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金正日軍事独裁政権を打倒して南北朝鮮を平和的に統一し朝鮮半島を非核化する以外，東アジアに恒久的な平和を確立する方途はない．金正日体制を２００８年までに転覆することができなければ，北朝鮮問題が中東におけるイスラエル問題（パレスチナ問題とも言う）とともに第三次世界大戦を誘発する過敏な発火剤(inducing agent)となることは避けられない．すでに時間はあまり残されていない．現在見込みのありそうな平和的解決策は，高世仁氏が提唱されている「住民の大量脱出を促進することで体制を崩壊へ導くという一種の民主化プロセス」しか見当たらない．もちろん実際に生起する事象がシナリオ通りのものになるとは限らないが，少なくともゴールへの道筋を示すガイドラインの役割を果たすことはできるだろう． 余談ながら――ミサイル乱射の直前に姿をくらました金正日の行方を探る手がかりは今のところまったく無いと言ってよいが（もしすでに亡命しているのでないとすれば，つまり国内に留まっているとすれば），彼は今独裁者が多額のコストと時間をかけて構築してきた地下要塞に閉じ籠っていると考えてほぼ間違いない．（彼らは長年の経験を経て蓄積された地下トンネル掘削技術は世界屈指であると自負している）要塞は地下１００メートルよりも深くに建設されていると考えられるので，おそらく核弾頭を備えたバンカーバスターによっても破壊することはできないだろう．しかし，地下に籠もっているということは必ずしも１００％確実な安全を意味しない（逆に袋のネズミである（＾＾）．つまり，入り口（複数ある）を何らかの方法で封鎖し電力の供給と通信チャンネルを遮断することができれば，数ヶ月も持ち堪えることができないだろう．もちろんこれは軍事行動を伴うので，「平和的解決策」という選択肢からは排除される．＾＾； 現情勢においてもっとも重要なポイントは，７月１５日の歴史的な安保理制裁決議案が中・ロを含む満場一致で可決されているという点である．このような画期的な決議が成立したことの黙示的バックグラウンドとして我国の憲法九条の存在があることは今更解説する必要もないだろう．逆に言えばこのような条件を欠いた中東では国連はイスラエルのレバノン侵攻の前になすすべもなく，事態は周辺アラブ諸国を巻き込んでむしろ拡大の方向に進みつつあるように見える．ここで，これと連動してイランの核・ミサイル開発に北朝鮮が深くコミットしているという事実を見るべきである．中東問題は北朝鮮問題よりはるかに難しい問題であるが，少なくとも北朝鮮問題は中東問題を解決する前に解かれなくてはならない補題(lemma)である． 換言すれば，現在もっとも緊要な課題は日・米・韓・ロ・中の関係５カ国が揺るぎないスクラムを組んでことに当たるということであり，２００６年において始めて達成されたこのタイトなスクラムを崩すようないかなる政治的行為も国家の安全保障に挑戦する重大な反逆と看做されるということである．この意味でこのような時期に関係諸国の信頼関係を崩すようなパフォーマンスをちっぽけな自己満足のためにあえて行うような宰相がどこかの国に存在するなどということは想像することすら難しい．これはもちろん，自公政権がアメリカのイラク侵略にコミットしたように，米国の政策に唯々諾々と追随することを意味するものでないことは言うまでもない． 議員立法により２０００年に成立した児童虐待防止法（２００４年改訂ではドメスティク・バイオレンスなどの条項を追加）では，児童虐待の事実があるときにそれを関係機関に通告することをすべての全ての国民の義務とするばかりでなく，特に児童との関わりが深い学校の職員や医師などはその早期発見に努めなければならないとしている．防止法で規定する虐待行為の類型には以下の４つがある．①身体的虐待（殴る、蹴る、冬に外に閉め出すなど、体に傷を負わせたり、生命に危険を及ぼすような行為），②性的虐待（関係の強要や、性的ないたずらをする行為），③心理的虐待（子供を傷つける酷い言葉や、極端な無視など），④養育の放棄・怠慢（適切な衣食住の世話をせず放置したり、病気なのに医師に診せない、家に閉じこめ学校へ通わせないなどの行為）．この法令は１９８９年国連総会で採択され，１９９４年に批准された「児童の権利に関する条約」に準拠するものである． このような人道的・人権的見地から金正日の独裁体制を見るとき，圧制国家の国境を開放して脱出を勧めるというのは，親から虐待された児童を一時保護所に緊急避難することとまったく同じであり，ある意味で隣人（隣国）の義務でさえあると言うべきだ． もし中国が難民（脱北者）受け入れに踏み切るとすれば，それは事態を大きく転回する劇的な転換点になることは間違いない．そのためには，近隣諸国のバックアップが不可欠であることは言うまでもない．基本的にはこれらの難民は一義的には韓国が養うべきものとするのが妥当であるとしても，南北統一までの期間は国際社会全体で「面倒を見る」以外ない．日本にはすでに６０万人に及ぶ在日コリアンが存在し，特に北朝鮮工作員・統一教会員が跳梁跋扈するという目下の環境の中で，北朝鮮難民の受け入れには国内的摩擦を避けられないという困難を伴うが，むしろ積極的に加担し勇気を持って前向きに取り組むべき課題である． この課題を遂行するために私は以下の具体的政策を提案したい．つまり，①東アジア平和担当の特命大臣を任命し，②北朝鮮人権法に３００億円の予算を付けて具体的な活動を支援するというものである．３００億円は米軍のグアム移転費用として請求されている３兆円の１％に当たり，米国が「北朝鮮人権法」に割り当てている予算１億ドルの３倍に相当する金額である．きくちゆみさんはかねてから「平和省」の設立を呼びかけておられるが，もし「平和省」のご提案が単なる日本国憲法九条のカタログ・セールス以上のものであるとすれば，平和省の具体的仕事の第一歩はここから始まるのではないかと考えるものであるが，いかがだろう？私はこの「平和への投資」は（軍事予算などに比較し）決して高いものではないと確信する． 【参照記事】
先ずお読みください！参照記事→『金正日体制は平和的に打倒すべきである』 ｂｙ 高世仁
画像ソース→http://www.jakvydelat.com/domestic-violence/
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『金正日体制は平和的に打倒すべきである』 ｂｙ 高世 仁
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