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MHD技術の応用分野の研究例【東工大・山岬研究室】
http://www.asyura2.com/05ban/ban4/msg/960.html
投稿者 姫子音 日時 2005 年 12 月 07 日 01:36:54: ufZh96zaorBXw

(回答先: 上記記事のURL。それから筑波大学とアメリカ軍事産業とロシアとのISTCにおける他の地震関連プロジェクト 投稿者 サラ 日時 2005 年 12 月 06 日 22:17:32)

サラさん、HAARPさん、始めまして。
軍事にも即、転用が可能で、ロシアとも共同研究している、MHD技術の応用分野の研究例を紹介します:


(1) MHD(電磁流体力学)の応用分野の研究例として、東工大すずかけ台キャンパスの山岬研究室のHPから、『MHD(電磁流体)発電とは』の抜粋を以下に引用します。



MHD(電磁流体)発電とは






高温を利用するため超高効率発電が期待できます



現在、一次エネルギーの約40%が電力発生に消費されています。したがって、発電効率を高めることは、省資源や地球環境を守るため大変重要と言えます。ところで、発電効率を高めるにはどうしたら良いでしょうか。それは、発電プラントで利用されている流体の利用温度を高めることです。たとえば、ガスタービンや蒸気タービンを利用した発電所では、燃焼ガスの温度や蒸気の温度を高めることです。しかし、ガスタービンや蒸気タービンなどの回転機械では機械的な強度の問題から、温度を高めることには限界があります。そこで、MHD発電が登場することになります。MHD発電では、ガスタービンや蒸気タービンとは異なり、回転部分はなく、発電機は高温に耐えるセラミックスと電極で構成されています。したがって、1,700℃から2,700℃という高温の流体を利用でき、60%以上の超高効率発電が期待できます。






MHD発電の原理は簡単です



MHD発電は、Magneto-hydro-dynamics発電を省略したもので、電磁流体力学発電と呼ばれています。発電の原理を図1に示しましたが、発電機に流入する高温の作動気体には強力な磁場が印加されます。この時、ファラデーの電磁誘導の法則(フレミングの右手の法則)により、作動気体の運動方向と磁場の方向の両方に直角な方向に電圧が発生し、作動気体の中には電流が流れます。この電流を電極を通して外に電力として取出します。発電機には、図1のようなファラデー電流を電力として取出すファラデー発電機の他に、図2のようなディスク形ホール発電機があります。発電原理はファラデー方発電機と同じですが、ホール方発電機では磁場の印加により電流がファラデー方向(円周方向)と直角に流れる性質を利用し、半径方向の電流を電力として取出します。本研究室ではこのディスク形ホール発電機の研究を主に行っています。







発電性能はプラズマと超音速流れに依存しています



MHD発電で使用する流体には、燃焼ガス、液体金属、希ガスなどがありますが、本研究室ではアルゴンやヘリウムなどの希ガスを用いた発電方式の研究を行っています。この方式はクローズドサイクルMHD発電と呼ばれています。この方式では、希ガスに電気伝導性を与えるため微量のアルカリ金属(セシウム、カリウムなど)を添加します。この添加をシーディングと言いますが、アルカリ金属をシードされた超音速流れの中には電磁誘導の法則により起電力が誘起され、この電界により電子の温度(3000-5000K)が気体の温度より遥かに高い非平衡プラズマが生成されます。この非平衡プラズマの挙動は大変面白く、プラズマが空間的に非一様な場合(図3)には、発電性能は劣化します。しかし、シードの量を最適にした場合には、図4のように内部に千アンペア程度の電流が流れているにもかかわらず、ほぼ一様なプラズマが形成されます。発電機内の気体の圧力は大気圧程度であり、これまでの常識では雷に代表されるように放電は収縮します。しかし、図4のようにほぼ一様なプラズマの生成に成功し、同時に世界最高の発電性能が達成できました。

プラズマと同じように超音速流れの挙動も発電性能に大きな影響を与えます。流れの中に衝撃波や大きな圧力損失がある場合には、発電性能は劣化します。図5は発電機内に円形の衝撃波が生じた場合、図4は運転条件の最適化により衝撃波の発生を抑えることができた場合です。







発電の様子



下のリンクををクリックすると発電の様子を見ることができます。皆さんは電気を見たことがないと思いますが、ここでは電気がプラズマからの白い発光として見えます。超音速流れにブレーキ力が作用して圧力変動が生じ、それにより大きな音も聞こえます。この実験では、時間と共に発光も変化していますが最大400kWの電力が発生しています。

Hot Blow 非発電時の発電機内の映像(25秒、6.4MB)

Power Generation  発電時の発電機内の映像(1分、14.2MB)

Introduction衝撃波管を用いたMHD発電装置の映像(6秒、1.73MB)

(衝撃波管の映像は、高速度カメラで撮影したものをゆっくり再生しています)




(2) 同研究室のHPより、『MHDエネルギーバイパススクラムジェットエンジンとは』の抜粋を以下に引用します。



MHDエネルギーバイパススクラムジェットエンジンとは






スクラムジェットエンジンは簡単な構造です


現在広く利用されている航空用ジェットエンジンはターボジェットエンジンと呼ばれ、エンジン内部に大きな扇風機のようなものが設置されています(図1)。エンジンに入ってきた空気は、圧縮機の翼列で圧縮されて高圧になり、燃焼器に送られます。燃焼器で燃料と混合して燃焼し、高温高圧のガスとなって圧縮機の動力となるタービンを駆動し、流出します。

一方、ラムジェットと呼ばれるエンジンでは、エンジンに流れ込む空気自身の勢い(ラム圧)で圧縮し、燃焼器で燃料と混合して燃焼し、高温高圧のガスが出口から流出します。ラム圧を利用するため、回転する圧縮機やタービンを持たない比較的簡単な構造です。さらに、ここで扱うスクラムジェット(SCRAM jet)とは、エンジン内の全域で超音速を保つ超音速燃焼ラムジェット(Supersonic Combustion Ram jet)の略称です。


 


より高速で利用できます



スクラムジェットエンジンでは、超音速で流れ込む空気を亜音速にすることなく流出するので、エンジン内に垂直衝撃波を作らないという特徴があります。このため、衝撃波による圧力損失を他のエンジンに比べて低く抑えることができます。また、スクラムジェットエンジンはターボジェットエンジンと異なり、高速で回転するタービンなどを持ちません。このことから、より高い温度での使用が可能となりますい。これらの特徴から、スクラムジェットエンジンは他の空気吸い込み型エンジンでは動作の難しいマッハ数4から12という非常に高いマッハ数で運転することが可能です。実際NASAでは、およそマッハ10での飛行試験に成功しています。




MHDを応用した高性能化を研究しています


スクラムジェットエンジンは簡単な構造が特徴ですが、様々な気流条件に対応しづらいという課題があります。例えば、構造を簡単にして形状を固定すると、エンジンの冷却は容易になり、設計された条件では高い性能を実現できます。一方で、加速途中など設計値からずれた気流条件では最適な条件を作れないという欠点があります。また、刻々と変化する条件に対応するため、エンジンの形状を可動式にすると、冷却が困難になり、高いマッハ数での運転が容易ではなくなります。これらの課題を解決するために、山岬研究室ではMHDの技術を応用する方法を検討しています。

現在はロシアで提案されたMHDエネルギーバイパススクラムジェットエンジンについて解析的検討を行っています。MHDエネルギーバイパススクラムジェットエンジンとは、燃焼器より上流側にMHD発電機を、下流側にMHD加速機を設置し、エンジンに流入する流れのエネルギーの一部を電気エネルギーに変換して下流側に送るというシステムです(図3)。この方法を用いると、合計のエネルギー収支は変わりませんが、燃焼機内の流れを積極的に制御することができます。これによって、エンジンの形が固定されていても、より燃焼に適した流れを作り出すことができると考えています。











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