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立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」64回  ライブドア粉飾決算事件でITバブルは弾けたのか
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 19 日 20:00:40: ogcGl0q1DMbpk
 

立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」64回

ライブドア粉飾決算事件でITバブルは弾けたのか

2006年1月18日

ライブドアに東京地検の捜査の手が入ったのにはビックリしたが、想定外かといえば、そうでもない。

前にニッポン放送乗っ取り事件のときに書いた
(第9回 巨額の資金を動かしたライブドア堀江社長の「金脈と人脈」)
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050406_horie/

ことだが、ライブドアには、昔から、変なウワサがつきまとっていた。あまりまともとはいえないことに手を出す、ヤミ金融の世界の人間と怪しげなつながりを持っているなどのウワサが、ずっと流れていた。

検察の事案としては簡単なケース

この事件どこまで広がるか、現段階では全く予測がつかないが、一般論として、東京地検が捜査令状を取って、公然捜査に踏み切るのは、その前段階の予備調査、内偵で、これはモノになるとよほどの確信が持てた場合に限るということである。

確信は持てないが、とりあえず怪しいようなので、証拠集めのために、見込み捜査をやるなどということは、地検は絶対にやらない。検察は非公然予備調査の段階で、秘密裏に証拠を集める強力な手法を沢山持っている。

それに、相手が小泉首相とも距離が近く、落選したものの、前回選挙で当選していたら、小泉チルドレンの一人になったにちがいない人物である。見込み捜査でやったら、失敗した場合のリスクが大きすぎる。

検察は捜査に踏み切るにあたって、相当慎重にすでに入手している証拠の証拠評価と法律的な詰めをしているはずである。これほど堂々たる捜査に踏み切ったということは、検察当局がすでに立件するに足る証拠を手にしているからだと考えてよいだろう。

検察当局としては、近い将来、やっかいな耐震偽装事件の捜査に乗りださざるをえないことを覚悟しているはずで、それに相当のエネルギーをさかざるをえないということがわかっている状態でこの事件をかかえこんだわけだから、これは事案としては簡単なケース(証拠集め、立件がそんなに難しくない)と考えているのではないだろうか。

ライブドア事件はIT業界全体には波及しない

この事件で、IT関連株がいっせいに売られているらしいが、それはもっともな部分と、過剰反応の部分がある。IT業界の一部には、ライブドアと同じように自社の株価が高いのに気をよくして、時価総額に依拠しての冒険主義的経営手法をとっているところが結構ある。

そういう会社の中には、時価総額を少しでも上げるために、今回問題にされたような虚偽情報開示、あるいは風説の流布に近いようなことをやっているところが他にも少なからずあるはずで、そういうところは、ヒヤリとしただろうが、ライブドアの時価総額がたった一日で一千億円近く(グループ全体で一千五百億円)下がったことを考えると、時価総額商法がいかに危ない経営手法かわかるだろう。

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/060118_itbubble/index.html

特に自社株を担保に借金をして、それでM&Aを行い、その株を担保にまた借金をするという、ライブドアがやっていたような、借金をを二重、三重にふくらましていくバブリーな経営法をとりだすと、こういう事件でバブルに穴があくと、夢と幻想の上に築かれていたバルーンのような部分が一斉に収縮する。

しかし、これはIT業界全体にダイレクトに結びつく話ではない。

私は反対に、IT業界はこれからますます栄えていくだろうと思っている。

ITで儲ける会社はライブドア的手法だけではない
昨年秋出版された「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」(日経BP社)という本がとても刺激的な本で、グーグルの登場によって、IT業界がどれほど急激に世の中を変えつつあるかがよくわかる。

グーグルの業績が驚くほど急激に伸びており、アメリカのIT業界最大手の企業の一つになりつつあるという事実は、新聞の経済面の記事を追うだけである程度知っていた。日常的にグーグルを使っていたから、それが検索エンジンとしてすぐれているということは前から知っていたが、それがどうしてそれほど儲かる会社になったのかがよくわからなかった。

グーグルの入り口のページが、広告でいっぱいになっているわけではないから、広告スペースを売ることで儲けているとも思えなかった。

インターネット世界に詳しい人はみな知るように、グーグルは、グーグルを利用する人々の検索行動をすべてデータとして残し、そのデータの解析から得られるあらゆる情報をそのデータが欲しい人に売るというユニークな情報産業として生きているのだ。

情報の主たる買い手は、その情報をマーケティングに利用する企業である。インターネットに入ってきた人間が、たいていまずやることは、検索エンジンを使って、自分の知りたい情報がどのページにあるかを調べることである。

ページのリストが出てきてから、その人はどこかをクリックして、どこかのページに行く。その記録がグーグル側にみな残る。その人が情報探索をやめるまでの全行動の記録が残る。それを解析していくと、あらゆる消費者の消費行動のパターンがわかってくる。

特に情報探索がそのままネット上での商品購入に結びつく場合は、そのものズバリでわかるが、そうでなくとも、情報検索行動の一定の流れを把握してしまうと、消費者の行動に関して驚くほど多くのことがわかってくる。

そして、それを商売に利用しようと思うと、あらゆる可能性が開けてくる。

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/060118_itbubble/index1.html

膨大な顧客の消費行動分析で利益を上げるグーグル

ある商品を売るためには、どういう階層のどういう行動パターンを持つ人々に働きかけるのがいちばん効果的かわかるから、最も効率のよいセールスができる。

どういう商品のどういう側面に関心を持つ人が多いかわかるから、最も効率のよい商品開発ができる。

要するに、あらゆるグーグル利用者の利用記録という個人情報を徹底的に集め蓄積し、それを解析して、利用可能なデータに組み直してそれを売るわけである。

グーグルはこの商売をつづけていくために、すべての検索記録をひたすらためこみ、それをデータベースとしてあらゆる解析手法を駆使して、何度も何度も再検索、再々検索をしていく。そのために、膨大なコンピューティング・パワーと、膨大なメモリーストレージを必要とする。情報検索ビジネスは、成功すればするほど、それらを収容する膨大な物理空間を必要とする。

グーグルがどんどん貯めこんで利用する情報はほとんど天文学的な量になりつつあるが、世界の情報拠点となっている大都市には、グーグルの巨大サーバーとメモリーストレージを大きなビルに丸ごとパイルアップした、“グーグル・タワー”と呼ばれるものが幾つもあり、それがどんどん増殖中なのだという話をコンピュータ業界の人から聞いた。

出版業界でさかんにいわれる「07年問題」

今回の事件で問題になった、「ライブドアマーケティング」は、以前の社名を「バリュー・クリック・ジャパン」といい、グーグルまではとてもいかないが、それと似たような情報商売をしていた。インターネットに広告を出したとき、その広告サイトをクリックして入ってきた人の数に応じて、広告料を取るというようなシステムを開発していた。

いまインターネット広告は、ページを表示した回数を基本にしたものや、このようなクリック数に応じた料金のシステムになっている。

スポンサーにすると、広告効果に応じた料金だけ払えばよいわけだから、これまでの印刷メディア、電波メディアの広告から、どんどんインターネット広告に移行しつつある。

いま出版業界でさかんにいわれているのが、「07年問題」だ。07年問題とは、その年になったらインターネット広告が完全に雑誌広告を追い抜くという予測の年なのだ。インターネット広告は、昨年、ラジオ広告を追い越した。そのとき、次は雑誌広告が追い抜かれるかもしれないがそれにはまだちょっと間があるといわれていたが、もう07年に追い抜かれることは確実という情勢になってきたのである。

雑誌の収入は、販売収入と広告収入からなるが、ほとんどの雑誌が、収入の半分近く(以上のところもある)を広告収入に依存しているから、それがどんどん減っていったら、経営的に成りたたなくなる雑誌社が続出すると言われている。

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/060118_itbubble/index2.html

アメリカはすでにそれに近い事態になっている。ネット広告は1兆円を大きく突破して、既に雑誌広告と並んでいる。「ビジネス・ウィーク」や、「ニューズ・ウィーク」といった有名雑誌、あるいは「ニューヨーク・タイムス」のような超有名新聞ですら、広告料金収入があまりに減ったため、人員整理をはじめる事態にたちいたっている。

すべての行動を裸にするグーグルのビジネスモデル

最近、グーグルの商売で、もうひとつ新しい事実を知った。

グーグルのサービスの一つに、「Gmail」というものがあって、Gmailユーザーに紹介してもらえば、誰でも自由に使える便利なメールで、最近、使う人がどんどんふえている。

しかし、このメールを使うと、メールに書く1行1行が即座に自動解析されて、そこに書いたことに関係がある広告がすぐそばに出てくるのだという。

この話を聞いて、さっそく実験してみた。「最近、パソコンをそろそろ買い換えようかと思っている」と1行書いたら、なるほど即座にパソコンの広告がそこに出現してきた。このような仕組み、メールが全部検閲されているようで、「気味が悪い」、「イヤダ」という人もいるだろうが、「これは便利だ」という人もいるだろう。

検索エンジンが長年かけて開発してきた、超高速の情報処理能力と、文章解析能力を組み合わせると、こういうことはいとも簡単にできるのである。

グーグルはこういうことを利用者に隠して密かにやっているわけではなくて、ちゃんと、「こういうことをやっているから広告が出てきます」と宣言した上でやっている。そうなると、やってはならないことをしていると、非難することもできない。それにコンピュータが自動解析ソフトでやっていることだから、ただいま現在はそれほど気味が悪いことがなされているというわけでもない。

しかし、その技術の利用者が利用目的を変えたら、たちまち気味が悪いことになってくる。国家権力が国民の監視目的でその技術を使いだしたら、それはジョージ・オーウェルのいう「ビッグ・ブラザー」監視社会そのものだ。最近アメリカで大問題になっている、9.11以後のセキュリティ目的のネット盗聴をどこまでやってよいかという問題は、まさに現実がそこまでいっているということを示している。

さらに、こういう技術がどんどん発達していくと、その先今後はどう技術が生まれてきて、自分の知らないうちに、コンピュータが自動的にやってしまうことが、個々人の生活の中にどれほど入ってくるのだろうと、もっと大きな予測不可能な気味の悪さを感じることがある。


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立花 隆

評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。2005年10月から東大大学院総合文化研究科科学技術インタープリター養成プログラム特任教授。

著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌—香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。

http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/060118_itbubble/index3.html

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