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統帥要綱の「独断専行」と統帥参考の「雅量」
http://www.asyura2.com/0601/hasan44/msg/245.html
投稿者 たけ(tk) 日時 2006 年 1 月 09 日 22:59:25: SjhUwzSd1dsNg
 

(回答先: 私は、まさに「失われた十年」は、ほとんど似たようなメカニズムによって生まれたものだと考えている。【epicafe】 投稿者 hou 日時 2006 年 1 月 09 日 15:33:45)

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/2687/siryo/siryo06.html

統帥綱領

陸軍の軍(司令官)以上の高級統帥に関する大綱を示したもので、作戦要務令の上部教典に相当する。軍令ではなく、参謀総長の極秘訓令として司令部や学校に配布されたものであり、強制力はなかった。

大正 3年にはじめて配布され、大正 7年と10年の改正を経て、昭和 3年3月 大幅な改訂を行った。執筆の中心は鈴木率道(23)で、昭和18年島村矩康(36)が中心となって対ソ戦を想定した改訂版が完成したが、正式制定には至っていない。

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http://www.pluto.dti.ne.jp/~yggdrasi/heihou/h06tousu.html

◆統帥綱領
ゴールを征服したのはシーザーに率いられたローマ人であって、たんなるローマ人ではない。

・・

◆統帥綱領
将帥の心を圧迫するものは、
 1)重大なる責任
 2)勝を争う実敵
 3)上下級指揮官の意志の自由
 4)国内の世論、政治の干渉
 5)戦場における状況の不明と錯誤
である。

・・

◆統帥綱領
中間指揮官は、上級と下級の指揮官の間に立ち、さらに左右隣接の同級指揮官に挟まれながら、意志の自由を発揮しなくてはならない。
好機を逸するおそれがあったため、中間指揮官が独断で命令を下した後から、これと反対の命令がきて困ることが少なくない。  中間指揮官の心労を少なくするため、上級指揮官は先を見て、早めに方針を示し、細部に干渉しないようにつとめなければならない。

◆作戦要務令
独断専行に当たっては、常に上官の意図を明察し、大局を判断して、状況の変化に応じ、自らその目的を達しうる最良の方法を選んで、機先を制しなければならない。

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http://ww1.m78.com/topix-2/referenceforcommanding.html

旧軍統帥参考とガリシア緒戦

旧軍は陸軍大学の教科書として「統帥要綱」及びその解説として「統帥参考」を発行した。統帥要綱は軍事機密とされ、終戦時全て焼却された。ただ1970年代に入り、「天皇と統帥」の項目を除いて復刻された。除かれた項目は当時からみても、また今日から見ても相当に悪質な内容だったのだろう。

統帥要綱と統帥参考は遅くとも1928年頃までに皇道派の鈴木率道により成立したと考えられる。ただ名前に反し皇道派の面々は国家主義であるが、生きている天皇はないがしろにする傾向があり、要綱のなかに軍隊の忠誠の関係も含めて天皇に触れた箇所はない。

皇道派の多くは第1次大戦中観戦武官として、フランスまたはロシアに派遣されていた。このためドイツとオーストリア関係の情報取得は戦後となった。ただこの両国とも開戦責任が問われたため、事実については脚色する傾向があった。参考では多くの戦史上の実例があげられているが、その殆どは第1次大戦のものである。これは、1928年と言う時点からはやむを得ない。

ただ不思議なことに、大半は1914年度中の出来事に限定されている。すなわち、マルヌ会戦・タンネンベルグ包囲殲滅戦・ガリシア緒戦である。これは、1915年以降の戦いの戦例を実際に装備や編制(例えば毒ガス)に活かしたため高度の軍機とし公開しなかったのだろう。

そして、その中でガリシア緒戦は非常なスペースを与えられている。しかも必ずしも正鵠を得ていないものが数多くある。これはなぜだろうか?多少例をあげてみよう。

23:統帥者の意思は、外に対するのと内に対するのとを問わず、完全に自主自由を発揮せざるべからず。(統帥者の意思は誰にも拘束されない。)

殊に出鱈目な条項を引いているのではないかと誤解されるかもしれないが、統帥参考は全編このように読んで明らかに軍人官僚の傲慢さと思われるものに満ちている。これは方面軍司令官または陸軍参謀総長は誰にも拘束されず、責任も持たないと表明しているものだ。

これ程までに思い上がった文書はまず他国にも見られない。ドイツ帝国では各級司令官は直接、皇帝に拘束され方面軍司令官は皇帝の代理である参謀総長に拘束された。当然それを参考にした明治憲法でも全軍の司令官である天皇とその補佐である参謀総長または軍令部総長に拘束される。当然ドイツでは皇帝とその代理は全て人事も掌握した。

この項の例として、1914年のガリシアにおけるオーストリア軍は、司令官(参謀総長)のコンラートが自由意志を拘束されたため、作戦に失敗した、と述べる。理由は説明されていない。しかしオーストリア公式戦記は鉄道官吏の無能が原因としており、旧軍もそれを踏襲したのだろう。真実はコンラートが指示をコロコロ変えたせいだが。

ガリシア緒戦の作戦計画

27:人は各々意思の自由を有し、その立場を異にするをもって、統帥者と被統帥者の意思は一致せざること少なからず。かくの如き場合にありては、統帥は一貫せる方針を乱しやすく、不徹底に陥り、多くの錯誤を生ずるおそれありて、統帥の危機ここに胚胎すること多し。
統帥者は断乎として自己の意思を強要し、その実行を厳重に監視するか、あるいは快く、許し得べき範囲内において被統帥者の意思を尊重し、大なる雅量をもってその遂行を援助するを要す。

それでは互いに自由な意思をもつ各級司令官や参謀の意見が対立したらどうなるのか?この項では恐るべき事に、上級司令官が譲るべき、つまり雅量を示すべきだとしている。あくまで下級を説得せねばならず、矛盾した命令を出すことはできないのだ。この辺に旧軍の退廃と日本の官僚制の宿痾が現れている。

とくに日独露の制度だと、司令官は参謀を選ぶことができない。これではアクの強い参謀がいると、それに引きずられてしまう。むしろ司令官が政治任命である英米では、参謀も選べるから、この種の司令部内の対立は起きない。しかしドイツでも対立は起きたが日本程極端なものはない。日本式では人事考課でしか部下を掣肘できないことになる。

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