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05/11/21 JMM [Japan Mail Media]  個人投資家と現在日本の株式市場
http://www.asyura2.com/0601/hasan45/msg/269.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 2 月 12 日 14:11:05: ogcGl0q1DMbpk
 

(回答先: ライブドア上場廃止へ  【東京新聞】 投稿者 愚民党 日時 2006 年 2 月 12 日 13:30:49)

                            2005年11月21日発行
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JMM [Japan Mail Media]                 No.350 Monday Edition
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                        http://ryumurakami.jmm.co.jp/
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▼INDEX▼


■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第350回】

  ■ 回答者(掲載順):
   □真壁昭夫  :信州大学経済学部教授
   □中島精也  :伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト
   □菊地正俊  :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト
   □山崎元   :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
   □杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務
   □津田栄   :経済評論家
   □岡本慎一  :生命保険会社勤務

 ■ 『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』


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 ■ 先週号の『編集長から(寄稿家のみなさんへ)』
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 Q:636の回答ありがとうございました。『半島を出よ』が毎日出版文化賞と野
間文芸賞を受賞しました。もちろんうれしいのですが、あまり実感がありません。受
賞の実感がないというよりも、あの小説を書き終えたという実感がまだないのだとい
うことに、賞をもらうことになってはじめて気づきました。おそらく次の小説を書き
始めるまでこういう状態が続くのかも知れません。

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■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』【メール編:第350回目】
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====質問:村上龍============================================================

Q:637
 先週8日、東京証券取引所の出来高が史上最高の45億株を突破したというニュー
スがありました。インターネットで取引を行う個人投資家がが増えているせいだとい
う指摘もあります。現在日本の株式市場は活況を示していると言えるのでしょうか。

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※JMMで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・
組織の意見・方針ではありません。
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 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授

 11月8日、東京証券取引所1部上場の売買高が、45億株と史上最高を記録しま
した。売買代金は約3兆2千億円で、最高額には届かなかったようですが、こちらも
80年代後半のバブル期の水準を越えています。株式市場の売買に関する数字を見る
と、間違いなく活況といえるでしょう。また、この株式売買高から判断して、様々な
投資家が、わが国の株式市場に高い関心を持っていることが分かります。

 ただ、株式市場は、その局面によって市場環境や取引状況を異にします。その点に
ついては、十分な理解が必要になると考えます。東京証券取引所1部上場の売買高が、
バブル期を越えた、あるいは、一日の出来高としては世界最高水準だからと言って、
それぞれを単純に比較することは適切ではありません。

 先ず、最近の株式市場の売買の特徴を考えます。バブル時期の89年当時と現在の
投資家別の売買シェアを見ると、三つの明確な特徴があります。一つは、個人投資家
のシェアが30.3%から37.0%に上昇しています。この背景には、ネットで株
式の取引を行う投資家の増加があるといわれています。また、その中でも、一日で何
回も取引を繰り返して収益を狙うデイトレーダーと呼ばれる人たちが増えているよう
です。

 この現象は、90年代後半のニューヨーク市場に似ています。個人投資家が、パソ
コンや携帯電話を使って、短期間に売ったり、買ったりを繰り返す投資手法です。こ
れらの投資家は、一日に何回も取引を行うケースもありますから、取引高を大きく増
加させる要因になっていると考えられます。80年代後半のバブルの時期には、そう
した仕組みがありませんでした。それを考えても、取引高だけを比較するのでは、市
場の本当の姿を理解することができないことが分かります。

 二つ目は、海外投資家の割合が急増していることです。89年当時の11.3%か
ら、今年10月には46.7%まで上昇しています。海外投資家のわが国の株式市場
への関心は、かなり高まっています。1989年、ロンドンのエコノミスト誌のビル
・エモット氏はバブル絶頂期にあった日本を取り上げ、経済・金融市場の下落を予想
した「日はまた沈む( Sun also sets)」という記事を書きました。今年10月、同
氏は、わが国経済の復活を予想して、「日はまた昇る(Sun also rises)」という記
事を書いています。

 海外投資家や経済専門家の少なくとも一部が、わが国の経済が漸く、低迷のトンネ
ルを抜けて、本格的な回復基調に復帰したと認識していることを示しています。それ
に伴って、海外投資家の売買シェアが顕著に上昇しているのだと思います。こうした
海外投資家の関心が、現在の株式市場の動向を作る一つの要因になったことは間違い
ないでしょう。

 三つ目は、金融機関の売買シェアが大きく減少していることです。89年当時28
.9%を占めていた金融機関のシェアは、僅か9.8%に低下しています。バブル期
まで、企業と金融機関の株式持合いの仕組みがあり、金融機関が積極的に株式市場で
売買を行なっていた姿は、もう既に過去のものになっているようです。90年代中盤
以降、金融機関はリスクを軽減するため、価格変動性の高い株式の保有を減らしてき
ました。その結果が、現在の売買シェアになって現れていると考えます。

 経済や金融の状況や、それを取り巻く環境は常に変化するものです。株式市場の出
来高が最高値を更新したこと自体を鵜呑みにするのではなく、その背景に、どのよう
な変化が起きているか、何故、そうした変化が起きているのかを考えることは必要か
もしれません。そうした姿勢を持っていると、様々なことが、一層面白く思えてくる
からです。

                       信州大学経済学部教授:真壁昭夫

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 ■ 中島精也  :伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト

 東京証券取引所の出来高が急増していること、そして株価自体が上昇していること
を勘案すれば、現在日本の株式市場は活況を呈していると言うことができるでしょう。
しかし、この株式市場活況の原因がインターネット取引を行なう個人投資家が増えた
から、と考えるのはどうかと思います。インターネットの普及で個人が参入しやすく
なったのは確かでしょうが、株価の上昇が見込めるからこそ、多数の個人投資家が参
入しているのであり、インターネット取引というインフラが整備されても株価が低迷
していたのでは、商いは活発にはならなかったと思います。

 株式市場活況の根本的な理由は企業収益の好調にあります。過去数年間の必死の企
業リストラの結果、企業を悩ました過剰三兄弟(過剰債務、過剰設備、過剰雇用)は
ほぼ解消されました。バブル崩壊以降の構造不況の原因であったバランスシート問題
が解決したのです。この結果、現在企業の損益分起点が総売上の85%まで低下する
など、利益が出やすい体質改善に成功しました。こうなると本来、企業の収益状況を
反映すべき株価の上昇を期待するのは当然のことです。

 そこで一番先に動いたのは外国人投資家でした。しかし、これまでなかなか彼らの
思うようには株価は上がってくれませんでした。それは株式持ち合い解消の売りとか、
或いは本邦機関投資家が株式をリスク資産と見なしてポートフォリオに占める株式
シェアを減らし続けるなど、ネガティブな材料も多かったからです。わずか半年前で
すが、外国人投資家と話をすると、彼らは日本株のパフォーマンスの悪さに失望して
いると嘆いていました。しかし、そうは言っても、彼らは買った株を売るという行動
には出ませんでした。買い増しを抑えて、株価の上昇を待っていたようです。

 経済指標面からも、企業収益の好調というミクロ経済の強さは続いていましたが、
昨年末に中国向けの輸出減退もあってマクロ経済指標が急速に減速した為、「景気後
退」か「踊り場」かでエコノミストの見方も二分されていました。しかし、ようやく
バランスシートの改善というミクロ経済の強さが設備投資や雇用、そして消費に再び
活力を与えた結果、マクロの景気も「踊り場」を脱却して2.5%程度の巡航速度に
のったようです。このようにミクロ景気の強さがマクロ景気に波及したわけで、これ
で大いに勇気づけられた海外および国内の投資家が株式市場に資金を多く投入するよ
うになったことが、今日の株式市場の活況をもたらしたと解釈して良いかと思います。

 外国人投資家は元々キャピタルゲイン狙いですが、国内の投資家はキャピタルゲイ
ン狙いもありますが、同時にインカムゲイン狙いもあるでしょう。なにせゼロ金利の
時代ですから、配当の株価に対する利回りが1%を越えている企業の株価は魅力的で
す。リストラに成功して倒産の心配がない企業に投資しておけば紙くずになる心配も
ありません。また、個人投資家も金持ちから普通のサラリーマン、それに主婦や学生
と多岐にわたっているでしょうが、企業がしっかりしてくると、会社がつぶれないと
思えば、従業員や家族など個人も株式投資というリスクを取れるようになります。

 もっとも売買を差額で見ると、個人投資家は売り越しであり、上手く回転させてい
るようです。出来高には貢献していますが、株価押上げ効果は今ひとつかもしれませ
ん。やはり現状では外人投資家の買い越しが株価押し上げの最大要因のようです。現
時点でも本邦機関投資家が依然として様子見の姿勢を崩していないのに驚きをかくせ
ませんが、いずれ彼らも買いで入ってくるようになるでしょうから、株価上昇の余力
は相当にあるとみています。

 このように株式市場の活況は簡単には崩れないように見えますが、最初に触れたよ
うに、企業の体質改善により収益が飛躍的に向上したことが、投資家を動かし現在の
株式市場の活況につながっていると考えるのが一番素直かなと思います。インター
ネットというインフラが個人取引の増大を容易にして、株式市場の活況を加速させる
役割をはたしているのは事実でしょうが、それが株式市場活況の根本原因ではないと
いうことです。

               伊藤忠商事金融部門チーフエコノミスト:中島精也

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 ■ 菊地正俊  :メリルリンチ日本証券 ストラテジスト

 日本の株式市場は空前の活況を呈しています。東証1部の売買代金は11月17日
まで92日連続で1兆円超と、過去最長を記録しています。11月8日の東証1部の
売買高は過去最高の45億株を超えました。TOPIXは2003年3月の大底から
2倍近くに上昇したとはいえ、89年末のピークに比べれば、まだ半分以下の水準で
す。しかし、80年代後半の1日平均の出来高は10億株程度でしたので、出来高だ
けを見れば、空前の活況です。

 株式需給を単純化していうと、現在の株式市場は外国人投資家と個人投資家でキャ
ッチボールしており、国内機関投資家は様子見といった感じです。今年1−10月の
3市場の現物取引の売買シェアをみると、外国人投資家が46%、個人投資家が37
%で、両者で8割超を占めます。主に年金勘定を表す信託銀行が9%のシェアで3位
につけましたが、投信、銀行、生損保といった国内機関投資家のシェアは3%以下で
す。現在の個人投資家の売買の9割近くはネット取引で、信用取引が活発化していま
す。信用買い残は11月11日申し込み時点で4兆円超と、5年7カ月ぶりの高水準
になりました。

 個人投資家は現物取引では年初来、最大の売り越し主体になっています。事業法人
が自社株買いや安定株主作りのために、多少の買い越し主体になっていますが、国内
機関投資家はほとんど売り越しです。私は先週末まで2週間、欧州の機関投資家を訪
問しましたが、外国人がこれほど日本株に強気なのに、なぜ日本人は日本株を買わな
いのかと、多くの質問を受けました。それに対する明示的答えは、株式需給統計は±
ゼロの統計ということです。即ち、誰かが日本株を買うのなら、売り手がいないと取
引が成立しないということです。外国人投資家が大幅買い越しになる時に、国内投資
家は売り越し傾向になります。外国人の方が日本人より、日本経済の先行きに強気な
もの事実です。

 東証1部の予想PERは2006年度のアナリスト予想ベースに基づいても19倍
と、15倍以下が多い他国市場のバリュエーションを上回り、割高になってきていま
す。しかし、外国人投資家は、英エコノミスト誌が“The sun also rises”(独経済
誌も“Japan Comeback”とのカバーストーリー)と指摘したような日本経済と日本企
業の復権を強く信じており、“Overweight Japan although the market looks
overbought”との意見が多いようです。人口動態や潜在成長率を考えれば、日本の経
済成長率は米国を下回ると考えるのが普通ですが、80年代後半のように、日本の設
備投資が3年連続で10%以上伸びて、日本の経済成長率が、米国の経済成長率を上
回るという超強気論もありました。私は、外国人投資家はバリュエーションの国際比
較を重視するので、80年代後半に国内投資家主導でPERが100倍近くまで上
がったことの再現はないと考えていますが、日本株を買いたい外国人投資家ばかりで、
売り手が少ないため、バブル再現という期待もあるようです。

 2003年末に100万口座を越えたインターネット専業証券大手5社の口座数は、
今月中に250万口座を超える見込みと報道されています。80年代には株を買うた
めに、証券会社に電話する必用がありましたが、現在はパソコンや携帯電話で、極め
て安い手数料で、いつもで株式の売買が可能になったため、個人投資家の回転売買が
急増しています。最近、ネットを通じた株式投資で、多額のキャピタルゲインを得た
という逸話が増えているうえ、本屋でも株式投資のノウハウ本が大量に平積みされて
います。横並び意識が強い一般個人投資家も今後、株式投資を増やし、株式市場はさ
らなる活況を迎えると予想されます。

               メリルリンチ日本証券 ストラテジスト:菊地正俊

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 ■ 山崎元  :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

 株式市場それ自体として「活況」であるということは間違いないと思います。

 45億株は未曾有の出来高ですし、出来高だけなら株価(正確には平均売買単価)
が下がっていれば、実質的に大きな取引になっているとは言えませんが、売買代金で
見ても、3兆円を超えた日もありましたし、連日2兆円を超えています。私は198
0年代後半のバブル期にもファンドマネジャーをやっていましたが、売買代金2兆円
という日は記憶にありません。

 但し、バブル期との比較という意味では、観点によっては、現在を割り引いて評価
しなければならない点があります。

 先ず、個人投資家の特にデイトレーダーと呼ばれるような売買をする人々は、株を
買ったとしてもごく短期に売ってしまう(市場では「手仕舞う」といいますが)ため
に、実質的な売買の参加者としては、それほど大きな「買い手」あるいは「売り手」
ではありません。たとえば、こうした売買の多い銘柄について、大きな金額の売買注
文を出そうとすると、意外に大きく値が動く(「マーケット・インパクトが大きい」
と言います)ことになり、大きな金額での参加者にとっては見かけ上の出来高ほどに
流動性があるとは言えません。

 この点に関しては、出来高の中身を知りたいところであり、公開を止めてしまった、
証券会社別の売買データ(「手口データ」)の公開再開を望みたいところです。投資
家の利便性を高めることにもなりますし、最近話題の企業買収絡みの株の動きなども
フォローしやすくなります。また、何らかの意味で怪しい売買に対するチェックも働
きやすくなるはずです。手口データの非公開化に関しては、大手の運用会社が、自分
たちの売買を市場に知られたくないということで、公開がストップされた経緯があり
ましたが、これは彼らがもっと上手に売り買いすればいいだけのことです。

 観点を変えて、証券会社にとっての活況という意味でも、バブル期に及ばない面が
あります。それは、手数料がかつての数分の一になっていることです。1980年代
末期の証券会社は、固定手数料の下であの金額の売り買いを仲介していたので、株式
の売買については、現在よりも遙かに簡単に手厚く儲けることが出来ました。

 これを端的に象徴するのは、業界最大手の野村證券の株価でしょう。同社の株価の
最高値は1987年の5990円ですが、現在の株価は2000円と少々に過ぎませ
んし、二番手の大和証券グループ本社も1987年に3980円の高値がありますが、
現在の株価は1100円台です。

 他方、ローコストな運営で安価な売買を提供するネット証券の株価は、業界最大手
のイートレード証券が時価総額6千億円に迫る勢いなのをはじめとして概ね好調です。

 証券業は、好不調の振れ幅が大きいことと共に、儲かるビジネス分野が頻繁に入れ
替わることが特色です。目下の、株式市場の活況は、証券業界の大半の会社にそれな
りの恩恵になっていると思われますが、株式ブローカレージの収益は、かつてのよう
に機関投資家から固定手数料でどっさり稼ぐ、という形態から、個人向けにネットを
使ってローコストなオペレーションで利益を上げる、或いは機関投資家向けはトレー
ディング(証券会社の自己勘定での株式売買)の収益として稼ぐというような、ビジ
ネススタイルの変化を伴っています。

 目下の株式市場の活況がいつまで続くかは分かりませんし、同じような状況が続い
たとしても、同じプレーヤーが同じ形態のビジネスで儲かり続けるとは限りません。
この辺りの変化の速さに、証券ビジネスの面白さの一因があると思います(同時にリ
スクの大きさでもありますが)。

              経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員:山崎元

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 ■ 杉岡秋美  :生命保険関連会社勤務

 企業収益は過去最高を記録するなか、東証の出来高と株価を見る限り、日本の株式
市場は間違いなく活況を呈しています。特に、出来高の上昇は顕著です。89年のバ
ブルのピークの時と比較すると、インターネット上のオンライン証券を通じた個人取
引が目だっているようです。また、電車のつり広告をみると、毎週のように雑誌や新
聞で株式関連記事が特集されおり、株式の周辺ビジネスも活況を示しだしているのが
肌で感じられます。

 今回、個人の株式市場参加を促しているのは、明らかにインターネット証券会社を
通じた取引の、手数料の安さです。バブルの頃は、株式売買委託手数料は自由化され
る前で、例えば100万円の取引をすると、1万円以上の手数料がかかりました。い
まは、インターネット専用の証券会社であれば、1000円以下ですみます。株式の
手数料は10分の1以下に下がったことになります。

 昔は、株を100万円買って売るとそれだけで、往復で2%以上のコストがかかる
ので、株が2万円上がっても、手数料だけで消えてしまいました。今、手数料は20
00円で、株式の上昇2万円のうち1万8千円は収益として確保できる計算になりま
す。これは、何を意味するかというと、高い売買頻度を容認することになります。昔
は、売買頻度を上げていくと、上昇の益は手数料として証券会社に持っていかれるば
かりだったのですが、今は何回売り買いしても手数料を上回る収益をあげやすいので、
一日に何回も売買を繰り返すことが出来ます。デイトレーダーという昔は成立し得な
かった投資スタイルが可能になりました。インターネット証券は、一日何回売買して
も固定手数料ですむような料金体系を導入して、デイトレーダーを優遇するような商
品政策をとっています。

 一日の出来高の著しい亢進は以上のようなメカニズムが働いていますが、それがそ
のまま、個人の金融資産における株式が、急激に割合を増していることになるかとい
うと、一概にそうとも言えないようです。日銀などが発表している、個人金融資産の
統計によると、昨年末の個人金融資産に株式が占める割合は、先進国中で最低で8%
ほどの数字です。これが本格的に増えだしたかどうかはまだなんとも言えないようで
す。

 東証の発表する、投資主体別株式売買動向(数字の解釈はいつも難しいのですが)
によると、個人投資家は今年もずっと売りに回っていて、積極的に保有に転じたとは
言えません。私のパチンコを愛する友人によると、パチンコ業界はイマイチ元気がな
いのだそうですが、うがった見方をするとパチンコのギャンブルの楽しみが、イン
ターネットのデイトレードの楽しみに置き換わっているというのが、株式の出来高急
増の真相であるのかもしれません。

 いずれによ、企業収益、株価、出来高がそろって上昇するというのは株式市場活況
と言う他はなく、私の様にバブルの時代を知る人間にとって懐かしい限りです。

                       生命保険関連会社勤務:杉岡秋美

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 ■ 津田栄  :経済評論家

 今年の夏場まで15億株前後で推移していた東証の取引売買高は、9月に入って徐
々に増え、30億株台が珍しくなくなるほどで、それだけでも驚きでしたが、今回は
それをさらに上回る45億株と聞いた時は、少し過熱気味ではという不安を感じまし
た。それでは日経平均株価がどれだけ上がったのかというと、史上最高の出来高を記
録した8日では利益確定売りから前日比−25円の下落、年初から見ても1万150
0円前後から11月18日現在1万4600円へと、出来高の割には緩やかの上昇を
描いています(ただ、この9月から見るとさすがに2000円ほど上がっていて上昇
ピッチを早めています)。

 確かに、取引売買株数を見ると、株式市場は、活況を呈しているように見えます。
しかし、1980年代後半の株バブルに見られた全国民参加型の活況は、感じられま
せん。当時は、NTT民営化に伴いNTT株式が公開され、国民が取り合いするほど
株式に興味を持ちました。そして、大手証券から日経平均株価5万円説がでて、個人
も企業も(金融機関を含めて)財テクブームに乗り遅れまいとして浮かれたように株
式投資に走り、市場は活況を通り越して、熱に浮かされたような状況でした。

 今回の株式市場の動きを見ると、株バブルのときと比べて、活況の質が違うように
思います。大きく異なるのは、まず参加者です。1980年代後半当時は、買えば上
がる、上がるから買うというように、株価は上昇するものであって株式を買って保有
していれば儲かると捉える個人投資家が多かったと思います。また企業も、多くが財
テクブームで株式を運用する特金(特定金銭信託)口座を作って、収益拡大を図って
いました。つまり、多くの個人や企業を中心とする国内投資家が株式市場に資金をつ
ぎ込んで、活況を呈していたといえます。

 もちろん、当時は、急激な円高から、為替介入と内需を支えるために行なわれた金
利引き下げで、市中に資金がジャブジャブに出回り、それが地価の高騰を招く一方で、
株式市場にも大量に流れ込んで株高を演出しました。また、現在と異なり、終身雇用
や年功序列などが残っていて職を失うリスクも小さく、給料も毎年増えていくなど労
働環境もすこぶる良好ななかで、国民一人一人の懐も暖かく、年金などの将来不安も
あまり感じず、余裕があった時期でもありました。そして、金融機関は投資先がなく
てあり余った余剰資金を個人や企業に貸して、過剰流動性相場を下支えしました。当
時の国民全体が株式市場の活況の主役であったといえましょう。

 現在の株式市場は、個人投資家と外国人投資家が主役となっています。今年1−1
0月までの売買高(株数)のシェアを見ると、個人投資家が53.2%と株バブル期
の30%台をはるかに超えています。外国人投資家も32.2%と、両者をあわせて
85.4%とほぼ独占状況です。その分、バブル期の主役であった企業は、株式市場
の主役を降りています。企業は、これまでのデフレによる経験から株式を持つことの
収益への悪影響などのデメリットを考え、株式持ち合い解消とともに、株式の売り手
となっても買い手にはならなくなりました。

 外国人投資家は、利益があると見れば投資するというスタンスを変えておらず、日
本企業の収益回復を見越して買っているといわれます。しかし、現在の個人株式投資
は株バブル期とは大きく異なり、確かに取引高だけを見れば、参加者が増えていなけ
ればおかしいのですが、参加者はバブル期よりは少なく感じられます。それは、個人
の経済格差が広がり、株式取引ができる個人投資家は限られているからだといえます。
このことは、個人の金融資産における株式保有があまり伸びておらず、現実は、株式
を保有できる個人は、一部の限られた投資家であるということではないかと思います。
もちろん、取引売買単位の引き下げで、少額でできる個人投資家が増えていますが、
その増加はあまり大きくないと聞いています。

 90年代からの15年の間に、個人間の経済格差は、バブルの崩壊とともに収益を
悪化させてきた企業が、過剰といわれた設備や債務の圧縮を行い、同時に過剰であっ
た雇用にも切り込んで雇用環境を激変させたことから生まれています。つまり、企業
は、給与の引き下げ、解雇などリストラを断行して、その結果、これまでの雇用構造
を支えてきた終身雇用と年功序列が崩れて、所得の低下と失業が常態化していきまし
た。そして従来のように正社員として就職ができず、パートやアルバイト、契約社員
などの低所得に甘んじる従業員が増え、所得不安から来る生活不安とともに将来の年
金不安なども重なって、株式投資する余裕のある個人は、80年代よりは確実に減っ
ていると思われます。

 そうしたことは、先の日銀の発表にもあった、預金をしていない世帯が23%と最
大となっていることや生活保護世帯が昨年度100万世帯近くとなり、今年度はさら
に増えていると言われることにも現れています。つまり、貯蓄も底をついて、その日
を食いつないでいる個人も増えていることを示唆しています。一方で、競争のなかで
生き残れて勝者となった高所得者や資産家は更なる経済的地位を得ています。こうし
た持てる者と持てざる者との格差が確実に拡大し、少数の前者が資産の多くを持つよ
うな社会経済構造になりつつあります。その結果、自ずと、一定の資産を持ち、株式
投資ができる者も、限定されてきます。

 ではなぜ、個人投資家が主役となって史上最大の取引高をリードできるのかという
と、まず個人がインターネットで株式取引を簡単にできることが大きく影響していま
す。(そして、インターネットを利用すること自体、パソコンや通信費などでコスト
が掛かりますので、ネット取引できる人が限定されてきます。)これまで、規制のな
かで証券会社が株式の投資情報を独占し、売買注文で高い手数料を取る仕組みでした
が、インターネットの普及と株式情報の公開が、証券会社と個人の情報格差を格段に
下げ、同時に売買手数料の大幅な引き下げを実現させたためといえます。

 そして、そのことが証券会社の株式ディーラーのように、個人の株式売買を瞬時に
可能にするとともに、インターネット証券が個人投資家の呼び込みのために、安い手
数料でレバレッジが効く信用取引を簡単にできるようにしたことも大きく影響し、資
産に余裕のある個人投資家が中心に株式売買に1万株単位で参加しています。一方で、
株価が変動する怖さを個人は過去の苦い経験から学んでいて、国際情勢の激動や国内
の政治経済社会の変化で何が起こるかわからない不透明ななかで株式を長期保有する
リスクはとらなくなっています。

 結局、資産の持つ個人が、インターネットを使って、過去には考えられなかった大
量株数で株式を買うものの、リスクに敏感で、株価が上がればすぐに売って利益を確
定し、次の銘柄に乗り換えていくという風に、高速回転売買を繰り返すことになりま
す。それは、あたかもインターネットでする少数の個人投資家限定のゲームのような
ものです(もちろん、ゲームを行う上で、日本経済や企業業績などファンダメンタル
ズなどの条件が必要です。ここ数年、世界経済は、政治的に不透明であっても、市場
経済化で、堅調に推移し、日本企業にも大いに業績回復につながっています。同時に、
所得分配で個人から企業への所得の流れが明確で、そのことも企業の競争力強化につ
ながり、業績拡大に寄与しています)。

 もう一つは、資産家や高所得者層が株式投資を行う上で、ゼロ金利政策、高配当、
そして課税率が後押ししていると思われます。預金金利がほとんどゼロであるなかで、
資産を増やすには少しリスクがあるが、預金金利よりも利回りが高い株式投資は魅力
的です。その上、最近の企業の株主重視の姿勢から、配当金を引き上げる動きが広が
っており、年利回りで1%前後の株式銘柄が多数出てきています。しかも、政府は個
人の株式投資促進のために配当金やキャピタルゲインに対する課税率が特定口座(申
告不要)という条件・期限付きながら10%と、預金に対する課税率20%と比較し
ても優位な扱いをしています。こうした投資環境にあっては、資産家や高所得者層に
とって、業績が回復している企業を選択し、下落リスクの少ない株式へ投資するのは
とても魅力的に見えるはずです。

 したがって、こうした少数の個人投資家と外国人投資家で行なわれている株式市場
は、出来高が史上最高の活況だと言っても、身内が騒いでいるだけのように見えます。
むしろ、個人間の経済格差が拡大するなかにあって、多くの株式市場に参加する余裕
のない国民が遠くから冷めて見ている状況です。つまり、国民の間の経済格差により、
もはや株式市場の活況が国民一人一人の利益につながるものではなく、一部の国民の
関心事にすぎなくなっているといえましょう。そして政府や、新聞やテレビなどのマ
スメディアが、この株式市場の出来高での活況をもってして、日本経済が堅調に推移
し、国民全体が良くなっているかのような解説するのを見て、また国民に幻想を与え
るのではないかと危惧しています。

                             経済評論家:津田栄

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 ■ 岡本慎一  :生命保険会社勤務

 11月8日に東京証券取引所の出来高は45億株を突破し、一日の出来高としては
史上最高を更新しました。株式市場の活況を支えているのは、主に個人投資家と外国
人投資家です。売買代金(証券会社の自己売買を除く)に占める個人投資家のシェア
は約4割に高まり、外国人のシェアも4〜5割に達します。すなわち、売買の8〜9
割は個人投資家と外国人投資家で占められているのです。以下、最近急増している個
人投資家の動きに着目してみることにします。

 個人投資家の売買シェアをもう少し長期間で見てみると、1980年代初頭には5
0%以上を占めていました。その後、外国人や機関投資家の売買シェアが増加するに
つれ、そのシェアは漸減し、1997年頃には10%を割りました。その後ITバブ
ルの熱狂を経て、2001年以降、個人投資家のシェアは本格的に回復に転じ、現在
の40%程度に至りました。

 個人のシェアが回復に転じた理由は大きく3つあると考えます。第一に、企業のバ
ランスシ−トに対する信頼感が回復したことです。1990年代後半には金融機関や
事業会社の破綻が相次ぎました。その頃は「突然死」と揶揄される様な破綻も多く、
昨日まで健全な企業と言われていた企業が「実は不良資産をもっていた」と破綻して
いくケースが目立ちました。こうした状態では情報量の少ない個人投資家は怖くて市
場に参入できません。

 しかし、1999年から時価会計が順次導入されたことを皮切りに、企業の情報開
示制度は整備され開示姿勢も改善されてきました。今では元気な企業、健全な企業ほ
ど「我々の会社を知ってください」と投資家に懸命にアピールしています。誰でも公
表された財務諸表を見て企業を判断できる環境が整ってきたことが、個人投資家の市
場参入を誘っているのだと思います。

 第二に、ゼロ金利政策の影響があると思います。1999年に日銀はゼロ金利政策
に導入し、世の中は超低金利時代に突入しました。700兆円以上の個人が抱える現
金・預金がゼロ金利に耐えられず、資本市場に回ってきている側面があるでしょう。

 特に、最近は株式の配当が増大しており、2003年頃からは長期金利の利回りと
配当利回りがほとんど変わらない環境が続いています。高配当株を組み入れる投資信
託も盛んに個人投資家の資金を集め、一部では資金が集まりすぎて売り止めになった
投資信託もあると聞きます。ゼロ金利は、株式を売ったり買ったりすること以外でも
株式から収入が得られることを改めて個人投資家に知らしめた効果があったのだと思
います。

 第三に、インターネットの普及の影響です。1990年台後半に入り、ネット証券
と呼ばれる証券会社が複数誕生し、今ではパソコンや携帯電話から手軽に安価で注文
ができる時代になりました。一日に何回も同一銘柄の売買を繰り返す「デイ・トレー
ダー」と呼ばれる個人投資家の姿は既にテレビや雑誌でもお馴染みとなりました。個
人投資家の売買代金に占めるインターネット経由取引の割合は8割近くに達していま
す。大手証券会社もネット取引に注力する方針を打ち出しており、暫くはネット取引
が個人投資家の売買を牽引する構図が続きそうです。

 しかし、これから日本は「団塊の世代」の退職に向かい、老後の生活資金形成に株
式市場を使う人も多くなってくるでしょう。こうした資金は、「手軽で安価」といっ
たネット証券のスタイルにはあまり馴染まないかもしれません。今後は投資アドバイ
スを求める対面販売型のスタイルが見直される形で、棲み分けが行われるのではない
でしょうか。

                         生命保険会社勤務:岡本慎一

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■■編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■

 Q:636への回答ありがとうございました。13年前にわたしが監督した映画
『トパーズ』が韓国で公開されることになり、配給元から招待を受けソウルへ行って
きました。日本映画の一般公開もつい最近認められたばかりの韓国で、あの『トパー
ズ』が公開されるというのは驚きでした。輸入配給会社は6回という異例の審議に辛
抱強く対応し、刺激的なシーンを6分間カットすることで上映にこぎつけたそうです。
上映館は、ある大手生命保険会社のビル内にあって、かってはテオ・アンゲロプロス
や小栗康平などの作品も同じところで公開されたということでした。新聞、テレビ、
雑誌、それに映画紹介サイトなどのインタビューを受けました。

 ソウルは一昨年『半島を出よ』のための脱北者の取材以来でした。ホテルも、部屋
のタイプも一昨年と同じで、取材時の特別な緊張感と疲労、それに感慨がよみがえっ
てきました。1日に3人、それぞれ2時間から3時間話を聞きましたが、終わったあ
と強い疲労感があって、ひいきにしているすぐ近くの海鮮料理屋まで歩く気力もなく、
毎晩ホテル内のレストランで食事を済ませたことが印象に残っています。またこの中
で食べるんですか、歩いてたった10分なのにと、その店で生ダコを食べるのを楽し
みにしていた編集者が3日目で怒り出したりしましたが、わたしは脱北者の話に打ち
のめされていて、ホテルの外に出て歩く気力がありませんでした。

 だからというわけではありませんが、今回は、その海鮮料理屋をはじめ韓国料理を
満喫しました。少し風邪気味だったので、ケジャンと海鮮鍋、それにおもに参鶏湯を
食べて体力の回復を図りました。ソウルの町はさらに豊かになっている感じがしまし
たが、地元の人に聞くと、格差を伴った多様化が進んでいて、IMF危機を脱したあ
との経済復興の恩恵はすべての人に及んでいるわけではないとのことでした。

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Q:637
 三位一体の改革が大詰めを迎えているようです。地方自治体は、義務教育の補助金
は「不要」、生活保護の補助金は「必要」という姿勢を見せています。三位一体の改
革において、中央政府と地方自治体の利害関係はどうなっているのでしょうか。

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                                   村上龍

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                   発行部数:128,653部(8月1日現在)

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【編集】 村上龍
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