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著作権保護をアメリカは年次改革要望書で70年に延長しろと繰り返し「要望」している 【星野歩 】
http://www.asyura2.com/0601/hasan45/msg/221.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 2 月 09 日 20:57:59: ogcGl0q1DMbpk
 

著作権保護期間の70年への延長

星野歩

http://www.bund.org/opinion/20060215-1.htm

 日本では現行50年の著作権保護をアメリカは年次改革要望書で70年に延長しろと繰り返し「要望」している。これまでの流れからして早晩小泉政権はアメリカの言いなりに延長するだろう。しかし死後70年も著作権が守られるということは、実は版権ビジネスの利権を守るだけのことではないか。著作権管理会社に勤める筆者が訴える。(編集部)

 最近、知財(知的財産)とか、コンテンツ産業という言葉をよく聞くと思う。知的財産とは特許や、商標、著作権などのことで、コンテンツとはもともとは中身という意味で、漫画や、小説、音楽、アニメ、TV番組、映画、キャラクター、ゲームソフトなど、知的財産の具体的なものや情報を指す。

 日本でもアニメ映画やゲーム、キャラクター等のコンテンツ産業が、2001年の統計でおよそ11兆円と、自動車産業(およそ21兆円)の約半分の巨大ビジネスに成長している。アニメなどは世界中に輸出されて、コンテンツ産業の大きな担い手になっている。アカデミー賞を受賞した「千と千尋の神隠し」や、「ポケットモンスター」(ポケモン)など、世界中のアニメの60%は日本製で、その6割の原作は日本製のコミック(漫画)であるという。

 政府もこうした動きを加速させるため、2001年に知的財産国家戦略フォーラムを立ち上げ、03年には小泉首相を本部長とした知的財産戦略本部を発足させた。以降毎年「知的財産権推進計画」を立案、「知財立国」を目指して様々な「改革」を行ってきている。

 しかし小泉内閣が進める構造改革は、郵政民営化をはじめ、実はアメリカ政府から毎年つきつけられる「年次改革要望書」に従っているだけだったということが、この間暴露されている。最近の「年次改革要望書」の情報技術(IT)の項目の第1番目には、「著作権保護期間の延長」が掲げられている。

 私は著作権管理業務の仕事をしている。現在は作者の死後50年間までとされている著作権の保護期間を、死後70年間に延長すると言う話は、ここ数年ずっと言われていた。ヨーロッパを初めとして諸外国は70年が多いのだとか、「国際的ハーモナイゼーションが大切だ」とか言われ、文化庁にも関係諸団体から延長を求める要望書が出されている。

 「年次改革要望書」に書いてあるということは、この間の小泉政府のやってきたことをみれば、この先それに従い延長するだろうということだ。

 保護期間の延長には反対の動きもある。私自身日々の業務を通じて、これ以上保護期間を延長することには疑問をもっている。

保護期間について

 01年から毎年出されている「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」、いわゆる「年次要望改革書」には、02年度以降、毎年必ず「情報技術(IT)」の「知的財産権の保護の強化の項目」の1番目に「著作権保護期間の延長」があげられている。昨年12月には「日本は現在2007年度までに終了すべく著作権法の広範な見直しを行っている」として、年限まで区切って著作権保護期間の延長を行うよう「要望」されている。

 何年延長しろと言っているのか。「一般的な著作物については著作者の死後70年、また生存期間に関係のない保護期間に関しては著作物発表後95年」という。つまり、今の日本の著作権保護期間を20年長くしろといっているのだ。

 この「死後70年」「発表後95年」はどこからきているのか。アメリカの著作権法からである。  アメリカの著作権法改正の歴史は、著作権保護期間延長の歴史でもあるといわれる(注1)。1790年に14年間だったものが、1831年には42年間に、1909年には56年間等と、保護期間は延長され続けてきた。そして1998年、「著作権保護期間延長法(Sonny Bono法)」によって、一般の著作物については著作者の死後70年、法人著作物については発行から95年となり、現在に至っている。

 この時の延長については「ミッキーマウス保護法」と揶揄され、憲法違反との裁判が起こされた。日本でも報道されたので記憶に残っている方も多いだろう。しかし結局裁判では合憲となった。

 なぜ「ミッキーマウス保護法」といわれたのか。アメリカでは1928年に初めて登場したとされるミッキーマウスの著作権が消滅し、公有(パブリック・ドメイン)に入ろうとする度に、著作権の期間が延長されてきたからだ。

 現在、日本の著作権法では保護期間は著作者の死後50年間が原則とされている。つい最近、映画の著作物については公表後50年から70年に延長された。

 明治32年に制定された旧著作権法では、著作者の死後30年となっていた。キューバは25年ときく。国によって、また時代によって保護期間は異なっていたのである。

 現在160カ国が加盟している国際条約であるベルヌ条約では、最低著作者の死後50年までと定められている。それで死後50年間というのが主流である。

日本に要望する理由

 では何故アメリカは、よその国にまで保護期間の延長を求めるのであろうか。アメリカは国内総生産(GDP)に占めるコンテンツ産業の割合が5%で、世界平均の3%、日本の2%と比べて高い。日本はコンテンツ産業の、産業全体に占める海外での売上高の比率は3%に過ぎないが、アメリカでは17%を占めるという(注2)。

 そもそも法律は、その国の中でしか効力を発しない。よって国境を越えて利用される著作物の保護については、上述のベルヌ条約を初め、WTOのTRIPS協定などさまざまな国際条約によって、お互いにお互いの国の著作物の保護をしましょうという取り決めをしている。

 例えば「ラプソディー・イン・ブルー」などで有名なジョージ・ガーシュインの場合、彼は1937年に死亡しているので、アメリカ本国では死後70年間の2007年末までは著作権が保護される。CDを作成したり、楽譜を出版したりするには、著作権者に許諾(ライセンス)を得て著作権使用料を払わなければならない。

 しかし日本では死後50年間なので、保護期間は1987年末までとなる。既に著作権は消滅していることになるのだ。同じ著作者の作品でも、日本国内では著作権者の許諾を得ることなく自由に利用できることになってしまう。

 自動車産業でさえトヨタに世界一の座を奪われ、輸入超過に苦しむアメリカにとって、ハリウッド映画や音楽コンテンツはまたとない「輸出物」である。ところが、いくらアメリカ国内で保護期間を延長しても、輸出先の国でもアメリカと同じか、それ以上に長い期間の保護をしてくれなければ儲からない。

 アメリカが、自国の著作権保護期間を各国に押付けようとする理由はそこにある。

死後の著作権の意味

 最初にみたとおり、日本でもアニメ映画やゲーム、キャラクター等のコンテンツ産業が2001年の統計でおよそ11兆円と、巨大ビジネスに成長している。それらは今後も成長が望まれる産業分野である。日本にとってもアメリカのように著作権保護期間を延長し、さらにアジア諸国など輸出先の国の保護期間の延長を求めていくのが、国益にかなうのではないかと考える人もいるだろう。

 しかし、まずそもそもの著作権の目的とは何だろうか考えられるべきなのだ。  著作権法には、著作者の権利を保護しつつ、著作物の公正な利用でもって文化の発展に寄与すること(注3)とある。苦労して作品を創り出した著作者に報いつつ、せっかく生み出されたものを利用できるようにすること。それが著作権思想のあり方だ(注4)。

 次なる著作物を製作する糧として著作者に使用料を払うものとしてこれまで続けられてきたのである。しかし今この最初の部分、著作者の権利というところが、とらえ返される必要があるのではと思う。

 著作者の権利を保護するとしつつ、もはや次なる著作物を製作することが出来ない死後にまで、延々と保護期間があることが問題なのである。百歩譲って、不遇な子ども時代を送らざるを得なかった子どもに、親の遺産として著作物使用料がわたるというのはまだ許せるだろう。しかし作者の死後70年ともなれば、もはやこれは「著作者の権利」ではないのではないか。

 実際に著作権管理業務をしていて思うのだが、著作権の保護期間を延長するということは、それによって利益を得ている版権ビジネス企業の権益を保護することでしかないのだ。つづめていえば私の勤めるような会社の利益を守るということである。

 ミッキーマウスの例をまつまでもなく、いつまでも金のなる木としてそれを手放したくないということだけで、不必要に保護期間を延長するのはどう考えてもおかしいと、私には思える。

 現行の著作権法の草稿執筆に深くかかわった元文化庁著作権課長(現愛媛県知事)加戸守行氏は、「著作権そのものの基本的な考え方は、創作活動を行った者に対する尊敬の念に由来すべきものであり、人間尊重こそがエッセンス」と、「著作者尊重の精神を」と訴えている(注5)。この基本問題をとらえ返そうとせず、企業のもうけを守るためだけの期間延長には私は賛成できない。

 ましてやアメリカの圧力に屈して、もしくはそれに便乗して、つき従うだけというのはいかがなものか。仕事柄いつもつきまとう問題である。

(著作権管理会社職員)

注1 『日米著作権ビジネスハンドブック』八代英輝 商事法務 2004年発行

注2 同

注3 著作権法第一条 「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」

注4 日本の著作権法はいわゆる大陸法にのっとっており、著作権=著作者の権利としての意味合いが強い。一方英米法、特にアメリカでは著作権=コピーする権利(コピーライト)と考えられており、著作財産権の意味合いが強い。

注5 『月刊コピライト』2006年1月 No.537 著作権情報センター

著作権管理会社とは

「著作権等管理事業法」に従って文化庁に登録した「著作権等管理事業者」のこと。音楽CDなどの場合、作詞家・作曲家・音楽出版社などの権利者は、著作権の管理委託をする著作権管理会社と契約を結ぶ。管理会社は演奏・放送などで利用される音楽について使用料をとる。支払われた使用料は作詞家・作曲家・音楽出版社などに定期的に分配される。

日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく

日本国政府への米国政府要望書

2005 年12 月7 日 (仮訳)

注:下記の日本語文書は仮翻訳であり正文は英文。

 2001年にブッシュ大統領と小泉総理大臣が立ち上げた「成長のための日米経済パートナーシップ」の下、「規制改革および競争政策イニシアティブ」(規制改革イニシアティブ)は、規制改革や競争政策に関する分野別および分野横断的問題に焦点を当て、経済成長や市場開放を促進している。今年で5年目を迎えたこのイニシアティブは、日米貿易や経済関係のさらなる強化に向け、引き続き重要な役割を担う。

 米国は、小泉総理大臣の日本経済改革に向けた継続的取り組みを歓迎する。これらの取り組みは日本を成長軌道に乗せ、より多くの貿易および投資機会を創出した。米国はまた、規制と構造改革を強力かつ効果的に提唱してきた規制改革・民間開放推進本部と構造改革特別区域推進本部のすばらしい取り組みを評価する。

 本年の要望書に盛り込まれた提言は、主要分野や横断的分野における改革に重点を置き、経済成長を支援し、日本の市場開放をより一層促すことを目的としている。さらに米国は、電気通信、情報技術(IT)、知的財産権、医療、農業、民営化、競争政策など、小泉政権が改革の実施が重要であると位置づけた分野の問題に引き続き特に焦点を当てている。

 米国は、規制改革イニシアティブの下に設置された上級会合および作業部会の今後数ヶ月にわたる議論の基礎となるよう提言の概要と詳論を日本国政府に提出する。これらの会合はこの提言を基に、大統領と総理大臣へ提出する第5回年次報告書を作成し、同報告書には、両国政府が講じる改革措置も含め、同イニシアティブの下で達成された進展が明記される。

 規制改革イニシアティブの最初の4年間では、民間部門の代表が作業部会に定期的に参加し、広範にわたる問題に関して貴重な専門知識を提供し、所見を述べ、提言を行った。米国は今後とも民間部門の同イニシアティブへの参加を促すため日本と協力する。

 米国政府は、日本国政府に対し本要望書を提出できることを喜ばしく思うと同時に、日本からの米国に対する改革要望を受け取ることを楽しみにしている。

在日米国大使館のホームページより

http://japan.usembassy.gov/j/policy/tpolicyj-econ.html


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(2006年2月15日発行 『SENKI』 1203号3面から)

http://www.bund.org/opinion/20060215-1.htm

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