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基軸国・アメリカ帝国主義の矛盾の爆発  【前進】
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 05 日 06:59:31: ogcGl0q1DMbpk
 

 http://www.zenshin.org/f_zenshin/f_back_no06/f2229a.htm#a1_1


第2章 帝国主義世界体制は崩壊的危機に突入した

 (1)基軸国・アメリカ帝国主義の矛盾の爆発

 00年〜01年、ITバブルの崩壊は米帝経済全体のバブル構造を大破綻(はたん)させ、1929年型世界恐慌に比すべき未曽有の大恐慌過程へと米帝を追いつめていた。これに対して01年1月に就任した米ブッシュ政権は、野放図で無謀きわまる恐慌防止策に走った。具体的には超大型減税と超低金利政策である。

 01年6月、11年間で1兆3500億jの減税法=「経済成長のための減税調整法」を成立させ、03年5月に景気刺激のために「雇用と成長のための減税調整法」を可決・成立させた。これと並行して総額785億jのイラク戦費を03年補正予算で確保、03年12月には高齢者医療保険の大改悪を行った。さらに04年12月には総額約1460億jの「勤労・家族減税法」を成立させた。この減税額の総額の大きさは、01年の米GDP=1兆1280億jと比較するとその規模の大きさがわかる。

 04年の世界貿易は、米中経済のバブル的膨張によって前年比21・2%増、9兆686億jと1979年以来の高い伸び率となった。しかし、米帝経済がつくりだした巨大なゆがみと破綻性を見なければならない。ブッシュ政権のもとで進行した大型減税や超低金利政策のもとで強引に維持される“経済の成長”。しかしその対極には双子の赤字(3千億j台の財政赤字と8千億jに迫る経常収支赤字)の巨大化が同時に進行している。

 大減税を行い、超低金利政策を行い、軍事費を増大し続ければ、経済のバブル化が促進され、貯蓄より消費が選択され、輸入が際限なく増大することは明白である。財政赤字と経常収支赤字はブッシュ政権の野放図な政策の必然的所産である。実際には、膨大な経常収支赤字は国外からの資金流入でカバーされ、国際収支全体としては異常なバランスを保ち、ドルを支えている。

 要するに、バブル的に経済成長をする米への日本・中国(EUも)などの輸出が増大し、その対価として巨額のドル貨が外貨として積み上げられている。その大半が米国債の購入や株式・社債市場に投資されているのである(この間の原油高で膨張した中東オイルマネーもそこに加わっている)。各国中央銀行の米国債購入で、その総額はほぼ米帝の財政赤字をカバーするほどになっている。05年3月時点で米国債43%、米国株12%を日本・中国・EUなどが買い支えている。

 これは帝国主義の一種のもたれあいであり、腐朽性そのものである。日本・中国の膨大な貿易黒字を米国債購入に集中せざるを得ない、この資金環流ぬきに米帝経済は成立しない。打倒対象の残存スターリン主義・中国に依存する超大国米帝! まさに綱渡りそのものである。

 米帝経済の基調的現実は、過剰資本・過剰生産力のもとでバブル化した経済の矛盾の恐慌的爆発が、ブッシュ政権の財政・金融政策によって強引に引き延ばされ、景気が拡大的に維持されてきたものでしかない。今や、その矛盾が噴出しつつある。すでにFRB(米連邦準備制度理事会)はこの間の住宅バブルの暴走とインフレを恐れ、04年6月以降約4年ぶりに利上げに踏みきり、短期金利の指標であるFF金利の誘導目標を1%から05年11月には4%に戻した。

 米帝のどんづまり的危機を示す象徴的事態は、米基幹産業のGMとフォードの危機である。自動車産業をめぐる日米独占間のすさまじい争闘戦で米帝が敗北したのである。GMとフォードは大減税と低金利にのって値引きを行ってシェアを維持しようとしたが、それに失敗した。さらに航空運輸産業も危機にある。原油の値上げを直接的契機にしているが、その一切を労働者への首切りでのりきるという、ブルジョアジーの姿がむきだしになっている。米帝危機と争闘戦の現実はこのように爆発している。

 さらに米の公的年金制度が08年から破綻する情勢になっている。2040年には年金の財源が底をつき完全破綻が予測されている。この情勢でブッシュ政権は、公的年金制度の大改革を行う宣言をしている(05年一般教書)。要するに個人の年金は若い時から自分で積み立てる確定拠出型の「個人勘定」へ移行するという攻撃である。

 この中で、05年、資本主義の民営化攻撃と闘うことを投げ捨ててきたアメリカの帝国主義労働運動の中枢=AFL―CIOが、ついに大分裂を開始した。ブルジョアジーに取り込まれ、長期にわたってアメリカ帝国主義を支えてきた既成指導部の解体過程が音を立てて始まった。アメリカ労働運動の最左派ILWU(国際港湾倉庫労組)は、営々たる闘いを持続的に闘い、アメリカ労働運動の流動・再編の中で帝国主義の侵略戦争と闘い、戦争の根源と闘う運動を牽引する段階に突入した。

 (2)激化する帝国主義間争闘戦とEU情勢

 イラク侵略戦争をめぐる米英日と独仏への帝国主義の分裂・対立と争闘戦の激化は、04年の拡大EUの成立によって新たな段階に入った。人口、生産、貿易などの領域において米帝に肩を並べる規模の経済圏が単一通貨を軸として出現したことは、ソ連崩壊後の戦後世界体制を根底から揺るがすものである。このような帝国主義世界経済の分裂化・ブロック化は、政治的・軍事的対立の熾烈(しれつ)化を含みつつ、帝国主義の危機を一層促進し、階級闘争、民族解放闘争をますます激化させる要因となりつつある。

 争闘戦の焦点は、まずは帝国主義経済の生命線をなす中東石油資源とこの地域の政治支配・民族解放闘争の制圧をめぐるせめぎあいであり、ついで広大な中国市場の分割・支配をめぐる激突である。

 EUは、90年代のユーゴ侵略戦争を経て、EU独自の軍事力と軍事司令部の形成を、米帝主導のNATOに対して対抗的に追求してきている。その背後には、ドイツ帝国主義が「国防軍の主要任務は海外派兵である」と宣言し、アフガニスタン派兵を始めとして、アフリカなど諸国に現在6600人の連邦軍を駐留させているという現実がある。

 このEUの軍事的突出と米帝のトランスフォーメーション(米軍の世界展開の再編)に、いわば挟み撃ちになっているのがロシアである。米帝はコソボ(旧ユーゴスラビア)、ポーランド、グルジアにそれぞれ軍事基地を置くか軍事顧問団を派遣したりしている。これは、これらの地域における米帝の歴史上初めての軍事的登場であり、対EUであると同時に対ロシアのシフトであることは明らかである。米帝はベラルーシを「圧政の拠点」の一つにあげて、ロシアののどもとに刃を突きつけている。

 ロシア・プーチン政権にとって、チェチェンの民族的反乱を鎮圧することは、国内政治支配のテコであると同時に、対米、対EUの要素をもつ。石油資源国としてのロシア〔経済的切り札と言ってもいい〕にとって、アゼルバイジャンやイランなどの油田との連結を確保する意味でも、重要な意味をもっている。さらに、石油パイプラインをめぐって共通利害を持ち、中央アジアに隣接する地帯での民族反乱に直面している中国との関係から言っても、チェチェンの制圧はプーチンにとって死活的である。

 一方、帝国主義の広域市場・経済圏としてのEUの中心を形成しているドイツ帝国主義とフランス帝国主義は〔EU内での位置は若干違うがイギリス帝国主義も含めて〕、世界的争闘戦の激化、経済的停滞、失業者の激増という共通の困難のただ中で、それぞれに重大な国内的危機に直面している。

 まず、フランス帝国主義は05年、シラク政権のもとでの民営化政策と新雇用政策に反対するゼネストと100万のデモに揺るがされた。その直後、今度は失業と差別に怒りを爆発させたムスリム系の若者の数週間に及ぶ暴動に対し、夜間外出禁止令をもって対応する以外にない状況に追い込まれている。

 ドイツ帝国主義は、総選挙での社民党政権の敗北を受けて、保守党と社民党の大連立を組まざるを得ないという1966年以来の政治危機に突入している。この新政権は、大失業を生み出したシュレーダー社民党政権の「構造改革」路線を継承し、消費税増税を強行することで政策的に一致している。これに対する労働者の闘いに、ブルジョアジーは「低賃金国への工場移転」で恫喝を加えている。ドイツ帝国主義の「外への侵略戦争と内への階級戦争」に対するドイツ労働者階級の反撃は必至である。

 イラク侵略戦争参戦国であるイギリス帝国主義の危機も、ブレア政権の政治危機として深刻化している。交通運輸労働者を先頭とする民営化反対の闘い、7・7に爆発した国内ムスリム人民の反乱が労働者人民の怒りを示している。

 このような帝国主義の危機、帝国主義間争闘戦の激化、侵略戦争の泥沼化の中で、戦争と民営化、組合破壊攻撃に対する闘いは、国境を越えた労働者階級の死活をかけた共通の階級的課題としてますます重要性を増している。

 (3)中国・韓国情勢の重大な位置

 中国の経済的巨大化は、今や中国のレベルを超える世界構造にかかわる重大な情勢を生み出している。もちろんこの場合も中国はスターリン主義国家であり、外国企業の膨大な流入と外資主導も含めて、スターリン主義のもとでの中国経済として存在している。今や中国は、日本を抜いてアジア最大の貿易国になった。日本の貿易(輸出+輸入)相手国として、04年は米に代わって中国が第1位となった。アメリカの貿易赤字に占める対中国赤字は対日赤字の約2倍に達した。中国は、日本に次いで膨大な外貨準備高をもつ国家になったということである。さらに、今やアメリカに続く石油輸入国であり、経済的拡大の中でその度合いは加速度的に進行している。

 この中国経済は明らかに、01年のWTO(国際貿易機関)加盟、03年の人民元切り上げなどの中で変調を示し始めている。03年に年9・1%、04年に同9・5%の高い成長を続けたにもかかわらず、00年に3・1%だった全国の失業率は04年に4・2%に上昇した。外資主導型の経済を推進している中で、農村の崩壊と民工(出稼ぎ労働者)の増大、貧富の差の著しい拡大、劣悪な労働条件、就職難、鉱山事故と環境破壊がますます深まっている。労働争議は04年に26万件(中国労働社会保障省発表)に達し、農民暴動が全国的に続々とわき起こっている。

 重要なことは、日本帝国主義が90年代以来の長期不況の重圧に耐えかねて、日本経団連・奥田の「東アジア自由経済圏」構想の提起と重なって中国への帝国主義的資本投入に大々的にのりだし、中国人民を搾取・収奪していることだ。日帝資本のもとで働く中国の労働者の賃金は月1万円から多くて2万円である。これでどうやって生活できるのか。飢餓賃金そのものだ。昨年4月の中国人民の反日帝デモには「歴史問題」「靖国問題」「釣魚台問題」とともに、日本製品ボイコットのスローガンが掲げられた。

 これに対して日帝は、アジアでの帝国主義的軍事大国化への道を力で押し渡る方向に向かって動き出した。05年1月経団連提言、10月自民党新憲法草案や小泉の靖国参拝強行の意味はここにある。

 韓国では、97年通貨危機爆発の中で98年2月キムデジュン(金大中)政権が発足し、IMF(国際通貨基金)による管理体制のもとで4大改革(金融再編、財閥再編、公共部門の民営化、労働市場改革)を進めた。03年発足のノムヒョン政権はさらに、すべての改革を労働者階級へのむきだしの首切り、整理解雇、非正規職化攻撃として展開している。05年の8・15光復節でノムヒョンが行った「労働組合は整理解雇を認めよ」という発言を断じて許してはならない。

 韓国労働運動は、世界最強の民主労総の闘いを基軸に発展している。これを憎悪する米日帝と韓国ブルジョアジーは、FTA(自由貿易協定)をとおして民主労総への上からの解体攻撃を激化させている。しかし、民主労総はこれらの攻撃を敢然とはね返し、韓国の850万の非正規職労働者の生存権と労働基本権をかけてゼネストを貫徹し、階級的大激突を闘いぬいている。

 (4)米帝を死のふちに追い込むイラク情勢

 今日の情勢でやはり決定的なのは、イラク侵略戦争が収拾のつかない泥沼の過程に入り、米帝(帝国主義全体)を死のふちに追い込んでいるということだ。

 米軍の死者数は05年11月に2000人を突破し、負傷者は1万5000人以上に達し、占領経費は月間支出でベトナム戦争を上回っている。戦費と追加支出は米帝の財政危機をますます深刻化させている。

 米帝は、イラク侵略戦争の正当性を示すために膨大な予算を投入して大量破壊兵器を15カ月にわたって調査した。昨年10月に公表された結論は、「国連制裁の発動後、大量破壊兵器(核兵器)開発を再開する計画はなかった」「生物兵器製造装置の所持・開発の証拠は見つからなかった」とする内容であった。米帝ブッシュは、フセイン政権の大量破壊兵器所持と圧政を理由にイラク侵略戦争を合理化してきたが、本質的にまったく虚偽であったということだ。

 米帝のイラク占領は、EUの影響からイラクを引きはがし、米帝がイラク石油と中東石油、さらに中央アジア石油への独占的支配を確立していくための帝国主義的侵略戦争であった。米帝はこの侵略戦争をあたかもイラク民主化政策のようにすりかえ、シーア派シスターニ系やクルド人の2大政党をまきこんで、「新憲法制定」「国民投票」「国民議会選挙」などの政治プロセスをイラクの民族解放武装勢力への大掃討作戦の力で強行しようとしてきた。しかし、イラクを連邦国家として三つに分断し、スンニ派や、サドル派などシーア派勢力に重圧を集中する形で米帝のかいらい政権をデッチあげようとする限り、イラク支配の安定など成立するはずもない。

 米英日帝などの軍事的イラク制圧はますます困難化し、米国内などのイラク撤兵要求運動が激化する中で、米帝はイラクからの部分撤退のようなペテンを策しつつある。だが、イラク戦争が帝国主義的侵略戦争である限り、イラク民族解放闘争はますます激化するのであり、米帝が帝国主義であり続ける限り、彼らは泥沼でのたうち回って、体制的危機を深めていくしかない。

 (5)中国・北朝鮮侵略戦争のための米軍再編

 昨年10月29日、日米安保協議委員会(2プラス2)は、「日米同盟・未来のための変革と再編」と題する中間報告を発表した。この中間報告は、世界的な米軍のトランスフォーメーションの一環としての在日米軍の再編に関するものだが、同時に日米安保同盟の大改変を遂行しようとするもの、いやそれ以上のものである。これは実際には、中国侵略戦争および北朝鮮侵略戦争をストレートにかつ具体的に措定した日米の軍事同盟として日米安保体制を変革し、再編成(再構築)しようとするものである。この中国侵略戦争とは、いわゆる「中・台紛争」なるものへの帝国主義的軍事介入を契機とする、中国の全面的な体制転覆を狙った侵略戦争を指す。

 より正確に言えば、今日アフガニスタン侵略戦争・イラク侵略戦争としてすでに開始され拡大しつつある「対テロ戦争」という名の帝国主義的侵略戦争を遂行するために、安保の世界安保化を図るとともに、同時に対中国・対北朝鮮の侵略戦争体制を具体的に構築するために、日米安保の全面的な変更と再編を図ろうとするものである。そして実際には、この後者の大きさは圧倒的に巨大であり、この中間報告全体を規定している。実質的には新安保条約=対中国・対北朝鮮侵略戦争のための軍事協定の締結に等しいものである。

 そこでは、日本の防衛と周辺事態への対応ということが、完全に同時・一体のものとして検討されている。端的に言えば、米帝の戦争政策が発動され、中国や北朝鮮との戦争に突入すれば、この侵略の拠点となっている日本の基地への軍事的反撃は不可避となること、すなわち日本への武力攻撃事態と周辺事態の連結的または同時的発生ということが想定されているのだ。そのような戦争体制をいま米帝と日帝はつくろうとしている。しかも「日米の活動は整合を図る」と言っているように、米帝主導の連合軍的体制をつくり、米軍と自衛隊が統一した戦争行動に突入することを意図しているのである。

 さらに対中戦争という場合、それが核戦争に発展することも不可避と想定されている。そのためにBMD(弾道ミサイル防衛)での日米の連携強化が決定的に重視されている。まさに新たな世界的大戦争への日米枢軸の形成そのものと言っても過言ではない。
 日米帝はこの攻撃を、次のような日帝の政治・軍事体制上の構造的大再編をめざす攻撃として具体化しようとしてきている。

 第一に、この日米安保の実質的大改変(大転換)は、改憲を不可避とし、改憲を促し、改憲によって規定される。すなわち改憲攻撃の開始と完全に一体のものとしてあるということだ。

 第二に、米帝はその対中国・対北朝鮮の戦争戦略の展開において、日本(日本列島)を戦争上の全面的な戦略的基地として徹底的に活用しつくすことを狙っている。日本列島を完全に「不沈空母」化し、作戦遂行上の最高(前線)軍事司令部を日本(座間、横田)に置き、沖縄を始めとする在日米軍基地を最前線出撃基地・後方支援基地・補給基地としてフル回転させようとしている。

 とりわけキャンプ座間への米陸軍第1軍団司令部の移転と新司令部の創設、横田基地への日米空軍司令部の統合的設置とミサイル迎撃態勢の確立、米原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀母港化は重大である。

 それだけではない。米軍は自衛隊基地を含めて日本全土のすべての空港や港湾を、戦時に自由に使用する態勢をつくろうとしている。さらに自衛隊および日帝の民間的諸力を米軍展開の補完的戦力・諸力として徹底的に動員することを狙っている。日帝は、日帝自身の戦争体制確立と自衛隊の帝国主義軍隊としての本格的確立をめざす立場から、米軍とのこの〈役割・任務・分担〉を日帝の側からも全面的に推進しようとしている。

 第三に、ここできわめて重大なことは、この日米安保の大改定が同時に、日帝による新たな「琉球処分」の大攻撃としてあるということだ。

 10・29中間報告は、兵力の再編を考える上で、「米軍のプレゼンス」が「地域の平和と安全にとって不可欠」であり、日米両国にとって「決定的に重要な中核的能力」であると言い切っている。これは沖縄を強烈に意識したものだ。米帝はここで、中国・北朝鮮との戦争体制(アジア戦争体制)にとって沖縄基地は絶対に必須不可欠のものであると、あらためて真っ向から宣言している。具体的にも普天間基地の代替施設は何がなんでも沖縄県内に設けなければならないということを、かつてなく強い調子で確認している。

 これは単に普天間基地の代替という問題を超えて、安保のための基地の島・沖縄の現状をここにあらためて恒久化するというとてつもない決定が行われたということだ。しかも日米両国はこれを「結論づけた」という表現をとって、どんな抵抗をも踏みつぶして強行する意図を隠そうともしていない。そしてこれまでの辺野古沖案に代えて、新たに辺野古崎沿岸部に長さ1800bの滑走路をもつ新基地の建設を決めたのである。この新基地は、滑走路だけでなく膨大な関連施設を備え、沖縄南部の基地の一部をも移転・統合して建設される巨大な軍事要塞(ようさい)である。今次の米軍再編を契機に沖縄基地を再定義し、とりわけ対中国・対北朝鮮戦争上の絶対的存在として沖縄米軍基地の永久的固定化を図る意図がそこにはある。

 日帝・小泉は、この米帝の政策との戦略的一致を確認し、自分自身の政策として、日米安保同盟のために沖縄に一層の犠牲を徹底的に押しつけることを決断し、そのために強権発動も辞さないとしている。これはまさに、日帝による新たな第5次の琉球処分である。明治期の琉球処分、第2次大戦末期の沖縄戦の強制、戦後の米帝・米軍への沖縄売り渡しと1972年「返還」時の大ペテンに続く、沖縄人民への差別的な犠牲の集中だ。沖縄を再び日帝の侵略戦争のために、安保のために、米軍基地の島として売り渡すものである。

 これに対する沖縄人民のすさまじい腹の底からの怒りの爆発に、日本プロレタリアートは、日本革命の利害をかけて連帯して決起し、新たな安保・沖縄決戦としてこの再編攻撃と闘わねばならない。この米軍再編は本土の基地に対しても恐るべき攻撃としてあるが、全一体としての米軍戦略・日米安保戦略への反撃の闘いとともに、特殊沖縄への巨大な歴史的な「処分」攻撃への全階級的反撃の必要性を見失ってはならない。この点を少しでもあいまいにすることは、日帝の沖縄差別への日本プロレタリアートの屈服にほかならない。

 06年の安保・沖縄決戦に断固として決起していこう。

 (6)日本帝国主義の危機と体制的な破綻

 05年は、日本帝国主義が帝国主義としての根底的な弱さと危機性を露呈した年であった。

 帝国主義間争闘戦に敗北して国連安保理常任理事国入りが破産したこと、「歴史問題」「靖国問題」「領土問題」で朝鮮・中国、アジア人民の反日帝闘争が爆発したことは、日帝にとって戦略的大打撃となっている。

 また、8・8郵政民営化法案否決は、戦後的議会制民主主義がブルジョア独裁の統治形態として完全に破綻しつつあることをつきつけた。一瞬とはいえ、日本帝国主義がそこに地獄を見たということである。小泉は解散権を行使し、「国民投票」的総選挙に訴え、しかも小泉反対派を「自民党内の社民的勢力」と呼んで「刺客」をもって放逐するという手段に訴えた。これは明らかに反革命ファシスト的な政治クーデターである。逆に、郵政民営化法案の参院否決という事態に小泉政権が屈服していたらどうなっていたのか。それは小泉政権の崩壊にとどまらず、自民党政権の全面的な崩壊過程への突入であり、ブルジョア独裁のメカニズムの大混乱時代への突入であった。小泉・奥田はまさにこの恐怖にかられて8・8―9・11反革命を強行したのだ。

 この小泉のファシスト的政治クーデターの「成功」によって、日本の政治体制は急激に一大変動期へ突入した。ウルトラな反動攻勢が内容上もテンポの点でも予想を超えて進行する過程に突入した。政治情勢・階級情勢が激変過程へ突入したのだ。しかし基本的に恐るべき危機にのたうち回っているのは日帝である。ファシスト的反革命的攻撃は、労働者階級の闘いが、その階級としての生死をかけてさまざまな形で爆発する過程でもある。われわれは、これまで以上の緊張をもって階級闘争の前進、労働者階級の階級的前進のために全力をあげて闘うことが求められている。

 重大なことは、日本経済が破滅的危機へと向かっていることだ。国の借金は歴史的な高水準になっている。国債残高は05年3月で国民所得の約1・5倍。2005年度予算の国債依存度(一般会計歳出のうち、国債発行収入でまかなっている割合)は41・8%と戦後最高水準である。

 このため、日銀による金融の量的緩和を解除すると、長期金利が急上昇して日本経済が瓦解(ががい)しかねず、支配階級は戦慄している。決定的なのは「08年問題」である。金融恐慌の中で97年の北海道拓殖銀行、98年の日本長期信用銀行、日本債券信用銀行と連続的に大銀行が倒産し、これに対して公的資金を全面的に投入した。新規国債や借り換え債を計76兆円発行した。その多くが08年度に償還期を迎える。08年度に償還財源として発行する額は134兆円になる。国債残高は試算では08年に625兆円になる。国家予算の8倍の借金を抱えている。この道は最後は国債暴落や超インフレに行きつくことは必定であり、国家的破滅への道なのである。

 日帝ブルジョアジーは、この体制的大破綻が資本主義体制への反乱を引き起こす危険に恐怖し、少しでも延命しようと全力をあげている。それが戦争と改憲、民営化と労働組合破壊攻撃だ。

 小泉政権は、経済財政諮問会議のもとで一切の政治を行ってきた。これはブルジョア独裁の諮問機関であり、小泉、竹中、奥田らを中心にこの5年間、小泉=奥田路線の実体そのものを形成してきた。そこで打ち出されてきた「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2001―2005年」(「骨太T」から「骨太X」)の中身は、直接には、国家財政の破綻を労働者階級人民にいかにしわ寄せするかに集約される。同時に、根本的には、〈外への侵略戦争と内への階級戦争〉を表裏一体的にやりぬくための、国家大改造の攻撃というところに最大の本質がある。

 そのために郵政民営化法案を昨秋特別国会で押し通すことをテコに、今や一大民営化攻撃に打って出、全逓・自治労・教労・国鉄などの官公労系の労働組合・労働運動の破壊と産業報国会的変質を狙って凶暴な攻撃を開始している。昨年9月の経済財政諮問会議は、「構造改革の加速」に向けて、05年4月の経団連提言で打ち出された「国家公務員制度改革」の攻撃に全力をあげて踏み込むことを確認した。国家財政破綻の責任を公務員労働者になすりつけ、大量首切りを強行し、自治労の改憲勢力化を狙う攻撃だ。

 さらに、昨年9月の厚労省報告は「労働契約法」の制定を打ち出したが、これは戦後の労働法制を根底から破壊し転覆して、労働者の地位を法的にも「工場法以前」に戻すものだ。改憲と完全に連動し、直結した恐るべき大攻撃である。

 これに対してわれわれは、「官から民へ」「小さな政府を」のイデオロギーの本質が、公務員労働運動の解体攻撃であることをはっきりさせて闘ってきた。小泉反革命の真の恐るべき本質をつかみとり、かつ動労千葉労働運動から徹底して学ぶことで、民営化・労働組合破壊攻撃との闘いを、生産点でのぎりぎりの攻防として闘って勝ちぬく思想を確立してきた。この思想を、戦時下階級闘争を全面的に爆発させる力の根源にかかわるものとしてつかみとった。それは、一切の闘いをプロレタリア革命の最終的勝利の立場に立ち切って闘うということだ。

 05年の前進の地平をしっかりつかみ、4大産別決戦をトコトン闘いぬき、始まった改憲攻撃と真っ向から対決して06年〜07年階級決戦へ前進していこう。


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