★阿修羅♪ > 戦争76 > 239.html
 ★阿修羅♪
Re: 日本では報道されない、サルコジの暴言のニュアンスとは!?
http://www.asyura2.com/0510/war76/msg/239.html
投稿者 レイ 日時 2005 年 11 月 18 日 00:36:49: mRt2rX4ca0PnA
 

(回答先: <仏暴動>サルコジ内相が人気盛り返す 世論調査で判明 [毎日新聞] 投稿者 white 日時 2005 年 11 月 17 日 16:40:36)

1990に社会党の大統領フランソワ・ミッテランは"cites"に詰め込まれた職のない若者たちの生活を次のように描写した。

この若者たちは、どんな希望が持てるというのだろう。彼らは精彩のない界隈に生まれ、醜悪な高層ビルに住み、さらに醜悪な環境に囲まれている。灰色の荒地に建つ灰色の壁に閉じ込められ、灰色の生活を運命付けられているのだ。社会は彼らから目を逸らそうとする。彼らがたまりかねて爆発するまでは。

だがミッテランの認識と感動的な言葉は、けっきょく言葉だけにとどまった。彼の都市政策は予算不足で焦点の定まらない失策であり、転移性の悪性腫瘍にバンドエイドを貼ってすませようとするようなものだった。ミッテランの診断から15年後、こうしたスラムの若者たちの救いのない疎外感と「灰色の生活」は一段と悪化し、悪臭を放ちはじめた。

過去10日間の若者の反乱に対する保守派政府の対応は、無能で的のはずれたものだった。最初の4日間、シラク大統領とド・ヴィルパン首相Dominique de Villepinは、政府の対応を野心家で誇大妄想気味のニコラ・サルコジ内相の采配にまかせておいた。サルコジは公然と2007年の大統領選挙でシラクに挑戦する運動を進めており(ヴィルパンが首相に任命されたのも、彼を取り込めば右派がサルコジを大統領候補にするのを防げるという目算からだ)、シラクもヴィルパンもサルコジを嫌悪している。だから彼らは、サルコジには暴動を抑えることはできないだろうと踏んで、わざと放置したのだ。国内の治安の悪化を強調し「法と秩序」の優先を唱える強硬派デマゴーグとして広い人気を集めてきた「サルコ」(フランスでは、この名で親しまれている)が、この失敗が大統領選に向けて大きな失点となるだろうと期待していた。

サルコジはスラムの若者たちを侮蔑的で人種差別に満ちた言葉で切り捨て、弾圧政策を要求したことによって火にあぶらを注ぐことになった。スラムから"la racaille"を"karcherise"するという「サルコ」の発言が見出を飾った。アメリカの新聞はこれを、スラムから「社会のクズ」を「一掃」すると訳して報道したが、これではもとのフランス語の持つ途方もなく辛らつで侮辱的なひびきを伝えるにはきわめて不十分だ。"Karcher" は超圧縮空気で砂や水を吹きつけて表面を洗浄するシステムの有名ブランドで、こびりついた汚れ(ハトの糞のような)を乱暴にこそぎ落とし、ときには表面を痛めてもしかたがないというニュアンスを持っている。そういう言葉を人間の若者にあてはめて、戦略として唱えることはファシスト的な侮辱であり、こんな言葉が内相の地位にある人物の口から政策として提案されるというのは、実際に口には出さないが「民族浄化」が声高に宣言されたのとあまり変わらない。その意味するところは警察がむき出しの暴力を行使し、人権などおかまいなしに大胆な力の行使がなされるということだ。英語圏の記者たちに、このフランス語の恐ろしく挑発的で陰険な響きがどれほど伝わっているのだろうか。"karcherise"を「一掃する」と訳してしまったのでは、サルコが実際に表現した挑発的な暴力性が完全に落ちてしまう。さらに言えば、"racaille" もフランス語を話す人間にとっては単なる「社会のクズ」というより何倍も侮辱的なニュアンスをもっている。人間以下の、生まれつき性根が悪く、犯罪者で、無用の者という、一言でいってスラムの反抗的な若者たちを侮辱するのにこれ以上ひどい言葉はないというようなものなのだ。

反乱がパリ郊外の外に飛び火し、南はマルセイユから北はリールまでに広がると、サルコジは暴動の拡散は「組織的な」ものに違いないと断言した。だが今朝パリからの電話で話したLe Canard Enchaine の編集者Claude Angeliというフランスの調査報道界の長老が言うには、「それは本当じゃない。サルコジが人々を不安にさせようとほのめかすような、イスラム主義の原理主義者が組織したということは事実ではない。もちろん近所の子供たちは携帯電話やEメールで警官が向かっているところに警告を出し合い、放火の場所を随時変更している。だが反乱が広がっているのは若者たちが団結意識をもっているからだ。それはテレビを見ていて芽生えたものだ──彼らはテレビで見たものを真似しているだけだ。彼らはサルコジの挑発的な言葉の標的は自分たちだと感じたのだ。反乱は自然発生的に広がったものだ。とりわけ、人種差別的な警官の行為が引き起こしたものだ。この若者たちが毎日のようにさらされている警官の人種差別のひどさは、とても信じがたいようなものだ。彼らは逮捕され、管理され、肌が浅黒いというだけで身分証明書をチェックされる。警官は言葉づかいも乱暴で、彼らを'bougnoules' (アメリカ人が「ターバン頭」"towel-heads"と呼ぶのに似た人種的な侮辱で、もっと響きが悪い)と呼び、「目を伏せろ、目を伏せろ!」と命令する。まるで彼らには警官の顔を直視する権利がないとでも言わんばかりだ。これは人間並みの扱いの完全な拒絶だ。この子たちが当局から絶縁されたと感じるのも無理はない」。

本日付の『リベラシオン』紙 (わたしもかつてコラムを担当していた)には、スラムの若者たちへのインタヴューと、彼らの口から説明された怒りの理由が載せられていた。同紙によれば、「彼らはほぼ一人残らず"サルコ"を引用した。22歳の学生は、次のように語った"サルコジは自分の発言をぼくらに釈明する責任がある。今起こっていることを見たとき、同じイメージが心に浮かんだ。サルコジが 〔10月25日にパリ郊外のスラム〕Argenteuilを訪問したとき、頭を上げて叫んだ場面だ。「すっかりみんな退治してやりますよ」──この発言で、みんなキレた。(スラムの住民の)誰に対してもまったく非礼な態度だった」。13歳の少年は次のように述べている「サルコジをKarcher.にかけてやるのは僕らのほうさ。僕が今晩外出して騒ぎに加わるつもりかって?」彼は笑って「それは秘密さ」と答えた。28歳の青年は、「誰が放火しているかって?14歳から22歳ぐらいの子供たちですよ。正体はわかりません。覆面をしているし、話もしない。翌日つるんでいることもないですから。でも自分の住むところで面倒を起こすのはやめて欲しい。代わりにデモでもやるか、面倒を起こすならパリの連中のとこに行ってやってほしい。それでも"サルコ"大臣は「おまえらは、だれもかれもみな同じだ」とのたまうのです。僕にいわせりゃ、そんなこたあないでしょう──僕らは誰もが、それに反論するのだけれど、返ってくるのはやっぱり「おまえらは、みんな同じだ」という言葉です。政府のそんな対応が、僕らのあいだに共通の意識を植え付けたのです。一種の連帯感です。この子たちは注意を引きたい、自分たちが存在することを知ってもらいたい。彼らが心に思っているのは、「僕らが手におえなくなりパニックを引き起こせば、彼らも僕らを忘れたりしないだろう。僕らが住んでいる地区には援助が必要だということを、彼らは知っているはずだ」ということです。

昨日パリで開かれたカソリック司教会議で、内相と宗教相を兼ねるサルコジが顔を出そうとしたところ、司祭たちは彼がそこで演説することを拒絶した。司教たちは暴動の背景にある経済的、社会的、人種的な原因に対処する代わりに「弾圧を呼びかけ、恐怖心を植え付けようとする者たち」を非難した。ここまではっきりサルコジに向けて叱責が発せられたのは異例なことだった。

http://www.k2.dion.ne.jp/~rur55/home.html 「フランスはなぜ燃えているのか」より


 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ       HOME > 戦争76掲示板



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。