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情報サービス産業が比較劣位なのに、政策支援等でリソースを抱え込み続けるのはかえってイノヴェーションを阻害する行為である
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投稿者 TORA 日時 2007 年 5 月 16 日 09:58:20: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu143.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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情報サービス産業が比較劣位なのに、政策支援等でリソースを抱
え込み続けるのはかえってイノヴェーションを阻害する行為である

2007年5月16日 水曜日

◆インド人がやった方が儲かる事は、インド人にやらせればいいじゃん。 5月14日 bewaad institute@kasumigaseki
http://bewaad.com/

ずっと前にarnさんが指摘されたことですが、情報サービス産業は日本において比較劣位にあるのでしょう。それをなんとか延命ないし発展させようというのは、多大なる非効率をもたらしてしまうわけで。Web2.0の代表的企業とされるGoogleに、日本ではそれを上回って利用されているYahoo!にしたって、現にインドに開発拠点をシフトしつつあるわけで、その流れは加速されこそすれ、減速、まして逆流するはずもないでしょう。

#Googleにしても、アメリカでないと絶対にできないことというのは、広告市場を押さえることで、そこでの稼ぎこそが彼/女らの競争力の源泉なわけですから。好待遇をもって知られる開発環境にしても、広告での儲けがなければ絵空事でしかありません。

経済産業省が必死になって旗を振っていることではありますが、比較劣位にある産業を政府の介入でなんとかしようというものだと理解すれば、評判の悪い農林水産省の農業政策と似たようなものです。比較劣位にあるものを比較優位にしようとするならば、現に比較優位にあるもの(たとえば自動車産業)を超えて、発展途上国との生産性格差を構築する必要があるわけですが、頭数がある程度必要であるならば、人件費の違いを超えて生産性格差をひっくり返すのは現実問題として無理でしょう。

わかりやすい目安を挙げるなら、日本の一人当たりGDPは、インドの50倍を超えます。もちろんインドで情報サービス産業に携わる者は、平均よりは高い賃金を稼いではいるでしょうけれども、乱暴に言えば日本人ひとりでインド人50人以上の働きができるようにならなければ、絶対優位にすら立てません他産業の存在を抜きにしても価格競争力がありません(5/15訂正)。現に比較優位にある産業においては、それ以上の差をつけているわけですから、実際に日本でそれを比較優位にしようとするならば、さらに上を目指す必要があります。おそらくは、自動プログラミングソフトでも開発しないことには、達成できないとwebmasterは考えます。

そうした認識が、mkusunokさんのようなそちらの分野において著名な人から出てきたというのは、非常に喜ばしいことではないかとwebmasterは考えます。日本人は日本人でないとできないこと(より正確には、日本人がやれば他がやるよりも儲かること)をやるというのが、日本人にとって幸せであるのみならず、他の国々の人々にとっても幸せなことなのですから。

(中略)

これらはいずれも、実はあるひとつの日本という国の特長に着目した論考であるとwebmasterは思います。要するに、日本は豊かだと。そして、貿易財・サービス(輸入できるもの、すなわち外国から買えるもの)ではその日本の豊かさの影響度合いが相対的に少ないので、非貿易財・サービスに特化して、日本の豊かさから十分に見返りを受けられる分野で稼げ、と。

豊かであることの意味というのは、山形浩生さんと海外著名経済学者とのメイルのやりとりを詳しくはご覧いただくとして、本件との関係で重要な部分を大雑把にまとめるならば、日本の床屋がガーナ(アフリカの。蛇足な補足で恐縮です)の床屋の何十倍も稼げるのは、日本の床屋の生産性がガーナの床屋の生産性に比べて何十倍も高いからではなく、日本という豊かな国で商売しているからに他ならない、と。

日本が世界第2位の経済大国であるというのは伊達ではなく、その含意としては質量ともに豊かであるといえることです。ここでいう質とは一人当たりGDP、量とはGDPそのものとご理解いただければ足りると思いますが、一人当たりGDPがいくら高くても、経済規模が小さければ(ルクセンブルクとか)国内だけで稼ぐには限界があり、外国で売ることも考えなければなりません。GDPそのものがいくら大きくても、一人当たりが低ければ(中国とか)安い商品≒低付加価値商品≒誰でも作れる商品しか売れないわけで、それほど儲かりません。

日本に立地する企業、あるいは日本で働く労働者は、この日本という市場に恵まれているのですから、それを最大限活用しない手はありません。もちろん、トヨタのように世界中でガチンコで戦って十分にやっていける企業はそうすればいいわけですが、プログラマの生産性が人件費あたりで平均的にはインド人よりも低いとしても、インド人にはなかなかできない日本という市場に適合した商品を作り出す部分に特化していけば、そこでは大いに儲けることができるはずなのです。

(中略)

技術流出して何か問題がありますか? というとラディカルでしょうか。知的財産関連で対価をきちんとせしめることができるかという別の問題はあるにせよ、わざわざ安く作ってくれるというのであれば、安く作ってもらえばいいじゃないですか。若干人権的には(笑)問題のある例ではなりますが、古代ギリシア人が農耕などは奴隷にやらせて、自分たちは哲学などにいそしんでいたような構造でいいじゃないですか。もう少しマイルドにいうなら、国を挙げて下請けと化しデスマーチを喜んでやってくれるというなら、やってもらえばいいじゃないですか(あまりマイルドではないかな?)。

mkusunokさんが挙げているエネルギというのは多分に示唆的で、石油はITをはるかに上回るほど社会の多くの分野に影響を及ぼす財ですが、日本で自給自足というのはナンセンスです。さて、国内にそれなりの規模の油田を持つA国では、石油産業への配慮もあり、品質が悪いand/or価格が高い国内産石油の使用を一定水準は義務付けていて、他方で国内ではまったくといっていいほど石油が採れないB国では、世界中から品質と価格のバランスがもっとも優れているものを輸入して使っています。お得なのはA国とB国のどちらでしょうか?

日本はB国に近しいというのは一目瞭然でしょうけれども、それと同じことが情報サービス産業で起きたとして、それは基本的に歓迎すべきことといえます。インドなり中国なりでは作れないもの、あるいは日本で作った方がいいものは日本で作るとしても、そうでなければ、作ってきたものを買ってきた方が、品質がよいand/or価格が低いわけですから、ユーザであるエレクトロニクス産業やら自動車産業やらにとってもお得になるわけです。

この議論が成立しないとすれば、何らかの外部性が存在して、情報サービス産業の興隆が財・サービスの等価交換を超えて他部門へ好循環をもたらすような場合で、mkusunokさんもそうした外部性があることを前提にしていらっしゃるように見えます。しかし、本当にそうなのでしょうか?

確かにコンピュータに詳しい人間がまるでいないというのでは、先に引用したBaatarismさんやダメプログラマーさんがお示しのような調整に要するコストがかさみそうではありますが、それは価格に反映されるでしょうから、外部性とはいえません。付け加えるなら、いみじくもmkusunokさんがお示しのとおり他産業においても相当程度組み込まれるわけで、そこでの就業機会がある以上、情報サービス産業の相当部分が海外移転したとしても、そうした人間がいなくなるというのも想定し難いでしょう。

#そうした人間をきちんと育成できるかというのは、教育その他の問題でもあるので、情報サービス産業があるかないかがまったく影響しないわけもありませんが、それだけで決まる話でもないとwebmasterは考えます。

可能性がありそうなのは、日本の市場ニーズにまったく合わない製品が氾濫してしまいいろいろと不都合が起きるということかと思います。といっても、そうさせないところに日本での稼ぎどころがあるとは既に記したとおりですし、何より商売は、基本的には買い手が強いものですから、そのような収益機会が放置されるというのは考えづらいわけです。

#だからこそ、かつてはNECがPC-98シリーズで牙城を築いていた日本語処理にしても、DOS/VやらWindowsやらでMicrosoftその他が頑張って実装したわけですし。

マクロ経済的な影響まで視野に入れれば、現在情報サービス産業に従事している者をどこにシフトさせるかという話はあるでしょう。どこかに有望な産業がなければジリ貧という可能性も、ゼロというわけではありません(情報サービス産業がそれほどの雇用インパクトがあるのかという話はあるにせよ)‐ただし基本的には、日本での収益機会を活かせるほどに海外の労働者が日本語に通暁する等の状況になれば、その分だけ海外の労働者の賃金が上昇して海外シフトは止まるはずですが。

しかし、それはいかにしてさまざまな成長機会の芽を摘まずに育てられるか、最近の政府のはやり言葉でいえばイノヴェーションが活発かどうかに依存するのであって、情報サービス産業を大切にしていればよいという話ではありません。情報サービス産業が比較劣位なのに政策支援等でリソースを抱え込み続けるのであれば、それはかえってイノヴェーションを阻害する行為でありましょう。

えっ、今後有望な産業は何かって? そんなこと官僚に聞かないでくださいよ(笑)。市場競争に勝ち残ったところがそうなるでしょう、としか。

(中略)

ここでのご指摘にそれほどの異論はないのですが‐つまり、生産性とは究極的には個別の主体に帰属するということ‐、若干切り口が違ってきているのかな、と思います。まったく政府の支援等がない世界で自由に競争してもらう分にはそれでかまわないわけですが、「IT産業こそが21世紀の基幹産業であり、そこでの国際競争力の喪失は国家的損害をもたらすので、官民一体となって・・・」といったようなことが行われては無駄になりかねないし、現にそうした動きは少なからずあるよね、というのがwebmasterの問題意識だったりします。

たとえば現在の日本においては、織物産業は比較劣位にあるといってよいと思いますが、それと人間国宝になるような優れた職人さんがいて、その人が作り出す織物が高額で取引されることとは、まったく矛盾しません。同様に、優れたプログラマが日本においてすばらしいプログラムを作り出すことと、人海戦術的なソフトウェア開発が日本では採算がまず合わないといった状況になることは、十分両立する話といえます。

前回のエントリの例を応用するならば、営農技術に秀でた農家が高く売れる農産物を栽培する一方で、売れない産品しか作れない農家が農業を断念することはまったく問題ないわけですが、一定量の食料生産が必要だと政策リソースを投入することは無駄を伴うわけで、その無駄が生産量維持によってもたらされる便益と釣り合うものであるかどうかはきちんとした検討が必要です。昨今の情報産業施策は、そうした検討がなされているのかどうか、webmasterにとっては疑問であるといわざるを得ないのです。

(私のコメント)
私は情報処理産業は門外漢なので詳しい事はわからないのですが、何から何まで日本国内で産業を完結させる必要はなく、人海戦術的な作業分野は人件費の安いインドや中国などに下請けに出して外注する事は合理的なことだと思う。そしてその分野を担当していたプログラマーはインドや中国とコスト競争を強いられて安くこき使われる事になる。

グローバルなネット社会ではソフトウエア開発などでは世界のどこでも作業が出来るから、欧米や日本でなくともインドや中国に下請けに出して、最終的な技術面や営業面だけポイントを抑えておけば問題はないと思える。

パソコンソフト分野では、OSをアメリカに押さえられてしまったので日本はパソコンソフト開発では全面敗北してしまいましたが、このように根幹に関わる技術をブラックボックス化しておけば、マイクロソフト以外のソフト屋がいくらじたばたしてもどうにもならない。

ところが通産省はアメリカの国家ぐるみの圧力に負けてパソコンOS開発をアメリカに譲ってしまった。その結果CPUを初め、ハード分野もマイクロソフトの制約を受けることになり、日本のIT産業はアメリカに差をつけられることになった。NEC98パソコンも漢字変換がDOS/Vで対応されるとNEC98パソコンは一気に消滅してしまった。

この事は「通産省国売り物語」で紹介しましたが、技術の根幹部分をブラックボックス化される事の意味を通産省は分かっていなかったのだろう。そこさえ押さえておけば後は人件費の安いインドや中国の下請け国家にアウトソーシングすれば利益を独り占めすることが出来る。

最近では情報処理産業も、技術の根幹がOSから情報検索ソフトが主導権を持つようになってきた。つまりネットさえ出来る環境があればGoogleが必要なソフトを提供して、マイクロソフトのOSは単なるデバイスに過ぎなくなってきている。

先日もNHKでGoogleの特番を見ましたが、Googleが究極の情報処理のインフラとなり、個人の趣味や嗜好まで分析してジャストポイントの広告を配信する広告企業となることで利益を稼ぐようになって来た。こうなるとテレビ業界や電通のような広告業界はGoogleに市場を奪われることになる。

今までは生産者と消費者とは直接アクセスする事は技術的に不可能でしたが、ネット社会になりGoogleを使えば必要なものを検索すれば、消費者は直接生産者を見つけることが出来るようになり、媒体となるGoogleが広告市場で圧倒的な優位を持つことが出来る。

「株式日記」をこうして毎日のように更新できるのも情報検索ソフトで瞬時に情報を選び出せるからです。この意味ではプロの新聞やテレビなどの報道業界と素人の私とでは情報のハンデがなくなり、マスコミをネットのブロガーが情報の質や量で凌駕する事態も生まれてきている。

マスコミと同じ事は政界や官界にも言えることであり、政界や官界は情報を独り占めすることで特権を握ってきましたが、ネット化社会では情報のハンデは限りなく小さくなってくるだろう。同じ事は国家間の競争にも当て嵌められるのではないかと思う。つまり国家の情報機関よりもネット上のブロガーの方が情報をリードしてしまう世界が来つつあるのだ。

これからの世界はネット上のブロガーが情報産業の担い手となり、ブロガーの質と量がその国や民族の盛衰の鍵を握る事になるのだろう。中央政府の情報部やマスコミなどの報道機関は単なる媒体に過ぎず、首相個人もブログで情報を発信するようになり、情報の発信者と受信者とが直接アクセスするようになる。

昔は国家と国家の利害がぶつかり合った時は戦争で決着が付けられましたが、核の時代ではそうもいかず、言論戦でプロパガンダが勝敗の決め手になる。今までは国家の情報機関やマスコミが担ってきましたが、発信者と受信者が直接アクセスする時代では、ネット上のブロガーが立役者となる。

パソコンの世界ではOSを握ったところが勝利者であったごとく、情報社会では国家や民族の歴史や文化や伝統や言語などが情報戦の決め手になる。現状では米英などの英語文化が圧倒的な情報力を持っていますが、これに対抗できるのは日本語文化だけではないかと思う。ブログの発信量がそれを暗示しているのではないかと思う。


◆私に世界は変えられるのか。変えるべき世界を想っているのか。 5月10日 BIG BANG
http://ultrabigban.cocolog-nifty.com/ultra/2007/05/post_0e69.html

「米のブロガーは、本当に世の中を変えてやろうと思って、ブログに意見を書いている」とJoyは言う。少なくとも、「Web上の日記です」とブログが紹介されてきた日本において、それは変革の道具ではなかったろう。なぜって、「世界を変える」ことが日記に可能だと思うか?あるいは、「世界を変えるために」日記など書く奴がいるか?

むしろ日記は、世界と自分とを区切るために、世界から隔絶された自分を見つめ、遮蔽された時間や空間の中で、内心を見つめるためのものであったのではないか。「ネットで日記を書く奴の気が知れない。」などと、ここにいる当の私も5年ほど前には嘯いていたわけであるが、現在はこうしてブログを書いている。しかし、これで世界が変わる(笑)などとは思っていないし、変えるべき世界が仮にここにあるとしても、本気で世界を変えるなら別の手段を選ぶだろう。

もちろん、私のこっぱなブログが、日本人が最大数を占めるに到ったブログの一滴であることに変わりはなく、その累積の中で何かになることはあるかもしれない。が、その累積が世界を変えていくと言ったところで、それはそれだけのことである。

そもそも思うのだ。あなたは、あるいは私は、「変えたい世界」を心に持っているのか。仮に持っているとすれば、「変えていきたい世界」への方向性を持っていることになる。当然持っていると答える善男善女の前で何を誇れるか、何を語れるか。

JOYはその穏やかなたたずまいの中で、「世界を変える」ブログの力をずっと説いてきた。声高に声を張り上げるのではなく、彼はその小柄な体でそっとあなたの横に立ち、世界が変わること、そしておそらく変えなければならないことを説いてきた。そういう存在としてJOYが心の大半を米国に沿わせているのは、よくわかる。彼には、日本に立つべき場所はずっとなかったのだ。そのまばゆい名声にも関わらず。僕はそれを感じてきた。ずっと昔から。

ところが、何しろ米国のブロガーは、「世界が変えられると」信じて今日もブログを書いているのだ。

(中略)

人生において、大変革の目撃者になる機会はそう多くない。ましてや、世界を揺るがす地を震わせる大変革を目の当たりにする機会は、普通の人間の人生にはめったに訪れない。
しかし、それは言葉を変えれば、こうも言えるのではないだろうか。

つまりあなたは「革命」に出会わなかったのではなく、革命があなたの足元で起きつつあることに気がついたか、そうだなかったのか、ということだ。

つまりだ。「世界を変える」人間とは、実際に世界を変える人間ではなく、一番最初に世界が変わり始めたことに気がついた人間のことではないのだろうか。

もちろん、あなたに、そして私に「変えるべき世界」があったとしての話だ。


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