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ベンツ窃盗団暗躍(高倉健、宮尾すすむ、山本譲二さんも被害)
「香港へ船積み寸前摘発も」
東京都内で高級外車のメルセデス・ベンツが盗まれる事件が相次ぎ、俳優の高倉健さん(65)やタレントの宮尾すすむさん(62)ら複数の芸能人も被害にあっていたことが、警視庁捜査三課の29日までの調べでわかった。今月中旬には、被害にあったベンツ数台が、香港行きのフェリーに船積みされようとして東京税関に摘発され、香港では、千葉県成田市内のホテルで盗まれたプロ野球・巨人軍の河野博文投手(34)のベンツが発見された。同課では、盗難事件の背後には日本と香港を結ぶ大がかりな国際窃盗団が暗躍しているとみられて本格捜査に乗り出した。
調べによると、今月18日夜、港区の宮尾さん方で、駐車場に止めていたベンツが盗まれ、同じころ、同区内の高倉さんの自宅駐車場でも自家用のベンツが盗まれた。また、このほかにも、今月22日、都内の自宅で、演歌歌手の山本譲二さん(46)の同様の被害にあっていたことも分かった。
今月に入り、港区内でベンツ10台以上が盗まれたほか、品川区や大田区でも会社役員(61)らが盗難にあうなど、被害は都内全域で約30台、被害総額は数億円にのぼっているという。
また、今月中旬には、江東区の埠頭から香港に出航予定だったフェリーに積み込む目前のベンツ数台が税関職員に発見され、その後の調べで、すべてが盗難ベンツだったことが分かり、同課で押収した。
さらに、今月19日、千葉県成田市のホテルで盗まれた河野投手のベンツなど30数台が、船降ろしする直前に香港の捜査当局に押収されていることも分かった。これらはすべて日本で盗まれたもので、同課では、一連のベンツ盗難には、大がかりな国際窃盗団が存在する疑いが強いと見ている。
「蛇頭」との関係追及 中国人密入国で特捜本部(警視庁)
東京都荒川区で昨年暮れに密入国の中国人40人が一斉に逮捕された事件で、警視庁公安部は8日までに、同区西日暮里の指定暴力団住吉会系幹部、蛭田剛司容疑者(28)を犯人隠匿容疑で、長崎県奈留町の漁業・葛島成利容疑者(35)を入管難民法違反(密入国)ほう助の容疑でそれぞれ逮捕し、特捜本部を設置した。逮捕された中国人には密航組織「蛇頭(スネークヘッド)」のメンバー2人がいて、蛇頭が暴力団に約3千万円の報酬を渡す予定だったことがわかったためで、本部で背後関係を追求している。
調べによると、密航中国人の一団は昨年12月15日、中国の上海近くから出航し、長崎県西方沖で葛島容疑者が用意した漁船に乗り移り、21日未明に同県の漁港についた。その後、蛭田容疑者らがトラックやマイクロバスで都内まで運んだ。特捜本部は、九州の指定暴力団も漁船の手配などの事件に関与していたことをつかんでおり、暴力団と蛇頭との関係解明に全力を挙げている。
中国「蛇頭」→日本の暴力団「密航仲介料7千万円(成功2人100人入国)
密入国した中国人ら40人が昨年暮れに東京都荒川区内で逮捕された事件で、犯人隠匿容疑で逮捕された暴力団幹部らが、中国人の密航斡旋組織「蛇頭」(スネークヘッド)の依頼で、今回摘発された事件のほかに合わせて4回の仲介を請け負っていたことが、20日までの警視庁荒川署の特捜本部の調べでわかった。うち2回が成功して100人ほどが密入国し、蛇頭側は総額約3億円を稼ぎ、東京都九州の二つの暴力団に約7千万円が流れていたことが判明した。特捜本部では、「密航ビジネス」が暴力団の有力な資金源になっていると見て警戒を強めている。
この事件では、荒川区西日暮里のマンションで12月22日、すし詰め状態で室内にいた中国人が発見され、40人が旅券不携帯で現行犯逮捕された。その中には、中国人の迎え入れに関与した在日邪頭人がいた。
このほか都内に本部を置く指定暴力団住吉会系鼈甲一家の幹部・蛭田剛司(28)、福岡県久留米市の指定暴力団同仁会系小林組の組員・田中英輔(37)の2容疑者、中国人を運搬した漁船所有者ら日本人7人が犯人隠匿容疑などで逮捕されている。
調べによると、蛭田容疑者は、在日蛇頭からの依頼を受けて、昨年11月上旬の2回、さらに12月初旬同中旬の計4回、密入国の支援を請け負った。
このうち、1回目と3回目は、接触する予定だった長崎県沖の海上に密航船が現れずに失敗したが、ほかの2回は計約100人の中国人の受け入れに成功し、鼈甲一家が管理するマンションに収容した後、就労先へと送り込んでいたという。
蛭田容疑者らの供述によると、蛇頭からの依頼があった後、九州方面の暴力団と接触を図り、小林組との「提携」成立したという。田中容疑者らと組んで、在日蛇頭2人と一緒に知り合いの所有する漁船で中国人と受け入れた後、長崎県・野母漁港から高速ランプ近くまで保冷車で移動し、マイクロバス2台に分乗させ荒川区のマンションまで運んでいた。
中国人は、就労先が決まると本国の実家に電話し、代金約300万円を中国の蛇頭に支払うよう連絡。その後、蛇頭から蛭田容疑者に中国人1人あたり70万円の報酬が支払われていた。
成功した2回の密航仲介料で得た約100人分、総額7千万円のうち、レンタカーなどの経費400万円、漁船所有者に対する報酬600万円を除いた約6千万円が、2つの暴力団で山分けにされたとみられる。分配をめぐりいさかいも起きたという。
調べによると、暴力団に支払われた額は、蛇頭が中国人から得た全体の報酬の2割程度。過去に摘発された事件では、ほとんどが蛇頭と暴力団とで報酬を折半しており、今回は激減していた。公安当局では、バブル崩壊などで資金源に苦しむ暴力団が、蛇頭の「密航ビジネス」に群がるようになったためと見ている。
特捜本部では、蛭田容疑者が接触した蛇頭は幹部級を含め数人いるとみており、在日蛇頭組織の実態解明に全力を挙げている。
警視庁などの統計によると、昨年一年間の集団密航事件は海上保安庁の検挙を含め28件、約670人にのぼり、前年比で15件、約350人増えた。
今年に入ってからも20日までに、沖縄県や鳥取、岡山両県などで中国人と見られる密入国者計98人がそれぞれ発見、逮捕されている。
かつては高波などの悪条件が重なる冬場の密航事件は少なかったが、最近では季節を問わずに密航が摘発される傾向にある。
相次ぐ中国人密航今年すでに430人
千葉県の沖の海上で4日午後、救難信号を出している漁船が見つかり、第三区海上保安本部(横浜)などは、船内にいた中国人ら43人を保護した。八丈島でも同日午前、中国人ら男女67人が発見されるなど、今年に入ってから同日まで、全国で少なくとも430人の中国人が密航の疑いなどで拘束されている。これは昨年1年間に摘発された679人の三分の二近くで、過去最高のペース。相次ぐ密航のほとんどに、斡旋組織「蛇頭(スネークヘッド)」が介在しており、警察当局では、これまで密航の受け入れを日本の暴力団などに頼っていた「蛇頭」が、自前の受け入れ組織を広げ始めたと見て警戒を強めている。
1ヶ月で昨年の6割「蛇頭」受け入れ組織拡大か
4日午後1時ごろ、第三区海上保安本部に千葉県・犬吠埼の沖で船が浸水しているとの通報があった。同本部の航空機が、犬吠埼沖約70`で、救助を求めている外国船を確認。海上自衛隊と協力し、乗船者43人全員を救助した。
同本部では、密航中国船の疑いもあると見て対応を関係機関と調整している。
一方、東京八丈島に同日午前、不審な漁船が接岸し、男女46人が上陸した事件で、警視庁公安部と八丈島署では同日夜、密航目的の中国人とみて、この46人を入管難民法違反の疑いで逮捕した。漁船は46人が上陸した直後、島を離れたが、同本部が追跡、立ち入り検査をした結果、新たに中国人とみられる21人が見つかった。
調べでは、この船は先月26日、蛇頭メンバーとともに上海近くから出航。今月2日に千葉県に上陸しようとしたが、海上保安本庁の巡視艇に発見され、逃走を続けていたらしい。
今年に入って4日までの間に、全国で少なくとも430人の密航中国人が、警察当局や海上保安庁に身柄を拘束されている。
警察当局によると、中国人の密航は従来、蛇頭と日本の暴力団が連携するケースが大半だったが、最近は蛇頭が独自に行う密航が目立っているという。東京入管が摘発した密航中国人の供述などによると、蛇頭側が「三包(サンパオ)」と称して、@密航A住居B就労の三つの斡旋を約束していたケースもあった。
警察当局では、在日蛇頭が独自に密航斡旋できるようになったのは、組織が拡大し、日本国内に大きなネットワークが築かれつつあるためとみている。