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医療事故無過失補償制度 政府は医師側に負担を求める:CPだけで毎年4000億円。1分娩あたり単純計算で40万円(大笑
http://www.asyura2.com/0601/health12/msg/224.html
投稿者 どっちだ 日時 2006 年 9 月 09 日 02:43:51: Neh0eMBXBwlZk
 

http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20060908
(新小児科医のつぶやき)

無過失補償制度を自民が検討

9/7付毎日新聞からです。

 自民党は7日、「医療紛争処理のあり方検討会」(座長・大村秀章衆院議員)を発足させ、多発する医療事故への対応策づくりに着手した。当面は、出産時の事故に関し医師の過失を立証できなくとも患者に金銭補償する「無過失補償制度」の創設に向けた議論をスタートさせ、年内に法案化への道筋をつけることを確認した。

 医療事故に絡む04年の民事訴訟は1110件で、10年前の約2倍。うち産科は143件で、件数では(1)内科(272件)(2)外科(228件)などに次ぐ4位だが、医師1000人当たりでは11.8件で最も多い。厚生労働省は「産科医の不足は訴訟リスクの高さが招いている面もある」とみており、被害者救済策に加え医師不足対策にもなるとしている。

 同制度に関し、日本医師会は税と妊産婦負担を財源とするよう主張しているが、政府は医師側に負担を求める考え。同検討会は厚労、法務両省、警察庁と財源や運営主体、補償すべきケースなどを検討し、年内に結論を出す方針だ。その後は、第三者機関による事故原因究明制度なども議論する。

医療危機のうち訴訟問題で医者が熱望している三課題、すなわち専門家による第3者審査機関、原則刑事免責と並ぶ無過失補償制度設立の動きです。第3者審査機関についてはどんなものになるか分かりませんが、厚生労働省が2008年発足を目指して検討すると言っていましたから、それに続くものと言えます。

この件については女医の愚痴先生が8/28に虚脱として既にエントリーされておられます。これもそのまま引用させて頂きます。

無過失保障制度について、日本医師会が今月8日、政府の公的支出と妊産婦の負担金を財源にした無過失補償制度の構想を発表している。これに対し、厚労省は「政府の公的支出は難しい」としており、産婦人科医側に負担を求めたい考えだ。補償の範囲については、母親と新生児の両方の被害を対象とする方向となっている。

国策を指導していく人たちの政策はどうしてこうもピントはずれなのだろう?産婦人科医に払えって?????え〜〜〜〜!頭の中に無数のクエスチョンマークが散乱した。昨今の理不尽な扱いを省みず、更に首を絞めろって?過失のない、やむを得ない病変であっても保証せよとおっしゃるのか?内科も人事ではないが、本当に、今現在も現場で頑張っていらっしゃる産婦人科医の先生方に敬意と・・・恐縮ながら同情申し上げる。

医療の諸対策がおかしなものばかりでうんざりするが、これまたメガトン級のmiss policy!になること間違いなしと、虚脱するばかり。

無過失補償制度設立のためには、2つの大きな問題が立ち塞がります。

1. 財源をどうするか。
2. 誰が無過失を認定するか。

女医の愚痴先生が虚脱されたのは財源問題です。医者が無過失であるのに、なぜ医者負担で補償しなければならないかという素直な疑問です。言い分は良く分かりますが、そこをあんまり強調すると患者側から「医者が無過失と言うのなら、患者は無過失の上、被害者である。なぜ患者が負担しなければならないか」と反論されます。患者側からそう言われれば、私如きの知恵ではそれを十分納得させる再反論が思い浮かびません。では政府の主張どおり医者が負担するのに賛成かと言われれば、女医の愚痴先生ではありませんが、無過失分まで医療側が全額補償するのに釈然としないものは残ります。

せっかく無過失補償制度が出来そうな気運があるのに、医者と患者の負担二元論で対立するのは好ましいとは思えません。もう少し根っ子からこの制度の趣旨を考えて誰が負担するかを考えるべきでしょう。なんと言っても無過失と謳っているのですから、誰の責任でも無いという前提があると考えます。前提として誰かが悪いという犯人さがしの制度では無いと言う事です。現在の司法制度では過失が無いところに補償は発生し無いという大原則があり、無過失補償制度は過失が無くとも被害が出れば補償するという制度だということです。

つまり過失を犯した責任者がいなくとも、被害者は厳然と存在するのですから、それを救済すべきだという制度なのです。言葉は悪いですが、今回は分娩に伴うものに限定して検討されるそうですから、分娩保険のようなものと解釈すれば良いかと考えます。分娩保険となれば、これを負担するのは当事者という事になります。当事者とは医者であり、産婦という事になります。原則としては当事者で折半が妥当な負担ではないかと考えます。

もちろん医者の中には「過失が無いのにその上で補償までさせられるか」の思いがある事は分かります。過失が無ければ現在では補償は全く不要であったのに、この制度では過失が無くとも補償させられるとは不可解だという声も出るとは考えます。ただそこの所の責任論に固執するとこの制度は進まなくなる怖れがあります。医者の言い分は私も医者なので理解は出来ますが、理解は出来てもこれを前面に押したてると猛烈な反発が出てくるのは容易に予想されます。

原則として折半と言いましたが、制度の運用ですから負担の分担が曖昧になる方法を行なうのがベターと思います。長々と書き連ねましたが、医療側と患者側の負担があまりにも明瞭になれば、その負担割合を巡って政治になる懸念が十分あります。そうしないためにも無過失補償制度と大見得を切るのではなく、上述した分娩保険の性格を強く押し出すべきじゃないかと考えています。

類似のものを強いてあげれば自動車の強制賠償保険のようなものです。分娩に当たっては必ず分娩保険に入らなければならないとし、その負担は医療側と患者側で折半すというものです。入ることを拒絶するなら、過失の無い分娩事故が発生したときに補償は無いというシステムです。もちろん私が考えたシステムも現在の厳しい現状から不都合は幾らでも数えられますが、あくまでも私見と思ってもらえたら幸いです。

もっと本音を言えば、負担の割合をもっと曖昧にするために全額国庫補償とするのがベストだと考えています。国庫補償といっても回りまわって、納税者全体が負担しているのですから、これがもっとも負担者が曖昧なシステムです。無過失補償制度の財源問題と「誰が負担するか」の問題は大きな問題ですし、制度の誕生を願う者としては不毛な患者 vs 医師の二元対立にだけならないように祈っています。

財源問題でえらく手を取られてしまいましたが、もう一つの問題である誰が無過失を認定するかです。ここで現在の司法システムを利用するのは避けるように制度設計をしてほしいと熱望します。過失の認定を現在の司法制度に委ねると、今まで以上に医療訴訟が増加する可能性を危惧します。訴える方にしてみれば、訴訟に勝てば賠償金、負けても無過失補償となります。もし訴訟に勝っての賠償金の方が無過失補償より相場が高いとなれば、まず1回戦は訴訟での風潮が強まってしまうと考えるからです。

これもまだまだ具体的な話が出ていませんので、限られた情報でのお話と御理解ください。

[コメント]

# newKamer 『 少子化が国全体の問題だというのならば(もちろんそうだと思いますが)国庫負担は特に問題なく妥当だと思います。私がものすごく単純に考えすぎているのかもしれませんが。』

# TRyTRy 『任意の保険で出産保険とか作るわけにはいかんのかな?
それとも、もうあるかしら?
海外旅行するときだって保険はいるでしょ.
海外旅行よりよっぽどリスキーだし.
あー、リスキーだから引き受ける保険会社無いか.』

# Yosyan 『

>newKamerさま

のっけから医師会は国庫と妊産婦負担を主張し、政府は医療者負担を主張していますから、財政問題も絡んで先行きは波乱含みと観測しています。

>TRyTRyさま

民間保険なら商売ですから、保険料の設定が問題になります。儲からないと話になりませんからね。基礎になる数字としてCP訴訟で考えてみたいと思います。

現在の訴訟相場はざっと2億と言われています。発生率は分娩1000件中2人ぐらいですから、4億円を1000分娩で負担する必要があります。そうなると1 分娩あたり単純計算で40万円という事になり、医療者と患者で折半しても20万円になります。さらにCP以外の補償もつくとすればさらに必要で、保険会社の儲け分を上乗せすると・・・なかなか民間ベースで事業にするのは難しいような気がします。』

# nsiku 『私も、newkamerさんの言うように、少子化が国全体の問題だと思うので、国庫負担は妥当だと思います。それから、乱暴かもしれませんが、乳幼児医療制度(自治体によって、1回の診療につき無料〜200円)のお金を一部分でも、こちらに回してもいいのかなと。

そしたら、ごく軽症児の小児科受診を抑制できて、小児科医の負担も少し減り、その分、重症児に時間を割いたり、本来の小児救急ができるのかな、なんてことも考えてみました。(批判は、多いでしょうが…)』

# Yosyan 『今回わざとエントリーには書かなかったのですが、日本医師会の提案というのは非常に現実的なものなのです。あっさり読むと医療側の負担が無く、妊産婦と国の負担を求めた、医療側に偏ったものに見えます。当然この点についての批判は起こると考えます。

ところがよく考えると妊娠、出産は基本的に自費診療です。自費診療であるなら医療側の負担を設定してもこれを診察費用に転嫁できます。結局は妊産婦負担という事になるのです。だから実質、妊産婦負担と医療側負担とはすべて妊産婦負担になるということです。

だから妊産婦負担と国庫負担という提案にしたと考えています。全額国庫負担の提案ではハードルが高すぎるので、妊産婦の一部負担ということで国の負担部分を大きくしようとの発想だと考えます。

政府の提案する医療側負担とは、見た目上は妊産婦に負担を強いることない、受けの良さそうな提案ですが、実質は妊産婦に負担を強いているものです。非常に簡単なカラクリですが、ほとんどの人間は見た目の医療側負担、妊産婦負担の文字で躍らされるのでしょうね。』

# Nijinsky 『医療関係者でもなんでもありませんが最近親になりました。

年間出生数が111万人,そのうち0.2%の約2000件で2億ということは,毎年4000億円です。
出産費用が50万程度としても,年間に5000億円。現状維持で全部の脳性麻痺に2億をあてはめると,ほとんどすべてが補償に消える計算になります。さすがにこれではどんな制度も成り立たないかと思います。
医師会では,無過失補償の対象となる脳性麻痺を1000件に0.25と一桁小さく見積もっているようですね。

これらに対して財源をどこに求めるのかということですが,本来なら国庫からの負担が当然だと思います。
一番の受益者となる妊産婦からは,個人的には「自分たちに保険をかけるように,生まれてくる子供にも保険をかけてあげて下さい。」というのを断る親も少ないと思ってますし,正直20数万の請求書の中に紛れていたら,見破る自信もありません(苦笑)。しかし,子供を産み育てることは各家庭におまかせで,ついでにリスクも負担も家庭に任せることが良いこととは思えません。医者負担も,結局は妊産婦の負担なので同じ事というのは同感です。

本来負担すべき国,というか厚労省も,無い袖は振れぬというでしょうし,受益者負担のたてまえもあり,すんなりと払いはしないでしょうけど・・・
妊娠出産の一部でも保険を適用して,国庫負担分を増すとかできないものでしょうか。
正直,現状でほっとくくらいなら,金で解決できるなら少しくらいなら出すから,はやく改善してくれというのが私の本音です。揉めてるうちに立ち消えるのだけは避けてほしいものです。

誰が無過失を認定するかについては,たいして問題はないのではないでしょうか。
無過失を認定するのではなく,過失・無過失は関係なく障害が認定されれば無過失補償制度で補償がされるだけで,これは普通に病院ででも認定できることだと思いますし,司法が介在する必要はないでしょう。

病院・医師に過失がありその分賠償を!という方は今まで通り訴訟に打って出ることになりますが,それでも今より無茶な訴訟は減るのではないかと思います(訴訟の場合は無過失補償制度からの補償は返還だったような記憶があります)。


妊娠出産に関する生命保険はありますよね。女性疾病特約みたいな名前で用意されているんじゃないかなあ。
妊娠が判明してからでは入れないのが普通ですが,一部には妊娠の判明後も入れるところもあるようです。
医者も医師賠償責任保険とかいうものに入っていると聞いたことがあります。

ただ,これら保険は事故を起こした医者や被害にあった被保険者には補償があるものの,新生児の先天的な障害などにはなんの手当もないわけで,これを補うために無過失補償制度が必要なんだと思いますし,だからこそ産科への適用が特に必要になるのだと理解しています。

素人考えで,その上長ったらしく妄言も多いかもしれませんが。。』

# Yosyan 『

>Nijinskyさま

決して素人考えでない御指摘と存じます。まず脳性麻痺の発生率は0.2%です。これは多くの産婦人科医が指摘されている数字です。ただし脳性麻痺児が出生しても全員が訴訟になるわけではありません。もし全員が訴えれば直ちに産科医療は崩壊する事は医者には良く知られた算数です。日医の計算はやや甘いかと思います。

私もコメント段階で試算して、あまりの巨額になるのに自分で驚いたのですが、無過失補償という事になれば、これまで訴えなかった脳性麻痺時にも補償は為される事になります。そのための制度ですからね。そうなれば受益者負担の原則といわれても、産婦人科医と妊産婦で支えられる制度ではないと考えています。出産費用が現在の倍以上にならなければ成立しない事になり、本当にアメリカ並みの費用になってしまいます。そういう意味で国庫負担が出てこないことには、制度自体の成立さえ危ぶまれます。

ただしここで問題になるのが、脳性麻痺児発生の原因という事になります。もちろん医療側に明らかな過失がある場合もありますが、脳性麻痺児の発症自体は大部分は胎内で既に起こっているというのが、産婦人科医の定説です。端的な例を挙げれば、NYでCP児の訴訟の嵐にさらされた産婦人科医は、少しでもリスクがあればすべて帝王切開に切り替えました。ところがCP児の発生数は全く変わらなかったのです。誤解を恐れずに言えば、難産になったからCP児が発生することは少なく、大部分はCP児だから難産になるということです。

ところがこの定説は全く世間に受け入れられていません。なぜなら証明しようが無い事だからです。CP児である事が分かるのは出生後であり、胎内にいる時に CPになっているかどうかを確認する術が無いと言う事です。そのためCPになったのが分娩時なのか、分娩前なのかについては訴訟では、ほとんど分娩時と認定されてしまいます。つまり医師の過失です。

この事を考えると産婦人科医の恐怖の対象である脳性麻痺児の訴訟リスクは、無過失補償制度が出来ても解消しない懸念があります。まともに補償すれば年間4000億円の費用が必要な制度など国が考える思えませんし、4000億円を全国3000の分娩施設に負担させるとも考えられません。すなわち脳性麻痺児はそのほとんどを医師の過失として賠償させる方針にしていると考えます。その中で無過失としか言いようの無いものが1000件当たり0.25人と計算していると私は考えます。

もちろん無意味な制度ではなく、常位胎盤早期剥離や、弛緩出血などは無過失の補償対象になることは十分考えられ、それなりの福音とはなるでしょうが、もっとも高額になる脳性麻痺児に対してはどういう扱いになるか、今後の制度のデザインに注目していきたいところです。』

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