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われわれはみな「隠れオウム」の容疑者-----(歌田明弘の「地球村の事件簿」より)
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投稿者 ミスター第二分類 日時 2006 年 6 月 02 日 22:34:09: syFUAx3Wc1pTw
 

出典 http://blog.a-utada.com/chikyu/2006/06/post_4d6d.html

2006.06.02
われわれはみな「隠れオウム」の容疑者-----(歌田明弘の「地球村の事件簿」より)

有力ブロガーがオウム真理教の信者だとわかった。
その人物への4時間にわたるインタヴューが、
ネットに掲載されて、話題を呼んでいる。

●暴かれたオウム信者のブログ

 松永英明氏は、オウム真理教内で編集の仕事にかかわり、オウムの出版社の社長を務めたりしながら、その事実を秘して精力的にブログを書き、有力なブロガーの一人と見られていた。一般の出版社からも何冊も本を出している。
 そのうちの一冊は私も読んでいた。きちんとした本で、有能なライターのように感じられた。
 それだけに、フリージャーナリストの野田敬生氏の追及で、オウム真理教の信者だったとわかったときにはびっくりした。

 暴かれたその素性は、ネットのディープな情報に通じている人々にはさらに驚くべきものだった。
 松永氏は、96年から2000年まで「河上イチロー」という名前で、公安や内外の政府の諜報活動について異様に詳しいサイトを作っていた伝説的な人物だったのだ。特異な内容から注目を集めたものの、オウム信者であることがわかってネットから消えてしまっていた。


 「河上イチロー」名でサイトを作ったのは、オウム真理教が取り締まり対象になる破防法に反対するための「情報戦」の意味があった、と松永氏は後述のインタヴューでも証言しているが、河上イチローがオウム信者だとわかったときには、そうした見方も知れ渡っていた。
 「情報戦」に格段の興味を持ってきた人物であるだけに、松永名での活動にも疑惑のまなざしを向けられた。

 松永氏の素性の発覚の余波は、ネットの内部にとどまらなかった。自民党や民主党が行なった有力ブロガーたちの集会に、彼が参加していたからだ。なぜそうした「政治参加」をしたのか、何か企みがあるのではないかと疑られる一方で、そうした「危険人物」を近づけた政党は(とくに民主党は偽メール事件で世間の批判を浴びていたときでもあったので)、ガードの甘さがネットで非難されもした。

 民主党のこの集まりでブロガーたちに声をかけたのは、有力ブロガーの一人・泉あい氏である。
 泉氏は、「ものすごくお気楽なおばちゃんOL」だったというが、一昨年38歳のときにジャーナリストになることに目覚めて、昨年1月からネットを舞台に活動を始めている珍しい女性だ。記者クラブ問題については大新聞社とその記者たちを、総選挙のさいには政治家たちを、ネットでの声援や示唆をもとに取材し、その結果をネットで報告し続けた。ネット時代の新しいジャーナリズムのあり方を感じさせ、人気を集めていた。

 ところが、民主党の集会の「仕掛け人」になって松永氏にも声をかけたことから、オウムと関わりがあるのではないかと疑われ、逃亡している女性信者と似ているとあらぬ疑いまでかけられることになった。

 こうしてあらためて書くと、何とも唐突な経緯に思われるが、松永氏がオウム信者であるとすぐには信じられなかった泉氏が、すばやく明確な対応ができなかったこともあって、泉氏に対するこうした疑惑を信じる人はけっこういた。「知る人ぞ知る有名ブロガーが隠れオウムだった」ショックが、息を呑んで経緯を見守っていた人々の間にも一種のパニック心理を引き起こしていたのかもしれない。
 泉氏はショックで寝こんでしまったりもしたようだ。しかし、立ち直って、松永氏へインタヴューした。

●「オウム信者でないこと」を証明できるか

 実質的により深刻な被害を受けたのは、泉氏にサーバーを貸していた男性かもしれない。「この男性こそが、『オウムの謀略』をたくらんだ黒幕」といった声が上がり、憶測にすぎないそうした話もネットで広まった。

 これまた唐突な疑いに思われるが、泉氏のブログに書かれたこの男性自身の文章によれば、こうした話には会社が神経を尖らせるシステム関係の仕事をしていたこともあって、結局、会社を辞めなければならなくなったという。 
 疑惑を知った会社は、オウムと無関係だと証明するよう求めてきたそうだ。 
 しかしこれは、言うはやすく、行なうのははなはだむずかしい。
 この男性は、オウムと関わりがないことを警察に証明してもらおうとしたところ、警察は、「まず、あなたがオウム信者でないことを警察に証明してください」と言ったという。
 笑い話のようだがほんとうにそうなのだ、と書いている。

 警察は、「隠れオウム」を全員知っているわけではないかもしれないし、知っていたとしてもそうした微妙な情報を持っているとは言いたくない。だから、嫌疑を晴らすことまではしてくれないわけだ。

 さて、そうしたとき、あなただったら、どうやって「オウムでないこと」を証明するだろうか。
 おそらく誰もできないのではないか。
 そういう意味では、われわれはみな潜在的に「隠れオウムの容疑者」だ。
 泉氏やこの男性についての疑いの広がり方を見ると、そうした極端な話が、かならずしも極端とはいえないように思えてくる。

●オウム信者はブログを書くべきではない、か?

 この事件が提起したものはそれだけではない。
 かつてオウムであった人間はどういう行動をとるべきか、もっと具体的に言えば、オウムの信者はブログを書いてはならないのか、あるいは、もしブログを書くならば、オウムとの関わりを明かしてから書かなければならないのか、という(法律で縛るわけにはいかない以上)倫理的でしかありえない問いも突きつけた。

 「事件を起こしたオウム関係者はコウベを垂れて贖罪の人生を歩むべき」という事件後のオウム信者に対する世間一般の期待からすれば、明らかにそうすべきだろう。しかし、そうするのが望ましいとはいえても、そんな法律はないし、押しつけることもできない。今度のように、その正体を追及するジャーナリストが現われて、思いがけず明らかにすることがなければ、とくにブログのような場所ではそれですんでしまう。

 有力なブログの書き手が現われ、強力な言論の場になっていけばいくほど、思いがけない書き手が思いがけない発想や意図からネットを利用する、ということは起こるだろう。

●語られた教団内部の状況

 松永氏に対するインタヴューを読むと、信者たちはいまもって、数々のテロ行為と自分たちの知っているオウム真理教との結びつきをはっきり感じとれずにいるようだ。
 「ほらみろ、だからオウムはいまでも危険なのだ」と言うのは簡単だが、このインタヴューを読むと、彼(ら)がそうした世間一般の思いとなぜかけ離れた気持ちを持ち続けているのかもわかる。

 これまで発表されたオウム信者へのインタヴューは、追及ムードのなかで行なわれたり、あるいは、「洗脳が解けたオウム信者」という世間の期待の枠のなかで行なわれることが多かった(数少ない例外は、村上春樹の『約束された場所で』や森達也の『「A」マスコミが報道しなかったオウムの素顔』などだ)。

 このインタヴューは、いくつかの要因が重なったために独特のものになっている。松永氏は、オウム信者であることを隠してブログを書いていたことで、結果的に泉氏たちに大変な迷惑をかけてしまった。そういう負い目もあっただろう。
 また松永氏は、批判的な世間の目を避けて目立たないようにしているという事件関係者の通常の行動パターンをとらず、ブログを書き続け、人前で言葉を発することにも慣れている。
 そうしたこともあってのことと思われるが、事件から時間が経ちいまでは気にとめる人が少なくなってきた教団内部の様子を、きわめてフランクに、ときにあまりに無防備に思える形で語っている。次回は、その内容を紹介しよう。

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