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立花隆氏のザ・タイムズ評 [小林恭子の英国メディア・ウオッチ]
http://www.asyura2.com/0601/hihyo3/msg/328.html
投稿者 white 日時 2006 年 7 月 30 日 01:14:37: QYBiAyr6jr5Ac
 

□立花隆氏のザ・タイムズ評 [小林恭子の英国メディア・ウオッチ]

 http://ukmedia.exblog.jp/3309560/

立花隆氏のザ・タイムズ評

大衆化、低俗化

 ネットを見ているうちに、立花隆氏の「メディア ソシオ-ポリティクス」というサイトの中で、「ザ・タイムズ紙の豹変に新聞の来るべき未来を見た!」というコラムを見つけた。今年8月25日にアップされたもので、やや前の話になるが。
http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050825_shinbun/


 タイムズ紙の「変貌振り」を書いているが、変貌する前のタイムズの紙面がどうだったのか、自分自身はつかめていないのだけれど、英国に来てすぐの頃〈2002年ごろ〉、英新聞紙面〈1面〉を見て、実際に驚いたことがあったことを、思い出した。

 「デイリーテレグラフ」紙で、例えば1面のテレグラフという表題の上に、半裸の女優の写真が載っている。あるいは、テレグラフの3面では、どうみても新聞というより週刊誌の社会ネタを大きく1面を使って扱う。感情に訴える記事が多い。

 タイムズ、ガーディアン、インディペンデント、テレグラフは高級紙・クオリティーペーパーとされているが、大衆紙・タブロイド紙とされるサンやデイリーミラーなどに近いような紙面構成も見受けられる。特に顕著なのが、テレグラフやタイムズかもしれない。高級紙の大衆紙化という現象があるのは確かだ。低俗化、というと一番分かりやすいように思う。

 確かに、こういう傾向は嘆かわしいのだろうと思う。

 何故こうなったのか?にはいろいろな説があるが、1つにはテレビやラジオでの24時間ニュース報道が日常的になり、どんな小さなネタでも大げさに、ドラマチックに、面白おかしく書き立てる傾向に拍車がかかったこと、新聞の価格値下げ合戦が続いて、とにかく読者の目を引く記事を出す必要があったこと、などがあげられてきた。

 「高級な質」を期待して読むような、一部の知識層よりも、一人でも多くの読者を獲得したいという、競争の激しいといわれる英新聞界の事情もあろう。(英国では日本のように自宅での定期購読率が高くないので、多くの人が、その日の紙面構成を見て新聞を買う。)

 それでも、タイムズは2005年の最優秀新聞賞をもらっているが。(前回のエントリー参照。)

 嘆かわしい現象は、英国の学者なども指摘している。

 しかし、低俗な紙面構成や、質の高い分析記事や報道がごったに混ざっているようなタイムズ、あるいはテレグラフという存在も、それはそれでおもしろいようにも、少し思う。例えば、朝、眠い頭で新聞を開くとき、政治の話よりも、ポップスターの遺産がどうなったか、ダイエットには何が一番いいのか、などの軽い記事を先にじっくり読んでしまうことが、私の場合はちょくちょくある。

 もう1つ、立花氏のコラムを読んで思ったのだが、ある日のタイムズが国際ニュースを1面に入れていなかったことに驚いている様子だが〈私も驚くだろうと思うが〉、実際、英国のメディア関係者から、「英国の新聞は国際報道が少ない」という声を何度か聞いた。唯一、国際報道がある程度充実しているのは、フィナンシャルタイムズだそうだ。

 また、英国の新聞が日本の新聞と違うところは、中立であろうとしない点だろう。例えばニュース報道1つをとってみても、国民の間では、BBCなどの放送のニュースに信頼感が最も多く置かれており、新聞のニュースの信頼性はあまり高くない。それぞれの新聞のスタンスによって、様々な現象を、独自に分析するのが新聞、と理解されているようだ。

 日本の新聞と英国の新聞を比較するとき、同じ「新聞」ではあっても、国民の見方、社会における位置の違いなどが、それぞれ違うようにも思った。

 などなど、いろいろなことを考えてしまったが、非常に含蓄のある立花氏のコラムを以下に貼り付けます。


立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」第42回 ザ・タイムズ紙の豹変に新聞の来るべき未来を見た!2005年8月25日
イギリスに来ていちばん驚いたのは、「The Times(ザ・タイムズ)」紙の変貌ぶりだ。

オーストラリアのメディア王、ルパード・マードックが同紙を買収してから、「世界一のクオリティペーパー」といわれていた同紙がタブロイド版になり、内容も大衆化するなど、すっかり変わってしまったと聞いてはいたが、まさか、これほど変わってしまったとは思いもしなかった。

マードックに買収されたザ・タイムズ紙の変貌

たとえば本日(8月23日)の同紙である。題字のすぐ下にあるカラー写真付きのトップ記事のタイトルが、「OZ(オージー)ダイエット いかにして12週間で体重を減らすか」というオーストラリアで開発された新しいダイエット法の解説である。

これは写真とタイトルだけがトップに派手にのり、本文はずっと後の中折りの中にある。

もうひとつトップで大きな写真付きの記事で大きく紹介されているのが、いまなお活発な活動を展開しているローリング・ストーンズのミック・ジャガーのことである。彼はすでに62才になり、グループ全員の年を足すと245才になるという。それでもこれから世界ツアーに出かけ、今後18カ月間に、35回のコンサートを開く予定という。これも頭にあるのはほんの短い紹介で、記事の本文は、ずっと後の21面にのっている。

1面に活字でタップリ書かれた記事らしい記事は一つだけなのだが、その中身は、イギリスにある13万軒のレストラン、パブ、クラブの営業時間が、これから真夜中まで延長され、週末には午前2時まで延長されるという記事である。

政治も、経済も、国際関係も1面からは完全に消えてしまっているのだ。

これがかつて世界一のクオリティ・ペーパーといわれた「ザ・タイムズ」かと唖然とした。

しかし、それでも、内側のページを繰っていくと、活字のページがしっかりある。

「ザ・タイムズ」とならんで、世界のクオリティペーパーの代表格だったアメリカの「ニューヨーク・タイムズ」にしても、もともと広告のページが相当多いとはいえ、活字のページがしっかりあり、内容もしっかりある。

新聞がメディアのトップにあった時代はすでに終焉
それにくらべて、「ザ・タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」とならんで「世界の三大クオリティペーパー」と自称していた日本の「朝日新聞」(ちなみにこんなことを主張していたのは日本の朝日新聞だけで、よその国の人は誰もそうとは思っていないだろう)はどうかというと、最近は情けなくなるほど、紙面の質が落ちている。

全面広告がやたらにあって、読むところが少なすぎる。手近の新聞をかぞえてみたら、全36面のうち、全面広告ないし全面が広告で埋めつくされた面が10面あって、その他、3段〜7段の広告を足しあわせると、約6面あって、要するに半分近くは広告だ。それに私は、スポーツ欄、テレビ欄、株式欄、家庭欄、投書欄を一切読まないので、読むページが本当に少ない。広告がたくさん入るのは結構なことかも知れないが、読者としてはそれに紙面の充実がともなわなければ、思わず「金返せ!」といいたくなる。

活字の量が落ちただけでなく、紙面の質が驚くほどおちている。そのあたりが、ニューヨークタイムズとはまるで違うところだ。

質が低下しているのに、購読料金が高すぎることもあって、私はかなり前から、もう朝日新聞をとるのはやめようと、何度となく思いつつ、長年の習慣でなんとなく取りつづけてしまっている。

前は新聞を読まないと時代に遅れると思っていたが、最近のように海外にいる日が多くなると、日本のニュースはインターネットで読むのが中心の日々がつづく。そのうち日本のニュースはネットで読むだけで十分ではないかと思うようになってきた。

実はかなり前から、大学生で新聞を毎日きちんと読む人は完全に少数派になってしまっている。

東大で前から年1回はジャーナリズムについて教える講座を持っているため、毎年その場で簡単な調査をしているが、もうこのトレンドは完全に固定している(ほとんどの学生がニュースはテレビとネットで知るのだ)。この傾向は東大だけでなく、他大学でも同じだと思う。

大学生の質が低下したのではなく、新聞はニュースが遅い上に、内容の質が低下したために、大半の学生が読む必要を認めなくなっているのだと思う。

日本の新聞人たちは、いまでもほとんどの人が、メディアのトップは新聞だと思っているし、ちょっと古い一般社会の有力者たちもそう思っているようだが、実は新聞が「社会の木鐸」といわれ、メディアのトップにあった時代はすでに終わっているのではないか。

大学生が捨てたメディアが「社会の木鐸」でありうるわけがないではないか。

海外に比べてネット対応が遅れる日本の新聞社

「asahi.com」は、インターネットでよく読まれているようだが(私もよく読む)、「CNN.com」などと比べると、ニュースの量も質も驚くほど低い。インターネットのページの作り方もまるで水準が低い。

それでも「asahi.com」が他紙のページにくらべると、まだましといえるのは、海外のメディアのインターネット対応にくらべて日本のメディア全体のインターネット対応が驚くほど遅れているため、その中では朝日が少しはマシというだけの話で、グローバルスタンダードとくらべて、「asahi.com」が特にすぐれた水準にあるということでは全くない。

私は朝日新聞に知り合いも多いが、たいていの人が、朝日はメディア大変貌の時代にすっかり乗り遅れてしまったのではないかという危機感を持っているようだ。

いつまで新聞の購読をつづけるか、もう一回迷ってみようと思う。

〈以上、貼り付け終わり〉


 また思ったが、「テレビ欄、投書欄、家庭欄」を一切読まない、というのは、なんだかもったいないような気がするが、どうだろう?(といっても、私も全部の記事は読まないが。)

by polimediauk | 2005-12-31 22:10 | 新聞業界 | Trackback | Comments(0)

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