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日テレ、コクド事件の意味するもの?
http://blog.drecom.jp/fallin_attorney/archive/15
株主を無視した経営者
ライブドアとフジテレビジョンによるニッポン放送株のM&A取引は今や国民的話題
となっている。この取引の主人公がプロ野球チームの買収で一躍時の人になった堀江
氏、もう一方の当事者がマスコミ大企業のフジサンケイ・グループという、一般市民
が毎日接するテレビ局として身近に感じ、かつ、小企業が大企業を攻めるという図式
がもたらす判官びいきの日本人的心情が一層興味を盛り上げている。
TOB、時間外株式売買、新株予約権付き第三者割当増資、プロキシー・ファイト、特
別決議に対する拒否権など、ごく一部の専門家しか使わない用語とその解説が頻繁に
かつ膨大な情報としてテレビや新聞で流され、ふだん会社経営に興味の薄いお茶の間
に株主と経営者の関係や会社支配権、さらには証券市場を取り巻く環境情報が提供さ
れることに、著者は喜んでいる。今後の展開が待たれる進行形のM&A取引だが、実に
多くのM&A取引問題を日本のビジネス・コミュニティーに提供している。
そもそも、2年ほど前より村上ファンドがニッポン放送株を大量に取得し、今後も買
い増しすることを村上氏自身が宣言しているのに、何故フジテレビジョンは適切な株
主構造への対応を怠ったのか。規制に守られている放送業界では「所詮ファンドの株
主などは何も出来ない」、あるいは「俺達の方がより大きな資本を持っているので、
いざとなればひねり潰してやる」と考えていたのだろうか。結果がどのようになろう
が、ニッポン放送とフジサンケイ・グループの現経営者は株主の資金と時間を無駄に
使った責任回避はできない。
と同時にここで問題にしたいのは、フジテレビジョンの株主である。ニッポン放送を
除けば、信託口を主にした機関投資家である。機関投資家のマネ・マネジャーはフジ
テレビの株主として、今回のM&Aをどのように見ているのだろうか。投資先企業の
経営そのものといえる株主構造に対し、少なくとも善管義務を持つマネ・マネジャー
達は意見書を経営陣に提出していたのだろうか(ニッポン放送のフジテレビジョン持
分を34%以下に低下させているが)。正しい経営をチェックする株主責任について、
是非、考えてもらいたい。
上記のM&A取引と同時に、コクド元会長である堤義明氏による西武電鉄株の名義偽
装、インサイダー取引疑惑も大きな課題を提供している。カリスマ経営者の最後、時
代錯誤の経営など、日々報道される経営内容や西武電鉄社長の自殺を知るにつれ、よ
くこのような大企業グループが上場会社として存在していたものだと驚きを隠せな
い。カリスマ経営者と呼ばれた人ではダイエーグループ創設者、中内功氏がいた。こ
のダイエーも産業再生機構により破産から再出発へと大きく舵を切り始めた。コクド
とダイエーに共通したキーワードはともに大企業グループの経営者であるにも関わら
ず家督相続と節税対策を優先させた経営判断が会社を滅亡の淵に追いやったといえ
る。
株主を無視した経営者の末路をニッポン放送、フジテレビジョン(フジサンケイ・グ
ループ)、コクド・グループ、ダイエーは日本のビジネス・コミュニティーに見せて
いる。