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UEKUSAレポートPlus 第1回〜第6回 保存のため
http://www.asyura2.com/0601/bd45/msg/874.html
投稿者 XL 日時 2006 年 9 月 16 日 19:13:06: 5Sn8OMNzpaIBE
 

http://web.chokugen.jp/uekusa/
より、

UEKUSAレポートPlus
第1回〜第6回 を

引用させていただきます。


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2006.02.22
第1回 「ライブドア・ショック転じて福となす?」
 1月23日、ライブドアの堀江貴文前社長ら4名が証券取引法違反容疑で逮捕

された。日本の株式市場は昨年8月8日以降、株価急上昇を演じてきたが、ラ

イブドアに対する家宅捜索が行なわれた1月16日頃を境に、調整局面を迎えて

いる。
 日本政治の潮流変化の契機になるか。株式市場のトレンド転換のきっかけに

なるか。きわめて興味深い局面を迎えている。
 昨年8月8日以降の株価急上昇の理由は、それまでの株価が著しく「割安」

であったことだと考えられる。小泉政権の改革に対する期待感が株価上昇の背

景との見解を耳にすることがあるが、これは間違いだろう。
 昨年8月8日、郵政民営化法案が参議院本会議で否決された直後から株価急

騰は始動した。「法案が否決されれば株価は暴落」が事前の市場観測だった。

現実は完全に逆だった。
 90年代のバブル崩壊は1990年2月19日に始動した。2月18日の総選挙で自民

党が勝利すれば株価は再上昇というのが市場の事前観測だった。選挙で自民党

は勝利したのに株価暴落が始動した。
 3月なかごろまで日本の株式市場の調整が長引くかもしれない。過去の株価

本格上昇局面でも1、2ヵ月の調整は必ず存在してきた。日本の株価は依然と

して割安で上昇の余地は依然として大きい。過大な悲観は必要ないだろう。
 重大なことは、ホリエモンが小泉政権の「改革」政策の象徴だったことだ。

昨年9月11日の「刺客」選挙で小泉政権はホリエモンを全面支援した。竹中総

務相は「改革は小泉純一郎とホリエモンと竹中平蔵がスクラムを組んでやり遂

げます」と絶叫していた。
 ホリエモンが象徴していたのは、「弱肉強食」、「拝金主義」、「外資優遇

=対米隷属」、「市場原理主義」、「格差社会」だった。「資本市場」が有効

に機能を発揮するための根源的な条件は「情報の完全な開示」である。これが

あって初めて「自己責任原則」貫徹を求めることが可能になる。「情報開示な

くして自己責任なし」である。
 ライブドアが粉飾決算を実行していたとなると、この前提が音を立てて崩れ

る。竹中総務相は「がんばった人が報われる社会を作る」ことを訴え、自由競

争の華やかな勝利者としてホリエモンを褒め称えていたが、その実体は「砂上

の楼閣」、「欺瞞に満ちた黒ずんだ栄光」であった疑いが濃厚になってきてい

る。
 ライブドアが粉飾決算を行っていたとなれば東証は上場廃止を決定するだろ

う。ライブドアの株主の損失は計り知れないものになる。小泉政権はライブド

アに政府保証を与えたようなものであるから、小泉政権は決定的なダメージを

受ける。粉飾決算疑惑に関する捜査が遅れているが、政権が司法に圧力をかけ

て握りつぶしにかかっているなどの悪い冗談も聞こえてきそうだ。
 小泉政権は高齢者や障害者の医療費自己負担の激増という、血も涙も通わな

い苛烈な「弱者切り捨て政策」を推進している。他方、高級官僚の「天下り」

を死守し、国会議員の年金廃止を形骸化させ、共済・厚生年金の一元化も遅々

として進んでいない。
 メディアがものごとの「本質」を伝えないために、「小泉政権が改革を推進

している」といった見当違いの判断が、依然として人々に蔓延している。もう

国民も目を覚まさねばならない。ライブドア・ショックによって催眠状態に置

かれた人々が目を覚ますことになれば不幸中の幸いである。


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2006.02.28
第2回「失われた5年−小泉政権・負の総決算」
 2月20日、私は民主党前衆議院議員小泉俊明氏(http://www.koizumi.gr.jp/

)のセミナーに出席して講演した。演題は「失われた5年−小泉政権・負の総

決算」だった。小泉政権が発足したのが2001年4月26日、まもなく丸5年の時

間が経過する。この5年を厳正に再評価しなければならない。
 この『直言』で詳細に検証してゆきたいが、まずは概観しておくことにしよ

う。小泉政権が掲げた「改革」政策の正体は依然としてはっきりしない。何を

やるのかと聞かれて、「改革をやる」との回答以外に具体的な話を聞いたこと

がない。「改革」という日本語の「イメージ」がプラスのイメージだから、「

何か良いことをするに違いない」との印象が生じてきただけに過ぎない。
 経済政策で小泉政権が推進したのは「緊縮財政」と「企業の破たん推進」だ

った。「国債は絶対に30兆円以上発行しない」、「退出すべき企業は市場から

退出させる」方針が「改革」政策の経済政策面での具体的内容であったと思わ

れる。
小泉政権が「改革」政策の表看板を掲げると同時に株価は暴落を始めた。小泉

首相が所信表明演説を行った2001年5月7日を起点に株価が暴落していった。

日経平均株価は1万4529円だった。ついに9月12日、日経平均株価は1万円を割

り込んだ。だが、小泉政権は「テロがあり、株価が暴落した」と責任をテロに

転嫁した。だが、現実にはテロの前に株価は暴落していた。
 年末にかけてマイカル、青木建設の破たんが相次いだ。そして、嵐はダイエ

ーに波及しかけた。ここで政策は一変した。政府は金融機関に働きかけ、4000

億円を超える支援策をまとめたのだ。「退出しそうな企業は救済」に、政策ス

タンスは大転換した。さらに政府は、5兆円規模の補正予算を編成し、国債発

行額は実体上33兆円に達した。「国債は絶対に30兆円以上出さない」公約はあ

っさり破棄された。
 2002年、株価が1万2000円近辺に回復すると、政策は元に戻った。竹中氏は

2002年7月のNHK日曜討論で、筆者の「補正予算が必ず必要になる」の発言

に対し、「補正予算など愚の骨頂」と発言した。9月に内閣改造があり、竹中

氏は金融相を兼務。銀行についても、「退出すべきは退出」を強調していった


 2003年4月、日経平均株価は7,607円に暴落。日本経済は金融恐慌に半歩足を

踏み入れた。りそな銀行を「破たん処理」していれば、間違いなく金融恐慌に

突入していた。土壇場で小泉政権は、「改革」政策を完全放棄した。預金保険

法102条第1項1号措置という、法の抜け穴を活用し、「退出しそうな銀行を税

金で救済」することを決定したのだ。
 税金で銀行が救済されるなら恐慌は起こりようがない。恐慌を織り込みつつ

あった株価は猛反発する。外資系ファンドが情報を最も早く入手したと見られ

る。外資系ファンドが莫大な利益を得た。株価が上昇したところに、米国経済

拡大、中国経済拡大、国内のデジタル家電ブームが重なり、景気が回復基調に

乗った。2003年なかば以降の景気回復は、小泉政権の政策の成果ではない。小

泉政権が「改革」政策を全面放棄した結果生じたものである。
 2002年度、小泉政権は竹中氏が「愚の骨頂」と発言した5兆円補正予算を編

成した。小泉政権の「改革」政策の破たんは明白である。民主党は自民党の政

策失敗を的確に追及しなければならない。2003年、小泉政権の「改革」政策全

面放棄を容認する際に、内閣総辞職を求めるべきであった。的確な追及をして

いれば、小泉政権はこの時点で終焉していたはずだ。だが、民主党の追及はま

ったく見当違いの方向に向かった。
 2006年、「ホリエモン」、「耐震偽装」、「BSE」、「防衛施設庁汚職」

で小泉政権の弱体化に拍車がかかり始めた。この局面で、民主党がメール問題

でもたついていたのではお話にならない。前原代表は国民的見地に立った戦略

的対応を示すべきである。この問題に早期に決着を付け、2007年参院選に向け

ての体制を整えることを重視すれば、前原氏が代表の座を辞し、挙党一致で臨

める新代表を選出することが望ましい。地位への執着は、公益よりも私益優先

の表れと受け取られてしまうだろう。民主党の迷走がこの国の状況を一段と救

いがたいものにしてしまうことを重視すべきである。


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2006.03.14
第3回「次期日銀総裁は福井総裁の続投とすべきだ」
 3月9日、日本銀行は政策決定会合で量的金融緩和政策解除を決定した。

2001年3月に日銀がゼロ金利政策に復帰した際、量的金融緩和政策が始動した

。5年ぶりの解除となった。
 日銀外部からは量的金融緩和維持を主張する声がかまびすしく響いていた。

竹中総務相や中川秀直自民党政調会長などがその急先鋒であったが、これらの

反対論を排除しての決定となった。

 日銀の政策判断は妥当である。そもそも量的金融緩和政策は「意味不明」な

政策だった。市中銀行は日銀から資金を借り受け、その資金を「預け金」とし

て日銀にある当座預金口座に保有する。市中銀行は日銀への「預け金」の多寡

にしたがい融資活動をすることができる。
 日銀が市中銀行に大量に資金を提供し、市中銀行が融資を拡大すれば、世の

中に出回る資金量が拡大する。量的金融緩和措置とは、日銀が市中銀行に対し

て必要資金を超過して資金を提供することを意味していた。
 最近では、超過金額が30〜35兆円とされていた。だが、必要資金に対する超

過分だから、その金額は1兆円でも100兆円でも差は存在しない。しかも、銀行

は融資に消極的だったから、日銀が提供する超過資金はまったく活用されずに

市場に滞留していた。いわば「見せ金」政策だった。

 福井総裁はこうしたメカニズムを十分に知ったうえで、政治的行動として量

的金融緩和政策を拡大してきたのだと考えられる。だが、ゼロ金利政策終了が

そろそろ視界に入り始めて、量的緩和政策を解除しておかなければならなくな

った。
 極めて円滑に量的金融緩和政策を解除できた最大の功労者は福井日銀総裁で

ある。三つのことがらを指摘できる。第一は、福井発言がまったくぶれてこな

かったことだ。日銀外部から雑音が多く聞こえてくるなかでも、「条件が整え

ば量的金融緩和は解除する」との方針は変化しなかった。基本姿勢の一貫性が

市場の信頼獲得には不可欠だ。
 第二は、条件が整い次第間髪を入れずに決定したことだ。決定を先送りする

ことは裁量の余地が存在することを意味し、日銀が外部からの政治的圧力を受

けることを助長するリスクを高める。そのリスクを巧みに排除したと言える。
 第三は、福井氏が日銀総裁に就任(2003年3月)した後の2003年10月に量的

緩和解除の条件を明確に定めたことだ。この条件が明確に示されてきたからこ

そ、今回、非常に円滑に政策決定ができたのである。2003年に明確な「出口戦

略」を用意したことは、事後的には当たり前のことのように見えるが論議がか

まびすしくなる前の段階での行動であり、確かな先見力を示す条件明示であっ

た。この条件明示がなかったなら量的金融緩和解除は極めて困難な作業になっ

ていたはずだ。グリーンスパン前FRB議長を髣髴させる技量と言える。

 竹中総務相などは金融超緩和政策を維持してインフレ誘導と長期金利低位安

定をはかるべきだと主張しているが、問題の多い提案である。インフレが加速

する局面でインフレ率を適正水準に抑制することは極めて困難で、インフレ誘

導政策は非常に危険な側面を持つ。竹中氏提案でのもっとも重大な誤りは、金

融緩和維持が長期金利上昇を招くことを認識していない点である。
 米国で2004年以降、長期金利がほとんど上昇しなかった最大の理由はFRB

が1.0%の短期金利を4.5%にまで引き上げたことにある。インフレ排除の明確

な政策スタンスが長期金利上昇を抑制してきたのだ。

 日銀は日銀外部からのさまざまな妥当性を欠く圧力を排除しながら適正な政

策運営を実現してゆかねばならない。日銀には非常に高い見識と能力が求めら

れている。日銀の政策は政策委員会での9名の委員による多数決により決定さ

れている。真のプロフェッショナルだけが委員に起用されるように人選方法を

見直すべきである。
もうひとつの重大な問題は、日銀幹部に財務省出身者が登用されていることだ

。過去の「通貨価値暴落=預金者大損失」は、中央銀行が財政当局の支配下に

置かれたことを根本的原因として生じている。財務省出身者の日銀幹部への登

用を制度的に排除すべきである。個人の資質の問題ではなく、制度として安全

策をとるべきである。
 いずれ次期日銀総裁人事が話題になるが、福井総裁の続投が妥当な選択であ

る。グリーンスパン氏は18年以上もFRB議長を務めた。極めて重要で困難を

伴う職責であるだけに、最適な人材は年齢や在任期間を度外視して就任を要請

される。福井氏の日銀総裁再任が現状でのベストな選択である。


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2006.03.29
第4回「天下り廃止無くして改革無し」
 小泉政権の「改革」は『まやかし』である。「小さな政府」と言われて反対

する国民は少ない。なぜなら、「小さな政府」の言葉には「政府の無駄を省く

」響きがあるからだ。改革の本当の狙いは「政府の無駄を省く」ことであるは

ずだ。小泉政権が本当に「政府の無駄を省く」なら、筆者は小泉政権を支持す

る。小泉政権が発足した2001年から筆者は、小泉政権の提示する政策が「真の

改革」の名に値するかどうかを判定する基準を明示してきた。この基準を満た

すなら小泉政権を支持することも公言してきた。
 その基準とは、「天下り廃止」を断行するかどうかである。現在の政府部門

には膨大な無駄が存在している。国民に対する過酷な政策を実施する前に、公

的部門の無駄を切るべきことは当然だ。この意味での「改革」を筆者は小泉政

権よりもずっと前から主張し続けている。
 公的部門の巨大な無駄の根本的原因となっているのが「天下り」である。七

十余の特殊法人、2万6000もの数に達する公益法人が抱える無駄の源泉に「天

下り」が存在する。公益法人には税金が直接投入されていないものもある。だ

が、多くは役所が民間会社に指示して作らせたものである。民間会社に指令し

て公益法人を設立させ、そこに「天下り」を送り込むのだ。この負担は、結局

、製品価格を通じて消費者に転嫁される。
 この国では、官僚が国民を食いものにしているのだ。「公務員を優遇しなけ

れば優秀な人材が集まらない」との反論をよく耳にする。だが、公務員に最優

秀な人材を集める時代は終わっている。有能な人材は市場で力を発揮して成果

を上げてゆくべき時代である。公務員は競技場の整備士であり、審判団である

。市場経済の主役はあくまでフィールドで戦うプレーヤーである。整備士や審

判団に最優秀な人材を集めるのは本末転倒である。公務員には終身雇用を保証

し、フィールドの整備士、審判団としての職務を全うしてもらうように仕向け

るべきである。能力があると自負する者はプレーヤーなり、政治家としての活

動を目指すべきである。
 小泉政権が「改革」の名の下にターゲットにしてきたのは、財務省の支出削

減標的の御三家、「公共事業」、「社会保障」、「地方」である。「地方」へ

の支出圧縮は「義務教育」費の激減を招きつつある。公共事業に無駄があるな

ら、当然その無駄を省くべきだ。だが、財務省が「無駄の排除」を訴えて国民

生活や未来創造の根幹にまで手を入れてくるなら、その前にまず財務省の利権

にメスを入れるべきではないのか。
 「隗(カイ)より始めよ」ならぬ「官より始めよ」である。特殊法人、公益

法人にかかる巨大な無駄が発生する最大の理由は、それらが「天下り」の受け

入れ機関だからである。仕事がなく、仕事をしない官僚OBに、高額の給与、

個室、秘書、専用車が提供される。これらのすべてが国民負担で賄われる。
 小泉政権が本当に国の将来を憂い財政状況の改善を目指すというなら、方法

はともかく心情には共鳴する。だが、本当に国の将来を憂い、財政構造を「改

革」しようと言うなら、まず、「官僚利権」に手を入れるはずだ。「官から始

め」、官がこれだけ痛みを甘受したのであるから、国民も「痛みに耐えて欲し

い」とするのがものごとの順序である。
 だが、小泉政権は政権発足から5年も経つというのに、「天下り廃止」にま

ったく取り組んできていない。国民には「痛みに耐えろ」と述べ続け、経済政

策の失敗で株価大暴落、金融不安、戦後最悪の企業倒産、年間3万人超の自殺

者発生の現実を招来させてきたにもかかわらず、謝罪の言葉すら発していない


 高齢者や障害者に対する冷酷無比な負担増加政策を決定し続けてきている。

3月10日に政府は行革推進法案を閣議決定したが、結局、「天下り禁止」を盛

り込まなかった。「小泉改革はまやかし」との筆者の洞察が正しかったことが

明白になった。高級官僚の利権を死守し、財務省の利権拡大に全面的に協力す

る一方、一般国民、弱者に対しては血も通わぬ政策遂行に邁進してきたのが「

小泉改革」の実態である。
 民主党がこの点を追及すべきであるが、民主党のなかにも官僚利権を擁護す

る勢力が少なからず存在する。民主党内部でこの問題を徹底的に論じ、民主党

のなかで誰が官僚利権を擁護しているのかを明確に示すべきである。民主党が

国民からの信頼を回復し、自民党に対して有効な対抗勢力として活動してゆく

には、「天下り廃止」について妥協のない明確なスタンスを提示することが不

可欠だ。「天下り廃止無くして改革無し」である。


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2006.04.11
第5回「日本の政治に一筋の黎明が見えた」
 民主党の新代表に小沢一郎氏が選出された。前原前代表の体制下で民主党は致命的な失策を演じてしまった。メール問題の取り扱いにおいて初歩的で重大な失策が演じられたこともさることながら、問題が顕在化した段階での初動対応での判断ミスが大きかった。
 政治的な力量と年齢を直接結び付けるべきではない。年齢が低くとも知識、経験、見識を備えた有能な人物は存在しうる。逆に非常に高齢であっても、頭脳にいささかの衰えを見せぬ気力充実の人物も存在しうる。
 だから、「若ければよい」だの、「高齢者は排除すべき」だのの判断は、とりわけ政治家の場合には当てはめるべきではない。小泉首相が中曽根元首相を排除するために採用した定年制にも筆者は明確に反対意見を述べた。民主党の代表選出に当たり、コメンテーターとされる人々が「小沢氏の選択は時代逆行だ」と口をそろえて発言していたことに対しても、明確に反論を主張してきた。

 メディアコントロールを徹底的に強化してきた小泉政権の下で、政治番組の司会者は小沢氏批判を繰り返してきた。その裏側には、小泉自民党の小沢一郎氏の民主党代表就任を極度に警戒する心情が存在していたと考えられる。小泉自民党は弱体化した前原民主党が持続することを強く願っていたと考えられる。
 実質支配下に位置づけられる弱体野党が存在し、表面上、若干の対立図式を演出しながら、水面下で手を握り、与党支配を永続させる。平野貞夫氏の言うところの『新55年体制』の構築とその維持を小泉自民党は熱望していたと考えられる。メール問題での自民党の態度がそれほど強硬でなかったのもここにその理由があったと思われる。

 だが、結局、自民党にとってはもっとも望ましくない状況が出現した。鳩山氏も菅氏もすでに民主党の党首を経験している。この両名のどちらが新代表に就任しても国民に斬新な印象は発生しない。だが、小沢氏は違う。メディアコントロールを背景にメディアが小沢氏のイメージをいかに悪く伝えようとしても、多くの国民には新鮮な印象が生じる。
 『まやかしの小泉改革』を直球勝負で批判し、対案を示せる点で小沢氏の右に出る者はいない。政治に強い関心を持つ層において、小沢氏の民主党党首就任待望論は強かった。民主党の代表選挙実施前に、選挙後の挙党体制確立についての合意を確認したことは賢明であった。代表選挙が党を二分する危険性は十分に存在した。民主党が党内派閥対立の次元に戻るならこの党に明るい未来はない。

 通常国会は6月まで会期を残している。小泉政権の改革の基本性格を示すもっとも分かりやすい事例が公的金融機関の再編問題だ。小泉政権は結局『天下り制度死守』のスタンスを明示した。小泉政権が『改革』を叫ぶなら、『天下り廃止』は最低限のハードルである。まずはこの点を徹底的に糾弾すべきである。
 小泉政権が強力に推進する『弱者切り捨て』の施策についても徹底的な追及が求められる。外交政策においては、『対米隷属』が小泉政権の基本スタンスだが、『独立自尊』こそ日本外交が基礎におくべき基本スタンスではないのか。イラク戦争加担の責任についても明確化すべきである。

 自民党内部では、次期自民党総裁選挙にからむ思惑から、日本経済の中期展望数値に関する論争が生じている。名目経済成長率と名目長期金利の中期想定をどのように設定するかが論争の中心だ。だが、その実体は総裁選挙にからんだ主導権争いにすぎない。
 国民の視点からすれば、経済成長率を高めるにはどうしたらよいのか、長期金利の上昇を抑制するにはどうしたらよいのか、が大事なのである。国民の視点を忘れ、総裁選をにらんだ党内抗争に精力を注いでいるのが現在の自民党の実相である。この体質を批判し、対案を明示するのも新しい民主党の責務である。新生民主党が強い力を得て日本の政治は初めて活性化する。新生小沢民主党の行動に大きな期待が寄せられる。


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2006.04.26
第6回「民主党が提示すべき三つの主張」
 2006年4月23日は記念すべき日になった。千葉7区での衆議院議員補欠選挙で圧倒的優勢が伝えられていた自民党候補者を弱冠26歳の民主党女性候補が破り、僅差での当選を果たしたのだ。同時に実施された選挙で、山口県岩国市、沖縄県沖縄市、広島県東広島市で自民党推薦候補がそろって落選した。
 岩国市では、在日米軍再編に伴う米国海兵隊岩国基地への空母艦載機移駐問題に対する賛否が市長選の最大の争点になった。計画撤回を訴え続けた旧岩国市長が、自民党推薦で地域振興策と引き換えに移転賛成を示した候補者を大差で破り当選した。沖縄市では、野党の推薦を受けた沖縄米軍基地機能強化に反対する候補者が、自民・公明の推薦を受けた候補者を破って当選した。また、東広島市では、自民党政調会長中川秀直氏の二男が無所属から出馬したが落選した。
 昨年9月11日の総選挙で自民党は歴史的勝利を収め、小泉首相の独裁者的政治運営が続いてきたが、いよいよ潮流が大きく変化する時期が到来したようである。「満つれば欠くる」、「奢れる者は久しからず」がこの世の常である。メディア・コントロールに洗脳された国民もようやく目を覚ます時期を迎え始めた。
 民主党は昨年の総選挙大敗北の教訓を活かし、小泉政権の5年間を総括するデモンストレーションを展開してゆく必要がある。小泉政権が今回の選挙でも軽薄なパフフォーマンス選挙を繰り広げたのに対し、民主党の戦術は文字通り地に足をつけたものだった。
 4月7日に民主党新代表に小沢一郎氏が選出されると同時に、民主党では現状で考え得る最強の布陣が組成された。小沢一郎新代表を菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長が補佐するトロイカ体制である。「人間万事塞翁が馬」と言うが、メール事件で民主党の党勢が風前の灯火になったのが一転、民主党は力強いエネルギーを回復しつつある。メール事件は結果的に民主党に利を与える結果になったのではないか。
 小泉政権は政権発足からの2年間で日本経済に壊滅的なダメージを与えた。経済悪化を意図的に誘導する「超緊縮財政運営」と、企業の破たんを推進する「退出すべき企業を市場から退出させる」政策路線が小泉政権の政策の車輪の両輪だった。この政策を実行に移した結果、日本経済は順当に崩落した。マイナス経済成長、株価大暴落、大型倒産続発、経済要因での自殺者激増、金融恐慌の危機が日本中を覆い尽くした。
 金融恐慌の危機が現実に炸裂しなかったのは、小泉政権がそれまで掲げていた「改革政策」を全面撤回したからだった。2003年5月に「りそな銀行」を税金で救済したことは、小泉改革政策の明白な完全敗北を意味した。民主党が的確に事実認識していれば、この時点で小泉政権を消滅させることが可能だった。だが、民主党の国会での追及はまるで見当違いの方向に向かってしまった。
 財政運営でも小泉政権は、2001年度から2003年度にかけて結局、連続して大型補正予算編成に追い込まれた。小泉政権は昨年来の株価上昇をあたかも小泉政権の政策が成功したことの証のように説明することがあるが、完全な事実誤認である。小泉政権が掲げた政策の二つの柱をいずれも全面的に撤回し、辛うじて金融恐慌を回避できたのが実態である。
 民主党は小泉政権の政策の本質を白日の下に明らかにし、小泉政権の5年間を総括するとともに、政策の抜本転換を訴えるべきである。国民のなかには、小泉政権が言葉のうえで「改革」と連呼してきたために、「改革」が実行されてきたのではないかとの錯覚を感じている者が多数存在する。その感覚が「錯覚」であったことをわかりやすく示し、「真の改革」の姿を示す必要がある。
 筆者はかねてより、民主党に対して三つの提案を提示し続けている。第一は「郵政民営化」のまやかしを明示し、「真の改革」案を提示すること。第二は、「小泉改革」が意図して切り捨てている弱者に対し、弱者を確実に守る政策を明示すること。第三は「対米隷属」に堕している日本の外交スタンスを、「独立自尊」に転換することである。
 行政改革の真の標的は「天下り制度」である。2万6000におよぶ公益法人のうち6000ほどの団体に補助金が流し込まれている。こうした公益法人が「天下り」の温床である。補助金総額は5兆円にも達する。政府系金融機関に代表される「特殊法人」は役所にとって最重要の「天下り機関」である。こうした機関への「天下り」に加え、役所が影響力を保持している産業、企業への「天下り」も膨大である。こうした「天下り」が談合事件などに垣間見られるように、不正、非効率の大きな原因になっている。
 3月10日に国会に提出された「行政改革推進法案」では、小泉政権は「天下り廃止」にまったく取り組まないことを明示した。「天下り廃止」という「改革」の「本丸中の本丸」に取り組む考えを小泉政権は持っていないのである。この政策のどこをもって、小泉政権は「改革」などという言葉を恥ずかしげも無く多用しているのだろうか。
 小泉政権は公務員数の削減を提示している。地方行政を効率化して行政をスリム化すべきことは当然だ。しかし、国民はまじめに誠実に働いている、一般公務員の首切りと国民負担の上にあぐらをかく不当利得そのものと言える高級官僚OB「天下り」のいずれが問題と考えているか。不当利得の塊である「天下り」が問題だと考える国民が圧倒的に多いだろう。
 公務員には終身雇用を保証すべきである。公務員は市場経済の主役ではない。スポーツで言えば、フィールドの整備士であり、審判団である。第一種国家公務員といった少数の特権エリートを採用する必要は存在しない。第一種国家公務員制度を廃止し、公務員には公務員として定年まで仕事を完遂できる状況を整備して「天下り」を全面廃止すべきである。
 第二の論点も重要である。小泉政権は「改革」の美名の下に「弱者切捨て」の政策を積極推進している。「障害者自立支援法」などという詐欺に近い名称を冠した法律を成立させたが、「弱いものいじめ」以外のなにものでもない。高齢者の医療費負担増大政策が今国会で論議されているが、政治的弱者には容赦の無い冷酷無比な政策である。
 小泉政権が「頑張った人が報われる社会」と言ったときに、その成功事例として象徴的に掲げたのがホリエモンである。虚偽の決算数値を提示し、不当に利得を得てきた疑いがもたれている。「拝金主義」、「市場原理主義」、「弱肉強食」、「対米隷属」がその基本特徴といってよいだろう。
 民主党は「真の弱者に対する国家の責任」を政策の柱としてしっかりと掲げるべきである。「格差」が広がる現代経済のなかで、国民生活の安定、国民の幸福を達成するには、弱者に対する国家の責任ある対応が不可欠である。
 小泉政権の対米隷属、国益無視の政策スタンスには目に余るものがある。東京裁判にはさまざまな問題が存在するが、日本はサンフランシスコ講和条約第11条において東京裁判を受諾し国際社会に復帰した。このことを根拠とするアジア諸国からの意見には耳を傾けることが必要である。「対米隷属」から「独立自尊」へと政策の舵を大きく切りなおす必要がある。
 小沢民主党にはこうした基本事項についてじっくりと国民に主張を提示してもらいたい。最終判断は国民がしなければならない。国民は永い眠りから目を覚まし、重要問題に正面から向き合い、再考するべきである。2006年4月23日を境に日本が根ぐされの状況から立ち直ることを期待してやまない。


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植草さまご本人の意向を最大限尊重させていただきたいと考えております。
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