★阿修羅♪ > 国家破産44 > 690.html
 ★阿修羅♪
負の遺産にあえぐ米企業(上)医療費・年金、重く――生産移転し膨張回避。【日本経済新聞】
http://www.asyura2.com/0601/hasan44/msg/690.html
投稿者 hou 日時 2006 年 1 月 24 日 21:52:07: HWYlsG4gs5FRk
 

(回答先: こんばんは、memento moriさん  小生の意図は 投稿者 hou 日時 2006 年 1 月 24 日 21:46:03)

 従業員や退職者向けの医療費・年金負担が「レガシーコスト(負の遺産)」となって米企業にのしかかっている。経営環境が変化しても過去に約束した支給条件見直しは難しく、膨大な固定費が利益を食いつぶす。これ以上の負担を避けるために生産を米国外に移転したり、破産申請に追い込まれたりする動きが広がっている。
 米ミシガン州二百六十万台、カナダ・オンタリオ州二百七十万台――。米調査会社ワーズによると、デトロイトを抱えるミシガン州が二〇〇四年に初めて、北米での自動車生産首位の座を隣のオンタリオ州に奪われた。国境をはさんで生産移転が加速、三年後には差が六十二万台に広がる見通しだ。
 歴史的な逆転劇を生んだのは医療費の格差だ。ゼネラル・モーターズ(GM)が米国で払う医療費は今年五十六億ドル。新車一台当たり千五百ドルに上り「競争力の最大の圧迫要因」(リチャード・ワゴナー会長)だ。一方、カナダでは一台当たり百二十ドルと十分の一以下で済む。
 米国は先進国で唯一、全国民対象の公的医療保険を持たず、医薬品や医療サービスの価格を事業者が自由に設定する。医薬品メーカーはカナダなど各国政府が決める薬価では十分な利益を稼げず、米国での薬価を突出して高くし開発投資を回収する。GMはカナダでの生産拡大の見返りに、医療費抑制政策を維持するようカナダ議会にロビー攻勢をかけている。
 GM固有の事情もある。平均的な米企業では医療費の三四%を従業員が自己負担し、残りを企業が出す。だが、全米自動車労組(UAW)加入のGM従業員の自己負担率はわずか七%。一九九〇年代後半の好況期の甘い労使交渉の名残だ。GMは負担率を三割近くに引き上げ年十二億ドルのコスト削減を狙うが、UAWのロン・ゲトルフィンガー委員長は「交渉を急ぐ理由はない」とにべもない。
 カイザーファミリー財団の調査では、〇四年の米企業の医療保険料負担は前年比一一・二%増と、四年連続の二ケタ増。経営者団体ビジネス・ラウンドテーブルによると、六割の経営者が将来の懸念材料の第一位に医療費の膨張をあげた。
 企業年金にも好況期のツケが回ってきた。
 米企業は年九%前後と日本企業のほぼ三倍の高い期待運用収益率を設定、それに応じた高い利回りを従業員に約束した。株高で年金資産が増え続ける間、企業に積み立てを免除する特例もあった。S&P主要五百社の三百六十九社が確定給付年金を持つが、現在までに積み立て不足は千六百四十億ドル、一社当たり四億四千万ドルに達する。
 「これ以上、現在のコスト構造を維持するのは無理だ」。ヒューレット・パッカード(HP)のマーク・ハード最高経営責任者は七月、社員に年金改革の必要性を訴えた。確定給付年金制度を廃止、従業員が独自に運用する確定拠出年金(401k)に切り替え、コストを年三億ドル減らす。
 フォーチュン主要千社で確定給付年金の廃止は〇三年が四十五社、〇四年は七十一社に上った。
 GMのワゴナー会長は「当社は(危機を真っ先に察知する)炭坑のカナリアだ」という。レガシーコストの問題は歴史のある企業で真っ先に表面化したが、大半の米企業は同じ構造を抱えている。トヨタ自動車など日本勢の医療費が一台当たり四百ドル弱で済むのは米国での歴史が浅く退職者が少ないからにすぎない。
(ニューヨーク=篠原洋一)
【図・写真】医療費の格差がカナダへの移転を加速させている(GMのオンタリオ工場)=AP

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ HOME > 国家破産44掲示板


  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。