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粉飾偽装追及国会  「一葉落ちて天下の秋を知る」(『准南子』)【森田実政治日誌】
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投稿者 gataro 日時 2006 年 1 月 23 日 13:27:44: KbIx4LOvH6Ccw
 

2006.1.22(その2)
2006年森田実政治日誌[46]

 

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 1月20日、通常国会開会。小泉構造改革の総仕上げ国会と位置づけられた2006年通常国会は、ライブドアショックと姉歯偽装建築事件によって、一転してスキャンダル国会に変わった。小泉政治は明から暗に、小泉首相の立場が攻めから守りに変わった。
 東京地検特捜部によるライブドアへの強制捜査とその後に起きた東京証券市場のライブドアショックは、今まで隠されてきた小泉構造改革の「影」の部分が表面化したものだ。
 ライブドアの堀江貴文社長は、小泉構造改革が生み出した改革の英雄だった。
 この英雄の企業が粉飾決算と風説の流布を行っていたとの容疑を司法当局から受け、市場経済化と規制緩和にひそむいかがわしさが暴かれようとしているのだ。この問題が通常国会の中心テーマとなった。
 姉歯事件ももう一つの国会のテーマだ。構造改革の影の部分にメスが入る。
 国会においては外交問題も議論されるだろう。とくに中国・韓国と首脳会談もできないほど冷え切った外交の是非について議論される。対中国・韓国外交の行き詰まりの原因は小泉首相の靖国神社参拝への強いこだわりにある。
 外交政策は国会議論と並行して展開される自民党総裁選をめぐる論争テーマでもある。

 自民党内では、小泉首相の靖国参拝問題に対して疑問や批判が起こり始めた。福田康夫元官房長官、谷垣禎一財務相、山崎拓前副総裁、加藤紘一元幹事長らは小泉首相批判を公然と展開し始めた。
 このような動きの背景に何があるか。小泉首相の勢いの衰退がある。昨年九月の総選挙における勝利によって独裁的権力者になったとまで言われた小泉首相の立場が弱まってきていることは隠しようのないことである。どうして小泉首相の勢いが落ちたのか。
 第一は、米国内の空気の変化だ。小泉首相を支えているブッシュ大統領の力が衰えていることが、何といっても大きい。最近の世論調査では民主党の支持率が共和党を大きく上回っている。勢いを増す民主党側から小泉首相の靖国参拝に対する批判が強まってきていることが背景にある。
 第二は、米国の外交政策の変化である。米国政府の日本担当・アジア担当だったアーミテージ氏が国務副長官の間、米国政府は日本と中国を対立させる政策を推進した。だが、ブッシュ政権第二期の国務副長官にゼーリック氏が就くと中国重視に方向転換した。小泉首相の対中国強硬路線は米国の新アジア政策(中国重視)と合わなくなったのだ。
 第三は、ロシアの強大化である。米国の世界政策の変化の背景に、プーチン大統領の独裁者化がある。米国にとってロシアは中国以上に脅威のある国家になったのだ。
 ロシアが強大国になった最大の原因は原油高騰にある。世界第二の産油国であるロシアは原油高騰により莫大な富を得た。この富により、ロシアは米国政府にも米国資本家にも頼る必要はなくなった。この結果、米国大企業のほとんどがロシアから撤退させられた。
 もともとロシアは軍事大国である。このロシアが巨大な富を手にし、米国に対抗できる強大国に変化した。米国は中国敵視政策を変更せざるを得なくなり、対中国融和の方向に進み始めた。従来は米国にとって、アジアにおける日本の役割は、中国の勢いを抑えることにあった。だが、この日本の位置づけが変わった。
 もう一つ研究すべき大事な事柄がある。原油高騰の原因である。これは、イスラム諸国が、米国の力を弱めるために原油高騰政策を執拗に取りつづけている結果なのだ。
 世界全体が変化し始めている。日本の政治が世界の変化に気づかなければ、日本は「井の中の蛙大海を知らず」となり、世界の孤児になってしまう。このおそれ大である。
【以上は、1月21日付け四国新聞に「森田実の政局観測」として掲載された小論です】

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