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国境を越えた世界支配狙うRMA・米軍4軍統合  日本全土が米軍の出撃基地になっている  【山根克也】
http://www.asyura2.com/0510/war76/msg/1008.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 12 月 21 日 05:50:18: ogcGl0q1DMbpk
 

国境を越えた世界支配狙うRMA・米軍4軍統合

   日本全土が米軍の出撃基地になっている

山根克也


http://www.bund.org/opinion/20060101-2.htm


 昨年12月12日、ブッシュ大統領は、「3万人のイラク民間人が死亡しただろう」と、初めてイラク人の犠牲者数に言及した。実際には軍人を含めたイラク側の死者は10万人を超える。もはやこれは通常の戦争ではない。米軍によるジェノサイド(組織的虐殺)だ。

 しかもアメリカはアフガニスタンやイラクでの殺戮と破壊ではあきたらず、「力」によって世界を一元的に支配するためのRMAやトランスフォーメーションを着々と進めている。平和国家日本は、これ以上米国の破壊と殺戮に加担すべきではない。アメリカは軍をいかに「変革」しようとしているのか、見ておく必要がある。

T パックス・アメリカーナへの野望

トランスフォーメーションとは何か

 昨年10月29日、日米両政府は外務・防衛担当官僚による2プラス2をワシントンで開いて、在日米軍再編に関する中間報告を合意した。日本政府は今後、関係自治体との調整を急ぎ、本2006年3月までに最終報告を米国と確定させる方針だ。

 日本のメディアや日本政府の説明は、在日米軍の配置見直しをトランスフォーメーションと同一視する傾向があるが、それは正確には正しくない。米軍のいうトランスフォーメーションとは、単なる基地や軍隊の再配置ではなく、RMA「軍事における革命」(IT化・ハイテク化による軍事技術の進展)を踏まえた、兵器体系・軍の指揮編成や運用の全面的な再編・強化を意味している。米軍の「変革」そのものなのである。

 例えば、「トランスフォーメーションの推進者」と呼ばれる米国防長官ラムズフェルドは、2001年10月から開始されたアフガニスタン戦争において、戦闘開始直後、米軍特殊部隊が馬に乗って行動する写真が公開された時、「これぞ、まさに米軍が意図するトランスフォーメーションの典型である」と賞賛した。「なんでそれがトランスフォーメーションの典型なの?」と疑問に思うが、その理由を理解するとトランスフォーメーションが見えてくる。

 米陸軍特殊部隊は、反タリバンの「北部同盟」の道案内で、アフガニスタンの山岳地帯を馬という「原始的な移動手段」で移動した。しかし実は米空軍の爆撃機や戦闘攻撃機に爆撃を指示するための照準装置や、通信装置といったハイテク装備を携行していた。

 米空軍機は、衛星誘導弾(JDAM)というGPSを利用した精密誘導弾を搭載してアフガニスタン上空の高々度に待機。地上の陸軍特殊部隊は、暗視装置とレーザー測定装置で攻撃目標の位置(緯度経度の座標値)を補足、上空の航空機に連絡した。爆撃機は、目標の座標値をJDAMの誘導装置に入力し投下するだけで目標を破壊した。米軍は精密誘導弾は3〜4メートルという非常に高い精度で命中したとしている(実際は、誤爆によって多数のアフガニスタン民間人が死傷している)。

 このような作戦をラムズフェルドが「トランスフォーメーション型(トランスフォーマティブ)」と評価したのである。@精密誘導弾などのハイテク兵器の駆使(RMA)、A少数の部隊による柔軟な作戦展開、B効率的な輸送・兵隊補給、C現地の軍隊の動員(この例では北部同盟、在日米軍再編なら自衛隊)、そしてD米4軍(陸海空・海兵隊)の統合運用(ジョイント・オペレーション)などがその中身だ。

4軍統合運用(ジョイント・オペレーション)

 Dのジョイント・オペレーションとは何か。従来、軍隊は陸・海・空と戦闘領域に別れて戦争してきた。例えば日露戦争では、陸の決戦は「旅順総攻撃」であり、海の決戦は「日本海海戦」だった。日本軍もロシア軍も、基本的に陸軍・海軍同士が決戦を戦った。

 しかし、戦争が近代化・総力戦化してくると、ノルマンディー上陸作戦のような大規模上陸作戦が行われるようになる。大規模な上陸作戦は、陸軍・海軍別々ではうまく実施できない。そこで登場したのが、上陸作戦専門の「海兵隊」だ。また航空機が発達してくると、陸上戦でも海上戦でも、航空兵力の支援が重要になってくる。そのため、陸軍も海軍も(そして米国の場合は海兵隊も)空軍とは別個の独自の航空部隊を持つ。こうしたやり方は軍事的効率という面では不経済だが、どこの国の軍隊も、陸・海・空軍はそれぞれ別々の指揮系統を持ち、装備や通信体系・訓練方法も違う。「統合運用」どころか連携すら難しいのが実情なのだ。

 先述のアフガニスタンでの作戦(近接航空支援という)を実施する場合、旧来は地上部隊に空軍部隊から派遣要員(前線航空統制官)が同行し、地上部隊の指揮官から要請された攻撃目標を、低空に舞い降りてくる航空機の乗員に無線機で指示した。攻撃目標の識別・補足は、航空機のパイロットが地上からの音声情報に基づいて自ら行わねばならなかった。それゆえ、味方の部隊を誤爆したり、攻撃目標を間違えたりする失敗が多かった。

 ところがアフガニスタンの作戦では、アフガニスタン領内に侵入した米陸軍特殊部隊は、上空の米空軍航空部隊に「直接」攻撃目標を指令し、米空軍は高々度からの精密爆撃を行った。こうしたことを可能にしたのは、トランスフォーメーションの一環としての4軍共通のデジタル通信システムの導入であり、軍指揮系統の全面的な改変だった。

 2004年11月から実施されたイラクのファルージャにおける武装勢力掃討作戦においても、地上の海兵隊部隊に対して、米空軍の戦闘機やガンシップ(輸送機に機関砲や大砲を搭載した地上攻撃用の航空機)、武装無人機が緊密な航空支援を実施している。ファルージャ虐殺は、こうしたジョイント・オペレーションの「成果」だったのだ。

 もう一つ、米軍のトランスフォーメーションにおいて重要なのが「ステルス兵器」だ。ステルス(Stealth)とは「こっそりとする」「隠れる」ことを意味し、電波の反射や赤外線の放射などを抑え、敵レーダーなどから発見されづらくする技術だ。

 湾岸戦争やイラク戦争で「大活躍」した米軍のF117ステルス攻撃機やトマホークなどの巡航ミサイルは、そのステルス性を生かして、敵のセンサー(レーダーや赤外線探知装置)に補足されることなく、一気にイラクの中枢部を攻撃した。敵軍隊の司令部や通信施設・防空部隊だけでなく、政権の中枢や電話局・発電所・駅や空港などの交通の要衝といった、住民の生活に欠かせない社会的インフラまでをも徹底的に破壊したのだ。

 米軍のステルス兵器に対しては、イラクだけでなく世界中のどの国も防ぐ手だてを持っていない。それどころか、今この瞬間にすべてのEU加盟国が軍事支出を2倍にしてRMA関係装備の開発と調達を行ったとしても、少なくとも20年から30年は米国においつくことはできないだろうと言われている。東京大空襲やヒロシマ・ナガサキへの原爆投下、ベトナム戦争や朝鮮戦争での絨毯爆撃など、国際法無視の無差別爆撃を繰り返してきた米国は、ついに一国のすべてを瞬時に破壊する「悪魔の軍隊」を手に入れているのだ。

 RMAの推進と4軍統合運用によって、より効率的・経済的に大量破壊を行うこと、これこそが米軍の進めるトランスフォーメーションの本質なのである。

海外米軍基地の全面的再編

 米国の「2004年国家防衛戦略」は、こうしたトランスフォーメーションによって米軍が獲得すべき能力の目標として「1―4―2―1戦略」を設定した。「1」とはアメリカ本土防衛。「4」とはヨーロッパ、朝鮮半島、中国、中東・南西アジアの4つの重要地域での抑止機能の発揮、「2」とは2つの正面大規模戦争への対応、最後の「1」は、その内の1か所の正面大規模戦争での決定的勝利(政権交代など)を指す。

 さらにラムズフェルド国防長官は、敵を撃破するという米軍の戦闘能力において、「10―30―30目標」の達成も求めている。これは、米軍展開の必要性が生じた場合、世界のいかなる場所へも、所要の戦力を10日以内に展開し、敵を30日以内に撃破し、その後30日以内に次の場所での戦闘展開が可能な態勢を整えることをめざす。

 問題はどうやって必要な米軍戦闘力を、短時間に米本土から遠く離れた地域まで運んでいくかである。1991年の湾岸戦争では、米軍は湾岸地域に米軍を輸送し攻撃を始めるまで半年程度、イラク戦争でも数か月を要した。米軍の世界的軍事行動を迅速に実現するためには、米本土以外の米軍基地・米軍施設を効率的に利用することが不可欠だ。そのために米国は、将来の米軍作戦に必要な在外米軍の基地・施設を見直し、再配備しようとしている。これが「海外米軍部隊の基地・施設の再編成計画(GPR)」である。

 GPRに基づき米軍は、海外拠点を4分類して位置づけ直すことを明らかにしている。もっとも重要性の高いランクは大規模な兵力・装備を展開する戦略展開拠点(PPH)、その次が中核的な役割を担う主要作戦拠点(MOB)、これに小規模な部隊が駐留する前進作戦拠点(FOS)、恒常的には使用せず連絡要員を常駐させる協力的安全保障拠点(CSL)が連なる。

 要するに米国は、「世界のどこでも、いつでも、どんな敵に対しても100%勝利する」軍事態勢を整えることで、パックス・アメリカーナ(米国による世界支配)を恒久化しようとしているのだ。

U 米軍の戦略展開拠点(PPH)=日本

アメリカ任せのツケ

 この区分で日本は英国とならんで、米軍の全世界展開を支える最も重要な戦略展開拠点(PPH)と位置づけられている。他にこのような重要な拠点と見なされているのは、太平洋のグアム島(米国の準州)と、インド洋のディエゴ・ガルシア(英国から米国が借り受けている)しかない。

 グアム島とディエゴ・ガルシアは、事実上の米国領土。英国はアングロサクソンの母国であり、米国とは伝統的に特別な関係にある。いわば身内も同然だ。PPHに位置付けられた国・地域のうち、米国にとって本当の意味での「外国」なのは日本だけだ。米国と同盟関係を結ぶNATO諸国やアジア諸国(韓国、フィリピン、台湾)も、オーストラリアもニュージーランドも、日本のように米軍の戦略展開拠点(PPH)には位置づけられていない。

 例えば中東地域の米国の最大の同盟国サウジアラビアやトルコも、イラク戦争には賛成しても、自国内の米軍基地の自由な使用や、自国領土内の米軍の自由通過までは認めはしなかった。日本だけが治外法権なのである。

 小泉首相はよく「日米同盟」を強調するが、こうしたGPRの現実を見ても、米国は日本を「対等な同盟国」として扱おうなどとは思ってもいない。良く言って「51番目の州」、ハッキリ言えば何でも言うことを聞く「属領」か「保護領」扱いとしかいえないのだ。

 第二次世界大戦の勝利によって日本を軍事占領した米軍は、日本の独立(1951年サンフランシスコ講和条約)後も、60年にわたって日本に居座り米国の世界戦略の拠点としての機能を維持し続けている。それに対して日本の歴代自民党政府は、「在日米軍が日本を守ってくれる」などと米軍駐留を容認し、在日米軍駐留維持費を負担するなど「手厚く」扱ってきた(思いやり予算)。小川和久著『日本の戦争力』(アスコム)によると、在日米軍基地を維持するために日本は年間6000億円(一つの県の予算に相当)も支出しているのだ。

 朝鮮戦争・ベトナム戦争・湾岸戦争・イラク戦争と、米国が大規模な戦争を行うたびに、在日米軍基地からの大規模な米軍出撃が容認されてきた。

 今回のGPRで米国が、日本を世界で4つしかないPPHの1つに位置づけたのは、戦後60年の長期駐留によって、世界にも類を見ない米軍の最重要の前進出撃拠点となってしまったからだ。

日本にある米軍重要拠点

 米軍がPPHとしての機能を期待している在日米軍基地・施設を列挙しよう。まず筆頭に、米陸軍第1軍団司令部が移設されようとしているキャンプ座間があげられる。これは米軍再編の「目玉」ともいえるものなのだ。

 続いて、第7艦隊の空母キティホークを中心とする空母機動部隊(CSC、空母打撃群)、および第7艦隊旗艦ブルーリッジの母港となっている米海軍横須賀基地。空母キティホークを中心とする空母機動部隊が横須賀を母港化しているのは、横須賀にハワイ以西アフリカ東岸に至るまでの地域で唯一、空母をドック入り修理できる乾ドック(第6ドック)と高度な機能を持つ艦船修理施設があるからだ。

 昨年10月27日、米海軍は、日米両政府の合意に基づき、空母キティホークの後継艦としてニミッツ級の原子力空母を2008年に横須賀へ配備すると発表した。米海軍は、西太平洋(日本周辺)に恒常的に2個空母機動部隊を展開させる方針も打ち出している。米軍再編によって横須賀は原子力空母の母港としてさらに強化され、佐世保基地と共に2つの空母機動部隊の事実上の母港として機能する。

 横須賀の空母キティホークの艦載機が離発着訓練を行う厚木海軍飛行場もPPHだ。空母艦載機は空母が港に入っている間も、陸上の飛行場で離発着訓練を続けて技量の維持を図る必要がある。NLPによる厚木飛行場周辺の騒音被害もなくならない。

 その他に首都圏では、在日米軍司令部と第5空軍司令部がある横田空軍基地、214・4ヘクタールもの広さに大小400の建物を有する相模原補給廠、1000メートルの長大な埠頭と多数の倉庫群を持つ横須賀ノースドックなどもPPHだ。これらの施設は、普段はほとんど休眠状態のように見えるが、ひとたび戦闘となれば、米本土から太平洋を超えた兵站補給・部隊展開の前進拠点として機能する。

 沖縄のキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、キャンプ・コートニーなどに駐留する第V海兵遠征軍の中核部隊、それに伴うホワイト・ビーチ港湾施設、普天間飛行場と岩国飛行場もPPHだ。日米政府は普天間基地の返還で合意しているが、米軍は今の再編で沖縄海兵隊の撤退・縮小など考えていない。市街地にあり、いつ重大事故をおこすかわからない普天間基地より、「辺野古移転」の方が海兵隊の沖縄駐留恒久化にとって好都合だと考えているのだ。

 その他、三沢航空基地、嘉手納航空基地は、そこから直接戦闘ないしはそれに準じた作戦が実施される主要作戦基地(MOB)として機能する。私たちが住み生活するこの日本列島全体が、米軍の前進出撃基地になっているのである。

 日本の米軍前進出撃基地化がどれほどのものであるのか。湾岸戦争(1991年)とイラク戦争について見てみよう。

イラクへ出撃する在日米軍

 湾岸地域に展開した米軍が使った燃料と弾薬の8割以上は日本の米軍基地・施設から運ばれた。90年8月のイラクによるクウェート侵攻から91年2月28日の停戦までの7か月間に、長崎の米海軍佐世保基地と中東方面を往復した米軍関係の艦艇は、戦闘艦船を除いて延べ113隻、その大部分がオイルタンカーと弾薬補給船だった。

 湾岸戦争時の戦略的兵站に関する米輸送軍団の報告書「より頻繁に、より大量に、より遠くへ、より速く」によると、日本からの兵站輸送(大部分が民間チャーター)は航空輸送が124回(4690万ドル相当)、海上輸送が420航行日(3500万ドル相当)にのぼった。これは世界の他の地域からの兵站輸送と比較して群を抜いている。

 湾岸戦争に参加した米海軍と海兵隊のすべての部隊を指揮したのは、横須賀基地を母港とする第7艦隊の旗艦ブルーリッジだった。イラクを攻撃した米海軍の航空母艦の機動部隊は6グループだったが、そのうち艦載機出撃回数が最大だったのは、これも横須賀を母港としていた空母ミッドウェー。イラクの首都バグダッドにトマホーク巡航ミサイルの第一撃を加えたイージス巡洋艦バンカーヒル、米海軍の発射した300発近いトマホークのうち1隻で58発発射した駆逐艦ファイフも横須賀基地から出撃している。これらの艦船は、横須賀で燃料や弾薬を積んで出撃している。

 サウジアラビアの上空で活動した2機のAWACS(早期警戒管制機)や、多くの空中給油機も沖縄・嘉手納基地から発進した。第3海兵遠征軍も、部隊はハワイと沖縄から、戦闘機・攻撃機は岩国基地から湾岸地域へと飛び立った。

 こうした日本の湾岸戦争での米軍支援は、130億ドルの資金拠出を除外しても、実際に7万人近い兵力を派兵した英国と比べても、3倍以上の「軍事的貢献」なのである。

 2003年3月から始まったイラク戦争においても同様だ。3月20日のイラク空爆開始の口火を切ったのは、横須賀から出撃したイージス艦カウペンス、ジョン・S・マケインなどの艦艇が発射したトマホーク巡航ミサイルだった。2隻のイージス艦が撃ったトマホークは合計70発。同じく横須賀から出撃した空母キティホークの艦載機は5000回以上も出撃している。

 在日米空軍は、青森県三沢基地から第35戦闘航空団のF16戦闘機と兵員500〜600人、沖縄の嘉手納基地から第18航空団の戦闘機F15と兵員500人を派兵した。沖縄にいる海兵隊の一部も派兵されており、在日米軍の派兵総数は1万人規模にも達する。

 湾岸戦争でもイラク戦争でも、日本が日米安保条約の定める「事前協議」を米国に求め、在日米軍基地の使用を許さなかったら、米軍はあのような迅速な勝利をうることはとてもできなかった。今や日本に存在する米軍基地や兵站施設は、米国の世界戦略上、不可欠のものだ。それゆえ米国は、今回の「再編」において在日米軍基地を「戦略展開拠点(PPH)」と位置付け、基地機能をさらに強化すると共に、その恒久化を目論んでいる。

V 日本国内での軍事再編

座間に誕生するUEX(現地統合作戦司令部)

 2004年7月15日、サンフランシスコで開催された審議官級協議で米国側は、在日米軍再編の詳細な内容を日本側に提案。第1軍団司令部のキャンプ座間移転構想の詳細が初めて明らかとなった。その内容は単なる在日米軍基地再編ではなく、米軍トランスフォーメーションの内容を全面的に具体化するものだった。

 第1軍団司令部は、そのままの形でキャンプ座間に移転してくるわけではない。移転後、UEX(現地米軍統合作戦本部)へと改変されることになっている。UEXとは何か。その概要は次のようなものだとされる。

 米軍は、従来の軍団・師団・旅団という分類を全面的に見直し、戦力の指揮・統制機能をもつ「司令部機能ユニット(UE)」と、自己完結的でモジュール(元々は電気機器やコンピューター装置などの構成要素の単位の意味)化された「戦闘部隊機能ユニット(UA)」に再編しようとしている。UEはだいたい1000人規模の編成で、約3600人規模のUAを最大で6つ指揮する。UEは、固定化した部隊を配下に置かず、作戦任務に応じて必要なUAを「部品」のように調達する。さらにUEは、海軍や空軍、海兵隊の部隊もユニット化して指揮下に組み込む。まさに4軍統合運用(ジョイント・オペレーション)の具体化だ。

 一方、UAは、最新鋭の戦闘装甲車部隊などで構成さる「ストライカー旅団」を主軸として、輸送機で96時間以内に世界中のどこへでも派兵が可能な戦闘ユニットとして編成される。

 さらに司令部機能を担うUEは広域司令部のUEYと、前線で司令部の役割を果たすUEXに区分される。太平洋軍の管轄地域は、ハワイ・日本・韓国に各一つずつの計3司令部を配し、8つの戦闘部隊を編成する。このうち、ハワイの太平洋軍司令部はUEYに改変され、キャンプ座間と鳥山基地(韓国)にUEXが置かれる。

 キャンプ座間に新たに設置されるUEXは、必要に応じてストライカー旅団を中心に4軍を統合運用する「前線米軍統合作戦司令部」だ。平時の司令部機能はキャンプ座間に置かれるが、必要に応じて米軍部隊(UA)を世界各地から調達、その指揮命令の下に実施される軍事作戦も、日米安保条約の定める「極東」に限定されない。第1軍団司令部が担当していた地域――太平洋全域とインド洋、東アジア、東南アジア、オセアニア地域にいたる広大な地域が作戦区域となるのである。

 従来、キャンプ座間の在日米軍司令部は、輸送などの後方支援の指揮命令を主な任務としていた。キャンプ座間の基地機能は、在日米軍司令部がUEXへと衣替えすることによって、単なる後方支援の司令部から、実際に戦場に投入される統合戦闘部隊の司令部へと大きく変貌する。在日米軍再編によってキャンプ座間は、トランスフォーマティブされた新たな米軍部隊の東アジアから中東地域への出撃基地として再編されようとしているのだ。

 こんな「再編」は、日米安保条約の定める「極東条項」(6条「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」)に明らかに違反している。日米の完全な軍事的一体化――というよりも日本の米国への軍事的な完全な従属だ。日本国憲法の平和主義どころか、日本の「主権」が重大な危機に瀕しているのである。

自衛隊中央即応集団も座間に

 キャンプ座間をめぐるトランスフォーメーションの問題は、UEXだけではない。2006年に自衛隊が新設を予定している防衛庁長官直轄部隊「中央即応集団」の司令部がキャンプ座間に置かれることになった。

 中央即応集団とは、自衛隊の海外活動や国内テロ対応を目的に作られる組織だ。海外派兵や災害派遣の実働部隊となる新設の「緊急即応連隊」(宇都宮)をはじめ、対ゲリラ戦用の特殊作戦群(習志野)、 第1空挺団(習志野)、第1ヘリコプター団(木更津)、第101特殊武器防護隊(大宮の第101化学防護隊を改編予定)、国際活動教育隊(駒門)、PKOセンター(緊急展開教育隊、北富士駐屯地に設置予定)など、およそ4800人で編成される。

 中央即応集団の司令部は当初、自衛隊朝霞駐屯地に置かれる予定だった。ところが、2005年3月の日米協議で、中央相応集団の任務と役割に注目した米国が、改変して移転する第1軍団司令部(UEX)と連携させたいと要望。中央即応集団の司令部を急遽キャンプ座間に置く方針に転換された。

 米軍の狙いはハッキリしている。UEXの事実上の指揮下に「中央即応集団司令部」を置き、海外での米軍の軍事活動に中央即応集団に属する自衛隊の精鋭部隊を動員しようというのだ。在日米陸軍のパーキンス司令官は、キャンプ座間での新司令部(UEX)創設について「自衛隊の訓練や海外活動を支援することもできる」(4月7日、参院外交防衛委員会視察団に)と語っている。

 2005年8月の日米審議官協議の結果、航空自衛隊の航空総隊司令部(東京都府中市)を横田基地に移し、2009年度中にミサイル防衛の中枢を担う日米統合作戦センター(共同統合運用調整所)を新設する方針が決まった。航空総隊司令部は、自動警戒管制組織(バッジシステム)の情報に基づき、防空戦の全体情勢を掌握し、戦闘機や高射部隊を即応させるなど戦闘を指揮する。航空総隊司令部が横田基地に移り、日米統合作戦センターの指揮下に入ることで、日本の「空の防衛」も完全に在日米軍の手に握られるのである。

 2004年4月の東京会合で、米国は航空自衛隊の空輸部隊を統括する航空支援集団司令部(府中市)や入間基地(埼玉県)の空輸部隊を米軍横田基地へと移転させ、横田基地を米軍と自衛隊と共有の「共同戦略輸送センター」へと再編しようと提案してきた。なんのことはない。米軍の兵站物資輸送を航空自衛隊に肩代わりさせようというのだ。

 「日本の防衛」(専守防衛)を任務とするはずの自衛隊が、在日米軍の後方支援や兵站輸送を全面的に請け負わされようとしているのだ。もはや「憲法は自衛権(個別的ないし集団的)を認めているか否か」といった話ではないのだ。

自衛隊強化では日本は救えない

 日本の国是である「専守防衛」という観点からみると、今の自衛隊の「戦力」はあまりにも強力なものとなっている。

 一番端的なのが、海上自衛隊だ。日本の自衛隊の戦力で世界最高水準なのは海上自衛隊の対潜水艦戦能力だ。海上自衛隊は、哨戒機P―3Cを100機も保有している。これは国土面積が日本の20数倍もあり、世界中に展開する米軍の267機に次ぐ多さである。

 これを日本政府は、中東などの産油地帯や海外市場と日本を結ぶシーレーン(海上交通路)防衛のためと説明している。だが、対潜水艦戦能力だけでシーレーンを守れるはずもない。最大の理由は、米ソ冷戦時代に、ソ連の攻撃型原潜や戦略型原潜(SLBMによる米本土への核攻撃能力を有していた)が宗谷・津軽・津島の3海峡を通過することを許さないと同時に、米軍が戦略的根拠地である日本列島に出入りするためのシーレーンの安全確保を、海上自衛隊が担ってきたからだ。

 海上自衛隊の「世界トップクラス」の対潜水艦戦能力は、米軍の海上輸送路の防衛に役立っているのである。海上自衛隊は「海の国境警備隊」として、密入国や密貿易を取り締まり、海難救助に精を出す方が、よっぽど日本国民の生命と財産の「防衛」の役に立つと思うのは筆者だけではない筈だ。

 航空自衛隊の場合、その防空戦闘能力は世界のトップクラスだとされる。8か所のレーダーサイト、20の警戒隊、F15など373機の戦闘機、パトリオット地対空ミサイルなどの要撃戦闘能力は、イスラエルなどと並んで世界の最高水準にあるとされる。これも、在日米軍を牽制するために日本領空に侵入してくるソ連の戦闘機を迎撃するために整備されてきたものだ。

 米軍は、空軍・海軍・海兵隊の戦闘機や攻撃機を大量に日本に配備しているが、そのうち防空任務(日本防衛任務)についているものは一機も存在しない。すべて外征・攻撃用で、基地防衛は自衛隊の分担なのだ(同様のことは在日米海軍や海兵隊にも言える)。

 F15戦闘機は一機100億円以上もする。財政赤字に苦しむ日本が、そんなに高価な戦闘機を米国から購入して373機も保有し続ける理由はない。同じく高価な哨戒機P―3Cも含めた購入―維持費を、戦後補償や世界の貧しい国々への国際援助に回した方が、ずっと有意義と誰もが思うだろう。

 陸上自衛隊も、ソ連の機甲師団との戦闘(戦場は北海道)を想定した重厚長大の装備を現在もなお維持し続けている。その典型が陸上自衛隊の主力戦車=90年式戦車だ。一台8億円もする上に、50トンもの重量で車幅が3・44メートルもある。これでは、日本の一般道を自走できない(トンネルや橋を通過できない)どころか、トレーラーに乗せて運ぶことすらできない。しかし陸上自衛隊は、旧体系を維持し米軍に協力しているのである。

 実際には自衛隊入隊者の志望動機のおよそ8割が、「災害派遣での活躍」や「海外での人道支援活動」だという。それが自衛隊の主任務である「国土防衛」を大きく上回っているのだ。このギャップはやがて矛盾として顕現してくるだろう。

対米追随で孤立する日本

 米国は強大な軍事力は誇っているが、米国財政は「火の車」だ。ブッシュ政権の財政赤字は04年度4120億ドル、05年度政府予想4270億ドル、06年度政府予想3900億ドルとなっている。これにはイラク・アフガニスタン戦費(年間400〜500億ドル)は含まれていないのだ。米国はこうした膨大な財政赤字を、海外(主要には日本)の投資家の国債(財務省債)の購入によってまかなっている。海外からの資金流入が止まれば、米国の国家財政は破綻するのは目に見えている。

 しかもRMAによって近代化された米軍は、大量の石油消費に依存している。石油減耗により「安い原油」が大量に手に入らなくなれば、米軍の軍事活動もまた不可能になる。パックス・アメリカーナなど、実は財政赤字と安価な石油の上に浮かぶ蜃気楼にすぎないのである。

 韓国の盧武鉉政権は「脱米自主」を内外に宣言し、在韓米軍が「台湾海峡有事」などの朝鮮半島以外の有事に投入されることを拒否するとしている(盧武鉉ドクトリン)。さらに盧大統領は「10年以内に自ら作戦権を持つ自主軍隊に発展させていく」とする「自主国防」路線や、「韓米日安保三角体制を離脱し、北東アジアのバランサーへ」という安全保障政策の大転換も打ち出している。こうした韓国の政策は今後の日本にとり大いに参考となると思う。


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(2006年1月1日発行 『SENKI』 1199号4-5面から)


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