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【暴かれた粉飾経営】練金術師の虚実(1) ネットバブル引きずり続け 【産経新聞】
http://www.asyura2.com/0601/livedoor1/msg/357.html
投稿者 愚民党 日時 2006 年 2 月 23 日 07:55:33: ogcGl0q1DMbpk
 

【暴かれた粉飾経営】練金術師の虚実(1)
ネットバブル引きずり続け


 企業経営の信義を踏みにじった粉飾決算で再逮捕されたライブドア前社長の堀江貴文容疑者は「ずるいと言われようと、合法だったら許される」と平然と語り、貪欲(どんよく)に企業規模の拡大を追い続けてきた。同社の財務諸表や専門家の意見、関係者の話などから、急成長を支えた反社会的な錬金術の始まりから終焉(しゅうえん)までを検証する。

 「若者が作ったライブドアは、社会的責任よりも規模追求の思いが強く、株価至上主義に走っていた」…。旧経営陣の再逮捕を受け、記者会見に臨んだライブドアの平松庚三社長は、これまでと同じ反省の弁を繰り返した。言葉の内容に新鮮味を感じようもなく、会場を埋め尽くした報道陣はいらだちを募らせた。

 堀江容疑者の後任として平松氏がライブドアの社長に就任してわずか一カ月で、買収したグループ企業が次々と離反。株価は強制捜査前の十分の一にあたる七二円にまで暴落し、利ざやを狙う投機筋の大量売買で連日乱高下を続けている。

 “信者”と呼ばれた個人株主の多くはすでに去り、グループを解体して売却しても利益が見込めると踏んだ米系ファンドが大量に株式を取得し始めた。堀江容疑者の著書名である「稼ぐが勝ち」の論理で、ライブドアは市場に切り刻まれる恐怖にさらされている。

 困難を覚悟で社長を引き受けた平松氏だが、上場廃止が迫るいま、対症療法のほかに対応が見当たらないのではないか。

 検察が「虚偽の業績を市場に発信し続けた」(伊藤鉄男・東京地検次席検事)と断罪したライブドアの錬金術。その源流は、学生ベンチャーの草分けとして創業四年でスピード上場を果たした時期にさかのぼる。

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 高速道路に近いためトラックが通るたびに床が揺れる。東京・六本木の雑居ビル。その一室に学生ベンチャーとして平成八年に誕生したウェブサイト制作会社「オン・ザ・エッヂ」があった。社長はTシャツにジーンズ姿で長髪の青年、堀江容疑者。若い世代に絶大な人気を誇ったミュージシャン、小室哲哉のウェブサイトを制作するなど地道に顧客企業を増やし、一歩ずつ成長していた。

 そんな堀江容疑者に株式上場を提案したのは、財務担当の宮内亮治容疑者。創業十六カ月の有限会社オン・ザ・エッヂが株式会社化を控えて増資を計画したとき、宮内容疑者は早くも財務テクニックを発揮してみせた。堀江容疑者が出資金不足に苦しんでいたところ、顧問税理士だった宮内容疑者はデットエクイティスワップという当時認可されたばかりの金融手法を駆使し、会社が堀江容疑者にまだ支払っていなかった給与を堀江容疑者の出資金として振り替え、実質的な資金負担を生まないかたちで増資を実現してみせたのだ。

 二人三脚で拡大路線を探り始めた堀江容疑者と宮内容疑者にとって、株式上場は当然の選択だった。当時は米国発のネットバブルが日本にも上陸した時期だ。金融機関の不良債権問題が日本経済をゆさぶるなか、第二次橋本内閣が提唱した金融ビッグバンが進展し、ソフトバンクに代表される新興IT企業が次々と上場して株式市場から巨額の資金を吸い上げていた。

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 株式上場はオン・ザ・エッヂと堀江容疑者にどれほどの資金をもたらしたのか−。

 堀江容疑者は十一年四月、株式公開を表明した。この時点でオン・ザ・エッヂの発行株式総数は二百株。額面が一株五万円のため、評価額は一千万円となる計算だ。これが一年後の十二年四月に東京証券取引所マザーズに新規上場した時点では、増資や株式分割を繰り返した結果、発行株式総数が一万三千株に急増し、公募価格が六百万円とされたため評価額は七百八十億円にふくれあがった。堀江容疑者は評価額で四百七十五億円の資産を持つ典型的なIT長者になった。

 こうしたネットバブルの恩恵を最大限に享受するため、上場準備期間の一年間に堀江容疑者は複雑で巧妙な手練手管の限りを尽くした。創業時の主力メンバーが次々と退社し、上場の実務を取り仕切った宮内容疑者は「ライブドアの錬金術」の指令塔となっていく。オン・ザ・エッヂが提出した株式公開の目論見書などを分析すると、彼らが拡大路線にのめり込んでいく姿が浮かび上がっていく。

                   ◇

 ■企業価値、1年で7800倍

 株式上場を決意した堀江貴文容疑者の財務戦略でまず注目されるのが、平成十一年九月に行われた二社への第三者割当増資だ。割当先は光通信が百五十株、グッドウィル・グループの子会社(当時)が五十株で、それぞれ一株三百万円で引き受けた。額面五万円の非上場株が突然、六十倍の価値を持ったことになる。

 この評価額について、会計士資格を持つ山根治・山根総合事務所代表は「トホウもない価格」と疑問視する。

 山根氏がブログ「ホリエモンの錬金術」で一年前に公表した試算によれば、三百万円から算出した株価純資産倍率(PBR)は三六・六倍。

 「設立してわずか三年あまりの会社で、これといった収益を生み出す構造をもっていないうえに、利益剰余金が二千五百万円余りしかなく、含み損はあっても含み資産が全くないと考えられる会社のPBRが三六・六倍にもなるようなことは、まずありえない」

 同時期の東証一部全銘柄平均のPBRは二・二九倍であり、一株三百万円の評価額はオン・ザ・エッヂの将来的な成長力を一流企業の十五倍超と見込んだ計算になる。

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 だが、当時はネットバブル狂乱期。上場の主幹事業務を請け負った大和証券SMBC(当時は大和証券エスビーキャピタル・マーケッツ)幹部は、一株三百万円の評価額について、「適正な評価だった」と振り返る。「三−五年先の利益見通しをもとに現状の期待収益を割り出す『ディスカウントキャッシュフロー』(DCF)という価格算出法を採用してはじき出した数字」との説明だ。

 この第三者割当増資でオン・ザ・エッヂは六億円の資金を手にした。その一方で、堀江容疑者は拡大路線に反対して退社した創業メンバーから経営権を守るために株式を買い戻しており、このときも一株三百万円で計算した。買い戻し額は四億円近くと大きな負担になったが、会社の支配権を盤石にした。

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 上場に先立って堀江容疑者が繰り出した最後の一手は、平成十二年一月に実施した初めての株式分割だ。一株を十二分割すれば、一株当たりの評価額も三百万円の十二分の一になる。一株が二十五万円となる計算だ。

 この株価が上場時の公開価格で何倍になるかが起業家と投資家の最大関心事だ。第三者割当増資で三百万円の価格がついた自社株が、上場時の公開価格ではさらに高値が付く可能性は高い。ここで株式数を増やしておくのは、上場益を獲得するために有効な手段だ。

 「業容拡大を目指そうと上場を決めた時点で、ジャンプ台を滑り降り始めた。止まることが一番危険だった。後ろからきた雪崩にのみ込まれてしまうから」。オン・ザ・エッヂ最高技術責任者で役員だった小飼弾氏は、上場を目指す当時の経営陣が持っていた切迫感をこう表現する。

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 ネットバブルは崩壊する瀬戸際だった。十二年二月には六本木のディスコ「ベルファーレ」にネット起業家が集結し、日銀の速水優総裁(当時)らが参加する一大イベントが行われたが、三月になるとネット株価を牽引(けんいん)していた光通信の携帯電話架空契約疑惑が発覚。それをきっかけにバブルが一気にしぼみ始めた。

 この時点で、上場主幹事となった大和証券SMBCがはじき出した最終的な新規公開価格は六百万円。株式分割で一株二十五万円となったはずの評価額は、再び二十四倍に大化けした。価格を決めた大和証券SMBCは「機関投資家などから意見を聞いて決める『ブックビルディング方式』で決定した」と話す。機関投資家にいくらで何株買うか需要調査を実施したうえで、(1)投資家から申告された総需要株式数は公募株数の千株を十分に上回る(2)申告された需要分布は仮条件の上限価格(六百万円)に集中した−ことなどを理由に公開価格を六百万円に決定した、との説明だ。

 もっとも、堀江容疑者は著書「儲かる会社のつくり方」で公開価格の冗長性を指摘している。

 「明確な基準はなく、かなり恣意(しい)的に『これくらいでしょう』というところで決まってしまう」

 大和証券SMBCの幹部は「あの時期でなければ、あの価格はつかなかったかもしれない。証券会社間の競争も猛烈だった」と振り返る。

 オン・ザ・エッヂは株式上場によって企業価値を一年間で七千八百倍に激増させ、堀江容疑者は「バブルの最終列車に間に合った」と語った。しかし、上場まもないオン・ザ・エッヂの株価は低迷を続け、経営陣は株価上昇を誘い出す不正へと駆り立てられていく。

                  ◇

【用語解説】増資

 会社が資本金を増やすために新株を発行すること。不特定多数の一般投資家を対象にする公募増資、特定の既存株主に割り当てる株主割当増資、既存株主以外の企業などに割り当てる第三者割当増資がある。

                   ◇

【用語解説】株価純資産倍率(PBR)

 株価を1株当たりの純資産で割った指数。1倍を基準にして、それ以上であればその株は割高、それ以下であれば割安と判断する。純資産はすべての負債を支払ったあとに残った資産で、会社を清算する場合に株主で分ける資産。

http://www.sankei.co.jp/news/morning/23iti003.htm

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