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パソコンはテレビの敵なのか?――Appleの教え【Tech-On】
http://www.asyura2.com/0601/it09/msg/517.html
投稿者 ダイナモ 日時 2007 年 3 月 10 日 13:33:18: mY9T/8MdR98ug
 

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20070309/128632/

 3月12日号の特集で,映像配信を取り上げた(「テレビ+YouTubeの未来」)。この特集の企画が持ち上がったときから筆者がずっと考えていたのが,いわゆる「TVセントリック」という考え方の是非である。ちなみにTVセントリックという言葉は,Intel社のViivなどパソコンを中心にしてリビングを攻略しようというPC業界の「PCセントリック」戦略への家電メーカーの対抗策として浮上し,一部の業界関係者が使い始めた言葉である。

 折りしも,昨年末にはApple社が「Apple TV」を発表した。iTunes Storeで購入した映像をパソコンからテレビに出力するためのアダプタである。PCセントリックな製品と位置づけられよう。これに対し,日本ではテレビ・メーカー5社などが組んでテレビポータルサービス(TVPS)を設立,テレビ向けに特化した共同ポータルサービス「acTVila(アクトビラ)」をスタートさせた。2007年度内にこのサイトからストリーミング形式のVOD(video on demand)による映像配信サービスをスタートさせることも計画している。PCレスでもこうしたサービスを利用できるようにするもので,この好対照ぶりが,いつも頭の中で引っかかっていたのである。

 筆者が考えたいと思ったのは,Apple社のiPod/iTunesは何を証明したのか,という点である。Apple社にとっても,日本の家電メーカーと同様にWindowsパソコンはライバルだったはずである。しかし,Apple社は,Macだけではなく,普及台数で圧倒するWindowsパソコンの多くにiTunesをインストールさせることに成功し,不動の地位を確立した。

 Apple社にとっても,ここまで来るには苦労があっただろう。当時私は,別のメーカーのMP3プレーヤを所有していたが,いつもiPodの打ち出してくる価格の安さに驚愕し,いわゆる「負け組」の悲哀を味わったものである。しかし,その後の買い替え時に私が選んだのは日本の某メーカーのプレーヤである。その方が安かったからである。iPodはもはや決して安いわけではないが,高いシェアを維持している。それどころか,iTunesを核にして,ケータイに,そしてテレビ(STB)へと進出しようとしているのである。しかもiTunesの普及は,Microsoft社やIntel社に何らの利益をもたしてない。もちろん,配信ビジネスの主導権もApple社がしっかり維持している。つまりApple社の快進撃は,たとえMicrosoft社や Intel社がライバルだとしても,パソコンそのものは決して敵ではないということを証明したと言えるだろう。

 そう考えたとき,テレビや各種AV機器を擁する家電メーカーにとって,「TVセントリック」という戦略にどれだけの意味があるのか,非常に疑問を感じるようになってきた。今は,ブロードバンドの急速な普及とともに,電力線通信や高速無線LANが実用化の段階を迎えて,家庭内ネットワークもいよいよ立ち上がる可能性が見えてきた。そのとき,テレビとパソコンは対立するものなのだろうか。むしろ,テレビや各種のデジタル家電をより便利にする手段として,家庭内ネットワークを通じてつながるパソコンを使いこなした方が得策ではないか,と思うようになった。

 こう考えたときに,いくつかのシナリオが考えられる。第1のシナリオは,テレビや録画機と一緒に,各種のAV機器を制御するパソコン用のソフトウエアを用意することである。このソフトウエアは単に,家庭内の機器を制御するだけではなく,インターネットの世界で日々発展するサービスとのゲートウエイのような役割を果たすことになる。Apple社のiTunesは,普及したといっても,所詮はiPodの所有者が中心である。これに対し,日本の家電メーカーは,テレビ,デジカメ,各種のプレーヤ/レコーダ機器など多様な機器を扱っており,それなりのシェアを獲得している。消費者へのリーチという点では遥かに勝っている。この強みを生かせば,出遅れたとはいえ十分に巻き返すことができる可能性がある。

 第2のシナリオは,テレビだけではなく,パソコンやケータイも対象にしたサイトを用意することである。例えば,テレビ向けだけではなく,パソコンや携帯電話機にも映像を配信する。このとき,DRMはテレビ向けと同じ方式「Marlin DRM」を利用する。サイトの運営主体は,国内ではテレビポータルサービスが候補になるだろうし,海外では第三者と組む手もある。現在の映像配信ビジネスはパソコンが中心だが,これに対抗するときに「テレビ」というのではなく,たとえば「パソコン+テレビ」として,コンテンツ供給者に訴求しようという戦略である。


もっと楽しい世界を提案できれば・・・

 なぜここまでパソコンを重視するのか,という理由は,双方向型の利用に向けたユーザー・インタフェースとして,キーボードやマウス,テンキーにテレビのリモコンが勝つのは難しいと思うからである。リモコンは,「ながら視聴」とか,いわゆる10フィート・インタフェースとしては優秀だが,アクティブな操作にはそれほど向かない。テレビの電源を入れているときは,画面一杯に映像を表示させたいわけで,ディスプレイの一部に別の画面を表示したいとはなかなか思わない。

 さらに言えば,既にブロードバンドが普及している国・地域のユーザーは,パソコンを使って各種サービスを利用している。いまだにブロードバンドを利用していない人にとっては,たとえばデータ放送の活用で十分であり,テレビがブロードバンドにつながるようになったからといって,そのためにADSLや FTTHを導入するのか,非常に疑問に感じる。TVセントリックという考え方だけでブロードバンドの時代に勝負をかけるというのは,最初からビジネスの対象が非常に限られてしまうのではないだろうか。

 筆者は,TVセントリックという考え方自体を否定しているわけではない。「テレビを購入するだけで,ある程度のことができる」ということはすばらしい。それに加えて,「テレビなどを家庭内ネットワークにつないでパソコンにソフトをインストールすればもっと楽しい」という世界を提案できれば,もっとすばらしいことだと思う。

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