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がん転移を招く危険な会話・正常な臓器が図らずもがん細胞を呼び寄せている可能性がある【日経サイエンス】
http://www.asyura2.com/0601/health12/msg/582.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 3 月 23 日 22:58:32: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.nikkei-bookdirect.com/science/topics/bn0705_1.html#1

正常な臓器が図らずもがん細胞を呼び寄せている可能性がある
東京女子医大のグループが興味深い事例を発見した


「がん(癌)がどの臓器に転移するかは,何によって決まるのだろうか」。
1889年のLancet誌で,腫瘍の転移を研究していたロンドンの外科医パジェット(John Paget)はこう問いかけた。がん細胞は体のどの部分にも同様に広がって不思議はないのに,実際には肺や肝臓など特定の臓器に転移が現れやすい。パジェットはがん細胞は植物の種子のようなもので,風に乗ってどこにでも飛んでいくが,「相性のよい土に落ちたときだけ成長できる」のだろうと考えた。
転移がんの定着場所を決定しているのが本当に“種子”や“土”の特徴なのか,現在に至るまで研究が続いてきたが,その両方とも重要な役割を果たしていると考えられる証拠が増えている。最近,この説に関して日本の研究者が興味深い研究を行った。がん細胞が遠く離れた肺の細胞と,病原体に対する免疫応答に関係するシグナル伝達メカニズムによって情報交換し合い,そこへ転移することを明らかにしたのだ。
この発見は,ある臓器が他の臓器に比べてがんの転移を受けやすいのはなぜなのかを解く手がかりにもなると,東京女子医科大学の丸義朗(まる・よしろう)教授はいう。「肺は体内で最初の防御システムなので,細菌に対して敏感だ。がんの存在を含め,どんなストレスも防御を担当する臓器によって認識されるだろう。私たちはそう考えている」。

がん細胞を招き寄せる“目印”

丸らはメラノーマ(黒色腫)か肺がんの細胞を健康なマウスの背中に注射し,がん細胞から分泌された炎症性物質が肺に反応を引き起こすことを発見した。がん細胞が肺に届くずっと以前から,反応が生じる。
この反応は免疫細胞のマクロファージと肺の内側を覆う肺内皮細胞によるもので,いわゆるS100ファミリーのタンパク質(正確にはS100A8と S100A9)ができ始める。丸によると,これらのタンパク質がより多くのマクロファージを呼び寄せ,それがさらにS100タンパク質を放出し始めた。最後に,がん細胞そのものが出現して,肺のなかでS100タンパク質の“目印”が付いた場所にコロニーを作った。
また,S100タンパク質(またはこれらによって誘導された2次的化学シグナル)は肺のなかに目印を付けるだけでなく,がん細胞に合図を送って招き寄せているらしい。培養がん細胞にS100タンパク質を含む肺血清を加えただけでも,がん細胞に小さな足(浸潤突起)が生じ,移動の準備が進んだ。また,マウスの体内でS100タンパク質が働かないようにすると,がん細胞の注入後にできる転移がんの数が劇的に減った。
肺で生じたS100タンパク質が遠くからマクロファージとがん細胞を呼び寄せるという事実から,正常な免疫応答が図らずも転移を招いているのだろうと丸は考えている。さもなければ「マウスの背中にがん細胞を注射するとなぜマクロファージが肺に移動するのか,まるで見当がつかない」という。

誘導シグナルを断て

がん細胞は損傷組織や炎症組織に親和性があることが過去の研究からわかっており,“修復部隊”を呼び寄せるのと同じシグナルががん細胞を損傷部位に引き寄せるのだろうと考えられている。
例えばニューヨークにあるワイルコーネル医科大学のライデン(David Lyden)とラフィ(Shahin Rafii)は,骨髄で生まれた血管前駆細胞が肺などの臓器に移動し,後にそこへがんが転移することを示した。まるでがん細胞に居心地のよい場所を前もって準備しているかのようだ。これらの前駆細胞がシグナル化学物質を認識できないようにするか,前駆細胞を骨髄から完全に取り除いてしまうと,がんの転移を防ぐことができた。
丸のグループの研究成果はNature Cell Biology誌に掲載されたが,ライデンとラフィは同時に載った論評のなかで,一連の結果を総合すると「転移はがん細胞の腫瘍化能力だけでなく,転移細胞を受け入れやすい“ホットスポット”が各臓器に存在するかどうかによっても左右されると考えられる」と述べている。さまざまな臓器のホットスポットが発するシグナルを正確に突き止めてこれを遮断すれば,転移がんにとってはるかに居心地の悪い“土壌”にできるだろうとラフィは考えている。

相互シグナルがカギ?

マウスの体内で,がんの転移先にあらかじめ骨髄細胞が集まる現象が認められているが,その場所は注入するがん細胞の種類によって異なる。肺がん細胞を注入すると骨髄細胞は主に肺と肝臓に移動するが,メラノーマの場合にはいろいろな臓器に広がる。これはヒトのがんの一般的な転移パターンと同じだ。
本文にあるように,この2種類のがん細胞を注入するといずれも肺だけにS100タンパク質が生じることが最近になってわかった。このため一部の研究者は,異なる種類のがんが発するシグナルが異なる臓器からそれぞれ独自の反応を引き出しているのだろうと考えている。がんと臓器の両方によって決まるこうした相互シグナルであれば,なぜほとんどの転移がんが特定の臓器に生じるのかを説明できるかもしれない。例えば大腸がんの転移先は95%が肝臓だ。

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