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『国富消尽―対米隷従の果てに』吉川元忠・関岡英之(著)債務国側の通貨建てで資本輸出を行なっているという異常さ
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投稿者 TORA 日時 2006 年 2 月 24 日 16:11:33: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
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http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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『国富消尽―対米隷従の果てに』吉川元忠・関岡英之(著)
債務国側の通貨建てで資本輸出を行なっているという異常さ

2006年2月24日 金曜日

◆国富消尽―対米隷従の果てに 吉川元忠・関岡英之(著)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=998026781X

◆序に代えて

◆新段階を迎えた日本 嵐の前の静けさ

二〇〇五年九月十一日に行なわれた衆議院総選挙は、自民党が単独過半数、連立与党の公明党を加えれば三分の二を超すという、地滑り的な大勝利となった。そしてこれは、三四〇兆円という郵貯、簡保資金がいずれアメリカに差し出されるという重大なことを意味するものであった。

二〇〇五年に入って明らかとなったライブドアによるニッポン放送株買収の動きにも外資がからみ、M&A新時代を予感させたが、日本はそのような場合にも最終的原資となる虎の子の個人金融資産を、次々とアメリカに献上しようとしてきた。「郵政民営化」もその線上にあるが、このぶんでは、日本資金による外資の日本企業買いが今後飛躍的に拡大しそうである。日本は、この面でも新段階を迎えている。現在はまさに、"嵐の前の静けさ"にすぎないのである。

小泉首相は、「改革以外に日本の再生はなく、郵政民営化は構造改革の"本丸"だ」と強引に主張を展開してきたが、それは郵便局をどう運営するかが基本的な問題ではない。国民の目に触れぬよう巧妙に隠されてきたものの、三四〇兆円に上る郵貯・簡保資金を、財政・経常収支における双子の赤字に打つ手も見当たらないアメリカに献上してしまおうというのが本質である。

しかし、それをアメリカに献上すれば日本はどうなるのか。金融資産をこれだけ抜かれては国の存亡さえ覚束ないことからすれば、そんなことを推進する政治家など考えられないのである。

小泉首相は"米国のエージェント"とでもいうべき竹中平蔵郵政民営化担当相(当時)を使って、この「考えられない」ことを推進してきた。これに危機感を募らせたのが「国益派」の国会議員たちであり、衆議院および参議院での反対投票は危機感の反映だった。しかし結局、「構造改革に反対するから、抵抗勢力だ」という、首相お得意のワンフレーズ・ポリティックスのなかに埋没させられてしまった。それから起こったことは予想外の出来事であり、そこには日本の政治を大きく左右しかねない問題が生じている。

第一に、日本の政治の「暗黙の前提」であったものが、次々と小泉首相によって壊された。郵政民営化反対議員は公認を得られなかったのみならず、「刺客」を送られ、相次いで落選に追い込まれた。八○人もの新人、つまり素人が登用され、きらびやかな話題を集めている。これは国民にとって、"民製ファッショ"が芽を吹いていることを意味するだろう。

第二に、小泉フィーバーの落ち着き先という問題がある。小泉自民党への圧倒的支持は必ずしも合理的、積極的な選択の結果ではなく、日常の閉塞感打破を求めての、万が一の期待の集積である。したがって、この支持のなかにある大きな不安定性、流動性にも目を向けておかねばならない。

第三に、このような選択は、妥協を許さない「間答無用」的非寛容さにも通じやすい。なぜかといえば、窮余の選択が正しい選択だったかどうかについて、確信が持てないからである。この結果、異論に対しては「引っ込んで、改革の邪魔をするな」ということにもなりやすい。

◆「もはや引き返せない道」か

ここで想起されるのが、七十年前、一九三〇年代である。当時は「大政翼賛」体制で、官製のものであるかもしれないが、国民はその高揚感に浸っていた。それは当時の日本の危機(経済の行き詰まり、日中戦争の泥沼化)に対する反応であった。しかし、それが結局厳しい現実に直面するにつれ、さらなる精神の高揚が図られていった。

今回の「小泉フィーバー」は今後どのような現実と直面し、結局、そのエネルギーはどこへと向かうのか。七十年前の「もはや引き返せない道」を示していなければ幸いである。

小泉内閣は発足後四年あまり、例外的な支持率の高さを享受してきた。ただし、「郵政国会」前後は四〇パーセント程度で、特段のことはなかった。これが参議院否決↓衆議院総選挙に至る過程で六〇パーセント程度に跳ね上がったわけだが、理解しがたいことである。

もともと今回の選挙で選挙民の注目すべき争点は、年金、医療費等の生活上切実な問題であり、郵政民営化への関心度は低かったはずである。したがって、郵政民営化が関心を集めて自民党支持にも連なったことについては、小泉首相のよほど念入りなメッセージが関係している。つまりはナチス・ドイツの宣伝相ゲッペルスが言ったように、「大衆が信ずるまで何度でもやる」ということである。ある段階で大衆は判断力を喪失してくるというのである。

民営化についての小泉メッセージも、大衆にはにわかに判断がつきにくいものであった。しかし、そのうちに選挙民の意識も変わった。結局は首相が語る民営化の膨張したイメージを受け入れてしまう。そして、具体的内容より首相の熱心さを評価するようになった。これでは物事の判断基準が絶えず変わることになり、そこには不安定な要素が孕まれる。これは成熟というものではなく、政治的意思決定ではとくに不適当である。

無党派層はこうして、突然一方向への投票行動を起こした。自民党への超追い風、民主党への逆風である。しかし、そのなかには大きな不安定性が孕まれている。今後この方向がさらに強まるのか、あるいは揺り戻しがあるのか。それは改革路線がどんな現実に直面し、そのことが国民にとって何を意味するかにもよるだろう。

いずれにせよ、日本は岐路に立っている。アメリカにしても、日本の資産を使い尽くし、食い尽くすことによって生き延びようという思惑が、いよいよ露骨になっている。そうしたなかで、いかに「日本」を維持するかが大きな課題になるだろう。

パンドラの箱は、すでに開けられた。これが意味するものは、おそらくさらなる混乱であろう。それを「構造改革のためのやむをえざるコスト」と考えられるか否かは、結局どのような成果が得られ、国民にどう受け取られるかによることである。 

そのような時期に刊行されるに至った本書が、何らかの参考となれば幸いである。対談相手を務めていただいた若き同志・関岡英之氏には、心より御礼申し上げたい。 (P1−P5)

平成十七年九月二十九日 吉川元忠

◆「新帝国循環」が支えるアメリカの日本買い 吉川

メディアではフジテレビとライブドアという企業間の問題に歪小化した報道が多々見られましたが、たしかにこれはそのように単純な問題ではないですね。そこには非常に大きな問題が,いろいろと潜んでいますが、私はまず日本の証券市場の問題がひとつあると思うのです。

私が以前に『マネー敗戦』(文春新書)という本で分析したこととも関係しますが、この事件の背景にはマネーの流れのおかしさがあります。リーマン・ブラザーズに、なぜあれほどの金があるのか。

現在、上場株式の約四分の一を外資が持っています。このなかには、もちろんハゲタカだけではなくて、長期保有のスタンスの善良なる機関投資家(もちろんそれは儲けるためですが)もあるとは思いますが、ハゲタカ、あるいは再生ファンドといったものを含めて、約四分の一以上の株式が外資に買われている。一部の優良企業では、外国人持ち株比率がもう五割以上になっています。

なぜ、そのような現象が起こっているのか。端的にいうと、日銀が刷ったマネーが回り回ってアメリカのウォール街を潤し、その一部が日本に戻ってきて日本を買いまくるという、私が「新帝国循環」と呼んでいる構図がそこにあるわけです。

ここで、この言葉について簡単に解説しておきましょう。本来の「帝国循環」の典型は、十九世紀後半から第一次世界大戦前までのイギリスの「ビクトリア循環」です。当時のイギリスは貿易と海外投資を通じて基軸通貨のポンドを国際的に散布し回収するという資本循環の中心に位置しつつ、後発国の資金需要をまかない、世界最大の債権国となって、覇権国として世界に君臨したのです。

第二次世界大戦後、新たにマネー循環の中心軸に位置したのはアメリカでした。しかし、債権大国としてのアメリカの覇権は長くは続かず、一九八○年代になると資本の流れは捻れたものとなります。レーガン政権下、アメリカの経常収支の赤字は拡大を続け、これを埋めるために海外からの投資がさかんに行なわれるようになります。

八四年には対外純資産の「貯金」を使い果たし、以後一経常赤字を埋めるための資金の流入は純債務として積み上げられていき、アメリカはたちまち世界最大の債務国となってしまったのです。そして、アメリカに大量の資金を流入させる中心的役割を担ったのが巨額の貿易黒字を抱える日本であり、日本は世界最大の債権大国となりました。アメリカは経常赤字を上回る資金を日本などから流入させ、その余剰分を海外に還流させるという奇妙な「帝国循環」が登場したわけです。

ここで注目すべきは、それまでの中心的債権国は、イギリスもアメリカも自国通貨建てで資本輸出を行なっていましたが、日本のみは円建てではなくドル建て、すなわち債務国側の通貨建てで資本輸出を行なっているという異常さです。

実はここに、世界最大の債権国が経済危機に陥り、その債権国に膨大な債務を負う世界最大の債務国が長期にわたる好景気を体験するという一九九〇年代後半以降の異常現象の原因があったわけですが、日本はその危険性に眼を閉ざし、ドルの世界を所与の条件として受け入れてしまったのです。その危険性とは、ドルという通貨が事実上の基軸通貨でありながら、アメリカ一国の意向によってその価値を欲しいままに変動させうるという国際通貨システムの根本に横たわる矛盾でした。

一九八○年代前半には、レーガン政権は「強いアメリカ」の象徴として「強いドル」を容認していたためこの矛盾が表面化することもなく、日米は対ソ冷戦を戦うパートナーであるという「共同幻想」のもと、奇妙な相互依存関係が成立していましたが、八○年代後半以降、アメリカに流入した膨大な日本のドル資産はドル安・円高の波にさらされつづけることになります。

ところが、プラザ合意後の急激な円高で巨大な為替差損が発生したにもかかわらず、日本からアメリカヘの資本流入は止まりませんでした。大蔵省(当時)は対米協調によりドルを支えつづける以外に、独自のマネー戦略を持っていなかったからです。大蔵省は生保などの機関投資家に米国債購入を働きかけ、機関投資家にとっては折からのバブルによる含み益が為替差損に対する心理的バッファ(緩衝装置)となっていたのです。

しかし、一九九〇年代になると状況は一変します。米ソ冷戦の終焉と日本のバブル崩壊です。ソ連という共通の敵が消えると一転、「戦友」だったはずの日本はアメリカにとっての「経済的脅威」と認識されるようになります。九三年に登場したクリントン政権は円高攻勢をかけ、九五年四月には一ドル=八○円を割り込むまでになりました。

円高による対米資産の大幅な減価に加え、円高によって生じた生産コストの歴然たる格差が製造業を直撃し、日本経済は甚大なダメージを受けました。また、バブル崩壊によって機関投資家は対米投資のリスク負担の拠り所を失い、九〇年代前半に日本からアメリカヘの資金環流は細っていきました。

ところが、一九九五年に日米間のマネー関係は急転し、ジャパン・マネーの対米流入は再び増勢に転じます。その背景のひとつとして、同年一月に米財務長官が通商強硬派のベンツェンからウォール街(ゴールドマン・サックス証券)出身で金融・市場重視派のルービンに代わったことに象徴されるアメリカ側の政策転換が挙げられます。

ルービン長官は株高を誘導するためにドル高政策に転じ、一ドル…八○円割れをピークに、以後、相対的ドル高基調が続くことになります。さらに九〇年代後半の日本の異常なまでの超低金利政策が国内資金の対外流出を加速させます。再びアメリカは巨額のジャパン・マネーを引き寄せ、経常赤字を埋めた余剰資金で積極的に海外投資を行なう「新帝国循環」の時代を迎えたわけです。

こうして日本はアメリカの資金循環の回路に組み入れられ、ジャパン・マネーが巡りめぐって日本が買い叩かれているというのが、二十世紀末から現在に至る構図なのです。 (P24−P28)

吉川元忠[キッカワモトタダ]
1934年、兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業後、日本興業銀行に入行。産業調査部副部長などを歴任後、コロンビア大学客員研究員を経て、神奈川大学経済学部教授(2005年3月に退官)。2005年10月、永眠

関岡英之[セキオカヒデユキ]
1961年、東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)に入行。証券投資部、北京駐在員事務所、国際協力銀行出向などを経て、約14年間勤務の後に退職する。99年、早稲田大学大学院理工学研究科に入学。建築家・石山修武氏の研究室に所属し、2001年、同修士課程を修了。著書に、『なんじ自身のために泣け』(河出書房新社、第七回蓮如賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


(私のコメント)
トリノオリンピックもようやく日本にもメダルが一個獲得できましたが、これで日本人選手団も袋叩きにされずに済むことだろう。しかしメダル獲得18個などと言う国内予想に比べて、海外の予想ではメダル3個と言う悪い予想すら下回ってしまった。これも日本経済の不振が企業スポーツの解散などに繋がり、プロ化の期待できる種目に限られてしまうのだろう。

『国富消尽』と言う本は現在の日本がおかれている状況を分かりやすく説明しているが、アメリカと日本との「帝国循環」は2月11日と13日にも書きましたが、日本がドルを買い支えている限りアメリカに富はどんどん奪い取られる構造からは逃れられないようだ。

「株式日記」でも外貨準備をユーロに変えろとか、アメリカ国債を買うにしろ円建て債で買うべきだと主張してきたのですが、日本の財務省ではドルと心中すすつもりらしい。財務省はそれでいいのだろうが、庶民の生活は働いても働いてもアメリカに富が吸い取られて、日本は生かさず殺さずの状態で、失われた10年、20年、30年・・・という事になって行くのだろう。

円建てのアメリカ国債ならドルが大暴落しても為替差損は蒙らなくても済む。そして日本の国債よりも高い利回りが期待できますが、アルゼンチン国債のように償還不能というリスクがある。ところがアメリカはドル建てだから紙幣印刷機をフル稼働させてドル札を刷れば、いくらでも返す事ができる。

さらにドル基軸通貨体制である限りドルの金融政策はアメリカ政府の意のままであり、ドルの価値はいくらでも引き下げる事ができるから、日本のような債権国は泣き寝入りするしかない。だから日本は黒字をいくら貯め込んでも豊かになれず、アメリカはいずれ借金をただの紙切れで返してくるだけだ。

だから必要以上の黒字は日本にとっては災いをもたらすものであり、黒字は円建てで資本輸出すべきものだ。だからトヨタやソニーといった企業は円建てで輸出するか、アメリカに工場を移すしかないのでしょうが、中国などに工場を移す事で対米摩擦を回避するようになった。しかしドル建てである以上根本的には何も変わらない。

日本の貿易黒字がドルのままアメリカに滞留して、そのドルで日本企業を買い占めて乗っ取ろうという事が行われている。小泉竹中内閣はその地ならしのために構造改革を行なっているのですが、日本国民は自分の勤めている会社が外資系になって始めて小泉構造改革の意味を知る事になるだろう。

日本企業の株式は既に4分の1が外資のものになっていますが、既に5割以上の会社も多くなってきて、外資にM&Aされる状況がだんだんと整ってきた。債権国の企業が債務国によって買い占められるというとんでもない事が起きようとしているのですが、日本の財務省は日本の官庁ではなくアメリカの財務省の日本支店なのだ。

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