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【潮目を読む】 プラスチックが変わる−原油高騰で植物由来品が浸透か  (ブルームバーグ)
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 01 日 09:08:22: ogcGl0q1DMbpk
 

【潮目を読む】プラスチックが変わる−原油高騰で植物由来品が浸透か (ブルームバーグ)


2006年1月1日(日)08時38分


  1月1日(ブルームバーグ):食品スーパーの店頭に並ぶいちごやパイナ
ップルなどのフルーツ。米国で今、その容器にちょっとした異変が起きている。
世界最大の小売業「ウォルマート・ ストアーズ」が05年11月から、フルーツ
や野菜を入れる透明ケースを順次、石油由来のプラスチックから植物由来プラス
チックに切り替え始めている。世界2位の仏カルフールも既にレジ袋などで植物
由来プラスチックを使用しており、環境にやさしいプラスチックの採用が世界的
な潮流になりつつある。

  ウォルマートはトウモロコシを原料とした透明のプラスチックケースを採用。
ゴミとして処理する際、土壌に還すことが容易なため、石油由来プラスチックに
比べて環境負荷が低いという。またウォルマート1社で年間1億ケース以上の使
用を見込んでいることから、石油300万リットルの節約になるとされているほか、
二酸化炭素などの地球温暖化ガスを5000トン程度削減する効果があるとの試算
ある。

  2005年の原油先物相場は年初の1バレル当たり41.5ドルから8月末には
71.8ドルまで上昇。一気に73%の値上がりを演じた。9月以降は米国石油精製
施設の生産停止や石油輸出国機構(OPEC)の供給量増加報道などで調整局面
に入ったが、直近でも60ドル台で推移。「中国などの新興諸国の経済成長が進
み、原燃料相場は新しい価格体系に移行した」(石油化学工業協会長を務める蛭
田史郎・旭化成社長)とみられている。

  原油先物価格は今後も高原状態が続くとみられるため、石油由来プラスチッ
クの製造は今後、原価上昇と環境意識の高まりであおりを受けるとの見方が支配
的だ。実際、フィンランドなどの北欧諸国で炭素税が導入されているうえ、ドイ
ツやイギリスなどでもエネルギー税を徴収、枯渇が懸念される石油や天然ガスの
消費を抑制しようとしている。
  日本、韓国、台湾では、バイオマス(生物資源)の技術開発や普及に注力、
資源循環型社会の構築に向けて官民が連携を強めている。

              用途展開も加速化

  「米国では既にPET(ポリエチレンテレフタレート)の値段とポリ乳酸
(植物由来プラスチックの代表的商品群)の値段がほぼ同じ水準になっている」
――。

  ポリ乳酸加工品で日本市場トップのユニチカは、95年に当時のカーギル=
ダウ(現在はネイチャーワークス)と機密保持契約を締結、98年にはネイチャ
ーワークスの原料を用いてポリ乳酸商品「テラマック」を事業化。現在は年間
1000トンの加工を行い、年商10億円規模のビジネスを展開している。

  テラマック事業を率いる望月政嗣氏によると、ウォルマートがポリ乳酸で作
った食品包装製品を採用し始めたことで、提携先ネイチャーワークスの稼働率も
向上、「シートへの加工や成形コストなどを勘案すると、ポリ乳酸の最終コスト
は既に1キログラム当たり数百円レベルにまで低下しており、PET価格より相
対的に低くなるのも時間の問題だ」(望月氏)と言う。

  日本ではまだ「コストが割高なため、特徴ある用途でないとユーザーが採用
してくれない」(三菱ガス化学生物科学部の蝦名誠治・部長)状況だと言うが、
愛知万博(愛・地球博)時に政府や業界団体がバイオマスプラスチック(微生物
産生系や天然物系を含んだ生物資源プラスチックの総称)の普及に向けて積極的
なアピールを行ったことが奏功、05年のバイオマスプラスチックの生産量は前
年比50%増の年3万トン規模に拡大した。

  既に食品包装用途では1キログラム当たり400−500円程度まで値を下げて
いるとも言われており、いよいよ需要拡大期に入った。

  加えて環境対応型製品の開発が進み、電機メーカーや自動車関連メーカーが
植物由来プラスチックの採用を積極化していることも、新たな用途開拓と需要創
出を後押ししている。

05年にメーカーから公表された商品化案件だけをみても、「富士通が東レ
のポリ乳酸を最先端ノートパソコン機種に採用」、「トヨタがポリ乳酸を用いた
スペアタイヤカバーとフロアマットをコンパクトカー『ラウム』に採用」、「ソ
ニーと三菱樹脂が耐衝撃性を高めたポリ乳酸でDVDプレーヤーを開発」、「N
ECとユニチカがケナフ繊維を添加したポリ乳酸で携帯電話端末を製造、NTT
ドコモの最新機種で採用」――など、これまでの食品包装用途から家電・情報電
子機器、自動車へと裾野を広げつつあることが分かる。

  民間調査機関大手、矢野経済研究所の岩月俊和氏は、2010年のバイオマス
プラスチックの市場規模を「現実的な予測で年12万トン、最も楽観的なシナリ
オの場合、約20万トンに達する」と試算。06年の食品リサイクル法の施行で、
家庭から出る生ごみの再資源化に取り組む自治体が増えることや、トヨタが07
年以降にポリ乳酸の量産化プラントを立ち上げることなどを考慮して、量産ピッ
チが上がると予測している。

            株式市場も関連メーカーに注目

  野村証券金融経済研究所が05年12月8日に公表した05−07年度の企業収
益見通しによると、同社がカバーする主要400社の05年度予想経常増益率は前
年度比14.8%となる見込み。05年のTOPIXは企業業績の改善を背景に
43.5%上昇、全面高の様相を示したが、「06年は企業の中長期的な成長性が議
論される年になる」(企業調査部素材グループリーダーの西村修一・主席研究
員)との声も多く、選別投資が進む公算が高 い。

  西村アナリストは「長期投資家からみると、企業の社会的貢献や社会的責任
が大事。その時に環境対応型の素材が実際に出していけるのかどうか問われる」
と分析。日本の化学メーカーに期待を寄せている。

  日興アセットマネジメントの「日興エコファンド」(99年8月設定)の純
資産総額は現在441億円、損保ジャパン・アセットマネジメントの「ぶなの森
(愛称)」(99年9月設定)が150億円、興銀第一ライフアセットマネジメン
トの「エコ・ファンド」(99年10月設定)が58億円。

 企業の環境に対する取り組みを見つめながら環境配慮型企業に投資を行う
「エコファンド」の運用は、直近の株式相場上昇で急速に上向いており、過去1
年間の基準価格パフォーマンスは日興エコがプラス44.3%(ファンド設定来の
騰落率はマイナス4.13%)、損保Jがプラス33.69%(同プラス9.49%)、興
銀第一がプラス44.4%(同マイナス 3.13%)と、3社中2社がTOPIXのパ
フォーマンスを上回った。

             融資で優遇金利

  バイオマスプラスチックの加工品製造メーカーなどで構成する「生分解プラ
スチック協会」は、意気込みも含め2015年の同市場規模を150万トンと予測、
国内プラスチック市場の1割はバイオマス由来が占めると見込んでいる。

  同協会で会長を務める冨澤龍一・三菱ケミカルホールディングス社長は、
「植物由来プラスチックの原料となる農作物は(南米)アマゾンなどで作られてい
ることが多い。農作物をフレッシュ・フルーツのまま使う例が増えてしまうと、
焼畑などで自然破壊が進む可能性もある。世界的なコンセンサスを醸成していく
ことが肝要だ」と強調。既に揺籃(ようらん)期から成長期に移行しているとの
認識を示して、乱造を警戒する。

  監督官庁の1つと位置付けられる経済産業省も04年度から06年度までの3
年間で6つの研究開発プロジェクトを支援。「バイオプロセス実用化開発事業」
の項目で計46億円の予算を付け、バイオマスプラスチックの普及支援に乗り出
している。担当官は「愛知万博の成功もあってさまざまなリサイクルの好モデル
を提示できた。今後は各地方自治体に広く普及させていきたい」(製造産業局生
物化学産業課の大宿佐知子氏)と指摘、06年以降も積極的に支援する姿勢を打
ち出している。

  政策投資銀行は04年8月に「環境配慮型経営促進事業」を創設、温暖化ガ
スの削減や廃棄物のリサイクルなどに注力する企業に対して、最大0.6%の金利
を優遇、融資を実行した。業種別、企業規模別にパターンを変えた独自のインタ
ビュー手法で企業の環境経営度を120項目で評価、04年度だけで32件、約400
億円の融資を行った。

  同融資制度の運営などに携わる塙賢治・調査役は、「融資先企業に対して環
境格付けの評価ポイントをすべて開示しているため、環境経営に対するコンサル
のような役割も担っている」と指摘、06年は中小企業などへの提案も活発化す
る方針だ。

  自動車の低燃費化や温暖化ガスの排出抑制などで世界に先んじてきた日本。
「京都議定書」の議長国として地球的規模で循環型社会の構築に向けてリード役
を自任する日本がバイオマスプラスチックでも先行できるのか。「カーギル・ダ
ウが特許を押さえてしまった現行のポリ乳酸ではなく、まったく新しい切り口か
ら研究開発を進め、日本発の新しい環境対応型プラスチックを創り出してほし
い」(野村証の西村アナリスト)との声も出ている。

【潮目を読む】のバックナンバーは以下の通り。
1)小売株のPER水準の切り上げが本格化、歴史の教訓は(04年2月20日)
2)老獪さを増す中国の通貨外交―バスケットで米国を手玉(04年3月5日)
3)来年度ニューマネーは半減へ、誰のための年金か議論を(04年3月19日)
4)湯たんぽから戦闘機:“万能”チタンが引っ張りだこに(04年4月2日)
5)あなたにとって働くとは−年収250万円時代の幕開け (04年4月19日)
6)次世代DVD、誰が勝者に−決め手は「量産化技術」 (04年5月13日)
7)医食同源への回帰か、大豆成分の健康パワーに熱い視線(04年6月3日)
8)符合する12年前といま−ファッション、世相そして市場(04年7月22日)
9)持ち株会社にプレミアム?−経営哲学を評価する時代へ(05年10月11日)

記事に関する記者への問い合わせ先:
東京 鷺池秀樹 Hideki Sagiike hsagiike@bloomberg.net


http://money.www.infoseek.co.jp/MnJbn/jbntext.html?id=01bloomberg11aRglCeuO8SyI

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