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自己家畜化と監視社会
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投稿者 サンシャイン・リング 日時 2005 年 9 月 09 日 19:17:36: tvx24rsIy6Syo

イラクの自衛隊派遣延長問題をはじめ国内外には気がかりなことが多く、ニュースからは目が離せないのだが、二週間ほど仕事が忙しかったことを言い訳にウェブログの更新を中断して、世の中の動きを傍観していた。

幸いなことに自分の周りだけは平穏な日々だが、自分とは直接の関わりがない「外」の世界では公然と暴力、不正、非道がまかり通ることが日常になっている。すでに余程のことでないかぎり「事件」にもならず「ニュース」価値すらない。

「他人の不幸は蜜の味」ともいうが、人は本当に身勝手なものである。わが身に「不幸」が降りかからないかぎり、相対的に平穏ならば、多少の不自由や非道理には目をつぶって幸せでいられらしい。「パンとサーカス」に代わるものとして「他人の不幸」をあてがわれて暮らしているのだ。

「明日はわが身」という想像力まで奪われたこの暮らしは「家畜」のそれによく似ているが、初めて「自己家畜化」という言葉を目にしたのは、森岡正博さんの『無痛文明論』を読んだ時だった。

快を求め、苦しみを避ける方向へと突き進む現代文明。その流れのなかに、われわれはどうしようもなく飲み込まれ、快と引き替えに「生きる意味」を見失い、死につつ生きる化石の生を送るしかなくなるのではないだろうか……。

今、ぼくたちが生きている現代文明というフレームを疑ってみないことにはこの剣呑な時代を読み解くことは難しい。しかしこの本で示唆されている光景というのはかなり背筋の寒くなる風景である。そのキーワードの一つとして使われているのが「自己家畜化」という概念。これはすでに1930年代にドイツの人類学者によって提唱された概念だが、1996年から1998年まで国際高等研究所の「人類の自己家畜化現象と現代文明」という課題研究テーマとなり、尾本恵市氏(国際日本文化研究センター)を代表としてさまざまな分野の研究者が参加して共同研究を行なった。その結果は学術講演会、公開セミナー、国際シンポジュームで公表されている。

人類は野生生物とは異なり、自ら作り出す文化的環境によって、身体的にも特異な進化を遂げたのだが、それは自己をあたかも家畜のごとく自然から切り離された存在として管理する動物として進化してきた、との認識から生まれた人類学上の仮説がこの「自己家畜化(Self-domestication)現象」だ。

ヒトの生物学的な本性に「自己家畜化現象」というものが深く関与しており、それが現代の高度に発達した都市文明の基層だという指摘は、あまり愉快なものではない。しかも、われわれは「家畜」なのだという認識で最近の世相を読めば、妙に納得できることが多いのだから憂鬱になる。


囲われた柵の内側だけが安全である。
柵の外は危険に満ちた世界である。
それに個人で立ち向かうことは不可能だ。
柵の内側の共同体を守ることが重要だ。

という教育をするのがマスメディアの仕事であって、その認識の元に「家畜」を管理するのがこの社会の権力構造なのだろう。だからこの掟に背こうとすると、厳しい避難と糾弾を受けることになる。「家畜」は外の世界に興味を持ってはいけないのだ。いや興味を持つ必要はないのだ。安全な世界は柵の内側にしかないのだから。

こうした柵が何重にも張り巡らされているのだが、その柵の管理人を職業とする集団もいる。普段はあまり人目につかないようにしているのだが、彼らは自分たちこそがこの社会の安全を守っているという自負で崇高なお仕事をおこなっているらしい。その名前は公安警察。

名前くらいは聞いたことがあってもその実体はなかなかわからなかったが、最近、「公安警察の手口」というよい本が出版された。著者はバリバリの新右翼活動家として著名な鈴木邦男さん。ほとんどの記述が自らの体験にもとづいているので、説得力があるし、描写も具体的である。監視社会で暮らすということはどういうことなのか、すべての人が一度は読んでおく方がいい本だ。高校の副読本に採用してはどうだろうか?


こうした知識を若いときに身につけておくことがこれから大切になると思う。
特に若者の保守化が懸念される昨今だが、これまで公安警察がお客さんとしてきた左翼が最近では衰退もいちじるしいので、新しい顧客開拓として「潜在右翼」という概念を導入して、せっせと顧客名簿を整備しているらしい。
某巨大掲示板に出入りしているネットウヨクの人たちなどはすでに登録済みだろう。公安警察のリストに一度でも名前が載ってしまえば、ほぼ一生監視されることになるらしいので気をつけたほうがよい。老婆心ながら。

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