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自分自身、離脱を図った仲間をリンチした。深夜の公園で、全員が木刀や鉄パイプで襲い、脅した。「警察に届けてわしらが捕まったら、後で必ず仕返しする」。しばらくは携帯電話を頻繁にかけ、行動を監視した。「とにかく汚いやり方だった」と振り返る。
暴力団とつながった「面倒見」やOBによる集団暴走の強制…。暴走族にいる限り、暴力でお互いをしばり合う構図からも逃れられない。
「現役の半分以上が、やめたいと思っているはず。結局、十八歳の引退式でもある『えびす講』まで、嫌々続けているのでは」。なんとかリンチを免れた少年は、元の仲間たちの本音を推し量る。
「一日も心が休まる日がなかった」。娘が「レディース」といわれる女性暴走族にいた母親(47)は、離脱を図ったわが子と分かち合った苦しみを振り返る。
「家に火をつける」「親をやっちゃる」…。娘は脅された。家にも執ように電話がかかった。娘は半年間、ほとんど県西部の自宅や遠方の親せきに閉じこもり続けた。外出は家族全員が同行した。
みんな神経をすり減らし、外の物音にもびくついた。いら立ちから、夫婦間の口論も絶えなかった。