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悪しきことも恥ずべきこともテレビで騒いでくれりゃ認められたってことよ
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投稿者 黄昏時のパルチザン兵士 日時 2006 年 7 月 22 日 19:59:09: WCbjO5fYf.pMQ
 

かつては社会に告知されることが、とても怖かった。愚かなことが社会に知られることによって、悪しきこと恥ずかしきことになり、とても顔向けができないと思うのが、常識人の感性であった。
子どもであれ、大人であれ、かつての人間は、愚行も悪事も自分の大きさにそった限界を知っていて、ギリギリのところでピタッと停めた。そこで停めている限りに於いては、若いからとか、男だからとか、女だからという妙な思いやりで猶予を与えられた。これが、大目に見て貰えるということである。
しかし、そのギリギリの限界―これは不思議なことに人によって違う―を、ちょっとでも越えた瞬間、手酷い仕置きを受ける。社会が許さないという風が吹く。
だから小社会で通用する甘えが、大社会では全く通用しないとことを自然に教えられ、常識の怖さと必要性を同時に学んだのである。
それが全く逆バネで働くようになったのはいつからであろうか。小社会の悪が大社会で恥にもならず、お仕置きも受けなくなったのである。
やはり、テレビの時代になってからで、それも、ワイドショ―という社会ネタを拡大エンタ―テインメント化するようになってからである。
テレビも、はじめから面白がればいいというつもりではなく、荒れた学校にしろ、積木くずしにしろ、年越し暴走族にしろ、公徳心なきファミリ―にしろ、また、プチ家出にしろ、援助交際にしろ、殺人ごっこにしろ、警告や啓蒙のつもりはあったと思う。
今、社会にあること、傾向化しつつあること、これを見捨てていいものかと、きっと思っている。だから、悲惨な実例をナレ―ション付き、音楽付きで劇的に見せる。きっと現状直視が未来を救うと意気込んでやるのだろうが、結果、大抵の場合は逆効果になる。劇的が煽ったのだ。
「あれをやっちゃおしまいよ」と思ってくれるのが、常識人である。しかし、現代で最も欠落している人の資質が、この当たり前の感性だということを忘れてはならない。
くり返すが、劇的に見せることによって、現代人―あえて日本人といわないが―はその社会性に安心するのである。テレビが取り上げたことによって、大きな社会に通用する悪事にバ―ジョンアップし、お墨付きを与えてしまうのである。
本来怖くてたまらない社会の目が、もっともっと怖がられていい筈のテレビ効果で、堂々と認知されたと胸を張ることになる。ゴミ屋敷の住人も騒音の隣人も、恥ずかしき例ではなく、むしろ、注目された人として類似を呼ぶ。
「人のふり見て我がふり直せ」は、もう通用しない。「あいつもやるなら、おれもやる」で、啓蒙も奨励になって、警告にならないのだ。

産経新聞 2006 05 27   阿久悠 書く言う   

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