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JMM [Japan Mail Media]  ライブドア事件の市場への影響
http://www.asyura2.com/0601/hasan44/msg/873.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 1 月 30 日 20:54:25: ogcGl0q1DMbpk
 

                              2006年1月30日発行
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JMM [Japan Mail Media]                 No.360 Monday Edition
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                        http://ryumurakami.jmm.co.jp/
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▼INDEX▼


■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第360回】

   □真壁昭夫  :信州大学経済学部教授
□山崎元   :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
   □金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務
□菊地正俊  :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
□津田栄   :経済評論家
□杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務
□芳賀沼千里 :野村證券投資調査部ストラテジスト
□岡本慎一  :生命保険会社勤務
   □北野一   :JPモルガン証券日本株ストラテジスト
 □三ツ谷誠  :金融機関勤務
□渡辺タカコ :株式キャスター

 ■ 『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』


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 ■ 先週号の『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』
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 Q:646への回答ありがとうございました。週末、箱根は吹雪でした。結局雪は
それほど積もらなくて、終日原稿を書くだけなので車を使う必要もなかったのですが、

凍結が恐かったのでまた雪かきをしました。21日土曜夜のNHKニュースのトップ
は雪でした。数センチの積雪でも首都だったら全国ニュースのトップになるわけです。

センター試験当日でもあり、飛行機の便も新幹線も東京が中心ですし、成田空港発着
便も大きな影響を受けたようなので、トップニュースとして扱うのは当然なのでしょ
う。しかし、4メートル超の豪雪に苦しんでいる人たちがいることを思うと、若干の
違和感を覚えます。東京中心の報道が間違っているというわけではありません。その
ことに疑問をいっさい持っていないように見える大手既成メディアへの違和感です。

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■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第360回目】
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====質問:村上龍============================================================

Q:647
 ライブドア事件は、今後マーケット全体にどのような影響を与えるでしょうか。

============================================================================
※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・
組織の意見・方針ではありません。
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 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授

 今回のライブドア事件については、多くの市場関係者が、「いつか、このようなこ
とが起きるだろう」と予想していたと思います。事件の報道が始まって以後、多くの
人、特に、株式市場で長い経験を持っている人たちから、「やはり起きた」という感
想を聞きました。私自身も報道を見て、全く驚きはありませんでした。その意味では、

事件の発生自体は「想定内」だったといえるかもしれません。

 一方、今回の事件の波紋は、これから、様々なところに、様々な格好で表面化する
と思います。“株式市場”と、法律などの“制度”の二つのキーワードで分けると、
整理し易いと考えます。

 先ず、株式市場に関連する影響です。元々ライブドアは、堀江氏の若くて、エネル
ギッシュで大胆な行動力が組織の推進力を支えていた会社です。従来の古い価値観で
は考えられないようなM&Aなどを果敢に企図し、それを躊躇なく実践してきたこと
が、多くの個人投資家から賛同を受けていました。株式分割などの“奇策”はあった
ものの、つい最近まで、株価が大きく上昇していたことからも分かります。その一方
で、どれだけの投資家が、同社の企業価値などを意識していたかは疑問です。多くの
個人投資家は、ライブドアの将来に大きな期待を抱き、「上がるから買う。買うから
上がる」という一種のマネーゲームに興じていた面があると考えます。そのゲームに
は、今回の事件で冷水が浴びせられたのではないでしょうか。

 一種のマネーゲームの対象になったのは、もちろん、ライブドアばかりではありま
せん。他にも、新興のIT企業などに大きな、時には過度な期待を抱き「買うから上が
る。上がるから買う」というゲームの展開になった企業はあると思います。問題は、
ライブドアが、報道されているような粉飾決算や偽計取引などの“インチキ”を行っ
て、株価を押し上げていたとすれば、それは許されないということです。

 ここには重要なポイントが二つあると思います。一つは、ライブドアが、そのよう
な不正を行っていた嫌疑が掛かっていることです。人々の注目を集め、時代の寵児と
なったライブドアであっても、社会のルールを守ることは要求されるはずです。ライ
ブドアは、いつか、そうしたルール遵守の要請を忘れてしまったのかもしれません。
今回の事件発覚で、市場や投資家は、そうしたリスクに対して覚醒された感があると
思います。特に、ライブドアの株式に投資して、損失を蒙った人たちには教訓になっ
たと考えます。

 もう一つは、投資家の投資スタンスの問題です。「買うから上がる。上がるから買
う」という投資姿勢では、長期的に安定的な収益を得ることは難しいでしょう。株価
が、フェアバリューよりも、はるかに高い水準まで上がれば、その株価はいつか下落
することは当然のことです。今回のライブドア事件にかかわる同社株急落によって、
それを学習する必要があると思います。逆に、学習効果を習得したとすれば、それな
りに意味のある事件だと考えます。これで、株式投資家の一部がマネーゲームから目
覚め、市場全体が正常に戻ってくれるなら、今回の事件は有益だったといえるかもし
れません。

 次に、株式市場に係わる仕組みや制度などについてです。今回の事件は、実に様々
な問題点を浮き上がらせました。例えば、東京証券取引所の処理能力の問題です。今
まで、そうした問題については、バブル崩壊後市場の低迷が続いたこともあり、殆ど
意識されてこなかったと思います。それが、意外に大きなネックであることが確認さ
れました。今後は、適切な対応策が取られることが期待されます。

 もう一つは、ライブドアが使った株式分割の手法、投資事業組合の仕組みなどです。

株式分割に関するルールは、既に整備が進んでいるようです。大幅な株式分割で株価
を押し上げるようなことはできなくなっています。一方、投資事業組合は匿名性が高
く、情報開示の要請が低いため、従来から問題点を指摘されてきました。ライブドア
は、そうした盲点を使ったといわれていますが、違法行為に使われるような法律制度
自体に、大きな問題があるはずです。今後、法律制度などの整備が求められることで
しょう。

 ただし、どれほど法律などの仕組みを整備しても、必ずと言ってよいほど抜け道が
あると思います。抜け道を使う主体と制度の整備とは、いつも、“いたちごっこ”に
なってしまいます。現実に迅速に対応できるシステムを作ることは考えるべきだと思
います。米国のSECに当たる証券取引等監視委員会の拡充や、一層の権限付与など
を検討することも、一つの選択肢かもしれません。良識と常識に照らしておかしいと
いう事象は、それが拡大して、影響が大きくなるまで放置せず、その都度、何らかの
対応策を取る方が、市場に与えるマグニチュードを抑えることができると考えます。

                       信州大学経済学部教授:真壁昭夫

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 ■ 山崎元  :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

 この事件そのものの株価全般への影響は、一過性であり、限定的でしょう。株価の
ことですから、先は予想できませんが、そう思います。信用取引等に絡む当面の株式
市場の問題、他のIT企業や新興市場上場企業への連想的な警戒感、これまでの「買
うから上がる、上がるから買う」的な循環に水を差したこと、などの短期的な影響は
ありますが、事件内容はライブドア社に固有のものですし、他の企業の業績や景気、
金融環境に影響を与えるようなものでもありません。

 ライブドア事件をきっかけに、投資事業組合や海外のSPC(特定目的会社)など
を使った決算操作全般に捜査のメスが入り、他の多くの上場企業の決算が疑われる、
というようなことになると、事件の影響がもっと大きく波及する可能性はあります
が、今の時点でそこまで及ぶとは確言できません。

「マーケット全体」として、今、考える価値のある影響は二つあると思います。

 一つは、東京証券取引所(東証)のあり方です。ライブドア事件に伴う約定件数の
増加で東証は売買停止に追い込まれましたが、これは、同取引所の、システム投資と
運用の遅れの表れであると同時に、最小取引単位の引き下げを奨励しつつ、それにも
よって売買システムが追いつかなくなるという、市場運営に関する企画・管理能力の
無さを露呈した事態でした。約定件数はライブドア事件の前から300万件レベルに
あり、450万件でデータが壊れるので、400万件を超えると危険だ、という状況
であり、他の事情でも十分パンクする可能性がありました。取引停止に関しては、悪
いのは、ライブドアではなくて、東証です。

 その後、東証は、ライブドア株に関する取引時間の短縮措置を発表しましたが、こ
れは、22万人もいると言われるライブドア株の株主にとって、有利な売却の機会を
制約しかねない不便ですし、短期の売買自体は奨励されるべきものではありません
が、ライブドア株の売買による手数料収入が見込めた東証の会員証券会社にとって、
収益機会の制約になっています。

 また、東証には、ライブドア社グループの株価操作的な株式分割を認めたり、これ
が利益操作を含むものであることを見落としたり、今回事件化した後も、単にライブ
ドア社に情報開示を求めるだけで、独自の調査が後手に回っている、というような上
場銘柄に対する監督不十分の問題もあります(西室社長は、この件についても東証の
非を認めるべきでしょう)。こうした状況を見ると、先般来議論の対象になってい
る、上場銘柄の審査機能は、やはり、東証から分離する方がいいと結論できます。

 もう一つの、より根本的な問題は、「時価総額経営」の破綻と、公開企業の企業統
治の仕組みでしょう。

 ライブドア事件の本質は、日米の文化の違いや、グローバルスタンダードか日本流
か、といった文化の問題ではありません。アメリカにはエンロンやワールドコムのよ
うな問題もありましたが、企業の不正は、いかにも日本的な企業であった、西武鉄道
やカネボウなどにもありました。

 「時価総額経営」を、@第一の目的として時価総額を増やすことを目指す経営であ
り、Aこの時価総額を手段としても用い、B経営(者)の評価を時価総額の増減で行
うこと、と定義するなら、経営者側が情報を独占している通常の状況にあっては、株
式市場による株価形成はその正確性においてあまりにも脆弱な点に問題が生じます。

 ライブドア事件でいえば、@において高株価を正当化させる大風呂敷経営やイメー
ジ操作の横行、その結果としての、不適切な株価形成が問題であり、この株価の不適
切性を利用して、Aとして、企業買収が行われましたし(高い時価総額を使った買収
は、必ずしも株式交換でなくても構いません。先に借り入れを行い現金で株を取得
し、後から株式で資金調達しても同様の効果です)、B堀江容疑者その他の経営幹部
は株主に支持されると共に、自分自身も持ち株の値上がり(と多分ストックオプショ
ンの価値上昇)によって経済的に潤っていました。

 ちなみに、経営陣に自社株やそのストックオプションを持たせることは、時価総額
が企業の本来の株式価値を下回る場合には、経営者に株主を指向した経営を行わせる
ための有効な手だての一つとして機能しますが、時価総額が本来の株式価値を上回っ
たり、経営者が意図的に株価に影響を与えたりすることが出来る場合に、適正な経営
から逸脱させる原因として働くといえます。株価に連動した報酬を拡大すると、この
種の弊害が大きくなることは覚えておいていいでしょう。

 また、もちろん、経営者が自社株やオプションを持っていなくても、株価が下落し
た場合に、経営者への評価は低下するでしょうし、経営者が更迭される可能性が高ま
りますから、この場合でも、経営者には株価を操作する誘惑があるといえます。

 しかも、困ったことに、大風呂敷経営や、決算操作などで、短期的に株価が上がる
と、その時点では、既存の株主に歓迎され、経営者の評価は高まります。しかし、こ
の時には、新しい株主と新しい株主になるかも知れない投資家一般に対して多大な迷
惑を掛けているということになります。

 こうした事態を緩和するためには、経営者の逸脱行為をチェックする仕組みの強化
が必要でしょう。たとえば、取締役、会計監査法人のあり方には、ライブドア社に限
らず、多くの企業が問題点を抱えているように思えます。

 取締役会には、社長の暴走や逸脱行為をチェックする機能が期待されますが、実質
的には社長が取締役の任免権を持っていることが多く、取締役が、社長を罷免したり
牽制したりすることができるケースは例外的でしょう。実質的に雇われる側が、雇う
側を有効にチェックすることは困難です。

 ライブドアは、フジテレビと提携して取締役が送り込まれるまで社外取締役が居な
い会社でしたが、結果的には、何と東京地検に取り締まられるまで、チェック機能が
十分に働きませんでした。上場企業の場合、理想的には、独立した判断が出来る社外
取締役が過半数を占めることが望ましいと思います。

 もっとも、委員会等設置会社に移行したソニーの先般の経営者交代が、実質的には
出井前CEOによる後任者の選出であったように(出井氏のメディアへのコメントか
ら判断する限り)、形式を整えたとしても、それが実質的に機能するまでには、時間
が掛かるものだと考える必要がありそうです。

 今回の件でも、会計監査法人が、期待されるような機能を果たさなかったことも問
題でした。ここでも、監査法人が、会社によって選ばれ、報酬を受け取る存在である
ことが、会計監査を形骸化させているように思えます。

 たとえば、上場企業の監査法人は、毎年交代を義務づけ、その選任は会社経営者と
無関係な第三者が(たとえば、もっとしっかりしていれば東証が)行う、といった仕
組みの改善が必要かも知れません。

 取締役、会計監査法人何れの場合も、「雇われている側は雇う側をチェックできな
い」という問題があり、これは、最近の事例では、耐震偽装マンション問題にあっ
て、確認検査機関が構造設計を十分にチェックできなかった事情に似ているように思
えます。

 何れにしても、ライブドア事件の最大の教訓は、上場企業に於ける株価形成の脆弱
性を前提とした制度設計の必要性ではないでしょうか。上場企業は、現在の株主だけ
ではなく、将来株主になるかも知れない投資家一般に対してもフェアでなければなり
ません。

 マーケットへの影響、というご質問に対して、問題点の指摘と改善の要望を述べた
形になってしまいましたが、こうした点が検討され改善されるなら、ライブドア事件
は全くの無駄ではなかったと言えるかも知れません(但し、投資家が数千億円不当に
損をしたのですから、決して「いいことだった」とは言えませんし、誤った情報によ
る投資行動を「自己責任」と一言で片付けるわけにも行きません)。

              経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員:山崎元

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 ■金井伸郎  :外資系運用会社 企画・営業部門勤務

 株式発行によって市場から調達する資金は、株式発行企業が投資家から出資を受け
たものであり、企業経営を通じて運用することを委託されたものです。企業に対する
市場の評価、すなわち株価が高いほど、有利な条件で資金調達が可能となります。有
利な条件とは、株式の発行による企業の支配権の希薄に対する見返りとして、より高
い株価で1株当たりの資金を得られる=高いプレミアム付で株式を売り出せる、とい
うことです。

 当然ながら、このような株式発行による調達資金は、株を購入した株主から付託を
受けた資金であり、いくら株式が高く売り出せたとしても、それを利益として経営者
や既存の株主が勝手に処分できるものではありません。これは保有する自社株の売り
出しについても同様です。ライブドアによる一連の株式交換を装った企業買収案件に
ついては、自社株の売り出しによって得られる売却収入をこうした資本勘定から、会
計上の利益に付け替える操作と言えます。

 現時点でこれらの取引について法制度上の問題として指摘されているのは、情報開
示の面での不正、ということです。株式交換による買収として開示しながら、実質的
には、自社が出資し支配する投資組合を通じた現金による買収であった、という点が
虚偽開示として指摘されています。この操作の結果、株式交換を通じて発行した自社
株を投資組合を通じて高値で売却することにより、会計上の利益として計上したとさ
れています。このような売却収入の計上は、総額で80億円程度に上ると報道されて
います。

 およそ公開企業にとって虚偽開示も不正経理も許されるものではありませんが、今
回の一連の操作は、まさに株主の出資金から80億円を勝手に抜き取るようなもので
あり、そうした意図の下で行われたとすれば極めて悪質であると言えます。

 ライブドアについては、株高を演出しながら積極的な企業買収によって拡大してき
た企業というイメージがありました。しかし捜査が進むにつれて、いくつかの企業買
収案件の中には、上記の株式交換による株式発行の口実のためだけに行ったような実
体価値の乏しい案件も指摘されています。どこかで同社の経営の方向性そのものが歪
んでしまったのではないでしょうか。

 同社が株高を演出してきた手口は単純なもので、100分割といった極端な倍率で
の株式分割によるものです。本来、株式が100分割されれば、株価は100分の1
相当になるのが合理的です。しかし、このような極端な倍率での株式分割によると、
新株が発行されるまでの間、市場では信用取引での売り玉が極端に不足することにな
り、需給バランスの偏りと思惑が株価上昇を促す要因になったとされています。結果
的には、株式分割による実質的な株価の上昇など、経済非合理的な株価形成を許した
ことが、不正を生む温床になったと言えます。

 市場経済では、経済非合理的な価格形成を許すこと自体が悪であり、極端な倍率で
の株式分割など合理的な価格形成を阻害する可能性のある行為には規制も必要でしょ
う。法制度による規制強化や監督官庁の拡充を求める議論もありますが、即応性の面
では市場関係者による自主規制が求められます。

 今回、市場が経験したライブドア社株価の乱高下については、かつてのITバブル
の際のソフトバンク株や光通信株の相場と同様、マーケットの事象としては今後も繰
り返されることでしょう。ただし、背景にある不正行為などの事象は繰り返してほし
くないものです。

                外資系運用会社 企画・営業部門勤務:金井伸郎

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 ■ 菊地正俊 :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト

 株価の動きを見る限り、ライブドア・ショックは軽微なものに終わったことがわか
ります。事件発覚以来、ライブドアが時価総額1位だった東証マザーズ指数は高値か
ら30%以上も下落し、日経平均も高値から一時約7%下落しましたが、ソニーなど
の好決算発表を受けて、27日には早くも年初来高値をうかがう動きとなりました。
マザーズ同様に個人投資家の売買比率が高い日経ジャスダック平均も一時10%下落
した後に急反発しています。

 今回の容疑になった投資ファンドを使った不透明な買収や不規則な会計が、他のネ
ット企業に絶対ないとは言い切れませんが、バブル時の大手証券の損失補填や総会屋
への利益供与事件のように、業界全体で広範囲に行われていた訳ではないでしょう。
当時はある証券会社のスキャンダルが発覚すると、他の証券会社は同様の不正行為を
否定したものの、結局は業界全体に広がっていた問題でした。ライブドアと同じく、
インターネットを使った金融事業がメインのSBIホールディングスの北尾社長(野
村證券出身)は以前からライブドアのM&A戦略に否定的でした。違法でなくとも、
法律ぎりぎりの事業をする企業ほど経営者のモラルと厳格な内部管理体制が求められ
ます。インターネット業界は企業によって経営の質が多様で、玉石混交の面が強いと
いえます。

 今週、日経産業メルマガが約4.000人の個人と対象に行った緊急調査によると、

インターネット銘柄への投資意欲は低下しましたが、株式取引を今後も拡大するとい
う個人投資家が縮小する投資家を上回りました。1月第3週の個人投資家の日本株買
い越し額は5.296億円と、18年ぶりの高水準になりました。ライブドア事件に
もかかわらず、個人投資家の株式投資意欲が強いことを裏づけました。株式投信への
資金流入も続いており、個人投資家間で株式投資は儲かるものだという見方が定着し
てきた証しといえましょう。15年ぶりの高水準になった信用買い残が逆回転するリ
スクは残りますが、売買代金が史上最高水準にあることや、売り残も増えていること
を鑑みると、80年代後半ほどの懸念は不要でしょう。

 外国人投資家も今回の事件を冷静に見ていました。エンロンに代表されるように海
外にも同様な事件がありましたし、取引所のシステム障害も起ったことがあるためで
す。中長期的に日本経済が良くなるという期待も依然として強いものがあります。来
週にピークを迎える10−12月の決算発表でも、企業業績の好調さが確認されるで
しょう。ただ、外国人投資家は日本株の国際比較でのバリュエーションの高さを懸念
し始めているため、昨年のような大幅買い越しは期待できないでしょう。日本は低金
利なのでPERが高くてもいいという議論は、外国人投資家には通用しません(日本
の低金利は多くの外国人投資家にとって、資金調達コストでないためです)。この点
でも日本の個人投資家に一層期待したい所です。株式市場はライブドア事件以前から、

移動平均線からの乖離率などテクニカル面で過熱していたので、今回の事件は株式市
場に良い押し目を提供したといえましょう。

               メリルリンチ日本証券 ストラテジスト:菊地正俊

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 ■ 津田栄  :経済評論家

 ライブドア事件は、堀江前社長の電撃的な逮捕にまで進展しました。何も法律違反
をしているとは思っていないと堀江前社長は言っていますが、マスメディアからは、
虚偽情報開示、不正経理、株価操作などこれでもかというくらいの法律違反の情報が
連日流れてきます。今後の展開で本当に法律違反をしていれば、堀江氏個人だけでな
く、ライブドアおよびライブドアマーケッティングの株式も市場からの退場という結
果になる可能性がでてくるでしょう。

 さて、この事件の影響はもう少し尾を引くかと見ていましたが、16日に家宅捜
査、23日堀江氏他3名逮捕、そしてライブドア社の経営陣刷新と時間の経過ととも
に一連の動きのなかで、マーケットは落ち着き、27日の終値で、日経平均16,4
60円、TOPIX1,690ポイントと、ライブドア事件による一連のショックを
消化し、ソニーなどに見られる好調な企業業績やアメリカ株式の反発を受けて、発生
前の水準近くまで戻してきています。見方によりますが、マーケットは、この事件を
ライブドア1社の問題とし、全体と切り離して捉えているのかもしれません。

 つまり、よく言われるのですが、事件や事故による影響は、マーケットにとって一
過性だということを今回も証明してみせたということです。ただ、時価総額を高める
ことで成長していこうとする経営、投資事業組合を利用してM&Aを繰り返し、伸び
ていこうとする経営など、ライブドアが行なってきたような手法をしている会社が今
後摘発される可能性がありえます。今のところそこまでいっていませんが、同じよう
な事件が次々出てくるなら、ライブドア1社の問題ではなく業界全体の問題として見
られ、その時は市場そのものが疑われ、壊れるかもしれません。

 一方、この事件は、これまで隠れていて気づかなかったマーケットが持つ大きな問
題をも露呈させ、今後どう対処するかで、大きな影響を及ぼす可能性があります。一
つは、東証の問題です。もう一つは、今回の株式市場混乱の要因となった、ネット証
券の突然の信用取引の担保掛目変更の問題です。最後に、監査法人、取締役会など、
経営に対する管理・監督の問題です。

 まず東証の問題ですが、今回、東証の約定処理能力が400万件しかないというお
粗末な状況が図らずも露見したことです。市場参加者は、これまで問題なく株式取引
してきたため、気づかなかったのですが、ライブドア株などの売り殺到で、市場がパ
ンクすることが現実に起こるという恐怖を初めて経験したのではないかと思います。
これは、市場が開いている時間内では、自由に売買し、投資したり、換金したりでき
るという前提が崩れ、リスクを個人が負うことになってしまい、今後のことを考える
と市場に対する信用を著しく傷つけてしまったのではないかと思われます。

 今回、ネット取引が拡大し、個人投資家を増やす政策が採られてきたことを考える
と、東証が設備投資を抑えて、処理能力を高めてこなかったことは、一言で怠慢であ
ったといえましょう。NY証券取引所のように、常に先行して設備投資を行なって処
理能力を高め、投資家の満足の充実を図ってきた姿勢とは、かけ離れたものといえま
す。この点で、外国人投資家は、東証における投資の怖さをあらためて知り、東証に
対する信用が崩れたのではないかと危惧します。東証が依然として後場の短縮やライ
ブドア株の取引時間の制限を続けているところをみると、今後の外国人投資家の投資
行動は、注目せざるを得ません。

 また、ライブドアの株式分割、M&Aなど一連の動きのなかで、株価操作や不正経
理などの事実があったにもかかわらずそれをチェックする能力が東証に欠けていて、
見抜けなかったという問題も、今回浮かび上がってきました。このことは、会社が投
資家に間違った情報を提供することを見過ごし、投資家に思わぬ損失を与えることに
もなり、株式市場に対する信用を失うことにもつながりかねません。今回のことで、
東証は投資家に顔を向けたサービスをもう一度点検し、処理能力増強と審査機能の徹
底した向上など、すばやい対応が迫られています。

 次に、今回、あるネット証券がライブドア株の担保価値をゼロにすると一方的に宣
告したことが、さらなる混乱の引き金になっていることです。もちろん、ネット証券
にしてみれば、値がつかず下がり続けるライブドア株を担保に信用取引をしている投
資家が担保金額不足で入金しなければ、自ら損失をかぶることになり、それを避けた
いと思うのは理解できますが、前日まで担保掛目が70%としていたものを、ゼロに
するのは、極端であり、証券会社、ひいては株式市場全体に対する信用をなくすきっ
かけになるといえましょう。今回はこの一社でしたが、今後こうしたことを証券会社
が勝手にできるのであれば、安心して取引できないことになり、市場は低迷します。
やはり、市場としてのルールや規則を決めることが望まれます。

 最後の問題は、今回のライブドアの不正経理や投資事業組合を利用しての不透明な
M&Aなどに対して、監査法人がチェックできていなかったことです。また、取締役
会でも、トップの暴走をチェックする機能がないことも問題です。こうした監査法人
や取締役は、トップによる選任によるために、投資家や顧客、従業員などステークホ
ルダーに顔を向けるよりも、トップに従い、逆らえないというのが実情です。こうし
た点を改めない限り、また同じ問題が起きるといえ、その意味で、会社に対する信
用、株式に対する信用が構築できません。

 その点で、トップを厳しくチェックし、彼に従わなくても地位などを保全した上
で、公正に業務が執行できるような仕組みを作るべきでしょうし、そのために第三者
の関与や強制的な交代を求めることも必要かもしれません。そうしたことがあって、
はじめて信用が回復し、市場が活発になると思われます。この点で、エンロンやワー
ルドコムの不正経理で失われた信用の回復に腐心してきたアメリカの例にあるように、

早急な対処が必要なのではないかと思います。

 結局、人間の行動として、欲が膨らむと、法の穴をついて常に不正という手段が使
われ、それまで築いてきた信用を失うことが古今東西見られます。それをいかに素早
く対処して、信用を回復させるかです。それを怠れば、最終的に市場から資金は逃げ、

衰退していくことになります。今回のライブドア事件は、一過性の限定的な影響にと
どまっていますが、その裏にある根本的な問題を解決しなければ、日本の市場は、信
用を失い、低迷することになるのではないでしょうか。そのためにも、単純で明快な
ルールや規則を作り、透明性を高めることが必要であるといえましょう。

 最後に、堀江前社長は、不正をし、市場参加者、投資家に迷惑をかけたことは、許
されることでは絶対ありません。しかし、どこまで本気で理解していたのか分かりま
せんが、彼がプロ野球参入問題やフジテレビ買収問題などで投げかけた、古い構造を
変えるということについては、依然若い人を中心に共感を得ていて、彼に対する非難
は複雑なものになっています。そこには既得権益にしがみつく既存の業界があり、そ
れが閉塞感を生み出していると見ているのかもしれません。そうした点で、閉塞感を
打破する期待の人として受け入れてきた国民も多かったといえましょう。そして、そ
の期待が株式への投資にも貢献してきたのではないでしょうか。

 その意味で、家宅捜査前までは堀江前社長を評価し、持ち上げておきながら、捜査
後はしきりに彼を批判、非難し、人格攻撃まで行なっているマスメディアに違和感を
感じ、意識におけるギャップを感じている人もいるのではないでしょうか。もちろん、

政治家においても同じことが言えましょう。そして、国民はそこに責任のなさを感じ
ているのではないでしょうか。
 
                             経済評論家:津田栄

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■ 杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務

 1/27の終値で、日経平均は16460ですから、ライブドアショックから半月
もしないうちに、株価はもとの水準に戻ってしまいました。ホリエモンの逮捕も、圧
倒的な個人の株式市場参入熱を冷ますには至らなかったようです。

 ライブドア株は、事件前はほぼ700円であったのですが、株価はストップ安で商
いがないまま値を下げ、1/25にやっと155円で値をつけました。時価総額でい
うと、その間に5500億円以上もの富が失われたことになります。法人の株主の主
だったところはフジテレビのみですので、この損失をこうむった人の多くは個人投資
家だったと思われます。今回は、彼らもさすがにお灸をすえられて、デイトレード式
の投資行動が冷却化しするのではないかと思われました。

 しかし、ライブドア株は東証によって、一日一時間の取引に制限されてしまったの
にもかかわらず、連日億単位の取引高を維持しています。毎日あらゆるメディアが株
式関連のニュースを流し続けることが、かえって株式熱を高めたのかも知れません。
テレビの街頭インタビューで、多くの普通の人がライブドアの株式について「これだ
け下がったら割安だから買いたい」という、インベストメント・バンカー流の意見を
表明していたのはとても印象的でした。

 今回の事件ではっきりしたのは、経営者が意図的に情報を操作しているかかどうか、

また悪意のあるなしにかかわらず、開示情報はあまり信用できないことでしょう。こ
れまでも、個人投資家が有価証券報告書をまじめに読んで投資していたとは限りませ
んが、企業のイメージを作り上げる基となるのは開示情報です。その開示は巧妙に歪
められている可能性があり、またメディアも勝手なイメージを作り上げてしまうと、
証券アナリストなどの専門家もそれをチェックできないことが明らかになりました。

 情報の不確実な事を分かった上で、バブル株式市場に参加するにはそれなりの覚悟
があるはずです。とくに、期待が先行し、遠い将来の売り上げの不確実性が非常に大
きい会社、たとえばITやバイオの成長企業の株は、完全にマネーゲームの対象です。

マネーゲームの格好の例は、ライブドア株の監理ポストでの一日一時間の取引です。
地検の動きや企業買収の情報をもとに博打をしているのとよく似ています。連日、ス
リル満天の勝負で参加者は楽しくて仕方がないでしょう。

 マネーゲームというからには、投資というよりは、半分ギャンブルです。今回の事
件でこのようなゲームが確立したのであれば、必然的にマーケット変動は大きなもの
になっていくのではないかと思われます。

                       生命保険関連会社勤務:杉岡秋美

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■ 芳賀沼千里 :野村證券投資調査部ストラテジスト

 東京市場は週末に昨年来の高値を回復して、ライブドア事件は市場に殆ど影響を与
えなかったように見えます。しかし、影響は少なかったと言い切ることは、やや早計
だと感じます。

 今回のライブドア事件の影響は、東京証券取引所のシステム障害、マネックス証券
の信用取引担保掛目の引下げという一連の流れの中で捉えるべきだと思います。ライ
ブドアが株価を吊り上げるため、虚偽の情報を提供したことは許すべきではありませ
んが、その目的は「急速な利益成長」にあると言えます。東京証券取引所の出来高急
増は、短期売買を行う投資家の拡大が原因です。信用取引担保掛目の引下げは、デイ
・トレーダー的な投資家に少なからぬ影響を与えました。キーワードは「短期的な利
益追求」だと思います。

「短期的な利益の追求が悪で、長期的な運用が善だ」と主張するつもりはありません。

10年近く前、年金運用は長期投資であると盲目的に信じられていた頃、英国で年金
を運用する機関投資家が「短期の積み重ねが長期だ」といったことを思い出します。
短期的な利益を追及する投資家は、市場の流動性を確保するという視点からも重要で
す。但し、短期売買を行う投資家の存在が突出して大きくなったため、その弊害が現
れていたと感じます。

 投資家というより、投資の基準や価値観が短期化していたのかもしれません。例え
ば、新規公開企業への高い注目度や売買の集中、また、業績見通しを上方修正する企
業の株価の大幅な上昇です。短期間で売買益を狙える企業が好まれていたと言えます。

日本だけでなく、世界的にも同じような動きが起きていました。ヘッジファンドに対
する関心の高まりが象徴的でしょうか。

 しかし、昨年後半から徐々に変化が出ています。それまでは、大型の設備投資を発
表する企業は、短期的な業績悪化を嫌って株価が下がる傾向がありましたが、最近は、

積極的な設備投資が株価の上昇につながるケースが見られます。投資する企業を選ぶ
場合に、中期的な利益成長が重視されだしたと感じます。優等生的なつまらない表現
ですが、ライブドア事件がきっかけとなり、「企業・経営の質」が重視されると言う
ことでしょうか。マーケット全体への影響というご質問の趣旨と少し異なりますが、
物色動向が変化する局面で、その象徴として今回の事件が起きたと思います。

 市場全体への影響を考えると、2000年のITバブル崩壊時との類推は正しくな
いでしょう。当時、世界的に株価が割高な水準にありました。予想PERで見ると、
米国株が20倍台後半であり、日本株は40倍台でした。ITの発展により社会や事
業のあり方が大幅に変わるという見通しに基づいて、過剰な投資を行う企業も少なく
ありませんでした。株式市場でバブルは起こるのは、投資家だけでなく、企業が判断
を間違うからです。

 現在は、主要国の株価水準は概ね妥当な水準にあると思います。日本株は以前ほど
割安であるとは言えませんが、今期基準の予想PERは20倍をやや上回る程度です。

日本企業は収益回復にもかかわらず、内部資金の範囲内で投資を行っており、慎重な
姿勢を維持していると言えます。設備投資と個人消費が日本経済を牽引しており、今
回の景気回復には持続力があると期待できます。そもそも個別企業の事件が市場全体
の基調を変えると考える方が不自然です。

 しかし、何かの理由で株式市場が調整するならば、ライブドア事件が一因となり、
調整が長引くことはありえるでしょう。例えば、米国の政策金利が上昇して長短金利
が逆転すると、世界的に金融市場が混乱するリスクが高まります。景気や業績に弱い
指標が出れば、米国株式市場が下落して、先行きの不透明感が広がるので、外国人の
日本株買いが減少するでしょう。この状況では、個人が信用取引を利用する場合、以
前ほど投資金額を増やさないかもしれません。外国人が日本株を買う場合、東京証券
取引所の問題を気にかけるかもしれません。日本株に対する信頼感の改善に時間がか
かる可能性も出てきます。

 株価が戻れば、問題はなしと見る傾向がありますが、今回の株価の乱高下は無視で
きません。平均的な個人が株式投資を始めようと考える場合、極端に株価が振れるこ
とは好ましくありませんし、企業の資金調達にも悪影響を与えます。少なくとも多く
の投資家は、ライブドア事件と株式市場の反応に何かしらの不自然さを感じていると
思います。不自然さの一因は、短期売買を行う投資家の存在が突出して大きいことだ
と思います。今回の事件をきっかけとして、日本の証券市場の制度や課題が改善され、

株式市場が多様な価値観を持った投資家に利用しやすくなることを期待します。

                野村證券投資調査部ストラテジスト:芳賀沼千里

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 ■ 岡本慎一  :生命保険会社勤務

 ライブドア・ショックの経済への影響は限定的だと考えます。それは今回の事件が
株式「市場」で生じたことだからです。「市場」にはこうした事件を自浄する力があ
ると思うのです。言うまでもなく、市場には価格により需給バランスを調整する力が
あります。ライブドア・ショックで健全な企業の株価まで下がれば、必ず買い手が現
れるはずです。負のショックを自浄する力こそが市場の強みなのです。

 ライブドア事件を「市場の暴走」と捉える向きも増えています。しかし私は、滅多
なことでは市場は暴走しないと考えます。むしろ、市場の機能が働かない時に暴走が
生じます。例えば、道路やダムなどの無駄な公共施設が膨大にふくれあがってしまう
のは、「非」市場が暴走してしまったからです。

 また、銀行は100兆円にも達する不良債権をつくりましたが、もし、企業への資
金が直接金融市場を介して行われていれば、不健全な企業への「追い貸し」は行われ
ていなかったはずです。デイトレーダーやヘッジファンドが暴走していると指摘され
ますが、彼らには価格というブレーキが存在します。ブレーキがない列車に乗ってい
る、バブルの頃の銀行や公共部門の暴走の方が市場の暴走よりもはるかにリスクが高
いのではないでしょうか。

 堀江氏は、「投資家にとって邪道かどうかは関係ない。ずるいと言われても合法だ
ったら許される。倫理観は時代で変わるから、ルール以外にない」(産経新聞200
5年3月1日)と言っています。こうした発言を受けて、ルール=規制を強化しよう
とする動きもあります。現在のルールには不備も多いので、ルールを見直すことは必
要です。しかし、ルールを厳しくしても、そのルールの隙をつく第二のライブドアは
出てくるでしょう。また、規制強化は市場の強みを喪失させ、別の暴走を生む事にな
るでしょう。

 マックス・ヴェーバーは、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」とい
う著書の中で、堀江氏が拠り所とはならないと述べた「倫理観」こそが、資本主義を
発展させると述べています。

 ヴェーバーの視点は新鮮で、商人たちの暴利を厳しく取り締まっている地域や、禁
欲的な精神風土を持つプロテスタントの信徒が多い地域で、近代の資本主義が生まれ
たことに着目しています。つまり、営利によって贅沢をするということを目的とする
のではなく、営利を職業における有能さの結果に過ぎないと考える企業家が多い地域
で近代資本主義が発展したというのです。

 ヴェーバーの指摘は今も生きていると思います。「倫理観は時代で変わるから、ル
ール以外にない」のではなく、企業家や投資家の健全な倫理観こそが資本主義の大前
提であり、倫理観を持つ企業ほど、長期的には発展すると。規制強化に進み市場の力
を弱める前に、市場を使う側の倫理感について考え直す時なのではないでしょうか。

                         生命保険会社勤務:岡本慎一  

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 ■ 北野一   :JPモルガン証券日本株ストラテジスト

「国家の罠」(佐藤優、新潮社)に次のような件があります。「国策捜査は、逮捕が
一番大きなニュースで、初公判はそこそこの大きさで扱われるが、判決は小さい扱い
で、少し経てばみんな国策捜査で摘発された人々のことを忘れてしまうというのが、
いい形なんだ」。今回のライブドア事件がいわゆる「国策捜査」なのかどうかはわか
りません。ただ、堀江社長逮捕をピークに、事件に関する報道は今後減少し、我々は
ライブドアのことも堀江社長のこともあっという間に忘れてしまうことになるので
しょう。

 ちなみに、前掲書によると「国策捜査」とは、「時代のけじめをつけるために必要」

であり、「時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出し、それを断罪する」
ものだと言います。仮に、今回のライブドア事件が「国策捜査」だとして、「けじめ」

がつけられようとしている「時代」とは、どういう時代なのでしょうか。2005年
10月8日付けの日経新聞「気鋭の国家論、冷戦後を問う」によると、この「時代」
の分かれ目にあって、「『国家』とはそもそも何なのか」を根本からとらえなおそう
という動きが哲学者や倫理学者の間で始まっていると言います。

 代表的な「国家」の定義といえば、「秩序と支配を維持するために、暴力を組織化
し独占している存在」ということになるでしょう。この「国家」という言葉を含む書
籍を、「売れている順」に検索すると、一番先に出てくるのは「国家の品格」(藤原
正彦、新潮社)で、二番目が前述の「国家の罠」です。「国家の品格」はすでに50
万部近く売れている大ベストセラーです。

 昨年11月20日に出版された「国家の品格」の中に次のような記述があります。
「経済改革の柱となった市場原理をはじめ、留まるところをしらないアメリカ化は、
経済を遙かに超えて、社会、文化、国民性にまで深い影響を与えてしまったのです。
金銭至上主義に取り憑かれた日本人は、マネーゲームとしての、財力にまかせた法律
違反すれすれのメディア買収を、卑怯とも下品とも思わなくなってしまったのです」。

これがライブドアのこと指しているのは言うまでもありません。今回の逮捕は、この
本が大ベストセラーになるなかで行われました。

 この「国家の品格」を参考にすると、「けじめ」をつけられようとしている時代の
キーワードは、「改革」、「アメリカ化」、「金銭至上主義」、「マネーゲーム」で
あり、転換する先の時代のキーワードを同書から拾いあげると、「保守」、「郷土
愛」、「もののあわれ」、「武士道精神」といったことになりそうです。

 こうした思想の延長線上で、藤原氏は、「会社は誰のものか」という問いに対して
も、「株主は多くの関係者の一つくらいの存在しかない。株主によっては一週間とか
一ヶ月とかいう短期間で株を売り買いします。ほとんどの株主は値上がりによるキャ
ピタルゲインを狙っているのであり、その会社には何の愛情も持たない人々です。一
方、多くの日本企業の従業員はそこで長く働きますから、いつも会社のことを考えて
一生懸命やっています。『会社は株主のもの』は恐ろしい論理なのです」と、読者の
「情緒」に訴えております。

 ところで、「国家の品格」は、実は「国策捜査」にも言及しております。偶々、
「国家の罠」を読んで「国策捜査」の存在を知った藤原氏が、「検事が『マスコミの
反応をみながらの国策捜査』をあからさまに認めているのでびっくりしましたが、…
民主国家では、現実として世論こそが正義であり、必然的にマスコミが第一権力とな
るのです」と警鐘を鳴らしているのです。これは、ある意味で皮肉ですね。「マスコ
ミの反応」、「世論の正義」を後ろ盾にした「国策捜査」を批判する「国家の品格」
が、その世論喚起に一役買っていた可能性もあるからです。

 1月27日付けの日経新聞は、現在の株高を「改革買い」と呼んでおりました、一
方で、「時代のけじめ」をつけるため、一時は改革の旗手として持ち上がられた経営
者が、「品格」がないとして「罠」に落ちていく「国家」もまた日本なのでしょう。
なお、こうした事件で、本当に「時代にけじめ」がつくのかどうかは、私にはわかり
ません。むしろ、「相場」のアナロジーからすると、時代(トレンド)が変わろうと
していることを察知した「国家」(あるいは検察)が、その方向にむけて、ポジショ
ンを取ったというのが、今回の事件ともいえるでしょう。

                 JPモルガン証券日本株ストラテジスト:北野一

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 ■ 三ツ谷誠  :金融機関勤務

「ライブドアとオウム」

 想像された以上に、堀江氏の逮捕が早かったということもあって、いわゆる「ライ
ブドアショック」は日経平均的には一過性のものにとどまったというのが、先週の動
きだったと思います。勿論、それは既存大企業を中心とする東証1部市場の動きであ
り、一部の煽動家めいた「評論家」諸氏以外の識者は、ここの処続いた外国人投資家
を中心の買い手とする「日本経済復活」を評価する相場の流れと「ライブドアショッ
ク」で影響を受ける一部の個人投資家層が演出する相場の流れの相違を早くから指摘
していた訳ですので、回復までの時間の早さを別にすれば、このような展開は市場参
加者の殆どが読みきっていたものだと思います。

 また、残念ながら、マザーズなど新興市場に関しては、投資家の警戒感が強まるこ
とで、個別銘柄の選別が強まると同時にその回復も時間をかけた緩やかなものになる
ことも想定されるでしょう。

 ただ、ライブドア株を信用取引の担保として派手に短期売買を繰り返していたよう
ないわゆるデイトレーダーは、追い証の発生に伴って利益の出ている他の銘柄を売っ
て担保に入れる動きに一時的に出たでしょうが、彼等もまた起死回生を賭けて「株の
損は株で取り返す」動きに出るでしょうから、今回のショックで息の根を止められた
投資家以外は、積極的な買い手として再び株価全体を上昇させる一方の主体として動
き始めることでしょう。日経の記事でも、「ライブドアショック」からの回復を手口
的に個人投資家が支えたというような記事が散見されています。

 その動きの中では、意外に「玉の少ない」新興市場の銘柄に資金が集中し、新興市
場の株価回復も予想以上に早いものになるのかも知れません。

 冷静な予想と確信の違いは大きいもので、多くの人々が結局自分の判断に自信を持
つのは、やはり実際に人々が自分の予想と同じように局面を認識していると知ること
なので、今後は株価が以前の落ち付きを取り戻したことこそが呼び水になって、市場
は当面、金利動向を意識しながらも緩やかに上昇していく可能性が高いと思います。

 ところで、今回、ライブドアの実態というものが様々なメディアから明らかになっ
ていく中で私が感じたのは、ライブドアとオウムとの類似性でした。

 キーワードで括れば「幼児性」という言葉になるような気がしますが、経済と宗教
の違いはあるとは言え、「世の中は金が全て」だとか「ハルマゲドンは近い、いまこ
そ愛の戦士が世界を救わなければならない」だとか言ういかにもアニメ的な世界観を
共有し、(不思議なことに)共に九州出身のカリスマ性を帯びた指導者を掲げ、学歴
社会の中で鬱屈を抱えた、しかし優秀で(たぶん)本質的に真面目な若者が幹部とし
て彼を支え、それぞれの組織がやがて組織自身の意思でもあるかのように巨大化し、
暴走し、最終的な局面ではカリスマ的な指導者が国政選挙に出て政治すらその運動に
呑み込もうとした、そしてまた噂される「黒い社会」との関係……

 社会学的なテーマなのかも知れませんが、ライブドアとオウムを深く抉ることで、
なにもかもが遊びとしてしか認識されないという深い悩みの中にある高度資本主義社
会について、一定の知見が得られるかもしれないという気がします。

                           金融機関勤務:三ツ谷誠

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 ■ 渡辺タカコ :株式キャスター

 今回の一連の事件は、投資家、株式市場関係者、メディア、政治界、経済界に様々
な教訓を残しました。多くの人々は少し経てば今回のショックを忘れてしまうかもし
れません。上がり続ける相場も下げ続ける相場も無く、過熱やオーバーシュートを繰
り返すのも市場と言えるのかもしれません。マスコミの大々的な報道で、ライブドア
問題に眼を奪われている間、他の重要な要因を見落としていないか、国内外の情勢、
企業業績と株価など、冷静に考えてみることが必要だと思います。

 今回に限らず、昨年来、取引量の急増に対応しきれずトラブルが相次いだ証券会社
や取引所は、システムの見直し、増強を急ピッチで進めているでしょうし、進めてい
かなければならないでしょう。投資家もシステム面でも信頼できる証券会社や取引所
を選ぶことになるのでしょう。

 また、適正で、フェアでスピーディな情報開示、企業の社会的責任を果たすべく取
り組んでいる企業、社会に役立つ技術、商品、サービスを提供しようと日々努力し進
化している企業は沢山あります。そして、今回の事件をきっかけに肝に銘じる企業が
一層増えることを期待します。投資家は、冷静にそういったまともな企業努力を続け
ている企業の経営の動向と株価を見ていけばよいのだと思います。

 今回の事件で報じられている疑惑が事実だった場合、これだけ注目を集めてきた企
業にもかかわらず、結局のところ、私自身を含めほとんどのマスコミもアナリストな
どの専門家も粉飾決算など重大な事実を見抜けなかったということになります。「投
機」ではなく「投資」をしようとする個人投資家は、マスコミや専門家が何と言おう
と、自分自身で調べ、疑問を持ち、それを確認し、投資対象を見極める必要がありま
す。そして、事業内容を含め理解不能なことが多い企業、IRの姿勢や内容に疑問を
抱く企業には、投資をしないことが大切ではないかと思います。また自分自身で調べ、

情報を収集し分析してみると、多くのメディアで報じられていることと、現実、事実
とのギャップに気づくことも多いでしょう。マスコミや専門家も投資に際しては当て
にならないと思ってかかった方がよさそうです。
(年増キャスターがこんなことばかり書いていると、ますます仕事がなくなりそうな
不安も感じつつ・・・。)

 ところで、今回のライブドア事件に関わらず、投資家、企業、マスコミも、情報開
示のあり方を考え直す必要があるでしょう。その一つが企業の情報開示とマスコミの
関係です。

 東証のホームページにある適時開示情報閲覧サービスには、上場会社が開示した投
資判断上重要な会社情報が掲載されています。
http://www.tse.or.jp/disclosure/index.html
会社情報の開示と同時に閲覧が可能で、決算短信については全文が掲載されています。

こうしたサービスにより、個人投資家もマスコミも、アナリストもファンドマネージ
ャーも情報の格差が無い環境が整ったはずです。

 しかし、残念なことに情報開示、情報管理に問題がある企業もゼロとはいえません。

「早耳情報」の類の怪しげなものに限らず、大手マスコミの報道でも正式発表前に
「○○と●●合併へ」、あるいは「今期××億円の赤字へ」など、一部のマスコミに
よる「特ダネ」と呼ばれる「早耳情報」が流れることがあります。(その内容が間違
っていることも問題ですが、)正式発表とほとんど変わらない内容ということがしば
しばあります。合併や決算情報など、発表が予定されている株価に影響を与える情報
が、正式発表を待たずして何故、内部情報の入手が必要なのでしょうか? 後日予定
されている正式発表を待たずして内部情報を入手して報じる必要があるのでしょうか。

それよりも、発表後の分析や取材、あるいは企業からは発表予定の無い、あるいは隠
蔽される恐れのある問題点の取材にエネルギーを注いだ方がよほど有益な情報ではな
いかと思います。

 そればかりか、こうした企業とマスコミの関わり方は、フェアな情報開示のあり方
を阻害している要因と思えてなりません。マスコミの「特ダネ」が多い企業の情報開
示の姿勢、正式発表前の企業情報の「特ダネ」が多いマスコミの取材のあり方に、投
資家は注意した方が良さそうです。

 情報開示の公平性、即時性、そして信頼性に注力している企業を個人投資家が選べ
る時代になったのですから。

                         株式キャスター:渡辺タカコ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■■編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■

 Q:647への回答ありがとうございました。一連のライブドア事件を箱根でテレ
ビで見ていました。箱根ではニュース以外テレビは見ません。箱根では「原稿を書く
ときだけ世界とつながっている」という感じで、まるで隠者のように生きています。
大手既成メディアのライブドアを巡る「大騒ぎ」に関しては、予測ができたのでこん
なものだろうと思いました。違和感を覚えたのは、堀江前社長の衆議院選挙立候補の
際に実際に現場で応援したという自民党武部幹事長と竹中総務大臣の「弁解」です。
二人は、「反省すべきは反省する」とインタビューで答え、そこだけがくり返し流れ
たので、そのあとの記者とのやりとりは不明ですなのですが、非常に奇妙な感じがし
ました。

「反省すべきは反省する」という弁解には主語がありません。ただ、主語がないから
意味がわからないというわけでもありません。反省している主体はきっと本人なんだ
ろうという暗黙の了解があるので、意味は伝わります。たとえばスペイン語も主語を
省略しますが、動詞の変化で主体がわかるようになっています。しかし日本語の「反
省すべきは反省する」という表現は、主語を省くことによって主体との間に距離が生
まれ、ニュアンスを曖昧にすることが可能です。しかも、まるで抽象的な格言のよう
な響きと効果を持つのでたいていそこで話は完結しがちです。「わたしは反省します」

というダイレクトな表現と比べるとそのことがはっきりします。「わたしは反省しま
す」と言ってしまうと、霧が晴れるように主体と行為が合致し、ダイアローグは完結
せずに続きます。

「具体的にどの言動を反省しているのか」
「反省しているということは、間違ったと認めるのか」
「間違っているかも知れないという危機感はゼロだったのか」
「そんなお粗末な経済感覚で構造改革を担っているのか」
 というようなや応酬が可能になります。他人事のような「反省すべきは反省する」
という表現の利点は、要するに「反省すべきだとおっしゃいましたが、誰が反省する
んですか」とは聞きにくいということです。その場にいる人はみんな理解できるはず
だ、という暗黙の了解があるから成立する表現なので、「誰が反省するんですか」と
いう質問が許されるのは子どもか外国人だけでしょう。ただし英訳される場合にはち
ゃんと主語が入っているはずなので、外国人記者も「反省する主体は誰か」とは聞か
ないと思われます。

 大手既成メディアは、「反省する主体は誰か」と問い直すべきです。政党の幹部や
閣僚とダイレクトに接して言質を取ることができるのはその場にいる記者しかいない
からです。しかしこのエッセイで何度も書いてきた通り、絶対にそういうやりとりは
起こりません。大手既成メディアが結果的に容認し醸成する現状の曖昧さは、市場・
投資・企業モラルの形成の阻害を助長しているのだと思います。リスクや責任という
言葉とその概念が浸透しないのは、主体を曖昧にしたまま発言してもメディアに追求
されることがないというアナウンスメントの効果が絶大なのですが、当の大手既成メ
ディアはそのことにいまだ無自覚なままです。

============================================================================

Q:648
 どこかでわたしのアドレスが洩れているらしくてアメリカから広告メールがよく送
られてきます。いくつかのアメリカ・メディアのメンバーになってメールマガジンを
取っているので、多少の漏れはしょうがないと言えばしょうがないとあきらめている
のですが、中にはアメリカ社会の傾向を示して興味深いものもあります。大半はバイ
アグラなど医薬品、サプリメントの広告で、あとはブランド商品やPCソフトウェア
ですが、最近、mortgage、つまり住宅ローンの借り換えの広告が目立つようになりま
した。広告の文面からは万国共通の怪しい臭いが漂ってきます。アメリカの不動産市
場はバブルだという指摘もありますが、実際はどうなのでしょうか。またバブルだと
したら、収束・崩壊した場合にどういう事態が起こり、日本経済にどういう影響を与
えるのでしょうか。

============================================================================

                                   村上龍

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
JMM [Japan Mail Media]                 No.360 Monday Edition
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                   独自配信:104,755部
                   まぐまぐ: 15,221部
                   melma! : 8,677部
                   発行部数:128,653部(05年8月1日現在)

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【発行】 有限会社 村上龍事務所
【編集】 村上龍
【WEB】   http://ryumurakami.jmm.co.jp/
       ご投稿・ご意見は上記JMMサイトの投稿フォームよりお送り下さい。

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