http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060228i313.htm

　企業が従業員にかけた団体生命保険の保険金を遺族が受け取れるかが争われた二つの訴訟の上告審弁論が２８日、最高裁第３小法廷（藤田宙靖裁判長）であった。

　遺族側は「保険金で企業が利益を得ることは許されず、全額遺族に引き渡すべき」と主張し、企業側は「団体生保の収支は赤字だから引き渡す必要はなく、遺族の生活は退職金の支払いで保障している」と反論した。

　判決は４月１１日に言い渡される。

　団体生命保険は、企業が従業員の死亡に備え、遺族への弔慰金を確保する名目などでかけるもの。保険金の支払先を巡って各地で訴訟が起こされ、この日弁論のあった二つの訴訟では、住友軽金属工業名古屋製造所に勤務していた社員の遺族が、同社に保険金の引き渡しを求めている。高裁段階で遺族側勝訴と敗訴に結論が分かれており、判決では、これを統一する最高裁の初判断が示される見通しだ。

　原告の一人で、１９９６年に夫（当時４９歳）を亡くした原告の近藤弘子さんは、弁論で「遺族補償のための保険のことで、これ以上遺族を苦しめないでほしい」と陳述した。

（2006年2月28日20時20分 読売新聞）

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