐘を鳴らした「自由の盾作戦」にはこれらの兵力が大量に投入された。数の上では「砂漠の嵐作戦」に投入されたのと同じくらいに。しかしこのときには、兵士の多くが世界各国の軍事施設、また、アメリカ国内の重要建造物や名所旧跡の警備に当たった。

評論家の中には、ラムズフェルド国防長官がイラクでの戦争を"安く上げようと"している、すなわち、現地に十分な数の兵を送り込んでいないと責める者もいた。ペンタゴンは持論を実証するだけのために"変革戦争"をおこない、自国民を危険にさらしていると糾弾されもした。"専門家"の多くが、一ブロックずつ潰していくスターリングラード式攻囲でバグダッドは血の海になると予言した。

この戦争に勝つには、ペンタゴンはあまりに準備不足だと述べる(たいていはテレビのネットワーク局で)退役司令官も大勢いた。実際、思うように同盟国の同意を得られず、中央司令部は思うようにイラク入りできず(サウジァラビァとトルコのおかげで)、ペンタゴンはもっと重装甲部隊が必要だと主張して譲らずといった具合で、勝利はできるにせよ、途方もない代価を支払わされるのは必至と思われた。

ベトナムより後は常にそうであったように、戦争は米軍の大勝利に終わった。戦死者は驚くほど少なく、敵軍は完膚なきまでに叩きのめされ、戦闘は速やかに占領へと移行した。ここからが地獄だった。どん底の経済、虐げられた社会、そして、主権委譲の勝手がわからない上に現地を離れたくてたまらない駐留軍に対し、戦後の混乱に乗じてここぞとばかりに非対称戦争を挑んでくる、おびただしい数のゲリラやテロリストたち。戦闘部隊は即座に、自らの意志にも、特性にも、技術形態にも反して「占領軍」へと変貌した。

リバイアサンはシステム・アドミストレーターへと変わり、一国主義的な外交政策は多面的な自省へと変わり、ブッシュ大統領が晴れがましく祖国への凱旋を告げた五月のスピーチは重苦しい九月のスピーチヘと変わった。"戦闘行為の終結〃は、瞬く間に"長期にわたる辛苦"に移行した。ペンタゴンが認めようと認めまいと、とうとう分化が始まったのである。

現在のアメリカには、"戦争担当省〃と"戦争以外のあらゆるもの担当省〃がある。どちらも、かなり宙ぶらりんな状態のまま、ペンタゴンに籍を置いている。そしてどちらもが一人のリーダー、国防長官によって管轄されている。しかし、これら二つの〃省"は、根本的に反目しあったままである。

一方は社会からも、連合軍からも、国連からも距離を置きたがる。他方は、州軍と予備軍のためには社会と新たな協定を結ぶ必要があるし、平和の番人を立てるためには連合軍と新たな協定を結ぶ必要があるし、今後数年にわたって我が国がかかりきりになるはずの国家建設を国際化するためには、国連と新たな協定を結ぶ必要があると承知している。

また、一方の軍隊はイラクでの任務を完壁にこなしたと自負し、なるべく早く帰国したいと願っている。もう一方の軍隊は、イラクでの任務に全力で取り組んでいると自覚し、新たな資源、新たなスキル、新たなパートナーを切に待ち望んでいる。両軍とも、自分たちが過小評価されていると感じているが、同時に両軍とも、イラクの戦後処理がどれほど順調に進んでも、今後アメリカが対テロ世界戦争で介入するたびにこの分裂が何度となく起こるだろうことを承知している。

"戦争以外の軍事行動"は、もはやかつてのように些末なものとして通り過ぎることはできず、アメリカの軍備を拡大すべきか否かについて息詰まる討論を巻き起こした。当然、緊急支出として、事実上、他国の全防衛予算を上回るほどの額の特殊債を発行すべきかどうかについても。戦争に取り懸かれたペンタゴンが常々警戒してきた"対等なライバル〃が、ついに現れたのである。ただし内部から。(P297−P301)


(私のコメント)
日本の学者や評論家たちはアメリカの戦略家たちを過大に評価しすぎているように思える。この「戦争はなぜ必要か」という本の解説を書いている村田教授もジョージ・ケナンやボール・ニッツやジョン・F・ダレスやロバート・マクナマラなど、現役ではキッシンジャーやブレジンスキーの名前を挙げて「大戦略家」と評価しているが、イラク戦争に関する限りキッシンジャーやブレジンスキーは適切な解説をしていたとは思えない。

そもそも9・11のような事態すら予想もしていなかった。国家対国家の外交や戦争なら今までの大戦略家の提言も参考になったのでしょうが、国家対ゲリラやテロリストになると大国アメリカはまったくの無能ぶりをあらわにする。対ゲリラ戦闘ではベトナムで痛い目にあいながら、イラクでまたその過ちを繰り返している。

トマス・バーネットも指摘しているように戦闘は大勝利で終わっても、その後の占領政策はまったくお粗末で、主権の移譲もままならず混乱を重ねている。ネオコンの戦略家たちは日本の戦後統治を例に挙げてイラクも民主主義を根付かせることを目指していましたが、イラクは世界中のテロリストの養成所となり、米軍の将兵は生きた標的となって彼らに貢献している。

昔なら騎兵隊がインディアンを見つけ次第撃ち殺していればよかったのでしょうが、現代のイラクではそうもいかない。アメリカは何時からこのようなバカな国になったのか、ケナンやニッツがイラク戦争を批判していたのにキッシンジャーやブレジンスキーは適切な提言をしていない。もっと若手の戦略家となるとネオコンが日本とイラクを並べてイラクに民主主義を根付かせるなどと馬鹿なことを言っている。

バーネットはペンタゴンをリバイアサンとシステム・アドミストレーターとに二つに分けているが、純粋な軍隊と世界の警察官としての軍隊とに性格が異なる軍隊を使い分けなければならない。「戦争はなぜ必要か」という本の題名は適切ではなく、共産主義に代わる新たなる敵として「ペンタゴンの新しい地図」を表したものだ。しかしこのようなグローバル経済に取り残された地域に対して、アメリカが世界の警察官として駐留するのは国力的に無理がある。

むしろ、イラクやアフガニスタンではアメリカ軍の駐留が新たなるテロを招いている。ペンタゴンではシステム・アドミストレーターという警察官的な軍隊は可能なのだろうか。むしろアメリカ本国の防衛にも手を割かねばならずアメリカの国力ではとても無理だと思える。ハリケーンのカトリーヌに対する国防軍はイラクに割かれて手遅れになり多くの犠牲者を出した。これはアメリカの限界を示している。

アフリカや中南米や東南アジアといったグローバル経済に取り残された地域を、国連などと手を合わせて巡回警察のような役割をペンタゴンは出来るのだろうか。イラクなどのような資源のある国には出来ても、北朝鮮のような何もない国にはアメリカは手も出そうともしない。中国に任せようとしているが中国は北朝鮮を裏から炊きつけてアメリカを翻弄している。

北朝鮮をやっつけるのは簡単だがその後の占領政策ではイラク以上に厄介な問題を抱えることになり、アメリカは北朝鮮に手を出すに出せないでいる。アメリカはちょうど古代ローマ帝国の末期のようになってしまった。各地の反乱に手も足も出なくなり、本土に蛮族が侵入してきても無敵のローマ軍は各地に釘付けであったように、アメリカ軍も9・11やカトリーヌには抵抗できる軍隊を持たなかった。

ラムズフェルドのトランスインフォメーション戦略もリバイアサン的発想であり、ゲリラやテロリストには金がかかりすぎる戦略だ。むしろテロやテロリストにはローテクにはローテクで世界各地に砦のような基地を設けたほうが有効だろう。しかしそれには政治的な壁がありゲリラやテロリストは国家の壁を平気で乗り越えてくる。それらに対する新しい戦略はまだ出来ていない。

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