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ドイツの専門労働者の平均賃金が約27ユーロである。      【はろう 5月】
http://www.asyura2.com/0601/hasan44/msg/295.html
投稿者 hou 日時 2006 年 1 月 14 日 11:08:36: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: 時給1〜2ユーロ前後の低賃金の仕事         【独立行政法人・労働政策研究所】 投稿者 hou 日時 2006 年 1 月 14 日 11:02:15)

http://www.ohnichi.de/Toki/toki111.htm

グローバル化の勝者・敗者


ドイツ経済
一方では低賃金、工場移転、他方では何百万ユーロもの役員報酬、記録的収益。ドイツの被雇用者はグローバル化の敗者、巨大コンツェルンが勝者である。政治はこうした動きを阻止できるのか?

(1) EUの東方拡大後1年過ぎた現在、その影の部分が姿を現している。以前にも増して多数の低賃金労働者が東欧から流れ込み、ドイツ人----屠殺作業者、手工業者、建築労働者----の仕事を奪っている。同時に多数の企業が工場の一部を賃金の安い東欧に移転している。東欧諸国はEUから助成金を貰い、企業に課税する税金を安くしているが、助成金は元をただせば主にドイツがEUに支払ったものである。中国やインドに移転する企業もある。また移転を脅しの手段として使い、従業員に(賃金、労働時間についての)妥協を強要している。

(2) ドイツには北風が吹き、失業者が増大し、また就業している被雇用者も実質賃金が低下している。多数の会社で、タリフで合意されていない特典(ボーナス、タリフを上回る追加手当)が削られ、被雇用者が自分の意思で収入の一部を放棄し、職場が外国に移転するのを防いでいるケースも多い。ドイツの一般労働者は明らかにグローバル化の敗者である。

(3) これに反しグローバル化の勝者は、(代わりをみつけるのが難しい) 高資格者、会社を収益路線にのせ、何百万ユーロもの報酬を貰っているマネージャー、巨大コンツェルンである。多数の人達を激怒させ、経済、政治への信頼を失わせているのは、記録的な失業と記録的収益、低賃金とマネージャーの記録的高給が同居しているという現実である。

(4) EU拡大後、東欧諸国の国民は西ヨーロッパでも営業を行えるようになり、特にマイスター証書の要らないタイル貼り職人、建物清掃業に人気がある。

(5) 企業は競争に勝ち残り、安い物を求める消費者の需要に応えるため、ドイツ人被雇用者よりずっと賃金の安い東欧諸国の労働者を雇っている。しかしそれはドイツ人被雇用者の解雇につながる。そのため政府は《Entsendegesetz》(被雇用者派遣法)を現在の建築業から将来はすべて業種に拡大し、「最低賃金」の導入をはかろうとしている。そうすれば東欧諸国からの低賃金輸入を阻止出来るという論理である。これは政府が推進している労働市場改革の空洞化につながる措置でもある。というのも、《ハルツIV》により失業者はタリフ以下の賃金でも働けるようになり、また「最低賃金」は国際的な経験からして、それが非常に低いレベルにある場合には(平均賃金の1/3)問題ないが、レベルが上がれば、(税金を払わない)闇作業を促進し、保護対象である低資格作業者に悪影響が出るからだ。例えばフランスの最低賃金は月約1200ユーロで、これは平均月給の50%にあたる。これは初任給としては高過ぎる金額で、このためパリ、リヨンでは若年層の失業率がヨーロッパの平均を大きく上回っている。いかに「最低賃金」がグローバル化した労働市場の無慈悲な圧力の前に無力かはドイツの建築業界の例が如実に示している。10年前から《Entsendegesetz》及びそこに規定されている「最低賃金」を盾に賃金ダンピングとの戦いを続けているが、状況は年々悪化している。この間に約65万人のドイツ人建築労働者が職を失い、それに代わり年々低賃金労働者が外国から流入している。この法律(目下最低賃金:10.36ユーロ)の抜け道は多数あり、公式には35時間労働だが、実際に40時間働かせたり、蚕棚のような部屋の家賃を釣り上げて、実質8ユーロで働かせている。またEU拡大の過程で手工業者がEU内で自由に営業出来るようになってからは、「最低賃金」は紙の上でしか存在しなくなっている。ノイルピーン(旧DDR地域)の建築現場で最低賃金を下回る賃金で作業をしていた二人のポーランド人を発見した。二人はすぐにポーランドに帰国したが、1週間後には「自営建築業者」としてドイツにやって来ている。EU東方拡大から一年たった労働市場での結論は政治家が拡大条約の交渉をあまりにも安易に行ったということである。EU域内諸国の外人は自営業者としてドイツで役務提供を行える。大抵の場合、マイスター証書の不要な「タイル貼り職人」を僣称し、「見かけだけの自営業者」に化けている。また、例えばポーランドの会社に雇用されているポーランド人を会社の特別な任務のためにドイツに派遣する----という筋書きをつくれば、ポーランド人はドイツで合法的に仕事が出来る。これに反し、ポーランド人がドイツの雇用者の指令に従い仕事をする場合には非合法となる。だが、EU拡大後、合法、非合法、半合法といった境界もあいまいになった。

(6) グローバル化の嵐は何十年にもわたりドイツ経済、ドイツの被雇用者に有利に作用したかの観があった。ドイツは短期間のうちに、第二次大戦の瓦礫の中からヨーロッパ第一の経済国になり、自動車、機械、薬品を問わずほぼすべての産業部門で世界市場の指導的ポジションを制覇し、ドイツの被雇用者は世界の羨望の的となった(最高の賃金、安定した職場、きめの細かい社会福祉網)。また世界貿易により触発された構造変化のショックもドイツは模範的に緩衝し、ほぼ四半世紀の間、例えば農業、炭鉱で失業した労働者も他の成長産業部門で吸収出来た。ところが、何年も前から経済成長、一人当たりの所得、投資といった重要な経済指標が後退し、初めは緩慢な速度だったが、次第にそれが加速し、最終的には何十万人もの被雇用者が職場を失い、職のある人も10年前から実質給与(手取り)が横ばい状態になっている。

(7) こうした展開はドイツ国民を不安に陥れ、ドイツ国民は「ドイツが輸出の世界チャンピオンになっているのに経済成長ではヨーロッパのビリになっているのは何故か?ドイツの巨大コンツェルンは記録的収益をあげ、多数の部門でトップポジションを占めているのに、自国への投資、就業人口が」縮小しているのか?なぜドイツ企業はドイツより外国で生産をしたがるのか?」という謎に直面している。

(8) こうした問いに対する答はSinn氏(ミュンヒェンIfo-経済研究所所長)にとっては明瞭で、鉄のカーテンがなくなってから、競争状況がドイツにとり根本的に変化したからだ。ほぼ一夜にしてドイツ企業が低賃金諸国と隣り合う状況が出現した。ドイツの専門労働者の平均賃金が約27ユーロであるのに対し、ポーランド、チェコ、ハンガリアでは3〜6ユーロ、ルーマニアでは2ユーロ、ウクライナでは1ユーロといった状態である。

(9) その結果、水は高きから低きに流れるで、初めは部品製造を外国部品メーカーに委託していたのが、後には生産工場が丸ごと外国に移転するようになり、更には開発、デザイン、マーケティング部門も外国に移転している。ドイツ企業の外国における設備投資は年間40億ユーロにのぼり、アメリカ、イギリス、フランスを大きく引き離している。

(10) 同時に巨大な賃金格差により東欧の労働者が西欧諸国に吸いよせられ、初めはポーランド、ルーマニアの建築労働者、続いてチェコ、バルト諸国の収穫作業者、介護人、現在では「自営業者」、「役務提供者」がヨーロッパの首都に押しかけている。

(11) こうした資本、人間の移動により東欧諸国民及び企業は潤ったが、ドイツの被雇用者だけがこの発展の犠牲者となり、Ifo経済研究所の計算では1990年代半ばから現在までに、130万人が失業した。しかも、失業した被雇用者は新たな職場を見つけられず、早期退職、失業手当の受給者となり、特に旧DDR地域の住民がこの打撃をもろに受けた。再統一の陶酔の中で、政治家もタリフパートナー(労使双方)も生産性を無視して旧DDR地域被雇用者の賃金を旧西独地域レベルに引き上げてしまったことがその原因である。伝統的な産業地域(旧西独地域)と(新たに出現した)低賃金諸国の板挟みにあい、「ブダペストやブラティスラバの方がずっと条件が有利なのに、何故ドレスデンやロストックに投資しなければならないのか?」という企業家の論理が貫通している。このため、東西ドイツともに「企業と被雇用者の分離」が生じ、企業は外国業務で素晴らしい業績、記録的な利潤を上げているが、そのための職場は低賃金諸国につくられた。また、被雇用者の中でも格差が増大し、また勝ち組の中にも不安感が増大している。現在、ドイツの伝統的企業で収入も良く、競争能力のあるポジションについていても、そうしたポジションがいつかはインドやウクライナに移転するのではないかという不安である。例えばジーメンス、SAPは高資格ソフトウェア開発エンジニア数百名の仕事をインドでやらせることを最近発表している。益々多くのハードウェア生産が中国で実施され、中国、インド両国は経済大国への道を歩んでいる。

(12) 世界的な雇用ルーレットの中で、ドイツ被雇用者の既得権が大きな圧力にさらされ、タリフ協約、35時間労働、(雇用者の)社会保障(費用半額支払)義務は絶えず縮小するコア作業者のもつ例外的特権と化している。どの大企業も多数の作業を賃貸作業者、加工契約作業者に処理させている。またハルツ(Hartz)IV によりミニ・ジョブ、Ich-AG(ワンマン・カンパニー)、1ユーロジョブ等、低賃金雇用が拡大し、現在では雇用関係の1/5を占めている。また、通常の雇用関係にある被雇用者も実質上の賃下げが行われ、ドイツではほとんど「法的効力」に等しい力のあったタリフ協約が効力を失い、業種によっては無視ないし、締結されないケースも出ている。

(13) 特にドイツ銀行を先頭とする銀行が路線変更を行い、いままでのクレジット業務からアメリカ型のインベストメントバンキングに移行し、企業経営に参加して育てる路線から、企業の売買により手っとり早く利潤を稼ぐという路線に転換した。昨年、Dax -Index に登録されている企業は利潤を平均して88%上昇し、BMW、Continental、BASF等は記録的な利潤を上げた。同時にこうした企業はドイツ国内の従業員を低減している。

(14) Ifo経済研究所Sinn所長は、「中国人、ポーランド人、チェコ人がドイツ人に代わり単純作業を行うこと自体は理解出来るが、ドイツの失業者が何もせず、福祉国家から金を貰って生活していることは理解に苦しむ」と考え、ドイツ被雇用者の賃金が下がり、東欧諸国の被雇用者の賃金が上がる傾向にあるのは必然----という見解をとっている。

(《Der Spiegel》17/2005)

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