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不思議の連鎖を呼ぶ「西川前頭取への処分」 【岸田 徹】
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 5 月 26 日 17:54:26: ogcGl0q1DMbpk
 

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不思議の連鎖を呼ぶ「西川前頭取への処分」
岸田 徹 【岸コラ】
2006年5月17日(水)

何がそんなに不思議かというと、ぞくぞく出てくるのだが、原点は三井住友銀行がとがめられたその内容にある。

悪いことと指摘されたのは、融資をするから金利スワップという商品を買えと無理やり金利スワップを売った事だ。「スワップ」とは俗に夫婦の交換セックスの事を言うが、金利スワップも同じような意味。つまり、金利を交換する商品で、変動金利を固定金利に交換する、あるいはその逆を行なう商品だ。世の中には持っている金融資産を色々動かして利益を得ようとしている人がいっぱいいる。変動金利の変動部分を買い取って固定金利を提供したいという人もいる。それを商品化したのが金利スワップだ。

銀行は、今のような低金利の時には融資をした後に市場の金利が上昇すれば損をしてしまうので、市場金利が上がったら融資の金利も自動的に上がる変動金利の融資をしたがる。一方借りる方は、こういう低い金利がずっと続いた方がいいから、金利がずっと変わらない固定金利で融資を受けたがる。

その両方の希望を金利スワップを間に入れることで、銀行は変動金利で、お客は固定金利で融資をしているような効果が得られる。もちろん、金利スワップは銀行の商品なので手数料は銀行が取っていく。

例え手数料を払ったとしても、低い金利水準がそのまま続けば有難いと思っているお客はいるはずだ。だから、金利スワップを無理やり融資先に抱き合わせて売ったとしても、場違いな商品を銀行が押し付けているわけでもない。

とはいえ、お客の了承も取らずに抱き合わせが当り前に売っていたのなら大変な問題だ。金融情勢は予想が付かない変化をする事があるので、金利スワップ時の条件を超える情勢になったら、お客が損害を被るからだ。きっと三井住友銀行は、お客の了承も取らずに行なったのかと思った。

ところが、三井住友銀行が金融庁から指摘されて調査した結果が不思議なのだ。2001年4月以降に金利スワップの契約をした18,162社を対象にアンケート調査を行ない、回答が2,200社からあった。そのうち金融庁が言う優越的な地位を乱用していたケースは17社。乱用の懸念のあるケースは51社。説明不足で法的に問題がありそうなケースが181社だった。

アンケートに答えた、つまり不満があったという顧客は18,000社中17社だというのだ。さらに、公正取引委員会から排除勧告を受けた件数は4件だ。圧力を受けた方は、融資がストップすれば会社の生命線を奪われるケースもあっただろ。しかし、何も銀行は三井住友銀行だけではない。他にも都銀はあるし、新生銀行だって、都立の銀行だって、商工中金も信用金庫も精力的に新規の融資先を探している。特に今は金余りの時期でどこもお金を借りてくれずに困っている銀行はいっぱいある。どこの銀行も融資先を探すことは預金を集めるより大変なのだ。一般的には融資で優位に立てるのはお客の方だ。

0.1%にも満たないケースで、どうして頭取が頭を下げ、金融庁が厳しい行政処分をし、前の頭取まで責任を追及するような事態になったのか。本当に金融庁が厳しい処分をするほど、国民生活に重大な影響を与えたのだろうか。このぐらいの件数は、組織的に行われていたと批判されても、現場の行き過ぎた行為だと弁明できる件数だ。他の都銀でも見られる事例で、三井住友のノルマが厳し過ぎて取引先に圧力をかけ過ぎたと言うほどの数字ではない。これが、不思議の原点だ。

それでは、なぜこんな事態になったのか。特に、奥頭取が、西川前頭取の責任問題に言及したことはとても不思議だ。三井住友銀行の前の頭取である西川前頭取は住友銀行の頭取だった。住友銀行内では早くから頭取候補だった。そのあとを継いだ奥頭取も住友出身の人だ。この方も住友銀行内では頭取候補の一人で、西川―奥の順番は住友サイドにしてみれば順当だ。それをやっかんだ三井側が批判したことは考えられるが、そんなことで結束の固い住友陣営が先輩の頭取を批判することはまずありえない。よほど、奥頭取に違う圧力がかかったと考えられる。そんな圧力をかけられるのはただ一つ、金融庁だけだ。

実は、西川頭取は長いこと金融庁と意見の対立があった。公的資金の注入方法に始まり、会計基準の変更、合併後の収益見積など事あるたびに対立が表面化した。柳沢さんが金融担当大臣の時代から文句はつけていたが、竹中さんが大臣になってからはさらにエスカレートした。竹中さんが発表した不良債権のアクションプログラムについては、「自己資本を無理やり小さくして、公的資金を何がなんでも注入しようとしている。許せない。行政命令で代表取締役の責任を問おうとするのもおかしな話だ」と、厳しい口調で批判した(2002年10月26日読売新聞)。「許せない」とは認可事業の銀行経営者が使える言葉ではない。「許す」か「許さない」かはお上(金融庁)の方が決めることだからだ。

さらに、UFJ銀行をめぐる合併問題でも東京三菱銀行と張り合った。金融庁はどうも最初からUFJは東京三菱と決めていたようで、この問題の時にはUFJ銀行と三井住友銀行の両方に5ヶ月以上の長期にわたり検査に入っていた。金融庁の役人が銀行に検査に入れば、情報が金融庁に筒抜けになる。三井住友とUFJの情報が金融庁を通じ東京三菱に流れていた可能性は大きい。そんな状況で、三井住友とUFJは合併できない。

素直に金融庁の言う事を聞かない西川頭取に対し、金融庁の幹部は相当憤っていたと業界ではささやかれている。これが、今回奥頭取に先輩頭取の責任問題を言及させた原因ではないかと簡単に想像できる。

ところが、もしそうだとすると、割り切れない問題がひとつ出てくる。竹中さんが命をかけて行なった郵政民営化の問題だ。日本を二分した郵政民営化法案は一度参議院で否決されたが、小泉さんの奇策で衆議院を解散し、自民党の圧勝後、成立した。いよいよ来年2007年の10月から民営化が始まり、2017年9月末までに完全民営化になる予定だ。

この民営化の準備を進める会社が今年1月に発足した。日本郵政株式会社だが、その初代社長に西川前頭取が就任したのだ。この会社がそのまま持ち株会社に移行する予定で、西川社長は民営化後の郵政の初代社長になる。西川さんが三井住友銀行の頭取を辞めたのが去年の4月。それから半年後に小泉さんが西川さんに初代郵政社長の要請をした。

実は、初代社長のなりてがなくて人選には苦労したようだ。火中の栗を拾う割には報酬が低いというのがその理由。しかし、いくらなりてがいないとは言え、虎の子の郵政をどうして反発していた西川さんにやらせなくてはならなかったのか。郵政民営化担当大臣は竹中さんだ。竹中さんが虎の子の郵政の初代社長を敵対していた西川さんに頼む。これは不思議だ。

なぜなのか。これは、アメリカが注文してきた可能性がある。改革の旗印の下頑固一徹の小泉さんと竹中さんだが、唯一言いなりになるのがアメリカだ。住友の西川頭取はアメリカの投資銀行であるゴールドマン・サックスと仲がいい。三井住友が苦しいときにゴールドマン・サックスが1,500億円もの株式を引き受けている。配当が高いので必ずしも救済色が強いわけではなく、ゴールドマン・サックスにも十分過ぎるほどのうまみがあるこの取引は、気心が知れた先でないとできないものだ。西川さんはかつてゴールドマン・サックスの日本顧問も務めていて十分に意思の疎通ができている。

ご承知のように、郵政民営化で一番得をするのは外資の金融機関だ。今まで厚い大蔵省の壁に阻まれて進出できなかった外資の金融機関が、郵貯・簡保の民営化で放出される国家予算の何倍もの資金を狙っている。この情報はアメリカにとってはぜひほしい。その情報源として西川さんが選ばれ、アメリカからの要請で竹中さんが断れなかったのではないかという憶測だ。もしそうだとしたら、それは恐ろしい。

しかし、また疑問がわいてくる。そうやってせっかくアメリカの窓口になった西川さんを、どうして郵政民営化前の大事な時期に蹴落とすような発言を奥頭取にさせたかだ。

これには、思い当たる理由がひとつある。郵政会社の執行役員人事の問題だ。定員は8人。この8人が今年の2月に発表になった。8人のうち半分の4人が郵政公社からそのまま横滑りになる。さらに金融庁から1人やってくる。残りは3人だ。1人は竹中さんに近いアメリカの経営コンサルタント会社マッキンゼーの宇田左近氏。後の2人は実は住友銀行から宇野氏と横山氏が入ったのだ。宇野氏は住友カードの副社長をやったので世間では郵貯のカード戦略を行なうのではないかと言われているが、店舗展開にも長けた人で郵貯の店舗についても相当手が入れられるのではないかと思う。戦略家で銀行業全般を有機的に切盛りできる人だ。もう1人の横山氏はさくら銀行との合併交渉を担当した人で、西川さんの懐刀と言われている。

8人のうち2人が住友銀行出身で固められたことから、竹中さんに近い宇田氏が宙に浮く可能性がある。これに竹中さんが反発したのではないかと思えるのだ。この勢力争いはまだまだ続く。今回の三井住友銀行に対する金融庁の処分は、こんな裏を連想させる不思議な処分だ。


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参考資料:

Microsoftエンカルタ総合大百科2006:「デリバティブ」

業務停止問題 三井住友銀、前頭取ら4人の責任追及 退職金一部返上など検討 [2006年5月11日読売新聞東京朝刊]

三井住友銀の独禁法違反事件 「前頭取にも責任」 与謝野金融相が指摘 [2006年5月10日読売新聞東京夕刊]

三井住友銀の業務停止 西川前頭取が陳謝 退職金返上「要請あれば従う」 [2006年5月9日読売新聞東京朝刊]

三井住友銀への行政処分 収益至上が原因 業績低下に直結も [2006年4月28日読売新聞東京朝刊]

日本郵政会社が8執行役員発表 三井住友銀出身2人 [2006年2月22日読売新聞東京朝刊]

「郵政」社長に西川氏 完全民営化「早期に」 新規事業に意欲表明/受諾後会見 [2005年11月12日読売新聞東京朝刊]

「郵政」社長に西川氏内定 剛腕トップ、手腕に注目 就任打診、1週間前 [2005年11月12日読売新聞東京朝刊]

日本郵政会社 初代社長に三井住友前頭取の西川氏 小泉首相、近く要請 [2005年11月11日読売新聞東京夕刊]

三井住友FGに改善命令 収益目標、3割下回る/金融庁 [2005年7月23日読売新聞東京朝刊]

三井住友グループ 北山FG社長、奥銀行頭取を正式発表 人事刷新で出直し [2005年4月20日読売新聞東京朝刊]

「最後のバンカー」退任 三井住友FG・西川社長の在任8年、不良債権で防戦も [2005年4月20日読売新聞東京朝刊]

三井住友赤字転落 業務改善命令は必至 3割ルール抵触、首脳陣の責任問う声も [2005年3月1日読売新聞東京朝刊]

三井住友、大和証券と統合視野 起死回生狙う「一手」 業績悪化に危機感 [2005年2月11日読売新聞東京朝刊]

三井住友FGの西川社長辞任へ 連結赤字の公算 UFJ統合も断念で [2005年2月4日読売新聞東京朝刊]

みずほ・三井住友の9月中間連結決算は減益 不良債権半減、半年前倒しで達成 [2004年11月23日読売新聞東京朝刊]

みずほと三井住友、大口融資先に不安要因も [2004年11月23日読売新聞東京朝刊]

沖原・UFJ銀頭取、全国銀行協会副会長を辞任へ [2004年10月19日読売新聞東京朝刊]

[ダイエー迷走から再生へ](中)銀行、威信低下浮き彫り(連載) [2004年10月16日東京朝刊]

増資、三井住友1500億決定 各行も追随へ 査定厳格化に備え [2003年1月16日東京朝刊]

今年度内に増資実行 三井住友銀・西川善文頭取インタビュー [2002年12月28日東京朝刊]

4大銀首脳、金融当局に注文/参院財政金融委 [2002年12月3日読売新聞東京夕刊]

「三井住友」持ち株会社を認可/金融庁 [2002年11月23日読売新聞東京朝刊]

金融再生プログラムを批判 4大銀行首脳が衆院財務金融委で [2002年11月15日読売新聞東京夕刊]

[激震・竹中リポート](上)不良債権増、主因はデフレ(連載) [2002年10月27日読売新聞東京朝刊]

反竹中声明 大手行、対決色一段と 首脳ら「米ルール強引に導入」 [2002年10月26日読売新聞東京朝刊]

「竹中PTは強引」銀行大合唱 「税金資産」扱い焦点 [2002年10月24日読売新聞東京朝刊]

「不良債権処理加速」竹中案に一斉反発 大手12行の首脳と会合 [2002年10月24日読売新聞東京朝刊]

参考サイト:

デリバティブの税務

金利スワップについて

日本郵政、執行役員を発表

鍵を握る西川善文氏の動向

マッキンゼーの歴史

Goldman Sachs Background


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