★阿修羅♪ > マスコミ批評3 > 255.html
 ★阿修羅♪
暴走する“名誉毀損” [JANJAN]
http://www.asyura2.com/0601/hihyo3/msg/255.html
投稿者 white 日時 2006 年 7 月 05 日 11:32:28: QYBiAyr6jr5Ac
 

□暴走する“名誉毀損” [JANJAN]

 http://www.janjan.jp/media/0607/0607037150/1.php

暴走する“名誉毀損” 2006/07/04
------------------------------------------------------------------------
 6月15日(水)18時30分より、東京・本郷の出版労連本部にて出版労連(日本出版労働組合連合会)主催による「シンポジウム 暴走する『名誉毀損』に立ち向かう」と題した集会(出版研究集会・分科会)が開催されました。報告者は、山崎豪敏さん(『週刊東洋経済』編集長)、松岡利康さん(鹿砦社社長)、日隅一雄さん(弁護士)です。

●山崎豪敏さんのお話
 『週刊東洋経済』は現在、クリスタルという業務請負業の会社から名誉毀損で訴えられ、裁判で係争中だそうです。2003年2月と6月、二度に渡って週刊東洋経済に掲載した、若年労働者の過労死などをめぐる記事が名誉毀損にあたるとして訴えられたものですが、その判決が2006年4月25日に東京地裁であり、罰金300万円(請求額は1億円)と記事取り消しの広告掲載を命じる判決が出たそうです。

 しかし、山崎さんは記事の内容については、記者が1年半取材し、裏づけとなる証拠の書類も入手しているので、「絶対の自信がある」と明言し、判決は「まったくの予想外」であると述べ、即日控訴したそうです。

 今回の判決の理由は、「記事の大部分について真実か、そうと信ずるに相当の理由がある」としながらも、記事の中で争点の43箇所のうち3箇所だけは「それが事実であるとする相当の理由が立証できないため」というものだったそうです。それに対し、山崎さんは、「ビックリした」と述べ、「大部分が公益性があり、真実であれば認められるべきだ」と反論しました。

 山崎さんによると、今回認められなかった3箇所について、「例えば銀座で男性と女性がコーヒーを飲んでいた。そのことは事実だが、女性の履いていたハイヒールの色が赤だと特定した。どうやって特定したか、取材が足りないから損害賠償を払えと言っているようなものだ」と述べ、「とんでもない判決」と批判しました。その上で、「書いた記事を一つひとつすべて立証していかなければならないとすると、記事は書けない」と裁判所の判断に疑問を呈しました。

 山崎さんの話によると、近年、企業を告発する記事を書くと名誉毀損で訴えられるケースが増えているそうです。わざと高額の慰謝料を請求し、経済的な打撃を与えて、告発記事を書くことを断念させようとするのが狙いだといいます。クリスタルは週刊東洋経済のほかにも、ダイヤモンド社、毎日新聞社を訴えているそうです。裁判は長期に及ぶので、時間をとられる上に、経済的負担も大きいそうです。

 裁判の費用が高いため、会社からすると「なにもしてくれるな」となりがちで、企業を告発する記事を書き、その企業に訴えられたとき、まず第一にしなければならないのは、会社にそのことを理解してもらうことだそうです。「社会のために記事を書いた記者が、まわりから問題を起こす記者と見られ、孤立していく。それを防ぐためには、まず内部に理解者を求めていかなければならない」と述べ、周囲の理解の必要性を訴えました。

 その上で、「どんな状況でも記事を書いていくしかない」と述べ、「アルゼ、武富士、クリスタルなど、書くと必ず訴えてくる。それを理解しないと、記者が孤立する。ミスった、危ない記者だと言われる。企業の不正を告発する記事を書くと、訴えてくるのは当然と考え、それをかわしていく。できるのはそれだけ」との考えを示しました。

●松岡利康さんのお話
 昨年の7月、大手パチスロ機器メーカー「アルゼ」と阪神タイガース球団に関する出版やインターネット上の記事をめぐり、神戸地裁に名誉毀損の容疑で逮捕起訴された鹿砦社社長の松岡さんは、逮捕されたときの様子や、裁判の経過、事件の背景にある問題などについて詳しく話してくださいました。

 松岡さんは阪神球団関係者とアルゼから名誉毀損で訴えられており、逮捕される前日も神戸地検で聴取を受けたそうです。逮捕についてはまったく「予想外だった」と述べ、朝日新聞の朝刊の一面トップに自分の逮捕状が出ているという記事を読んだお母さんがビックリして知らせてくれたそうです。窓から外を見ると、家の前にカメラがいっぱい集まっていて、あさ6時半に地検の捜査員が来て家宅捜索をしたそうです。

 家宅捜索は本社の事務所と東京本社でも行われ、あとで立ち会った人に聞くと、地検がもってきた箱では足りないぐらい、膨大な量を持ち運んで行ったそうです。「予想以上に大掛かりなものだった」と松岡さんは述べました。逮捕され、起訴された松岡さんは、2度の保釈請求が却下され、半年間もの長きに渡って拘留されました。しかも、最初の3ヶ月は接見禁止だったため、弁護士を介さないと外との連絡がとれず、松岡さんが拘留中、事務所は閉鎖。社員も1人を残して全員退職したそうです。

 今回の事件に対し、松岡さんは「鹿砦社だからやられても仕方がない。そう思っている人もいるかもしれないが、これが既成事実となり、拡大、再生産されていくのは目に見えている」と述べ、「決して他人事ではない」と警鐘を鳴らしました。また、出版社の人間が逮捕・長期拘留されること自体が大変なことなのに、そのことに対しメディアの反応が鈍いことに危機感を強めながら、「他人事だと思わず、自分たちの問題であることを考えてほしい」と訴えました。

 松岡さんはまた、「刑事告訴の場合、訴状がくるわけではない。水面下で行われ、ある日突然検察から呼び出しがくる。注意したほうがいい」と呼びかけながら、「言論の自由を机上でもてあそぶ時代は終わった。言論の自由は戦って勝ち取らなければならない」との認識を示しました。

 今回の事件について松岡さんは、「検察権力に徹底的にやられた。絶望的な気分。検察に狙われたらどうしようもない。マスコミは事件に対し、無関心か無視。だが、問題の本質をしっかり受け止めてほしい。この戦いはたとえ1人になってもやり抜く。命をかける。検察が強権を発動するときの怖さについては、絶望的である」と述べました。

 ・JanJan関連記事:鹿砦社事件の本質は言論大弾圧への予行演習(新島學)2005/12/22
  http://www.janjan.jp/media/0512/0512210614/1.php
(次ページにつづく)

(ひらのゆきこ)


 http://www.janjan.jp/media/0607/0607037150/2.php

暴走する“名誉毀損” 2006/07/04
------------------------------------------------------------------------
(前ページのつづき)

●日隅一雄弁護士のお話
 名誉毀損の賠償金が高額化していることに対し、日隅さんは、「自民党が選挙で勝てなくなっているということに尽きる」との見方を示しました。民事の場合、損害賠償の金額は100万円ルールというのがあったそうですが、自民党が圧力をかけ、500万円ルールになり、いまはさらに高額化しているそうです。

 賠償金の額が増えたのは、「自民党の圧力があったからだ」と述べ、「名誉毀損によって言論を弾圧するのが目的」との見方を示しました。また、アメリカでは訴えたほうが自らの身の潔白を立証しなければならないが、日本の場合は逆で、訴えられたほうがそれが事実であるか立証しなければならないのはおかしいと、現在の裁判の在り方に疑問を呈しました。

 日隅さんの話によると、弁護士にも様々な圧力がかかっているそうです。元民主党の西村眞悟衆院議員は、弁護士法違反(非弁活動)と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)で逮捕されましたが、いままで弁護士に対し、この組織犯罪処罰法違反が適用されたことはなかったそうです。拡大される恐れがあり、本当は弁護士たちが「おかしい」と声をあげなければならないのですが、あいつは右翼だからしかたがないと思っている弁護士もいて、「鹿砦社の場合と同じように、弾圧しても反対の声が結集しにくいところを狙ってくる」と権力側の巧妙なやり方を批判しながら、「実績を積んでどんどん拡大していくことは目に見えている」と警鐘を鳴らしました。

 日隅さんは、現在の刑事事件の現状について、「形式的にあてはまると、実質的に判断せず、どんどん逮捕する。ビラまき事件が典型的。選挙違反についてはとくに執拗になり、小さな事件で捕まえ、長期間放さない。検察官の歯止めがきかなくなっている。政治家から圧力を加えられ、警察が放さない。その一貫として名誉毀損で言論を弾圧する流れになっている」と述べ、バックにいるのは政治家であるとの認識を示しました。

 この状況を変えるためには「メディアが連携して世論に訴えるしかない」と述べ、「政治家は世論を無視できない。選挙があるので政治家は世論の反対を押し切って強行はできない。共謀罪のときも世論の反対の声が大きかったからだ」と述べ、メディアが連携して世論に訴え、反対の声をあげていくことが必要だと訴えました。

●当日の質疑応答
質問「松岡さんがやられたのは、アルゼに天下っている警察との癒着を書いたからか」
松岡「わからない。いまでもなぜ逮捕されたのかわからない。取調べは紳士的で、1日2時間ほどだった。警察とアルゼの癒着について指摘されているが、警察官僚がアルゼに天下っているのは事実だ。

 逮捕してなにかを聞き出すというより、逮捕拘留自体が目的だったのではないか。中小企業の場合、社長が逮捕拘留されたら会社はつぶれる。経理関係の書類もいっぱいもっていかれ、1年経ったいまもまだ戻ってきていない。今回の事件が既成事実されていくと、すべてのメディアが狙われる。関心をもってほしい。一審の判決が7月4日に出る。当初は20人ぐらいの証人を考えていたが、取材源の秘匿を守るために裁判で証人申請はしなかった。検察は懲役1年6月を求刑しているが、無罪になることを信じている」

質問「逮捕され、長期間拘留されたときの思いを聞きたい」
松岡「一番悔しかったのは、なにもなすことができなかったこと。拘留中、事務所は撤去され、電話一本できない。意の及ばないところで、苦労して続けてきた会社がつぶれた。税務署と銀行が気を遣ってくれた。今回の事件の情報を公開したい。注目してほしい。裁判の経過を報告したい。この事件を一つの特殊なケースではなく、予想されるケースとしてみてほしい」

質問「クリスタル裁判の判決で事実と認められなかった3つの点について聞きたい」
山崎「1つ目は、Kさんという若者が過労で亡くなったと書いてあるが、もし過労で亡くなったのならKさんのお母さんが訴えているはずだ。訴えていないので、過労で亡くなったとは断定できないというものだった。しかし、過労で亡くなったすべての遺族が裁判に訴えるわけではない。裁判所の判断はおかしい。

 2つ目は、『業務請負業者が乱立している現在、1社が社保の会社負担分を値下げ原資に回して・・』という記事に対し、1社だけとする根拠を立証することはできないというもの。3つ目は、『1人臆することなく人材を右から左へ流すだけの派遣形態を強行してきたのがクリスタルだ、と業界関係者は口をそろえる』と記事にあるが、クリスタルがやったことは認めるが、クリスタルとだけとしたことについて立証しろというもの。まるで揚げ足取りだ。これでは記事は書けない。記事の全体は信じるに足るとしながら、立証できないことをついてくる。裁判所の判断はまったく理解できない」
------------------------------------------------------------------------
 当日、会場には、鹿砦社の事務所が撤去され、社員が全員やめたあとも1人残り、「紙の爆弾」を出し続けた編集者や、大企業を訴え、裁判を起こした女性などもきていて、それぞれ発言をしました。鹿砦社の編集者は、「ともかく雑誌を出し続けなければならないと思った」と述べ、大企業を訴えた女性は、「自分の訴えを報道したメディアはなかったが、今日話を聞き、さまざまな圧力の中で不正を書き続けている記者や出版社があることを知り、是非頑張ってほしいと思った」と語りました。

 また、会場に来ていた朝日新聞の記者は「裁判の判決が出ないと報道ができないといった状況にあるが、鹿砦社の判決はしっかり報道したい」と述べました。最後に出版労連の委員長から「メディアの連携が必要である」との考えが示され「そのためにできることをしていきたい」との決意が表明されました。

(ひらのゆきこ)

 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲このページのTOPへ HOME > マスコミ批評3掲示板


  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。