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小泉首相も、自らがスカウトしてきた「刺客」たちに逆に刺される日が来るかもしれない。(中西輝政)
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投稿者 TORA 日時 2006 年 1 月 26 日 13:20:00: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
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小泉首相も、自らがスカウトしてきた「刺客」たちに
逆に刺される日が来るかもしれない。(中西輝政)

2006年1月26日 木曜日

◆宰相小泉が国民に与えた生贄 2005年10月 中西輝政
http://blog.livedoor.jp/strategy001/

◆かつて全く同じ事をしたポピュリスト首相がいた

二〇〇五年八月、小泉純一郎首相による衆議院解散から総選挙によって、日本は「劇場型政治」というよりも、さらに一段と激しい、大群衆が「剣闘士の戦い」に興奮の声を挙げる「コロセウム型政治」へと突入した。飛び交う「刺客」という言葉が、いみじくもこの選挙の中に潜む、「血生臭いドラマ」を浮き上がらせている。

 しかし、西欧政治史を学んできたものから見ると、この解散総選挙劇は少しも珍しい現象ではなく、デジャヴュ(既視感)すら抱かせる、ごくありふれた光景である。郵政民営化法案の参議院否決を受けて、衆議院を解散するという小泉首相の判断や、与党内で反対した三七人を公認せず、党本部が決めた「刺客」候補者と競わせるという辣腕ぶりを指して、「独裁者」と呼ぶむきもある。だが、民主主義における政党政治の発展プロセスを考えたとき、これはどこの国も辿る過渡期の姿なのである。

 おそらく、かつて小沢一郎が目指した「新しい自民党」、菅直人が作りたかった「民主党」の姿とは、こうした強力な党本部が統率する、近代化された政党だったのではないか。それが、全く近代化されていない小泉自民党によって実現されたことは皮肉というほかはない。

◆小泉「クーポン選挙」の行方

このたびの解散総選挙でまず想起したのは、一九一八年、デイビッド・ロイド=ジョージ英首相が行った「クーポン選挙」である。「党が私を拒むなら、私を支持する党員だけで解散に打って出る」と宣言したこの選挙は、奇妙なほど今回と符合する。

 自由党に属するロイド=ジョージは、当時のイギリス政治家の多数派であった名望貴族出身でもイングランド人でもなく、妥協の政治を旨とする伝統的な英国政治家像の対極に自らを据えた「風雲児」であった。南ウェールズの靴屋の伯父に育てられた最下層の労働者階級出身で、「ケルトの魔術師」という異名をとるほど大衆に人気のある、しかし、自他共に許す「一匹狼」の政治家だった。第一次世界大戦でドイツ相手に苦戦していたイギリスは、もはやこの一匹狼に賭けてみるしか道がなく、一九一六年、自由党と「ユニオニスト」と賞する保守党の二大保守が手を携え、ロイド=ジョージ戦時連立内閣が誕生する。自民党政治と日本経済のどん詰まりで、「変人宰相」小泉が期待されたようなものだろう。

 ところが第一次大戦に勝利し、八年ぶりの総選挙を迎えたとき、自由党内には、戦時中のロイド=ジョージの独裁的な政策に対する不満が渦巻いていた。そのため、本来は戦後の講和条件が第一の争点となるべき選挙が、「ロイド=ジョージを首相として信任するか否か」を問うものとなった。

 総選挙に勝つためにロイド=ジョージがとった戦略は二つ。選挙を最高の「見せ物」としてショーアップすること、もう一つはドイツ懲罰路線を打ち出して、外の「敵」と対決する姿勢を強調することだった。

 ロイド=ジョージは自由党内でも自らに反対するものは公認せず、逆に、自らを支持する候補者には、それを証明する公認証書をどんどん配った。それが「クーポン(配給券)」と呼ばれたのは、大戦中の食料供給の記憶がさめやらず、「クーポンさえ貰えれば食ってゆける」という揶揄でもあった。たとえ一度でも自由党員であったことがなくとも、ロイド=ジョージが自分で会って気に入れば「クーポン」を与えた。勢い余って、ホリエモンこと堀江貴文ライブドア社長まで「刺客」に起用した小泉首相と同じ方式である。

 むろん、自由党党首であり前首相でもあるアスキスら、党内の「抵抗勢力」は強く反発した。議会で「名誉革命以来の伝統である自由党を壊そうとするのか」と非難されると、ロイド=ジョージは、「それはむしろ名誉ある破壊であり、与党のためではなく、イギリスのためだ」と大見得を切った。

 アスキスはオックスフォードを最優等で卒業し、三十代で総理候補となった伝統的エリートの政治家である。しかし「クーポン選挙」のような、派手な対決型選挙の相手方にされると、実際以上に無能に見えるものだ。この手の「クーポン選挙」をやればふつう必ず仕掛けた方が勝つ。なぜなら、クーポンをもらえなかった政治家は最初から、”負け犬”のイメージが固定化されてしまうからだ。しかし選挙後の党内に噴出する怨念はすさまじいものとなるから、その後必ず党は「死に至る運命」を辿ることになる。

 クーポン対ノンクーポン候補者の激しい戦いに、イギリス国民は沸いた。しかも反ロイド=ジョージ派の選挙区に送り込まれた「刺客」は、イートン校時代からのライバル関係であったり、社交界で恥をかかされて憎み合う仇敵同士や、婦人同士が姉妹なのに一方だけクーポン候補であるなど、因縁の対決ばかりである。陰惨な戦争のニュースに飽き飽きしていた大衆に、格好のゴシップ種が提供され、世論は沸きに沸いた。

 今で言えば、テレビのワイドショーが注目する選挙区のようなものだ。反対派のマドンナ野田聖子には、あえて美人のエコノミストを外資系企業からスカウトして送り込み、国民新党を結成した亀井静香には話題の主「ホリエモン」をぶつける。小池百合子環境大臣や、片山さつき財務省元主計官など、その能力に容姿が拮抗する「刺客」も積極的に起用する。

 もう一つの演出として、ロイド=ジョージは「ドイツ懲罰主義」という厳しい講和条件を打ち出し、イギリス国民の愛国主義を掻き立てた。だがこれは実は、彼が「変節の人」であり、紛うかたなきポピュリスト政治家であった、ということを示すエピソードでもある。

 パリ講和会議の始まる前、ロイド=ジョージは、ドイツへ厳しい賠償条件を課すことに反対していた。しかし、連立パートナーである保守党が「レモンの種が泣くまでドイツから搾り取れ」、日本流に言えば「血の一滴まで搾り取れ」というスローガンを打ち出し、国民もまた「カイザーを吊せ」と熱狂すると、あっさりとドイツ懲罰主義に転じた。

 彼は初めて系統的な社会福祉政策を実施した首相として”ピープルズ・フレンド”つまり「人民の友」というキャッチフレーズで、大正デモクラシー盛んな日本に紹介された。しかし、この文句の陰にある「大衆迎合」というニュアンスまでは伝わらなかったようだ。今日のイギリスでは、ロイド=ジョージの「偽善性」はよく知られている。当座の大衆人気を獲得するためには主義主張を転じることも厭わない「喰わせ者」であった。そもそも、首相公邸で妻妾同居をさせ、新興成り金に爵位を売って蓄財するという点だけでも、「人民の友」と呼ぶのはあまりに的はずれなことだった。

 選挙を徹底して「見せ物」として演出するとどうなるのか。必然的に、仕掛けた側が有利となる。すべてを個人的対決の構図に還元して「踏み絵」を踏ませ、それで対立構造が明確になり、極度に話題性を高めておいて、政治的関心の低い層までも、格闘技を見に行く気分で投票するためだ。

 実際、ロイド=ジョージ連立政権は七百七議席中、四百七十八議席を占めた。自由党の反ロイド=ジョージ派は大幅に議席を減らし、前首相のアスキスまで落選するという、前代未聞の事態となった。イギリスはこの時、初めて女性が参政権を与えられた。「女性」が注目を引いたのは今回と共通しているが、「ノンクーポンの貴族とクーポンの庶民」の対決に熱中したためか、女性は一人も当選しなかった。

 実は「クーポン選挙」には意外なオチがあった。連立パートナーである保守党の方が、議席をほぼ倍増して大勝利したのである。ドラマ化された選挙では、大衆の意識はより先鋭な主張に共鳴するため、保守党の強烈なドイツ懲罰主義が効いたのであろう。ロイド=ジョージ連立政権の四百七十八名のうち、実に七割あまりが保守党議員であった。

 もう一つ、忘れてはならない結末がある。「クーポン選挙」から四年後の一九二二年、ロイド=ジョージ首相自身が、自らが「クーポン」を与えた陣笠代議士たちの大反乱によって、あっけなく政権から追い出されたのだ。小泉首相も、自らがスカウトしてきた「刺客」たちに逆に刺される日が来るかもしれない。それが”コロセウム政治”の本質とも言えるからだ。

 その後も自由党は細胞分裂を繰り返し、一九二四年の総選挙までには、跡形もなくなった。文字通り、ロイド=ジョージが「自由党をぶっ壊した」のである。後生、ジョージ・ダンジャーフィールドが名著『ストレンジ・デス・オブ・リベラル・イングランド』に書いたが、まさに「奇妙な死」といいたくなるほどあっけなく、名誉革命以来二百年続いた、自由党と保守党、二大保守の時代は終わりを告げた。

 現在では、「クーポン選挙」は、安易なポピュリズムに迎合して、英国議会政治にカオスをもたらした、イギリス政治史の汚点と総括されている。

 いずれにせよロイド=ジョージが、自由党の早々の棺に最初の釘を打ち込んだことは確かである。そして今、小泉首相が、自民党の弔鐘を鳴らしはじめているのかもしれない。

◆「反改革」という本質

「今の自民党はぶっ壊すべきだ」という世間一般の風潮に、私も全く異存はない。

 なぜなら平成6(一九九四)年、村山富市・社会党委員長を首班とした「自社連立」政権が誕生した段階で、自民党は昭和三十年の保守合同からの歴史に終止符を打っている。「村山自民党」後の十年間は、いわば死に損ないの「ゾンビ自民党」として、ひたすら延命を図ってきただけの存在だった。我々はこの理念なき政権党のもとで十年もの時を浪費し、安全保障、経済、金融、治安から教育まで、国家の根幹が音を立てて崩壊する様を眺めてきたのだ。

 しかし、小泉首相は、こうした自民党にとどめをさすために登場した改革者ではない。彼は「自民党をぶっ壊す」というフレーズがただ”血に飢え”始めた大衆に受けると直感的に捉え、レトリックとして口走ったにすぎず、彼の清のアイデンティティは旧来の自民党にある。

 政治家・小泉純一郎の本質が「反改革」であることは、リクルート事件をきっかけに政治改革議論が盛んになった今から十年余り前、当の小泉自身が、「政治改革なんて『無精卵』みたいなものだ。いくら温めても何も生まれない」「派閥政治の何が悪い。派閥こそが自民党だ」と公言し続けたことからも明らかである。小選挙区制にもっとも強く反対した人物が、今それを利用して「刺客」を送り込んでいるのだから、運命とはわからないものだ。

 ともあれ、間違いなく、小泉首相は五十代後半まで「反改革」の旗頭であった。彼が衣替えをしたとすれば、橋本政権の頃からで、その底に「反経世会」的情念の高まりがあったことも理由の一つだろう。


(私のコメント)
政治や経済や株式などの論評をしていますが、当然反論などもあるかと思いますが、私の言論活動を封ずるために引用した記事の出版社にメールを送って削除させたり、プロバイダーに抗議して私のサイトを閉鎖させようとした人がいる。私は著作権法で認められた「引用」をしているに過ぎないのですが、著作権を利用して言論弾圧しようとする人たちがいる。

「ぷらら」に対しても理由を尋ねても窓口係は「担当に伝える」というだけで、担当者の意図が分からない。テレビのニュース画像を貼り付けたのがいけないということだったが、テレビ局に今度は電話をして聞いてみたが、ここも担当者に伝えるという返事だった。著作権については2004年7月24日の日記に書きましたが正当な理由があれば引用は認められる。だから著作権を楯に一方的に記事を削除させたりサイトを閉鎖するのは言論弾圧なのだ。
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu75.htm

◆TVの画面キャプチャーは著作権侵害か
http://stella.cocolog-nifty.com/starchartlog/2005/09/tv_953f.html

ホリエモンが東京地検に取調べされるようになって、小泉改革の風向きもだいぶ怪しくなってきましたが、この事を半年前に警告したのが中西輝政教授の記事ですが、ホリエモンスキャンダルが騒がれるようになって始めて中西輝政教授の指摘の意味が分かるようになってきました。要するにロイド=ジョージのやった事をそっくり真似ているのだ。

いわゆる小泉劇場の元祖はロイド=ジョージにあり、マスコミは面白おかしく報道した。刺客が女性の美女ならテレビ局が大喜びだ。国民有権者も大喜びであり自民党は大勝した。ホリエモンを小泉政権では刺客として使いましたが、小泉首相は「別問題」と答えているが何が別なのだ。小泉首相には犯罪者を刺客に選んだ責任がある。

中西輝政教授の論文によればロイド=ジョージは4年後には刺客によって自由党から追い出されて、やがては自由党は消滅してしまった。最近のホリエモンスキャンダルは自民党解体のきっかけになるのだろうか。ホリエモン以外の刺客の中からも問題の人物は続出するかもしれない。それほど去年の911総選挙は異常な雰囲気があった。

最近のテレビなどの政治評論などは小泉人気を「よいしょ」する迎合的な評論家ばかりになり、正論を言う評論家はテレビに出られなくなった。テレビのキャスターは「小泉批判もしていますよ」と言うが、それが小泉劇場を盛り上げている事に気がつかない。

ロイド=ジョージ流に解釈するならば、靖国参拝も中国や韓国を挑発して愛国主義を煽る手段なのかもしれない。中国や韓国は無視すればいいものを、愚かにも小泉首相の挑発に乗り引っ込みが付かなくなっている。株式日記では中国や韓国はあまり騒ぎ立てないほうがいいと警告してきたのですが、日本の愛国主義は勢いを増すばかりだ。だから私としてはもっと中国や韓国に騒いで欲しいと思っている。

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