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土砂の恐怖 長野・岡谷市ルポ 【東京新聞】
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投稿者 愚民党 日時 2006 年 7 月 22 日 04:44:44: ogcGl0q1DMbpk
 

土砂の恐怖 長野・岡谷市ルポ

 長野や福井県など各地で観測史上最多の雨量を記録している今年の梅雨前線。山間部では土石流や土砂崩れで家屋が押し流され多数の死者、行方不明者が出た。毎年繰り返される大雨での被害だが、私たち自身、一体、どう対策を取ればいいのか。甚大な被害を受けた諏訪湖畔の避難民から学ぶ豪雨の怖さとは。 (浅井正智、竹内洋一)

■「5秒遅れたら生きていない」

 「あと五秒逃げ遅れていたら、今ごろ生きてはいなかっただろうな」

 長野県岡谷市湊に住む病院勤務花岡克郎さん(54)は、土石流に襲われたときの恐怖を思い出すと、今でも背筋が寒くなる。

 十九日未明、花岡さんは山の上にある畑が心配になり、見回りに出掛けた。

 午前四時半ごろ、カラマツが生えた山が、「ザワザワ」と異様な音を立てて揺れた。同時に「ゴー」というごう音が響いてきた。

 異変を察知した花岡さんは高台に向かって走った。わずか数秒後、すぐ後ろをおびただしい量の土砂や倒木が滑り落ちていった。

 「私のように高台に上がったり、中央道の側道に駆け上がった人たちは九死に一生を得たが、坂を下って逃げていった人は…」と花岡さんは視線を落とす。

 被災地を歩いてみた。ガラスや壁がめちゃくちゃに壊れた民家の惨状は、土石流の威力のすさまじさを物語る。土砂の量もさることながら、驚くのは一緒に流れてきた流木の多さだ。あちこちにぶつかったために木皮が完全にむけ落ちて、まるで製材のようにみえる。ある場所では、流出した灯油と思われるにおいも漂う。「泥の海」の中では、二十日も行方不明者の捜索が懸命に行われていた。

 主婦小口文子さん(55)の二階建て住宅も山の斜面に立ち土石流の被害を受けた。十九日早朝、玄関を開けてみたところ、土石流が押し寄せ、あっという間に一階部分が土砂に埋もれた。

 「壊れた家を片づけるだけでも五百万−六百万円かかる。そのうえ家を新築すれば全部で三千万−四千万円にもなる。そんな金、どこにあるのか」

 この辺りの住民は大きな自然災害を経験していない。小口さんは「これまで水害の報道を見ても、低地に住んでいる人は気の毒だなぁ、と思っていた程度。まさか自分が水害に遭うなど考えたこともない」

■庭先に置いた岩「防波堤」の役目

 前出の花岡さんの二階建て住宅も、一階部分が土石流にのみ込まれた。復旧が進まない限り、建て直しも不可能だ。「建て直すときは土地に一メートルくらい盛り土をした方がいいかな」と考えている。

 花岡さん宅を直撃した土石流の高さは約一メートル。地面を一メートル高くしておけば、仮に将来、同様の災害が発生しても、家屋への被害は最小限に食い止められる。

 直接、防災目的でつくったわけではないが、今回防災に力を発揮したケースもあった。

 周囲の家が土石流被害を受ける中、ある農業の男性(68)宅はほとんど無傷だった。三十年ほど前、新築したとき、基礎工事でたくさんの岩が出た。捨てるにも金がかかるので、その岩を石塀代わりに庭先に置いておいた。「あの岩が防波堤の役割を果たしてくれた。これがなかったら、ひどい被害を受けていたはずだ」

 地元住民にとって、ふだんは「騒音の元凶」(花岡さん)である中央道も、今回は被害拡大を防いだ陰の立役者だった。

 土石流は山の斜面を滑り落ちていく途中で、中央道にぶつかり下へ落ちていった。中央道の橋脚は土石流の勢いをそいだ。花岡さんはつぶやいた。「中央道がなかったら、下の集落は全滅していたかもしれない」

 「一時間に八〇−一〇〇ミリという極端に激しい雨ではないが、一〇−二〇ミリのほどほどに強い雨が長時間持続して降った。雨がじわじわと積み重なり、総雨量が多くなっている。激しい雷雨は局地的なことが多いが、今回の雨は広い範囲で降り続いている」

■東京で明日にも起こり得る災害

 気象庁の予報官は今回の大雨の特徴を、こう解説する。長野県など六府県では、今月十五−十九日の五日間だけで、総雨量が平年の七月の月間雨量の二倍を超えた。

 気象庁は二十一日以降も梅雨空が続くと予報。予報官は「今まで降った雨が地面にたくさん含まれており、川の水位も高い。そこに雨が降ると、大雨でなくても、土砂災害が起きやすい」と注意を促す。

 「長野や島根県に起きたことは、東京など首都圏でも、明日にでも起こり得ることだ。よそ事だと思っていては、防災対策は始まらない」と話すのは、財団法人「砂防・地すべり技術センター」の池谷浩理事長だ。「都市部にも大雨で崩れる危険性のある急斜面はある。雨が降り続いた場合、十分に注意した方がいい」と警告する。

 国土交通省によると、首都圏の各都県が指定する土砂災害危険個所(土石流危険渓流、急傾斜地崩壊危険個所、地すべり危険個所の合計)は、東京都が約三千七百、神奈川県が約八千百、千葉県が約九千七百、埼玉県が約四千二百カ所ある。長野県の約一万六千カ所には及ばないが、決して少なくはない。

 都市部の住宅地も、土砂崩れ・がけ崩れの危険性と無縁ではない。東京都によれば、都内の急傾斜地崩壊危険個所のうち約六百カ所は人工斜面で、そのうち約三百カ所が二十三区内に集中する。独立行政法人「防災科学技術研究所」の水谷武司・客員研究員は「都市部でも小さながけ崩れはたくさんある。ほんの数メートルの高さから数分の一立方メートルの土砂が崩れてきただけで、人が死亡した例もある」と土砂崩れ・がけ崩れの威力を説明する。

■長雨、異変なら「すぐ避難を」

 急斜面や、その直下にあるマンション、一戸建て住宅も少なくない。万が一の被害を避けるにはどうしたらいいのか。

 池谷氏は「まずは自分の家が危険の中にあるのかどうか、役所などに確認すべきだ」と指摘。その上で「大雨が続き、いつもと違うと感じることがあれば避難するのが一番いい。外に逃げないまでも、二階以上に上がるなど、自分なりの安全対策が大事だ」と強調する。

 水谷氏は「急斜面の上に新しくグラウンドや駐車場、宅地を造成した時は、水の流れが変わり、地中に大量の水が集まり、がけ崩れを起こす危険性がある。コンクリートの擁壁も、安全性が十分配慮されていないことがある」と注意を喚起する。「窓から土砂が流れ込んできて死亡したケースもある。大雨のときには家の中でも、急斜面の直下から離れた部屋に移動すれば、十分効果がある」と話す。

 新たに家を探す場合の注意点は何か。不動産コンサルタントの平野雅之氏は「首都圏でも、不安を覚えるような急斜面に家が立っていることはよくある」という。「単純に言えば急傾斜地の物件は避けた方がいい。避けられないなら、自分の土地だけでなく、周囲の地盤も十分調べる必要がある」と助言する。

 どこに住むにせよ、やはり備えあれば憂いなし。前出の池谷氏は「心構え」の重要性についてこう訴える。「過去に大きな災害がなかったからというのは、あてにならない。これまでの経験を超える災害が起こりうるのが二十一世紀の気象状況。結局は自分の命は自分で守るという意識が一番大事だ」

<デスクメモ> 「いや取材どころじゃないよ。局舎が水没してるんだから」。諏訪通信局の記者に電話すると悲鳴が聞こえてきた。長野は初任地。このころ配属され高校野球取材に放り込まれた。地元球場は今大雨のため試合中止という。湖が落ち着いた輝きを取り戻し、被災者はもとより球児の笑顔が帰ることを祈りたい。(蒲)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060721/mng_____tokuho__000.shtml

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