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ヒトラーと聖杯 (氷宇宙説 アーネンエルベ 新聖堂 アルマネン ゲルマン騎士団 ヴリル協会 トゥーレ協会 パルジファル)
http://www.asyura2.com/05ban/ban5/msg/128.html
投稿者 コスモス栽培 日時 2006 年 1 月 27 日 18:15:48: 7ivuQOjPULgbk

(以下転載)

他民族に対するドイツ民族の優越を唱え、ドイツ国民の圧倒的支持をうけてナチス党を私物化し、優越種であるドイツ民族によるヨーロッパ支配を目指し、力によってそれを実現させようとした結果、第2次世界大戦のひきがねをひくことになった男、アドルフ・ヒトラー。彼の思想と行動には、彼の好んだオカルト学思想が色濃く反映されていた。そして、それはゲーム中においても同様である。その神秘論はどのようなものであったというのか。
ヒトラーは1909年に「オスターラ」なる雑誌に接した。「オスターラ」はオーストリアのオカルティスト「ランツ・フォン・リーベンフェルト」によるものである。彼は、あやしげな人類学の説を唱え講演や集会を行ったオカルト学者で、ドイツ富裕階級の支援により、1889年にオカルト結社「新聖堂騎士団」を設立した。ヒトラーは、これらの秘密結社に強く惹かれていたのだ。やがて「新聖堂騎士団」は、ランツと同様のオカルティスト「ギィード・フォン・リスト」の設けた「アルマネン秘法伝授団」と1912年に合併し、新秘密結社「ゲルマン騎士団」となった。「ゲルマン騎士団」は、神秘的な秘儀伝授の色合いを持っていたが、その中核をなす思想は、ドイツ民族主義である。同結社は、第一次世界大戦によるドイツ敗戦以降、社会主義、共産主義との対決姿勢を示すようになる。オーストリア出身であるといえる「ゲルマン騎士団」が結束を固める一方、ドイツでは、敗戦の年1918年に神秘主義者で占星術士の「ルドルフ・フォン・ゼボッテンドルフ(ルドルフ・グラウェル)」によって設立された「トゥーレ協会」の動きが活発化していた。この結社は、純然たる神秘学研究集団であった。しかし、前述の「ゲルマン騎士団」と交流するうち次第に政治的色合いを濃くし始め、民族主義的思想のもとに、貧弱な敗戦内閣の転覆を企てるほどになる。しかし、それより早くに力をつけた共産主義者の赤軍兵士により、1919年に急襲をうけ、「トゥーレ協会」は一時解散し、地下へと潜ることとなる。

さて、ドイツ敗戦後に成立した「ヴァイマール共和国{!}」が、ルール地域の占領と未曾有のインフレによって危機となっていた1923年、ヒトラーはナチスを率い、「ミュンヘン一揆」を起こした。一連の運動のなかでの3000人の武装デモの際、ヒトラーは警官隊と衝突することとなった。これに、四散していた前述の「トゥーレ協会」も参加するのだが、ヒトラーはあっけなく敗退してしまい、逮捕・起訴され、有罪となって投獄された。しかし、彼はこの投獄中にひとりの師を得る。その人物、第一次世界大戦中の陸軍将「カール・ハウスホッファー」は科学者であり、東洋神秘主義者であった。彼の思想と論理構成力はヒトラーの心に浸透し、魅了した。その思想は、ナチス台頭以前にベルリンにあった「ヴリル協会」に由来する。その結社の曰く、「ヴリル{!}」なる不可視の心霊エネルギーによって、「超人」あるいは「神人」のごとき「来るべき民族」が地上に現れ、この超新人類によって世界は征服され、従来の人間はこれの奴隷となるのだという。これと結合するのが「トゥーレ」の思想である。「トゥーレ」とは、純粋種アーリア民族の発祥したとされる伝説的な場所のことである。この2つは、ヒトラーが獄中で執筆したナチスのバイブル「マイン・カンプ(我が闘争)」の中でドイツ民族主義となり、ナチス第三帝国の礎となった。

上記の思想とともにナチスが採用した神秘思想が、神秘学者「ハンス・ヘルビガー」による「氷宇宙説」である。ヘルビガーによると、「はじめ宇宙は氷であり、それが巨大な太陽のような灼熱体に吸収されたとき、宇宙的大爆発が起こり、宇宙が誕生した」のだという。また、「古代アトランティス大陸にいたような優秀なアーリア民族は北のはてに住んでいたが、地球に落下した天体によって滅んでしまい、わずかに残った最も優秀な秘儀伝授者がドイツの祖先となった。」という思想も含むものが「氷宇宙説」である。この説は、「ドイツ民族超人思想」を掲げるナチスの歓迎されるところとなり、特に、ヒトラーの側近のひとりにしてナチス親衛隊の長官「ハインリッヒ・ヒムラー」によって採り上げられた。ヒムラーは、アーリア人の起源を探る目的で1935年に「ドイチェッシュ・アーネンエルベ(ドイツ遺産協会)」を設立、世界中に民族・人類・地理学者を送り、ヘルビガーによる学説の正当性を証明する証拠を集めようとした。

ヒトラーはドイツ民族の優越性の概念を、このようにして獲得・補強してきたのだ。彼曰く、「ドイツ民族こそ来るべき神人(演説より)」なのである。この事実とペル罪イベントとの関連についてのセミナーは回を改めることにして、本項で主題とせんところはこの後である。

ヒトラーが、上述の理想を実現せんと考え出したのが、オカルティズムと現代科学を結び付けた、いわば「超科学」である。その研究に利用した組織こそ、前述の「ドイチェッシュ・アーネンエルベ」である。アーネンエルベは50もの部局を有する大組織であり、研究対象も「氷宇宙」「錬金術{!}」「シャンバラ{!}」「レイ・ライン{!}」など多岐にわたる。また、それらに基ずく数々の計画を遂行しており、「ユダヤ人のホロコースト」「UFOの開発」「レーベンス・ボルン計画{!}」などを行った。それら神秘思想探求の意志と行動は、ある宗教団にも向けられた。キリスト教異端宗派「カタリ派」である。

「カタリ派」は「アルビ派」とも呼ばれる中世ヨーロッパ最大のキリスト教異端派で、南フランスのアルビ地方で興った宗派である。「カタリ」とはギリシア語で「清浄なもの」という意味で、彼らは禁欲的道徳を至上とした。その教義はグノーシス派{!}の流れを組み、光と闇の二元論、輪廻転生、男女同権、神との個人的かつ永続的合一、キリストの復活・たっ刑の非神聖視などの、カトリック教会にとって容認できないものばかりであった。そのため迫害が続き、「アルビジョア十字軍」が組織されるに至り、彼らは無抵抗のうちに壊滅した。そんな彼らの伝説に「消えた秘宝」というものがある。ヒトラーが興味を抱いたのはこの部分である。

ヒトラーが好んだものに、「パルジファル」がある。13世紀初めのドイツ宮廷詩人「ウォフルラム・フォン・エッシェンバハ」の「パルチファル」。「アーサー王伝説」を題材とした物語で、主人公パルチファルが騎士道を志し、アーサー王の円卓の騎士を経て、中世における最高の理想像たる聖杯守護王になるまでを描いた作品である。これをもとに、ドイツの作曲家「リヒャルト・ワーグナー」が作った楽劇が「パルジファル」で、「アーサー王伝説」よりも神話・宗教的意味合いを濃く彩られたものとなり、ヒトラーの興味と一致した。この作品中でヒトラーの心を射止めたものこそ、本項の主題「聖杯伝説」である。

「聖杯伝説」はもともと「アーサー王伝説」の中心的主題の一つとして広まったものである。これにおいては、「聖杯」とはキリストが最後の晩餐で用いた杯であり、十字架から滴る彼の血を受けたものである。その杯は、キリストの墓を用意したアマリタヤのヨセフがイギリスのアヴァロン島(グラストンベリー)に運んだといわれるが、彼の死後は行方不明となった。そしてこの秘宝を探求することこそ、有徳の騎士がなすべき使命であるとされる。そして後、この「聖杯伝説」にはオカルト的な意味が施されるようになり、キリストを刺したといわれる「ロンギヌスの槍」と合わせ、ともに失われた2つの秘宝を手にする者は、地上世界の支配者となることができるという。またこれに、ユダヤの預言者モーセが神から授かった「十戎」を納めていた「聖ひつ」も組み込まれた。そして、聖槍は「無敵の槍」聖杯は「無敵の盾」となり、またそれで飲む者を不老不死にもすると、この伝説は語る(映画「インディージョーンズ」シリーズを見よ)。

ヒトラーはこの伝説を好み、その研究を重ね、その答を先のカタリ派の「消えた財宝」伝説に求め、「カタリ派の聖なる道」を辿って彼らの洞窟をくまなく探索した。しかし結局成果はあげられず、ヒトラーが聖杯を手にすることはなかった。

そうだろうか?ヒトラーは、聖杯を入手していたのではないか?不老不死を得て、いまも生きているのではないか?その「超科学」で秘法を研究し、その力を手にしたのではないか?そんな人々のファンタジーが、ヒトラーを蘇らせる。

さて、最後にユングが「聖杯」についての分析、こころに対する価値を語ったことについて触れておきたいと思う(心の未熟解説の項をはじめに参照していただきたい)。無意識の内容は、自我に対して有害であるように感じるものも有益であるように感じるものも含んでいる。この混沌の無意識の領域を認識することは、さらなるこころの全体性、自己実現につながる。すなわち、「自己」の力の獲得である。そのメタファー{!}が、「海から[魚]を捕まえる」ことであり「探索の旅をして[聖杯]を得る」ことである。つまり、「聖杯」は「自己」を表す象徴であるというのだ。

これをゲームにあてはめると、「聖杯」は噂によるもの、つまり人々の無意識内容の投影であるから、それは人々の「自己」であるといえる。しかもそれを手にするのは「ヒトラー」、「自己の暗き面、ニャルラトホテプ」である。これは、現代の人々のこころが余りにも意識化しすぎて無意識と離れてしまったために、「自己」という「隠された財宝」を手にすることができず、無意識の、自己の否定的な側面の攻撃を受けやすくなってしまっている、ということを表しているのではないだろうか。【 http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/1509/kotubu/cup.html

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